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真・恋姫無双アナザーストーリー 蜀√ 桜咲く時季に 第35話

葉月さん

お待たせしました。第35話投稿です。
今回はちょっと時間がかかってしまいました。

前回までのあらすじ
曹操のもとを訪れた一刀たち。

続きを表示

2012-02-19 17:16:17 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:7147   閲覧ユーザー数:5354

真・恋姫無双 ifストーリー

蜀√ 桜咲く時季に 第35話

 

(一刻=1時間)、(一里=4km)

 

 

【怒りの戟】

 

 

 

《一刀視点》

 

「……」

 

う~む……参ったな。

 

桃香は曹操の謁見の間から出てきてからずっと、俺から離れようとしなかった。

 

「あ、あのさ桃香。あ、歩きにくいんだけど、な~~?」

 

「……嫌です」

 

「い、嫌って言われてもな……」

 

「絶対に嫌です。私、ご主人様から離れませんから!」

 

「もしかして、さっきの事怒ってるのか?」

 

「怒ってません!」

 

「そ、そう」

 

どうみても怒ってるよね?そんなに勝手なことをしたかな俺?でも、あの場はああするしか皆を無事に国境を通過させる方法が無かったわけだし。

 

「と、桃香様。急ぎここを離れましょう。袁紹軍も近づいてきていることですし」

 

「そ、そうだな愛紗!ほ、ほら桃香。急がないと」

 

「……」

 

愛紗の言葉にも反応を示さず困り果てる。

 

「愛紗、悪いんだけどみんなを連れて先に行っててくれるかな」

 

「わかりました。出来るだけお早くお戻りくださいご主人様」

 

「ああ」

 

「では」

 

俺が頷くと愛紗は先に歩いていった。

 

さてと……

 

このご機嫌斜めなお姫様を何とかしないとな。

 

「……よっと」

 

「ひゃう」

 

俺は徐に桃香の鼻を抓んだ。

 

「にゃにふるんでふかごひゅじんひゃま!」

 

「そんな眉間に皺を寄せてるとずっとそんな顔になっちゃうぞ」

 

(ぐにぐに)

 

「にゃ、にゃめへくだひゃい~。こ、こにょ~!」

 

「ふがっ!」

 

お返しとばかりに桃香に鼻をつままれてしまった。

 

「……」

 

「……」

 

「ぷっ……」

 

「あははっ」

 

お互い顔を見合わせて笑い合う。

 

「やっと笑ってくれたね」

 

「……ごめんなさいご主人様」

 

「別に良いんだよ。でも、桃香がずっとそんな顔をしてると皆が不安になるだろ?きっと雪華あたりがおろおろしちゃうよ」

 

「あはは、そうだね……ねえ。ご主人様。私って間違ってたのかな?」

 

「……」

 

きっと曹操に言われたことを気にしてるんだろう。

 

「そうだな……それじゃ、桃香は誰かが桃香の代わりをやってくれれば旅に出なかったのか?」

 

「え?……う~ん」

 

桃香は上を向いて考え始めた。

 

「……それでも助ける為に旅に出たと思います」

 

そう答える桃香の顔は微笑んでいた。

 

「うん。俺もそう思うよ」

 

桃香に同意するように頷く。

 

「それに桃香が皆を助けたいって思わなかったら愛紗や鈴々、他の仲間たちと会えなかったわけだしね」

 

「そうですね」

 

「それからこれが一番重要なことだけど」

 

「なんですか?」

 

「桃香が皆に会っててくれないと俺は桃香たちに会ってなかったかもしれないんだからね」

 

「それはダメ!」

 

「だろ?」

 

力強く否定する桃香に俺は優しく微笑む。

 

「はい!えへへ」

 

「おっ、機嫌が直ったかな?」

 

「もぅ。最初から怒ってませんよ~だ。わわっ!」

 

少し舌を出しておどけていた桃香だったが、足元の小石に躓いてしまいこけそうになっていた。

 

「危ない!」

 

(ぼふんっ)

 

「ふぅ。大丈夫か桃香」

 

間一髪、桃香の腕を引き寄せこけるのを防げた。

 

「あ、ありがとうございますご主人様……あっ」

 

「っ!」

 

見上げた桃香の顔が近すぎて思わずドキッとしてしまった。

 

「ご主人様……」

 

「桃香……」

 

見詰め合う俺たち、そして自然と顔を近づけあう。

 

「……ふむ」

 

「っ!」

 

「きゃっ!」

 

近くで聞こえた声に思わず驚き離れる。

 

「おや。私にお気になさらず続けて良いのですぞ」

 

「せ、星ちゃん!?」

 

「……星。なんでここにいるんだ?」

 

先に愛紗たちと行ったはずの星がなぜかここに居た。

 

