No.384511

勇者伝説セイバスター 第3話「燃え上がる火焔」

紅羽根さん

アニメ『勇者シリーズ』を意識したオリジナルロボットストーリー。中学生の頃に書いていた作品なので、文章の稚拙さが著しいのでご注意を。

2012-02-28 21:05:06 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:397   閲覧ユーザー数:397

 

第3話「燃え上がる火焔」

 

 ある日の昼下がりの街中。そこでファイナルとヴァリアントが魔物と必死になって戦っていた。戦況はファイナルとヴァリアントが魔物をあと一息という所まで追いつめていた。

「負けちゃだめだよ、ファイナル!」

「ああ、わかっている」

 空人の励ましを聞いてファイナルが構えを取る。

「そろそろ決めるぞ」

「了解」

 同じように瞬治がヴァリアントに声をかけるとヴァリアントも構えを取る。

「ファイナルバーン!!!」

 ファイナルの胸の飾りから巨大な火の弾が現れ、魔物に向かって飛んでいく。

「ヴァリアントサンダー!!!」

 ほぼ同じタイミングでヴァリアントが腕を振り上げ、魔物に向かって手を突き出すとものすごい勢いでヴァリアントの手から雷が魔物に向かって飛んでいく。

「グアァァァァァァ!!」

 

ドオォォォォォォォォン!!

 

 魔物がその攻撃を受けた瞬間、激しい大爆発を起こす。その爆風のあとに魔物の姿はなかった。

「やったあ!」

「I wish you go to the heaven」(お前が天国に行くことを願っておいてやる)

 その光景を見て空人は喜び、瞬治は決めゼリフをいう。

「さてと、魔物も倒したことだし、HBCに戻るか」

「了解」

 ヴァリアントが返事をすると変形して戦闘機になる。

「僕達も戻ろう、ファイナル」

「………………」

 そういって空人がファイナルの方を振り向くと、そこには少し浮かない顔をしているファイナルの姿があった。

「ファイナル?」

「あ? ああ、わかった」

 ファイナルが空人の声に気付き、変形して車になる。そして空人が乗り込むとその場から走り去っていった。ヴァリアントも同じく、その場から飛び去っていった。

(……やはり、まだそこまで到達していないのだろうか?)

 その帰りの途中でファイナルは「何か」を悩んでいた。

 

 

 数日後。HBCフォースオーダールーム前。ここで空人と晴香が誰かを待っていた。

「石橋さんの話って何なの?」

「さあ……でも、きっと大事な話だと思うよ」

 その待つ間を空人と晴香は会話で紛らわしていた。

「……でも、晴香は呼ばれてないはずだけど?」

「別にいいよね?私がいて損することはないから」

(損得の問題かなぁ……)

