第3話『真祖の吸血鬼と接触』
~ネギの部屋~
誰よりも早く眠ってしまった僕は目が覚めた。
明日菜さんがいなかった。
どうしたものかと考えると思い出した。
「新聞配達やってるんだっけ、行ってみるか」
僕は窓から飛び出した。
木乃香さんは寝ているため、注意の欠片すらなかった。
下を見ながら明日菜さんを探していた。
人が少ないのはまだ4時ぐらいの時刻
「なるほど、かなり違ってきてるかも、ん?」
新聞紙を配っている明日菜さんを発見。
走っている斜め上からの視線で声をかけた。
「明日菜さん、おはようございます」
浮いてる僕を見て驚いたが昨日の事を思い出したらしく空笑いしていた。
呆れられてるのか。
地面に降りて明日菜さんの持ってる新聞紙の配る量を見る。
「多いですね。大丈夫ですか?」
「大丈夫よ。このくらい楽勝楽勝」
「こんな朝早くにアルバイトは大変ですよ?」
僕の言葉に明日菜さんは目を丸くしたが、笑みを浮かべる。
「私って体力があるでしょ? それと、学園長のお世話にいつまでもなる訳にもいかないし」
「両親とかはどうしたんですか?」
本来は昨日で聞いとかないといけなかった事を今、聞く事にしよう。
さすがに後で聞くっていう事が絶対にないから。
「いないわ……私が小さい頃に亡くなってるらしいのよね。
その時、高畑先生に会ってこの学園に来たの」
明日菜さんは悲しそうにそう語った。
何か前と違うけど、同じ部分はあるし、覚えていない部分も含めて一致はするだろう。
「手伝いましょうか?」
「別にいいわ。これくらいの量なんて毎日やってるし」
新聞紙の量が100件分は入っていると思われる。
そう予測した僕だが、今後の事が面倒だから、ある人物に会っておくかな?
「明日菜さん、僕は行きますね」
「じゃあね、ネギ」
明日菜が嬉しそうに駆けだして行った。
何で明日菜さんは嬉しそうに……
それはどうでもいいか、あの人物の所へレッツゴー!
~???の家前~
道は同じだった。
当り前だよね、自分の過去に来たんだからって事は、
コレクション失くしたのは僕のせいか……
扉の前に立ち、トントンとドアをノックした。
こちらに駆けてくる足音がした。
扉が、ドアが開いたので見ると茶々丸さんだった。
「!?……ネギ先生、何か御用ですか?」
「エヴァンジェリンさんにお話があるんですが…」
これからの事を思うと楽しく思い笑みを浮かべた。
茶々丸さんが頷くと、自分の主を起こしに行ったみたいだ。
さて、ここから始まるんだ。
まずは、呪いをどうにかしないと話にならない。
別に対抗できない敵がいるとかじゃない。
ただの気分の問題と僕の目的に反するからね。
ん?来たみたいだ。
今の僕と同じくらいか小さいエヴァンジェリン、いえマスターが来た。
こちらを睨みつけて何か言ってきた。
「何しに来たんだ? ネギ先生」
「もうぼうやでいいよ。闇の福音さん」
「良いだろう。なら、ぼうや、何しに来た。
私を倒しに来たのか?封印状態でも倒せるぞ」
自信満々で言われてしまった。さすがマスター
僕の魔力を感知できないほど脆くなってるんだね。
あまりにもマスターの魔力感知の弱さに涙が出る。
「何を泣いてるんだ?」
「いえ、僕の魔力を感知できないほど弱くなっちゃったんだね」
「何を言ってるんだ? ふん、ぼうやごとき今すぐにでも」
茶々丸さんはマスターを止めていた。
「何をする!茶々丸」
「マスター、私の感知にはネギ先生の魔力が強大に膨れています。
今のマスターだと100%勝てません」
「ほう?」
興味がありそうな笑みを浮かべていた。
こんな時、嫌な予感しまくりなんだけど気にしない。
僕はマスターの後ろに回り込み、背中に魔力の塊をぶつけた。
マスターは僕が瞬動を使った事に驚いたが、魔力の塊の質量に驚愕していた。
痛みはないはずなんだけど数日は絶対にかかるよ、これ……普通の魔法使いなら。
その後、魔力の塊がマスターの中に入り込むと、僕は居た場所に瞬動した。
「何をした?」
マスターが睨んできた。
正直にそれの疑問をこう言った。
「呪いが掛かってるのは知ってますけど、それを解いておきました」
「何だと!? 嘘を付け!」
「だって、24時間経過したら結界消滅するようにしただけだし」
ひそかに拗ねるような声色でマスターを責める。
マスターが申し訳なさそうに呟く。
「それはすまん……」
申し訳なさそうにしているエヴァを見て満足満足。
やっぱり24時間設定にしてよかったよ。
でも、やっぱり僕の計画には居るね。
と考えているとマスターがいきなり怒鳴りかけてきた。
「そんなわけがあるか!」
スパークが走っている魔法の矢10ぐらい飛んできた。
強力な矢にマスターは驚いている。
うんうん、ちょっとは戻ってきてるみたいだね。この魔法でよかったんだね。
感心した後、飛んでくる矢を右から左へ勢いよく振ると魔法の矢が消滅した。
「いきなり何をするんですか? エヴァンジェリンさん」
「何をやった?」
「だから、登校地獄などの呪いを莫大な魔力で消す呪い無効化ですね。
この魔法苦労したんですから、小さい頃、父さんから聞いて禁断に入るレベルの魔法を教えてもらったんですから」
平気に嘘をつくネギ。
でも、信じられないよね、まさか僕が未来から来た逆行者の上、
魔法を超越した超魔法戦士だって事は信じられないかも。
おまけに魔法超越者とも言うね。後者は魔法を超越したって意味ではない。
それは結構、後で分かる。
「今、何て言った?」
「ん?」
何のこと?