「少々気になることを耳にしましたので主に報告しておこうかと思ったのですが……お邪魔でしたかな?」

 

星は俺と桃香の顔を交互に見てニヤリと笑った。

 

「そ、そんなこと無いよ!ね、ね!ご主人様!」

 

「あ、ああっ!もちろんだ!そ、それで報告って何だ?」

 

「そうですか?別に気を遣わずとも」

 

「気なんて遣ってないから!」

 

ああ、星にからかわれてるんだな俺……星の顔を見れば一目瞭然だ。

 

「では……兵が噂をしていたのですがどうやら我々が向かう先に、正体不明の一団が潜んでいるらしいと」

 

「正体不明の一団?」

 

「……(コクン)」

 

無言で頷く星。

 

一団か……もしかして謁見の間に慌ててきた兵はそのことを曹操に報告しに来たのか?

 

そう考えると、曹操はその一団を俺たちに当たらせようと考えてあえて許可したって事か?

 

全ては憶測でしかなかったが一番考えられそうな理由だな。

 

「ん?なんでそれを星が知ってるんだ?町の外で待機してたはずだろ?」

 

「いやなに、暇でしたのでな。主たちに黙りこそっと着いて行ったまでですぞ」

 

「……」

 

「あ、あはは」

 

呆れる俺に、苦笑いを浮かべる桃香。

 

「それで如何なさいますか主よ。迂回しますか?」

 

「え?あ、ああ。迂回するにもどこに潜んでいるかも分からないんだ。このまま進もう。もしかしたら出くわさないかもしれないし。襲ってくるとは限らないんだしね」

 

「わかりました。では、このまま進みましょう。では主、桃香様。私はこれで戻りますので、どうぞごゆっくりと続きをなさってくださいませ」

 

「せ、星っ!」

 

「あわわわわっ!ち、違うんだよ星ちゃん!」

 

「はっはっはっ!愛紗たちにいい土産話が出来ましたぞ」

 

「ま、待って~~~!愛紗に言うのだけは勘弁してくれ~~~っ!!」

 

笑いとんでもない事を言いながら歩いていく星に俺は叫びながら止めに入った。

 

こんなことを愛紗が知ったらものすごく睨まれるそんな気がしたからだ。

 

とりあえずこのことは……酒と肴(上質メンマ)五日分で手を打った。

 

うぅ……俺の少ないお小遣いが……

 

曹操の国に入ってか五日がたった。

 

「桃香、疲れてないか?」

 

「うん。私は大丈夫だよ。私より朱里ちゃんたちを気にしてあげてご主人様」

 

桃香は笑いながら大丈夫だと言っていたが、馬に乗っていると入っても五日も乗りっぱなしだ、それにおれの居た時代みたいな馬具があるわけでもないので乗り心地は良くない。

 

そんな状態で疲れていないはずが無い。

 

それなのに自分の事よりみんなの事を心配していた。

 

「わかった。ちょっと様子を見てくるよ」

 

「うん。お願いしますご主人様」

 

「……」

 

「……(こくん)」

 

俺は愛紗に目配せをすると、愛紗は頷いてくれた。どうやら意図を読み取ってくれたようだ。

 

そして俺は後方の方で歩いている朱里たちの様子を見に行くことにした。

 

「大丈夫か朱里、雛里、雪華も」

 

「ご主人様。はい、大丈夫です。お気を使ってもらってありがとうございます」

 

「私たちは偶に馬車に乗せて貰っているので大丈夫です」

 

「私は歩くのが好きなので全然平気です」

 

「そっか。でも、雪華も疲れたら遠慮しないで馬車で休んで良いんだぞ」

 

「ふぇ、は、はい。疲れたら乗らせて貰います」

 

雪華の頭を撫でると雪華は顔を赤くして頷いてくれた。

 

「ねえ。ちょっと」

 

「ん?どうした詠」

 

馬車の中から布を頭に被り顔だけ覗かせる詠。

 

「ホントにボクたち乗りっぱなしで良いわけ?」

 

「少し悪い気がします」

 

詠の横からこれまた布を被った月が出てきた。

 

「ああ。それに、二人はあの董卓と賈詡だからね。どこでばれるか分からないしね」

 

そう。二人は死んだことにっている。だから表に顔を出させないようにする為に急ごしらえだがこの馬車を作ったのだ。

 

「それはそうだけど……」

 

「まあ、気にしないで中でくつろいでてよ」

 

「そんなことできるわけ無いでしょ、この非常時に。だから気が引けるのよ」

 

「それじゃ、何かあったら詠に相談しに来るよ」

 

「何かってなによ」

 

「……なんだろ?」

 

「はぁ!?なによそれ!」

 

「ま、まあ。兎に角、何かあったら相談に来るから!それじゃ!」

 

「あっ!ちょっと待ちなさいよ!」

 

後ろで大声を上げる詠から走って逃げ出す。

 

「ふぅ。詠は怒らせると怖いな」

 

「それは主に非があるからではないですかな?」

 

「せ、星!いつの間に」

 

「これは心外ですぞ。私はずっとここの持ち場ですぞ主」

 

「あっ」

 

よく見ると丁度、星の部隊がある場所だった。

 

「して、詠に何を言って怒られたのですかな?」

 

「た、対した事じゃ……」

 

「大方、詠に適当なことを言って怒られたのでしょう」

 

「う゛……」

 

ホント、星はどこかで見てたんじゃないかって程、ズバッと言い当ててくるな……それとも愛紗が前に行ったみたいに顔に出てるのかな?