 空人が少し首をかしげる。と、そこにグレートオーダールームから瞬治が出てくる。

「あ、瞬治さん」

「空人か。ここで何をしてるんだ?」

 瞬治が汗を吹きながら空人に向かって聞く。

「僕達は石橋さんを待ってるんです」

「瞬治さんは何を?」

 晴香が瞬治に質問する。

「俺はちょっと体を動かしてただけだ」

「相変わらず体を鍛えることは熱心なんだな」

 瞬治が答えたその時、空人達とは別の声が聞こえてくる。

「誠也か」

「そっけないのも相変わらずだな。せっかく久々に会ったっていうのによ?」

 誠也と呼ばれた少年が瞬治に近づき、瞬治の肩を組む。

「あの……?」

「お? こいつが聖勇者とやらと一緒に戦ってるって奴か?」

 誠也と呼ばれた少年が空人の方を向いて聞く。

「僕は光神空人です」

「俺は『剣持誠也(けんもちせいや)』。誠也でいいからな」

 誠也がそういって手を差し出す。

「よろしくお願いします」

 そういって空人が誠也と握手する。

「俺はHBCで機動部隊副隊長をやっている。ま、瞬治の親友って事で覚えておいてくれよ」

 誠也が再び瞬治の肩を組む。

「誰が親友だ、誰が」

 瞬治がやや怒り気味に誠也の手を払い除ける。

「本当に冷たいな。別にいいじゃねーかよ」

「お前みたいなしつこい奴は嫌いなんだ」

「別にしつこくねーだろ?」

「何だ、みんな集まってたのか」

 瞬治と誠也が口喧嘩に発達しそうになったその時、石橋がグレートオーダールームから出てくる。

「よっ。久しぶりだな、石橋司令官」

 誠也が石橋に軽く挨拶する。

「おお、誠也君か。今までHBCに顔を見せないで何をしてたんだ?」

「別に、ただ暇を持て余してただけさ」

「地球外知生体が現れたのは知っているな?」

「もちろん。だからHBCに戻ってきたんだよ。俺の出番が増えるだろうしな」

 そういって誠也が笑顔を見せる。

「石橋さん、僕達に何か用があったんじゃ……」

「おお、そうだった。ファイナル君が空人君に話したいことがあるというんでな、急遽呼んだのだ」

「ファイナルが話したいこと?」

「取り合えずフォースオーダールームに入ろう」

 そういって石橋が扉を開ける。そこにはロボット形態で待機していたファイナルがいた。

「ファイナル」

「空人」

 ファイナルが自分の名前を呼ばれて空人達の存在に気がつく。

「ファイナル、話って何?」

「……実は、私の力はまだ少ししか発揮されていない」

「え?」

 空人達がファイナルの言葉に少し驚く。

「私の現時点の力はまだ半分も発揮されていないのだ」

「ええ!?」

 空人達が驚く。その中でも空人が一番驚いている。

「ど、どういうことなの?」

「私の今の姿は完全な力を使って自らの崩壊を防ぐための姿であり、完全な力を発揮することは不可能なのだ」

 ファイナルが説明をする。

「???」

 しかし、空人と晴香は「何を言ってるのか分からない」という顔をしている。

「つまり、ファイナルの今の姿では完全な力を発揮することができないということだな」

「その通りだ」

 瞬治がわかりやすく説明する。

「それじゃ、いったいどうすれば完全な力を発揮できるの?」

 それを聞いてやっと納得した空人がファイナルに質問する。

「……『合体』だ」

「合体?」

「そう、合体をすれば私は完全な力を発揮することができる」

「そうか! そういう方法があったか」

 石橋がファイナルの言葉を聞いて納得している。

「ファイナルも他の勇者のように合体ができるの?」

「ああ」

「ふむ……そのデータを一度は見てみたいな。ファイナル君、ぜひデータを取らせてくれないか?」

 石橋がファイナルに向かって頼む。

「わかった」

「では、早速こっちへ来てくれ」

 そういって石橋が奥へと向かって歩いていく。そしてファイナルがその後に続いていった。

「ねえ、合体って何?」

 晴香が空人に向かって聞く。

「合体って言うのは……」

「それは俺が説明しよう」

 空人が説明しようとしたその時、誠也が割り込んでくる。

「………………」

 空人が少し不快な顔をする。

「合体っていうのは、勇者達がさまざまなサポートメカや勇者達同士で合体してパワーアップする事だ。他にも、合体してでかくなって今までより巨大な敵とも戦えるようになる。ま、合体してデメリットはないな」

「そうなんですか」

 誠也の説明を聞いた晴香が納得する。

 

 