僕、また何かミスした?
自分のミスが無いか今までの発言を思い出してみる。
そういえば……
「小さい頃、ナギに聞いただと?」
マスターから答えを聞いて、こう思った。
あ、しまった、うっかりしてた。
そう言えば、この頃のマスターはまだ生きている事を知らなかったんだっけ?
話を逸らすってのは無理だね。
僕は適当に誤魔化そうとした。
「あのですね? エヴァンジェリンさん、父さんはえと……」
「まあいい、呪いが解けるんだ。あの馬鹿ナギを追うぞ」
「この学園から抜けるなら封印解除止めますが」
「な、なな……」
マスターは硬直しながら、こちらを見ていた。
やっぱり、怒ってるな。
これはこれで面白そうな展開になりそうだけど、
僕の計画ではあの世界に行く時も一緒に来てもらわないと戦力が足りないよ。
「それに今、この学園から出ても捕まるよ?一瞬にして」
「なぜだ?」
マスターが睨みつけてきた。
それで人を殺せるほどの睨みだ。
こんなの普通の子供とか見たら失神するに違いない。
幸い、僕は普通の子供でもなかった。
だから、明るく返答をする。
「僕が封印解除を止めたらいいんです」
「何だと!? どういう意味だ!……まさか、このやり方は」
マスターも気づいたみたいです。
僕が封印解除としてかけたのは制御。
つまり、僕の気分で封印を解除と開始が始まるのです。
その人にとっては、かなりの迷惑でしかない最悪な呪文。
「当たりですよ? 僕の気分で変えられるんです。つまりですね……そういう事です」
「わ、わかった。……完全に戻ったら覚えておけ」
最後の部分は何を言っているのかわからなかったけど、
まあいっか。これで、ほぼ目的はクリアしたも当然。
後は、僕の事について聞いておくかな?
「そういえば、僕の実力とか調べないの?」
「あ、ああ……全力出せる日は、茶々丸」
マスターが茶々丸さんに聞いていた。
ほとんど茶々丸さん任せは変わらないんだね。
マスターって一人だと何もできない子なの?
勝手な事を思考して可哀相な目でマスターをチラっと見て逸らす。
考えていると、茶々丸さんがその日を答える。
「停電の日です」
「停電の日……3年になってからか」
「停電の日って何ですか?」
僕もこれにはよくわからないんだよ。
前に誰かに聞いたような気がしたけど、誰だっけ?
過去の事は覚えている自信はあるように思った。
どうでもいい事が全然覚えていないんだね。
つまり、ネギにとっては、
封印解除のエヴァと初戦闘がどうでもいい事と認識している事になる。
「1年に2回だけ行われる大規模の停電です。
これはメンテナンスが理由とされています」
茶々丸さんが大筋だけ教えてくれた。
詳しく説明されても困るのでどうしようかと思った。
というよりも年に2回あったっけ?
並行世界やら異世界に行ってたので忘れてしまった。
「その時だけだったんですね。でも、僕が来なければ永遠にここにいたんですよね?」
「その時はじじいを……」
うわ、危ない事を言ってます。さすがマスター。
僕も気にはなっていた。
もし、僕が10歳で卒業しなければ、どうなっていたのか?
想像はできるけど、僕は潜在能力と頭が良いから木乃香さんを除くと、
トップクラスらしいのでありえない。
その考えをどうでもよく捨てて話を進める。
「3年のその時まで何もないって思ってもいいんですね」
「私が誰も血を吸わなかったらな」
ああ、まき絵さんがマスターに血を吸われた時の事。
あの後、のどかさんが襲われ、
裸になっている所を木乃香さんが僕の事を吸血鬼と呼ぶアレか……。
それはないだろう。すでに木乃香さんは僕のパートナーだし、只のだけど。
「その場合も解除をやめますよ?せっかく、解除するんですから血は必要がないでしょ?」
「わ、わかった」
僕は悪魔の笑みでマスターを見ると、青ざめたマスターがコクコクと縦に頷いた。
僕ってそんなに怖かったのかな?
違うか、解除できなくなるのが嫌なんだ。
完全に解くのは対決後だから、それまではフフフ……。
エヴァでどうやって遊ぶか楽しみで想像していたが、
「ネギ先生?」
茶々丸さんの声で我に返る。
そういえば、茶々丸さんと仮契約したのっていつだっけ?
現在から、かなり歪んでるからあるのかな~。
「ごめんなさい。そういえば、今は何時ですか?」
「今は7時ぐらいです」
「そんなに時間が経ってたんですね。僕はこれで失礼します」
僕は木乃香さんの朝食を食べるためにマスターが、よく使ってた影のゲートを広げて潜る。
マスターが驚きながらも「おいこら!」とか叫んでいたが、この場から去った。
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今話から全ての終焉に省略します。