 

「まあ、主の考えは分かりやすいですからな。少しは注意されたほうが良いですぞ」

 

「気をつけます……」

 

「はっはっは。まあ、主はそのままでも良いと思いますぞ」

 

「そうは行かないだろ?顔に出てるって事は相手との取引とかで裏を書かれやすいって事なんだから」

 

「確かにそうですが、そう言うのは朱里や雛里にやって貰えばよいのではないですかな?主が前に言っていたように適材適所というものでしょう」

 

「確かにそうだけどさ……」

 

「それに、唯一私が主に勝てるのはこれくらいしかないですからな」

 

うぅ……こんなことで星にからかわれないようにがんばろう……

 

俺はそんなことを考えながら先頭を歩いている愛紗と桃香達の元へと戻っていった。

 

「……九日目、か……朱里。国境を抜けるまであとどれくらいだ?」

 

夜、天幕に皆を集めて会議を行っていた。

 

歩き続けて九日。明日には曹操が俺達を追撃に来る。出来ればあと半分を切っていてくれると嬉しいんだけど……

 

「……申し上げにくいですがまだ半分も……」

 

「やっぱりそうか……そうなると追いつかれるのも時間の問題か」

 

「はい。ですが軍行速度は上げって来ています。輜重隊の積んでいる食料が徐々に少なくなり動きが良くなってきています」

 

「なら、何とかなりそうなのかな?」

 

桃香は淡い期待を込めて聞いてきた。

 

「いえ。それでも曹操さんの軍には追いつかれてしまうと思います」

 

「あぅ。そっか……」

 

それも雛里の返答で桃香は肩を落とす。

 

「曹操軍が追いつくのにどれくらいかかるのだ?」

 

「そうですね……七・八日くらいで追いつかれてしまうかと」

 

「そんなに早く追いつかれるか……」

 

愛紗の質問に朱里が答える。

 

「とにかく今後は今までの編成だと厳しいんじゃないか?」

 

「いえ、逆にこのままの方が安全だと私は思います」

 

「どういうことだ朱里よ。着いて来る民が後方では危険ではないのか?」

 

「いえ。曹操さんの兵は軍律が厳しいんです。ですから武器を持たない民には攻撃してこないはずです」

 

「なるほど。だが民を盾にしているようで気が引けるが……」

 

「そうですね。どこかで一度、開戦したほうが良いかも知れません。でも、その為にはこちらに有利な地形を見つけないといけません」

 

確かに、兵の錬度が高い曹操軍が相手だ。地の利を活かさないと勝てないだろう。

 

「よし。ならその場所は朱里と雛里に任せてよう。探しておいてくれるかな」

 

「「御意です!」」

 

「うん。それじゃ、俺達はそれが見つかるまではこのままの隊列で行こう。でも、曹操軍が襲ってくるようならまず第一に民を守るようにしてくれ」

 

「「はっ!」」

 

こうして、曹操の領地に入ってからの9回目の軍議は終わった。

 

………………

 

…………

 

……

 

「……」

 

翌日、それは朝から何かおかしかった。

 

「愛紗。なんだか周りの空気がおかしいとおもわないか?」

 

「はい。妙にぴりぴりしていると言うか、これは……殺気でしょうか」

 

そう、朝、進軍を開始してから少し経ったころからさっきまであった動物の気配が無くなり、代わりにのこ殺気が立ち込め始めていた。

 

それも、進むたびに徐々にそれが強くなってきていた。

 

「ご主人様、これはもしかして……」

 

「ああ、これが星の言っていた俺が何とかするよ謎の一団かもしれないな」

 

愛紗たちにも、星が命令を無視して手に入れてきた情報を皆に伝えておいていた。

 

まあ、その後で星は愛紗に説教をされていたが。

 

「いかがいたしましょうご主人様」

 

「そうだな……見渡したところ。潜んで居そうなのはあの山だな」

 

「ええ。敵を探すのに丁度良い場所ですね」

 

「だけど、山はあそこ以外近くには無い。ならあそこを迂回して通ろう。その時、兵は山側に配備して人民に被害が及ばないようにしておこう」

 