 数十分後。データを取り終えた石橋とファイナルが戻ってくる。

「石橋司令官、何かおもしろいデータでもあったのか?」

「おもしろいもなにも、非常に重要なデータが見つかったのだ」

「いったい何ですか?」

 空人が石橋に向かって聞く。

「それは、『合体するための条件』だ」

「合体するための条件?」

「そう、実はファイナル君が合体するためには空人君の勇気がある一定の値を越えなければならないのだ」

 石橋が『合体するための条件』を説明する。

「それってどれぐらいなんだ?」

「わからん!」

 石橋のその言葉に全員がズッコケる。

「わ、わからないって……」

「いいか。勇気というのは数字で表せるものじゃない。だから一定の値と言ってもそれがどのぐらいかなんてはかることはできない。それは自分自身で見つけるものなのだ」

 石橋が柄にもないことを言う。

「つまり、実際にやってみなきゃ分からないということだな」

「あとは空人君しだいだ。がんばってくれ!」

「はい!」

 空人が石橋の言葉に反応して元気よく返事する。

「もうこんな時間か。それじゃ、俺は帰るぜ」

 そういって誠也がフォースオーダールームから出て行く。

「僕達も帰らなきゃ……」

「待ってくれ、空人」

 空人が帰ろうとしたその時、ファイナルが呼び止める。

「なに?」

「これを持っていってくれ」

 ファイナルがそう言うとファイナルの胸の飾りから光が飛び出し、空人の左腕に巻き付く。そしてその光が腕時計みたいなものに姿を変える。

「これは……?」

「それは『ファイナルブレス』だ。私との通信や合体の時に必要となる」

「へー……」

 空人がファイナルブレスを眺める。

「何かあったらすぐに連絡できるようにいつも身につけておいてくれ」

「うん、わかった」

 空人がうなずく。

 

 

 時を同じくして、ここはソルダーズが空に作った異空間の中。

「前回の戦いの反省をいかすとしたら、次はこいつだな……」

 ソルダーズがさまざまな魔物が描かれている本を眺めて独り言をつぶやく。その時、ソルダーズの後ろに何者かの気配が現れる。

「ゴルヴォルフか。」

「よく分かったな。さすがはソルダーズ、といった所か? ヘッヘッヘ……」

 ゴルヴォルフがソルダーズを見下すようにあざ笑う。

「今度は何のようだ?」

「これさ!」

 ゴルヴォルフがソルダーズに向かって後ろに隠し持っていた何かを投げつける。

「くっ!」

 ソルダーズがその物を受けた瞬間、ソルダーズが特殊な電磁バリアによって閉じ込められる。

「な、何だこれは!?」

「心配するな、ただのバリアだよ。1日もすりゃ勝手に壊れるからよ」

「なぜこんなことをする!」

「お前の代わりに俺がいってやるんだよ。ゆっくりと休養が取れていいだろ? ヘッヘッヘ……」

 ゴルヴォルフが電磁バリアの中でもがいているソルダーズを見てあざ笑っている。

「勝手な真似はするな!」

「悪いな、俺はじっとしてる方が『地獄』なんでね。それじゃ、あばよ。ヒャーッハッハッハ!!」

 ゴルヴォルフが高笑いをして鳥のような魔物の背中に乗って去っていく。そのあとにはバリアに閉じ込められて必死にもがいていたソルダーズだけが残っていた。

「くそっ! ここからだせ!」

 

 

 ここはとある高速道路。そこを走っている車の一つに空人達は乗っていた。

「なあ、空人と晴香ちゃんの住んでるいてってどんなんだ?」

 その中になぜか誠也が乗っていた。

「誠也君、なんで君も乗っているんだ?」

 車を運転している石橋が嫌そうな顔で誠也に質問する。

「さっき言ったじゃないか。空人たちを送るついでに俺も送ってくれって」

「そんなに遠くないんだから自分の足で……」

「まあいいじゃねーかよ」

 そういって誠也が石橋の方に手を置く。

(なんか、誠也さんってすごいな……)

 空人はそんな誠也の姿を見てすこし感心していた。

 

 

 同じ頃、同じ高速道路の上空。その上空に鳥の魔物に乗ったゴルヴォルフがあらわれた。

「さてと、邪魔物もいねーから始めるとするか」

 そういってゴルヴォルフが腰につけていた袋から種みたいなものを取り出す。

「死者の国から甦りし騎士よ、骨の鎧をまといて全てを破壊せよ……」

 ゴルヴォルフが種に力を込めながら呪文を唱えるとその種が黒く光っていく。

「出でよ、『スケルトンナイト』!!」

 ゴルヴォルフが種を地面に向かって思いっきり投げつけると、その種が変化して鎧をまとった骸骨のような魔物に変化する。

「さあ、遠慮しないで全て破壊しちまいな!」

「グアァァァァァァァ!!」

 ゴルヴォルフの言葉を聞いた魔物が街を破壊しはじめる。

 

ドオォォォォォォン!!

