No.391265 ちょこ☆まじcpfizzさん 2012-03-14 01:22:22 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:3373 閲覧ユーザー数:3367 |
「ねぇ? 小狼くん。今日が何の日だか知ってる?」
放課後――。
待ち合わせた昇降口へ姿を現すなり、さくらはこんな質問を投げ掛けた。
「今日?」
小狼はチラリと腕時計に目をやり日付を確認する。
「十一月十一日……」
何かが思い当たるような特別な日ではない。さくらの聞き方から推測しても、二人にとって特別な日というわけでは無さそうだし。
強いて言えば今朝のニュースで言っていた……。
「鏡の日」
「え? そうなの?」
さくらにとっては予想外の答えだったらしく、逆に聞き返された。
「そっか…………。じゃ、後でお兄ちゃんにも教えてあげなくちゃ」
そう言いながらさくらは、手にしていた鞄へ軽く抱き締め、まるで囁きかけるようにそう言った。
「他になにかあるのか?」
さくらの仕草を見て軽く肩を上下させる小狼。あれほど学校へは持ってくるなと言ったのに、あとで説教しなきゃならないな。そんな言葉を頭の隅にメモし、小狼はさくらに正解を促した。
「ふふ、それはね……」
さくらは嬉しそうにもう一つの鞄、スポーツバッグのポケットから聖書のような大きさの箱を取り出して見せた。
「今日はポッキー、プリッツの日なんだよ」
彼女が取り出した箱には、日本で最も有名なチョコレートスティック菓子のパッケージがプリントされていた。
言われてみれば――。知世にそんな事を言っていたような気がすると、朝の教室の風景を小狼は思い出した。
(確か、何か重要な事を――――)
「そうなのか。知らなかったな」
小狼はわざと少し戯けて見せた。後付けで言い訳をするより、さくらに花を持たせた方がこの場は正解だろう。
だが、次にさくらが紡いだ言葉は彼の想像とは全く違うものだった。
「ふふ。それでは分からなかった小狼くんには罰ゲームです」
「罰ゲーム?」
そんな事は言ってなかったじゃないかという主張を飲み込み、思考を巡らせる。一体どんな罰ゲームか。彼女の事だから余り無茶な事はさせないだろうと小狼は予想した。
「アーンして下さい」
「?」
言われるまま口を開けてると、さくらは箱を開けポッキーを一本取り出した。
食べさせてくれるのだろうか? それでは罰ゲームにならないじゃないかと小狼が考えている間に。
さくらはその一本を自分で咥え、続け様、彼の両腕をガシッと捕まえる。絶対に逃がさないと言わんばかりの力だ。
「さ……」
「ひゃおらんふんは、ほっしからふぁふぇてね(小狼くんは、そっちから食べてね)」
そう言うとさくらは有無を言わさず、ポッキーを咥えた顔を近づけて来る。その迫力に呑まれ、小狼は振り払う事も出来ず、ただされるがままポッキーの反対側の端を咥えさせられ…………。
ほとんどの生徒が下校したとはいえ、昇降口という人目に晒された環境の元、ポッキーを食べさせられた。
それがポッキーゲームという名前である事、そのゲームの内容を朝の教室で知世から聞いていた事を思い出した時には。
小狼の鼻腔はチョコレートよりも甘い香りが感じていた。
言い表せないほど柔らかい感触を唇に感じながら。
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11月11日はポッキー、プリッツの日と言う事で。
更新日時がおかしいですが、そこは気にしないで下さいまし。
某サイトにアップされていた男前なさくらちゃん準拠です。
▼2012/03/22:作品を公開するアカウントを変更しました。