「わかりました。では、鈴々、星と共に準備に掛かります」

 

「ああ。よろしく」

 

愛紗は鈴々と星にこのことを伝えに行く為に後方へ向かった。

 

「とりあえず。これで対処できると思うけど……朱里たちに相談しておくか」

 

俺も、この後起こるであろう戦闘を前に朱里たちに相談しに行くことにした。

 

≪??視点≫

 

「……見つけた」

 

山の上で馬に跨りこちらへ向かってくる一団を見下ろしている人物が居た。

 

彼女の名は、呂布。天下無双の最強の武将である。

 

「ほ、本当にやるのですか?」

 

「……(コクン)」

 

馬に乗る呂布の横で困惑の表情を浮かべ馬に乗っている少女が居た。

 

彼女の名はは陳宮。呂布の軍師として常に一緒に行動をともにしている。

 

(むむ~。呂布殿は何度説明しても聞く耳を持ってくださらないのです。一体どうすればいいのですか)

 

「……嘘吐いた」

 

「は、はい?今なんと仰いましたか?」

 

「一刀、嘘吐いた……恋、許さない」

 

「で、ですがあれは」

 

「許さない」

 

「あぅ……」

 

崖から一団を見下ろす呂布。その一団とは一刀たち率いる劉備軍の一団であった。

 

「で、ですが呂布殿。あの列には民も混ざっています。ここで襲撃をかけるのは」

 

「……大丈夫」

 

「え?」

 

何が大丈夫なのか陳宮は分かっていなかったがそれも直ぐに判明することになる。

 

「ああっ!兵と民が別れているのです!」

 

(な、何てことしてるのですかーーー!これでは呂布殿に攻めに来いと言っているようなものなのですぞ!)

 

頬に手を当てて驚く陳宮。

 

これはさきほど、北郷たちが決めた作戦だった。

 

しかし、ここで兵と民を分けなければ呂布は襲ってこなかったのかもしれない。だが、それは相手が分かっていなかったため。一般的な対処としては決して悪い判断ではなかった。

 

だが、今回に限ってはそれが裏目に出てしまったのだ。

 

「……」

 

徐々に近づいてくる北郷たち。それを呂布は一言も喋らず、だが己の得物を力強く握り締めていた。

 

「……行く」

 

「へ?行くって。今から山を降りると時間が掛かってしまいますぞ?」

 

「……(フルフル)」

 

「?どういうことですか?」

 

首を振る呂布に陳宮は意味が分からず問い返した。

 

「……ここ降りる」

 

「ああ、なるほど。ここを降りるのですね……って、なんですとぉぉぉおおっ!?」

 

陳宮は笑顔で納得した後、すぐに驚きの顔へと変えた。

 

「あ、危ないのです呂布殿!もし怪我をしてしまったら大変なのです!」

 

「……平気」

 

呂布は表情を変えず答える。

 

「陳宮はここで待つ」

 

「呂布殿が行くのにねねが行かないわけがないのです!」

 

「……無理しなくて、いい」

 

「む、無理じゃないのです!お前達も無理じゃないのですよね!」

 

「「「……」」」

 

後方に待機していた呂布の兵に同意を求める陳宮。しかし、誰一人として返事をするものは居なかった。

 

「~~~っ!返事はどうしたのですか!いけるですよね!?」

 

「「「お、おおっ!」」」

 

「ご覧の通りです呂布殿!音々もお供いたしますぞ!」

 

無理やり兵達の同意を求めた陳宮だった。

 

「……それじゃ、行く」

 

「ひひーーーーんっ!」

 

呂布は一言告げると馬と共に崖を下っていった。

 

「……さ、さあ行くのです!呂布殿に後れを取るな!です」

 

「「「おぉぉーーーーっ!!」」」

 

陳宮の激に半ば開き直った状態で大声を上げる兵達だった。

 

「深紅の牙紋旗を揚げるのです!続けーーーなのです!」

 

「「「おぉぉーーーーっ!!」」」

 

そして、陳宮たちも呂布に続くようにして崖を降りていった。

 

≪一刀視点≫

 

それは不意に訪れた。

 

「「「おおおおおおっ!!」」」

 

「な、なんだ!?」

 

「ご主人様。山の頂上です!」

 

愛紗の声に山を見上げる。すると……

 

「っ!が、崖を馬に乗って降りてきてるだって!?」

 

なんと、絶壁の頂上から馬で駆け下りてくる一団が目に飛び込んできた。

 

「す、凄い……」

 

俺の横で桃香も驚きの表情を浮かべていた。

 

「っ!ご主人様!あの牙紋旗は!」

 

「深紅の牙紋旗……呂布か!」

 

駆け下りてくる集団の中に高々と掲げられていた牙紋旗は知っているものが見れば誰もが逃げ出す、呂布の牙紋旗だった。

 