 

「きゃっ!」

「うわっ!」

 その魔物の攻撃により、空人達の乗ってる車が走っている高速道路が破壊される。その時の衝撃と急ブレーキの時に起こった衝撃で空人達が体制を崩してしまった。

「な、何が起こったんだ?」

 全員が驚いて車から出る。

「あれは……地球外知生体だ!」

 石橋が暴れている魔物を指差して言う。

「で、でかい……」

 誠也が魔物を見て驚いている。その魔物は今までの魔物よりもはるかに巨大だった。

「そ、空人……」

「どうすれば……ん?」

 空人が少し悩んでいたその時、自分の腕についていたファイナルブレスのことを思い出す。

「そうだ! 確かこれでファイナルと通信ができるはず……」

 そういって空人がファイナルブレスのボタンを押す。

「ファイナル、魔物があらわれたんだ」

『わかった。すぐに向かう』

 ファイナルが返事をするとすぐに通信を切ってしまった。

「瞬治さんは?」

「今連絡したからすぐに来るだろう」

 石橋はそういいながらさっきまで使っていたと思われる携帯をポケットにしまう。

「だけど、それまでこの場で待ってるなんてすごい辛い……」

 晴香が破壊活動を続けている魔物を見て少し悲しげな表情を浮かべる。

「だったらお前達もこの場で消えるか?」

「!?」

 その時、空人達の後方から何者かの声が聞こえてくる。全員が振り向くとそこにはゴルヴォルフの姿があった。

「お前は誰だ!?」

「俺は『宇宙帝国デストメア』のゴルヴォルフ、『悪魔騎士ゴルヴォルフ』だ。よーく覚えとくんだな」

 ゴルヴォルフがそう言うと空人達を見下すような目で見る。

「宇宙帝国デストメア?」

「何なんだ、それは!?」

 石橋がゴルヴォルフに向かって叫ぶように聞く。

「俺達デストメアは全ての星を闇に変えるために存在する」

「何の目的でそんな事をするの!?」

「別に目的なんてありゃしねーよ。ただ闇に変えるためにその星に住む全ての生命体を葬る必要があるから破壊してんだよ。もっとも、俺はその破壊が楽しいからやってるけどな。クックック……」

 ゴルヴォルフが説明を終えると小さく笑う。

「この野郎!!」

 誠也が怒ってゴルヴォルフに立ち向かっていく。

「おっと!」

「うっ!?」

 しかし、ゴルヴォルフが手を突き出すと誠也の動きが止まる。

「俺に立ち向かおうなんて100年早えーんだよ、このガキが」

「く……動けない……」

 誠也が必死にもがこうとするがまったく動くことができない。

「空人!!」

 その時、ファイナルの声がゴルヴォルフの後方から聞こえてくる。その方に視線を向けるとファイナル(車モード)が激しい勢いで向かってくる姿が見えてくる。

「ファイナル!」

「俺達もいるぜ!」

 瞬治の声が上空から聞こえてくる。そこにはヴァリアント(戦闘機モード)の姿があった。

「ちっ、勇者がきやがったか」

 ゴルヴォルフが軽く舌打ちをしてその場から去ろうとする。

「うわっ!」

 その瞬間に誠也の動きが解放されたため、誠也が勢いで倒れてしまう。

「後は任せたぜ、スケルトンナイト!」

「ま、待て!」

 誠也が追いかけようとするがゴルヴォルフはすぐに鳥の魔物の背中に乗ってその場から去っていった。

「くそ!」

「誠也君、追いかけたい気持ちもわかるが今は地球外知生体の方が先だ」

 そういって石橋が誠也の方に手を置く。

「いくよ、ファイナル!」

「ああ」

 ファイナルが返事をすると変形してロボットの姿になる。

「VALIANT、Let’s go!」(ヴァリアント、行くぞ!)

