真・恋姫✝無双~御使いの転生~張任伝 第四章天下飛翔/第五話
第五話/英傑選ばれる時
「……冥琳、黄祖が死んだって本当なの?」
「あぁ、明命の話だと張任との戦に敗れ自害したそうだ。遺体は張任が夷陵の地に手厚く葬ったらしい」
「そうなの…」
孫策事、雪蓮はその事実を聞き苦虫を噛むが如く顔を歪める。
「姉御! 建業太守の劉繇を呂蒙ちゃんが討ち取りましたぜ!」
「子義か、良かったな、雪蓮。 これで建業はお前の物だ」
「そう…」
彼女はただ、陣の向こう側から上がる煙を眺めたまま微動だにしなかった。
「ねぇ、田豫君、この書類の案件だけど…」
「桃香様、そこはこの様に計算して…そうです。 それで、此処をですね……」
「桃香お姉ちゃん、最近頑張っているのだ。」
「桃香様も太守の仕事がやっと板についてきたのだ。 それに、あの時の答えも見つけた様だからな。」
「愛紗のいう通りだな。 桃香様の迷いが見当たらない…。」
河北では袁家と公孫讃、そして劉備との戦いにより荒れていた。しかし、易京の戦いで田豫の策、愛沙達の武勇により数で劣る公孫・劉備連合が袁家の主力を壊滅させ、さらに先の大戦の影響で領地を失った袁術と袁紹による内乱が起きその影響で彼女達はこの河北を手中に収めた。今は荒れた領地を復興させるために皆躍起になっている。
「桃香様!! 民からこの様な苦情が来てますぞ~~!!」
「ふぇ~ん! 田豊さん少し休ませてぇ!!」
まぁ…その御蔭でハッスルしているおじさんがいるのが桃香にとっては災難なのかもしれない。
「華琳様! 劉表軍と劉焉軍の戦いは劉焉の勝利に終わりました。 また、これにより主将黄祖は戦死したようです。」
「そう… 討ち取ったのは誰かしら?」
「それが黄祖は自害したようで…劉焉軍の主将は張任という男らしいです。」
「へぇ… 桂花、どの様な人物か解る?」
「はいっ、張任は元禁軍の将、張武威の息子で弓の名手だそうです。」
「秋蘭と比べてどうかしら?」
「恐らく互角かと。また、刀剣なども扱うようで腰には二振りの特異な形をした剣を挿しこんでいるとの情報があります。」
「となるとその張任という奴は剣術も心得ているのか?」
「そう…ウフフ……張任、欲しいわね」
玉座に座り、臣下の報告を聞き、笑みを浮かべる覇王であった。
「鈴藍!! 状況は!?」
「それが…弟様達はもう……蒲公英ちゃんは傷だらけだけど命に別状はないわ!!!」
「くっ!! 韓遂の野郎!! お父様をよくも!」
「闇行(エンコウ)も旗元八騎もこれに関与しているみたいよ。 武威、西平、安定の城は皆向こうに奪われたわ…」
「張温の…張温のおっさんならきっと!! 「報告!!!」 何だ!?」
「張温様がお亡くなりになりました!!! またこれにより洛陽では董卓軍の李傕、郭汜、張済の三将が主君董卓と賈詡、あろうことか劉協様を牢屋に押し込め監禁しているとの事!」
「「何だと!?」」
「霞、張遼はどうした!?」
「匈奴族の反乱の討伐で洛陽を出ておられたようです…現在はどちらにいるかは…」
「くっそう!!!」
翆は苛立っていた。父の旧友に裏切られ、親友と思っていた闇行に裏切られ、家族を殺され、恩師である張温すらこの世に居ない。
「どうすれば良いんだよぅ…」
「翆様…」
「馬超様!!! 闇行殿より書状です!!」
「何!?」
「おい!! 張遼、無茶するんじゃない!!」
「じゃかしい!! ウチは月を助けに行くんや!! 止めるな、楊奉!!」
「徐晃! あいつを止めろ!!」
「承知」
ドカッ
「カハッ…」
霞は後ろから徐晃の手刀により気絶した。
「よろしいので?」
霞を抱え天幕へ向かった徐晃が戻った際、己が主にそう伺う。
「よろしくもよろしくなくても今は動かない方が良い… こっちは張遼の騎兵2000騎とお前と私の兵4000だ。 今はこの匈奴と漢の国境付近で潜んでいるべきだ… 張遼、徐晃は万の兵に数えられるほどの豪傑と私は知っている。だが、洛陽には3万、長安には4万程の兵がいる……多勢に無勢過ぎる。 曹操か張魯、馬騰が動けば……(ブオン) !? 誰だ!!」
陣の中に放たれた三本の矢の柄の部分には
馬騰、韓遂の謀叛死亡。 長男次男死亡。 馬超天水発起。
と書かれていた。