「ご主人様。如何いたしましょう!」

 

「兎に角、民の安全を最優先だ!」

 

「わかりました!」

 

「桃香も安全なところに避難してくれ」

 

「えっ!ご主人様はどうするんですか!?」

 

「時間を稼ぐ!呂布相手だから桃香を庇う余裕が無いと思う!」

 

「そんな!ダメです。危険すぎます!」

 

「今はそんなことを言っている暇は無い!」

 

「っ!」

 

桃香に向かい怒鳴ると桃香は目を強く瞑り肩を強張らせた。

 

「ごめん……でも、本当に危険だからここを離れてくれるかな」

 

「……」

 

強く言い過ぎたと思い今度は優しくいった。

 

「ここに居たら桃香にも危険が及ぶかもしれない。だから下がっててくれるかな」

 

「……うん。大丈夫、なんですよね?」

 

「……」

 

俺は安心させるために桃香の頭を撫でながら微笑んだ。

 

「気を付けてくださいね。ご主人様」

 

「ああ」

 

桃香は後ろを何度も振り返りながら離れて行った。

 

「……さてと」

 

「……」

 

振り返ると、いつの間にか呂布がそこに居た。

 

「待っててくれたのかな?」

 

「…………(こくん)」

 

「そっか。ありがとうな」

 

「……………………」

 

お礼を言うも呂布は表情を変えず黙っていた。

 

「……一刀、嘘ついた」

 

「嘘?」

 

何のことだ?

 

呂布の言ってることが意味が分からず首をかしげる。

 

「…………だから、許さない」

 

「っ!」

 

呂布はいきなり戟を構えて掛かってきた。

 

(がきんっ!)

 

「くっ!……なんて力だ」

 

俺は咄嗟に防御の構えを取り呂布の攻撃を防いだ。

 

(ギギギッ)

 

何とか受け止めることができたが呂布の力は想像以上に強かった。

 

「……」

 

「うぉっ!」

 

呂布は戟を振り上げさらに振り下ろしてくるかと思ったらそのまま柄で攻撃してきた。

 

「……避けられた」

 

「そ、そりゃ避けないとあたるからね」

 

表情も変えずに言っているがあんな長い獲物でよくできるよ。

 

こりゃ、このままだときついな……

 

俺は呂布の強さに苦笑いを浮かべた。

 

こりゃ、手加減なんて考えてる暇は無いな……どうやら呂布は本当に俺を殺しに来てるみたいだ。

 

「……は、ははは……」

 

「……なんで笑う?」

 

「いや。まさか、久々に一対一の殺し合いをするとは思わなかったからさ。そう思ったらゾクゾクするしてきちゃってさ」

 

「……そう」

 

ここは変に属性系の宝玉は使わない方が無難、かな……なら。

 

(カチッ)

 

俺は袋から身体強化系の宝玉を取り出し青龍飛天と炎龍飛天に装着した。

 

今の俺だとタイムリミットは長くて30分。それでけりがつくかどうか……

 

「行くぞ。呂布」

 

「……こい」

 

戟を構える呂布。相変わらず隙が無い……だけど!

 

「ふっ!」

 

「っ!」

 

(ガキンッ!)

 

「なっ!」

 

地面蹴ったと同時に呂布の背後に周り刀を振り下ろす、だが一歩も動かずに戟だけを背後に回し俺の攻撃を防いだ。

 

「……無駄」

 

(カーンッ!)

 

「うぉ!」

 

あんな重たい獲物を片手で弾き返すか普通?

 

呂布は体の向きを変え片手で戟を振り上げ反撃してきた。

 

「……許さない」

 

「何が許さないんだ?」

 

「……」

 

だんまり、か……俺は何かをしたつもりはないんだけどな。

 

「……おしゃべり、終わり。行く」

 

「っ!」

 

また雰囲気が変わった……さっき以上に氣が黒くなった。

 

「一刀強い。だから恋、本気出す……っ!」

 

「早い!」

 

喋り終えたと同時に呂布が駆け出してきた。

 

(ガンッ!ガンッ!ガキンッ!)

 

「くっそっ!なんて連撃だ」

 

呂布の攻撃は力があるだけじゃなく、早さも持ち合わせていた。

 

「んのっやろ!」

 

(カンッ!カンッ!キーーンッ!)

 

「っ!」

 

一度、後ろに飛びのき、俺は攻撃に転じた。

 

今のを防ぐか、フェイントも入れたんだけどな。

 

やっぱ天下に名を馳せた呂奉先。女性だからってその強さは変わらないか……ならこれでどうだ!

 

「っ!……増えた」

 

俺は戦い方を変えてみることにした。

 

動く速さを上げ、俺が複数人居る様に見せた。

 

「行くぞ!双天乱舞!」

 

(カンッ!キンッ!)