「了解!」

 同じように、ヴァリアントも変形してロボットの姿になる。

「ファイナル・ブレイブ!!」

 空人がそう叫んだ瞬間、ファイナルが輝いていく。

「サンダーエッジモード、オン!」

 瞬治がそういってボタンを押すとヴァリアントは右腕を掲げる。すると手の甲から電気で作られた刃が現れ、剣を形成する。

「ファイナルブラスター!!」

 ファイナルがファイナルブラスターを取り出し、引き金を引くと炎の弾が飛びだして魔物を炎に包む。

「サンダーエッジ!!」

 続けてヴァリアントがその剣を魔物に向かって振ると雷の刃が魔物に向かってものすごい勢いで飛んでいき、魔物に電撃を食らわせる。

「! そんな!?」

「何だと!?」

 しかし、魔物はほとんどダメージを受けておらずに平然とその場に立っていた。

「なんでファイナル達の攻撃が効かないの!?」

「だったらこれで!」

 ファイナルが魔物に向かって構える。

「ヴァリアント、俺達も本気でいくぞ!」

「了解!」

 同じようにヴァリアントも魔物に向かって構える。

「ファイナルバーン!!!」

 ファイナルの胸の飾りから巨大な火の弾が現れ、魔物に向かって飛んでいく。

「ヴァリアントサンダー!!!」

 ヴァリアントが腕を振り上げ、魔物に向かって手をかざすとものすごい勢いでヴァリアントの手から雷が魔物に向かって飛んでいく。

 

ドオォォォォォォォォン!!

 