「!? 終わった…これじゃぁ四面楚歌…だな。」
安定
我が名は闇行、うん。自分は見失ってないわね…。 どうして、文約様は馬騰様を殺したんだろう? 自分には理解できない。それに、分約様は恩人だけど翆は唯一無二の親友…だから、あの書状は届いて欲しい!! 自分の思いを伝えたい。
「雅(ミヤビ)、どうしたのだ?」
「いえ、御気になさらず」
「気分が悪ければ無理しなくて良い。お前は馬超を殺せる唯一の手段なんだからな。」
「…(!?)……はい」
そう言って分約様は奥へと消えた…けど、解らない。雰囲気は変わってない。でも、何かが違う。
「ふぅ…あの男の真似も随分面倒だな」
韓遂はそう首を回しながら言うと異形の者へと姿を変えた。
「御勤め御苦労ですよ、アミー」
「る、ルシファー!?」
「ただ、貴方の管轄外ではありませんかね? 貴方は私と同じローマの…いえ、キリスト教と呼ばれる信者達が多い地域の担当のはずですが?」
「閻魔の頼みだ、それに創造神とやらは俺の事を黙認している」
「おやおや、そうでしたか」
「あんたも、此処に来るのは同じ口だろ?」
「クックック、どうやら彼を誘き出したいようですね。」
笑みを零しながらルシファーは閻魔の考えを理解した。
洛陽
「あっはっは! 燃えろ燃えろ燃えろ!!! 綺麗だろ? なぁ相棒達よ!!」
「へっへっへ そうだな」
ザッシュ!!!
「あぁ…」
李傕は甲高い声で笑いながら気絶しているであろう女を忌者にし、郭汜は子供大人とわずに縄で括りつけた人間達を惨殺してゆき、それをただ平然と見つめている男。
「しっかし……劉協様は美人だよなぁ」
「おい、李傕。捕まえたのはこの郭汜様だ! 俺が頂くんだよ!!」
「はぁ!? 関係ねぇだろ!? この作戦を発案したのは俺だ!! 俺に権利がある!」
「「ぐぬぬ……」」
「お前らやめろ、内輪揉めほど醜い物はないぞ? それに李傕。盟主は誰だ? 俺にするってお前らは言ったよな? なら、俺の指図には従え。 董卓も劉協もまだ利用価値がある。忌者で終わらせるつもりはない。 良いな?」
「「お、おうぅ…」」
そう言い終わると同時に男は玉座の間を後にし、城壁へと向かい歩いた。
「胡車児、胡赤児いるか?」
「「はっ!!」」
「あの馬鹿共があのお方たちに触れぬよう警戒しておけ、良いな?」
「「承知!」」
二つの気配は僅かに影が揺らぐのと同時に消えてゆった…。
「閻魔よ… 本当にこれで張任が釣れるのか? 俺は曹操が釣れると思うのだが。」
「安心して、君達は曹操や劉備、劉表が束になっても倒せないよ♪ ¨僕の指示を聞いてくれればね¨…」
闇夜から男に近付く黒い影はそう笑顔で言いのけた。
「……(此処まで曲者だとわな…神の類とは云えて妙だな。しかも軽く釘を挿してきやがる) 俺は問題ないがあの欲望に塗れた獣共は制御出来んぞ?」
「クフフ… 期待をさせて貰うよ。 張繍君♪」
「…あぁ、善処はするさ…」
そう言って彼は月夜を見上げ佇む。
「族父…貴方の仇、張武威の息子は私が倒しますよ…必ず」
あとがき!
さて、張繍登場~!! 個人的には好きな武将でコー○ー様のゲームでは常に彼を赤兎馬やアイテムで強化しながら起用していますw
長い物ですね…5月のGWに興味本位で初めてもう三月に。 間が怪我の影響などで空いてしまったのを除いても半年程はこの小説を書き続けているのですよね。
これからもダラダラとかつのんびり亀の様な歩みでしょうが付き会ってくださると助かります。
しかし…ビールが苦い!!!(ゑ?
それは置きましてと…
まだまだ張任ルートは続きます。 一番初めての作品なのでしっかりと完結させたいと思いますので…司馬鴺ルートや他のルート希望してくれた方々、興味がなく飽きてしまうでしょうけど付き会ってくださるとうれしいです!!
それでは皆さんご一緒に
アディオス!!!!@@ノシ
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また一ヶ月空いてしまった。 申し訳ない!! 書いていても納得行かなかったので修正と六話、七話制作などをしてましたら一ヶ月経ってしまいました…
どうしてこうなった。 では、拙いままですがお楽しみください!