 

「くっ……」

 

実際は俺一人だが呂布には複数人の俺が攻撃しているように見えているだろう。

 

だけど、これって結構疲れるんだよね。大層な名前がついてはいるが本来、双天乱舞は敵を混乱させて不意を衝く技だ。

 

こんな風に攻撃に使う技じゃない。この技を攻撃として使うのは今回が初めてだ。

 

「……ぅ」

 

その甲斐もあってか呂布は手も足も出ない状態だ。

 

このまま行けるか?……いや、相手はあの呂布。そう簡単に行くわけがないか。

 

そう思った矢先だった。

 

「……見えた」

 

(ガンッ!)

 

「なっ!」

 

呂布は戟を構え直したかと思うと俺の攻撃を全て防ぎ始めた。

 

(ズザザーーッ!)

 

マジかよ……物の数分でこれを見切るか普通?

 

俺はこれ以上やっても無意味だと思い、攻撃を止めた。

 

「……もうお終い」

 

「効かない攻撃をしても無駄だからね」

 

さて……どうしたもんか。

 

もうそろそろ限界が近い。その証拠に体の筋肉が悲鳴を上げ始めている。

 

まったく、これじゃじいちゃんを相手にしてるみたいじゃないか……

 

「……そうか」

 

強大な力の前に力で対抗しても無意味なんだ……昔、じいちゃんに言われたことなのに忘れてるなんてな。

 

そして、俺は袋に手を入れ違う宝玉を取り出した。

 

これも同じ身体強化系の宝玉だが肉体を強化する場所が違う。今まで付けていたのは筋肉強化、そして今から付けるのは……視野の強化だ。

 

そして俺は青龍飛天に付けた宝玉だけを替えた。目が追い付いていても体が追い付かなきゃ意味がないからな。

 

「すー……はー……っ!」

 

気を落ち着かせるために深呼吸をする。そしてそのまま呂布を睨み付ける。

 

さっき以上によく見える……呂布の息遣い、筋肉の動きも。

 

しかし、これも弱点がないわけじゃない。使いすぎれは目の酷使になり、一時的に視界がぼやけてしまうのだ。

 

だけどこれを切るわけにはいかない。その時に攻められたら終わりだ。

 

「……」

 

だから俺は呂布を見続ける。

 

「来ないから恋から行く」

 

(たっ!)

 

呂布は地面を蹴り、向かってきた。

 

来た!どっちからくる?右か?左か?

 

「……」

 

ぎりぎりまで動かない呂布の動きをよく見て攻撃の予想を立てる。

 

(ぐぐっ!)

 

っ!今だ!

 

腕の筋肉の収縮が見えたと同時に俺は動き始めた。

 

俺は切りかかってきた呂布の戟をかわして腹部に狙いを定めた。

 

「っ!?ぐっ!」

 

当たる!と思ったその瞬間、呂布は無理やり戟を地面に叩きつけてその勢いで体を宙に浮かせ俺の攻撃をかわしてきた。

 

あ、あんな避け方ありかよ……

 

俺は呂布の滅茶苦茶な避け方に呆れてしまった。

 

「一刀、やっぱり強い」

 

一旦距離をとり呂布の出方を見ていると呂布が話し始めた。

 

「それを難なくよける呂布の方が強いと思うぞ」

 

「(フルフル)恋、弱い。だから守れなかった」

 

「守れなかった?」

 

「(コクン)」

 

何を守れなかったんだ?

 

「だから一刀にお願いした。でも、一刀嘘吐いた」

 

「え?……あっ」

 

そこで俺がなんで『嘘つき』と言われたのかを理解した。

 

そうか、呂布は俺が月を殺したと思ってるんだ。だから嘘つきと……

 

「呂布違うんだ、あれは」

 

「だから一刀許さない!」

 

(ぶんっ!)

 

「うぉ!?」

 

呂布に真実を告げようとしたが、呂布は言葉を遮り、戟を振り回してきた。

 

くそっ!襲ってくる理由が分かった以上、むやみに攻撃出来ないぞ。呂布程の相手に手加減なんて出来ない。そんなことしたらこっちが危険な目にあう。

 

(ぶんっ!ぶんっ!かきんっ!)