 二人の攻撃が魔物に衝突した瞬間、激しい大爆発が起きた。

「やったか!?」

 瞬治が一瞬喜びの表情を浮かべる。

「グオォォォォォォ!!」

 しかし、煙の中から魔物の咆哮が聞こえてくる。そう、魔物はまだ生きているのだ。

「そんな!?」

 空人が驚く。煙が晴れるとその場には多少のダメージを受けているものの平然と立っている魔物の姿があった。

「ファイナルバーンも聞かないとは……」

「今までの中でフルパワーのヴァリアントサンダーだぞ……それが効かないなんて……」

 ファイナル達が驚きと同時に少し絶望していた。

「やはり、まだ本当の力が出せないからなのか……」

「だったら、合体しようよ!」

 空人がファイナルに向かって力強く言う。

「しかし……」

「ファイナル、今はそれしかあの地球外知生体を倒す方法がないんだろ? だったらするしかないって」

 誠也が戸惑うファイナルに向かって言う。

「……わかった。空人、もう一度『ファイナル・ブレイブ』と言ってくれ。もし条件がそろえば合体ができる」

「やってみる」

 空人がファイナルの言葉を聞いてうなずき、軽く深呼吸する。

「ファイナル・ブレイブ!!」

 空人が今まで以上に叫ぶ。しかし、何もおきなかった。

「……なんで?なんで無理なの?」

 空人がその現実にショックを受ける。

「空人……」

「! 危ない!」

 その時、魔物が空人達に向かって攻撃しようとする。

「ぐあっ!」

「ぐっ!」

 それをファイナルとヴァリアントが空人達の前に立ってかばう。

「ファイナル君!」

「ヴァリアント!」

「ここは俺達が何とかする。だからお前達は早く逃げろ!」

 瞬治が後ろにいる空人達に向かって言う。

「だけど……」

「まだ僕が子供だから? だからファイナルは合体できないの? そうだったらどうすれば……」

 しかし、空人はまだショックから立ち直れず、目には涙が浮かんでいた。

「なに弱気になってんだよ!」

 その時、誠也が空人に向かって怒る。その声に空人が少し驚く。

「弱気だったら勇気なんて無理に決まってんじゃねーかよ!」

 誠也が空人に向かって怒り続ける。

「誠也君……」

「誠也さん……」

「なんで自分の勇気を信じねーんだよ!? そんなんだったら、お前は勇者じゃねーだろ! 自分の勇気を信じろ!」

「勇気を……信じる……」

 空人が自分に言い聞かせるように誠也の発した言葉を繰り返す。

「信じることも勇気の一つだ! おまえには勇気があるんだろ!? だったらその証明を見せてみろよ! 『ファイナルを合体させる』という方法で!!」

「……うん、わかった!」

 空人が涙をふき、ファイナルの方を向く。

「ファイナル、もう一度いくよ!」

「ああ!」

 ファイナルが嬉しそうにうなずく。そして空人が再び深呼吸をする。

「ファイナル・ブレイブ!!」

 空人が再び叫ぶ。すると、ファイナルの体が今までよりも強く輝きはじめる。

「セイバードラゴン!!」

 ファイナルが空に向かってそう叫ぶと胸の飾りから1本の光が飛び出す。その光の先から竜の姿をしたメカが姿を現わす。そのメカ『セイバードラゴン』とファイナルの合体が始まる!

 

 セイバードラゴンの前足の上腕部分のみが上に回転する。前足の前についている爪が下にさがり、後ろについている爪が上に折りたたまれる。そして前足の下腕部分が伸び、前足全体が横に回転して腕を形成する。

 次にセイバードラゴンの膝の部分が前に倒れる。その形は足をさかさまにしたようだ。そして今まで腰の真横についていた足が移動して腰の下へ移動する。腕の時と同じように前についている爪が下にさがり、後ろについている爪が上に折りたたまれる。足を逆さにしたようなすねの部分が縦に回転し、下半身全体が横に半回転して足を形成する。

 背中の翼が起き上がるとそこには一つのくぼみがあった。

「とうっ!」

 ファイナルが飛び上がると車へと変形し、そのくぼみと結合する。そして翼が元に戻ると両腕から手が現れ、背中にあったキャノン砲が前に回転して砲口が正面を向く。

 最後に竜の顔が首から分離し、胸と結合する。そして首が後ろに倒れると機体から顔が出現する。

「火焔合体!!」

 ファイナルが叫ぶと額に竜の翼のような飾りが出現する。

「ファイナルセイバスター!!!」

 ファイナルセイバスターが両腕を振り上げ、気合いを入れるように腕を振り下ろして構えのポーズを取る。

 

 燃え上がる焔のような赤いボディ、今にも激しく咆哮しそうな胸の竜、そして空を高速で駆け抜けそうな翼。その姿から燃え上がるような猛々しさを感じる。

「合体……できた……」

 空人がファイナルが合体できたことに感激している。

「空人君の勇気が、未知だった『一定の値』を超えたのだ!」

「すごい、すごいや!」

 空人がその言葉を聞いて全体で喜ぶ。

「グオォォォォォォ!!」

 その時、魔物がファイナルセイバスターに向かって攻撃しようとする。

「危ない!」

「ドラゴンバーン!!」

 すかさずファイナルセイバスターが魔物に向かって構えると胸の竜が口を開ける。すると口から炎が飛び出し、その炎が魔物を包み込む。

「グアァッ!」

 するとその攻撃を受けた魔物が激しく苦しみ出す。

「やったあ!」

 空人がその光景を見て喜ぶ。しかし、魔物がなんとか起き上がってファイナルセイバスターに向かって攻撃する。

「はっ!」

 しかし、ファイナルセイバスターが空を飛び、魔物の攻撃をかわす。

「フェザーキャノン!!」

 そして空中ですかさず魔物に向かって構えると、肩のキャノン砲からエネルギー弾が飛んでいく。そのエネルギー弾はまるで羽根のような形をしている。

 

ズドォン!!

 