 

戟を振り回す呂布の攻撃を俺は避けたり、逸らしたりしながらなんとか凌いでいた。

 

だけど、これじゃこっちが追い込まれるのは時間の問題だぞ。なんとかして呂布に本当の事を伝えないと……

 

俺はどうしたら呂布に真実を伝えられるか考えた。

 

「――――――っ!」

 

その時だった、遠くから誰かの叫ぶ声が聞こえてきた。

 

≪月視点≫

 

「「「おおおおおおっ!!」」」

 

「っ!今の声はなんだろう詠ちゃん。もしかして曹操さんの軍かな」

 

馬車の中に居た私は外から聞こえてくる大きな声に不安になりました。

 

「まさか!ボクたちに追いつくには早すぎるわよ。それに聞こえてくるなら後ろからでしょ。これは前からだから違うわよ」

 

詠ちゃんの言葉にほっと撫で下ろすも直ぐにまた不安が混みあがってきた。

 

「それじゃ、この前ご主人様が言っていた。所属不明の一団かな?」

 

「かも知れないわね。でも、声からしてそんなに多くは無いみたいだから大丈夫だとは思うけど」

 

「そっか……でも心配だね」

 

「ふん。別に、心配なんかじゃないわよ。どうせあいつのほうが強いんだから返り討ちにするわよ」

 

「……ふふ」

 

私は一瞬、詠ちゃんが何を言っているのか分からず考えそれが分かった時、笑ってしまいました。

 

ふふ、別にご主人様の事を言ったつもりじゃないんだけどな。やっぱり、詠ちゃんはご主人様の事が心配なんだね。

 

「な、なによ。何笑ってるのよ月」

 

「ふふふ。なんでもないよ詠ちゃん」

 

「何か気になる言い方ね……言いなさいよ月」

 

「ふふふ、詠ちゃんがツン子さんだって思っただけだよ」

 

「はぁ!?なんでボクがツン子なわけ!?って言うか、月もあいつの真似しないでよ!ボクは別にツン子でもツンデレ?でもないんだからね!」

 

「ふふふ」

 

二人で他愛も無い会話をしているそんな時でした。

 

「すまんな、お前達。道を少し変更するぞ」

 

馬車の中に愛紗さんが入ってきて道を変えると言ってきました。

 

「何かあったんですか?」

 

「うん。それがね……わわっ!」

 

何かあったのかを聞くと愛紗さんの手を取り馬車に乗ってきた桃香様が事情を話そうしてくれましたが、躓いて転んでしまいました。

 

「と、桃香様!大丈夫ですか?」

 

「いたた……うん、平気だよ。ちょっとお尻が痛いだけだから」

 

「ちょっと、狭いんだからあまり暴れないでよね」

 

「あはは、ごめんね詠ちゃん」

 

「もう桃香様に失礼だよ詠ちゃん」

 

「あはは、良いだよ月ちゃん。私が転んじゃったのがいけないんだし」

 

別に、桃香様が悪いわけではないのに謝る桃香様はどこかご主人様に似ていて私はとても安心できます。

 

「あ、それでね。山の上からね馬が駆け下りて来たんだよ!凄いよね」

 

「桃香様。それではちゃんとした説明になっていません」

 

「えっと……あはは、愛紗ちゃんよろしく!」

 

「はぁ……桃香様」

 

桃香様の態度に愛紗さんは溜息を吐いていました。

 

「……呂布の一団が襲ってきたのだ」

 

「えっ!」

 

「はぁ!?」

 

愛紗さんの真剣な口調から言われた名前に私も詠ちゃんも驚きの声を上げました。

 

「どういうことよ!なんであの子が襲ってくるわけ!?」

 

「え、詠ちゃん落ち着いて。愛紗さん、それは確かなんですか?」

 

「……ああ。真紅の牙紋旗に呂の文字。間違いない」

 

「そんな……恋さんがどうして……」

 

「わからん。今はご主人様が相手をしてくださっているが」

 

「ええ!?」

 

「ちょ!あいつは平気なわけ!?」

 

「ご主人様なら平気だろう、私はそう信じている。だが、これが長く続くようだと別の問題が出てくる」

 

「曹操の追手のことね」

 

「ああ」

 

詠ちゃんの答えに愛紗さんは深刻な顔をして頷きました。

 

「……愛紗さん。お願いがあります」

 

「なんだ?」

 

「私を……私をご主人様のところへ連れて行ってもらえませんか?」

 

「ちょ!月!?」

 

「だってこのままじゃ曹操さんが来ちゃうんでしょ?」

 

「だ、だからって月が行ってどうにかなるわけが……」

 

私の言葉に詠ちゃんは言葉を詰まらせました。

 

「それになんで恋さんがご主人様と戦ってるのかも知らないと」

 

「本当にいいんだな?あまり勧められたことではないんだが」

 

「はい」

 

「わかった。詠、お前はどうする」

 

「ああもう!月が行くならボクが行かないわけにはいかないでしょ!」

 

「ありがとう詠ちゃん」

 

「~~っ!ほ、ほら早くいくわよ!あいつがやられる前に!」

 

「ご主人様はそう簡単にはやられんぞ」

 

「だー!いいからさっさと案内しなさいよ!」

 

詠ちゃんは大きな声を上げて馬車から降りて行っちゃいました。

 