 その攻撃が魔物を直撃し、魔物に大ダメージを与える。

「強い……」

 瞬治がそのファイナルセイバスターの強さに開いた口が塞がらない状態になっていた。

「これが、ファイナルの本当の力……」

「制御する理由も分かるな……」

 瞬治だけではない。その場にいた晴香・誠也・石橋も驚いていた。

「がんばれ、ファイナル!」

 空人がファイナルの応援をする。

「グオォォォォォォォ!!」

 その時、魔物が最後の力を振り絞ってファイナルセイバスターに向かって突進する。

「いくぞ!」

 それを見たファイナルが魔物に向かって構える。

「ファイナルブレード!!」

 ファイナルセイバスターが腰についていた剣の柄をつかみ、剣を抜く。そして魔物に向かって構えると刃が炎に包まれる。

「うおぉぉぉぉぉぉ!!」

 ファイナルセイバスターが激しく咆哮しながら魔物に向かって走り出す。

「グアァァァァァァァァ!!」

 魔物も同じように咆哮しながらファイナルセイバスターに向かって走っていく。

「ガアッ!」

「はあっ!」

 ファイナルセイバスターと魔物が激突しようとした瞬間、ファイナルセイバスターが魔物の手前で飛び上がる。魔物は手応えがないので驚いてまわりを見回す。

 

「ドラゴンスラッシャー!!!」

 

 その瞬間、はるか上空から炎に包まれた剣で魔物を一刀両断する!

「グ……グオォォォォォォォ!!」

 

ドオォォォォォォォォン!!

 

 しばらく魔物はそのままの状態でいたが、やがてそのダメージに耐え切れずに大爆発を起こす。それを確認したファイナルセイバスターが後ろを振り向き、剣を腰に納める。

「やったあ!!」

 空人がいつもより大きく、全身で喜ぶ。

「強いな……」

「ああ、強い……」

 誠也たちがまだファイナルセイバスターの強さに驚いていた。

「空人」

 ファイナルセイバスターが空人を呼ぶ。

「なに?」

「君のおかげで私は勝つことができた。ありがとう」

「そんな、僕のおかげだなんて・・・それに、助けてくれたのはファイナルだよ。こっちがお礼を言わなきゃ。ありがとう、ファイナル」

 空人がファイナルセイバスターに向かって礼を言う。

「ああ」

「それと、誠也さん」

 空人が誠也の方を振り向く。

「何だ?」

「誠也さんのおかげで『勇気』を出すことができました。ありがとうございます!」

 空人が誠也に礼を言う。

「俺のおかげ……いや、礼には及ばないって」

 誠也が少し照れる。

「なに照れてるんだ?」

「照れてねーよ!」

 石橋がからかうので誠也が少し怒る。

「ハハハハハハ……」

 それを見ていた空人たちが笑う。その笑いはしばらく止まることはなかった。

 

 

 ここはソルダーズが空に作った異空間の中。ゴルヴォルフのバリアを抜け出したソルダーズがさっきまでの戦闘を眺めていた。

「ゴルヴォルフめ……結局は失敗しているではないか。だから効率の悪い破壊は戦闘に不向きなのだ」

 ソルダーズが独り言をつぶやく。

「まあいい。どうせ同じ事は繰り返さないはずだ。次は私が勝つ! 勇者にも、ゴルヴォルフにも!」

 ソルダーズがそういってその場から去っていった。その直後、その場にゴルヴォルフが現れる。

「危ねーところだったぜ。さっき出ていったら死んでたな。クックック……」

 ゴルヴォルフがなぜか小さく笑う。

「あいつも馬鹿だな。今回はただの偵察だって気付いてないぜ。次の時はもっと派手にやってやるぜぇ……」

 そういってゴルヴォルフもその場から去っていった。

 

第4話に続く

次回予告

 

よっ! 誠也だ。俺達の次の任務を教えてやるぜ。

 

石橋司令官の助手が見つけた勇者の碑文。それには地球を守っていた勇者のことが書かれていた。

その勇者達は明日ヶ丘市のどこかにいるらしい。「どこか」ってどこだよ?

必死の思いで探し、やっと見つけたがそいつらは石になっていたから

俺達の呼びかけにも反応しなかった。いったいどうすりゃいいんだよ……

なんて言ってたら地球外知生体が出てきやがった! くそ、このままじゃまずい!

おい、地球に眠る勇者! 目覚めて俺達と戦うんだ! お前達の守る地球が危機にさらされているんだぞ!

 

次回、勇者伝説セイバスター『地球を守りし勇者』

 

いくぜ、セイバスター! お前達の力を見せてやれ! ……ってこれは俺がいえるセリフじゃねーな。


 
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