「まったく……騒がしい奴だな」

 

「ふふふ。あれが詠ちゃんの照れ隠しなんですよ愛紗さん」

 

「そうなのか?」

 

「はい」

 

「そ、そうか……あれで」

 

笑顔で頷くと愛紗さんは戸惑いながらも頷いていました。

 

「それじゃ、ご主人様のところにいこ~!」

 

「桃香様はここでお留守番です」

 

「そんな~~~~っ!」

 

「……」

 

愛紗さんに案内されながらご主人様と恋さんの下へと向かいます。

 

「月よ。ひとつ聞きたいのだが呂布はどうして董卓軍に?あれだけの力を持っているのだ、どこかに属していたりはしていなかったのか?」

 

「えっと……」

 

私はどう説明していいか迷っていました。それは別に引抜とかをしたわけではないからです。

 

「食事をあげたら着いてきたのよ」

 

私がどう説明しようか迷っていると詠ちゃんが代わりに説明してくれました。

 

「……は?」

 

詠ちゃんの説明に愛紗さんは意味が分からないといった表情を浮かべていました。

 

「詠ちゃん。そんな説明じゃわからないよ。実は洛陽に住むようになる前、私の実家の前で恋さんが座っていたんです。それで、話を聞いてみたら一言だけ言ったんです『お腹空いた』っと」

 

「それで食事をあげたのよ。そしたらそのままボク達についてきたのよ。それからずっとボクたちと一緒にいるってわけ」

 

「そ、それはなんと言うか……すごい話だな」

 

「そうですね。でも、恋さんが居てくれたおかげで私や詠ちゃんは故郷を離れ洛陽でもやっていけたんです」

 

「どういうことだ」

 

「簡単な話よ。恋の強さは洛陽に行く前からそれなりに広まっていたのよ。だから変にボクたちに手を出せなかったってわけよ」

 

「なるほど。睨みを利かせていたということか」

 

「まあ、恋がそれを意識してたかは疑問があるけどね」

 

「でも、そのおかげで私たちはこうしてここに居られるんだよね」

 

「まあ、感謝はしてるわよ」

 

「そうか……さて、そろそろお喋りはお終いだ。もうすぐで着くぞ」

 

「……」

 

愛紗さんの言葉に私は緊張してきました。

 

(カンッ!キンッ!)

 

少し歩くと金属と金属がぶつかり合う音が聞こえてきました。

 

「ちょ!あ、あいつあんなに強かったの!?」

 

「すごい……」

 

詠ちゃんが驚いたように私も驚いていました。

 

私の目に飛び込んできたのはあの恋さんと互角に戦っているご主人様の姿でした。

 

「当り前だ。私は我々の中で、いや。大陸で誰よりも強いと思っている」

 

「確かに。恋と互角に渡り合えるやつなんてそうは居ないわよね」

 

何度かご主人様が愛紗さんたちと手合わせをしているのを見たことがありましたが、正直これほどまでとは思いませんでした。

 

(カンッ!キンッ!カーーンッ!)

 

「……」

 

ご主人様と恋さんが戦う姿を私は思わず見入っていました。

 

「それで月よ」

 

「……」

 

「月?」

 

「へぅ!わ、わかりました!」

 

愛紗さんに呼び掛けられ我に返り慌てて返事をした。

 

「?まだ何も言ってないのだが」

 

「へぅ~」

 

愛紗さんは首を傾げて不思議そうに私を見ていました。

 

うぅ~。恥ずかしいです。

 

「あ……それで月よ。これからどうするのだ?素人が無暗に飛び込むのは危険だぞ?」

 

「そうよ月。どうするつもりなの?」

 

「えっとですね……すー……っ!」

 

私は息を大きく吸い込み息を止めた。

 

「恋さ~~~~ん!それくらいにしないと夜ご飯あげませんよ~~~~~~~っ!!」

 

私は大きな声で、恋さんに聞こえるように大きな声を出しました。

 

《To be continued...》

葉月「遅くなりましたが無事投稿完了です~~!」

 

愛紗「遅かったではないか」

 

葉月「いや~。風邪やら仕事やらで全然進まなくて」

 

愛紗「それは大変だったな。ところで呂布の登場場面だがあれは良かったのか?少しやりすぎた感じがあるのだが」

 

葉月「あ~。崖から駆け下りるところですよね。実はどう登場させようか悩んでたんですよ。それで前にやっていた三國無双マルチレイド2を思い出しまして」

 

愛紗「ふむ。それで?」

 

葉月「その時の呂布の登場シーンが空から急降下しての登場だったんですよ。だからあそこまでは流石の恋でも無理だろうと、あんな事できるのは筋肉だるまの二人だけでしょうし」

 

愛紗「な、なるほど。それで崖で落ち着いたというわけか」

 

葉月「はい。そういうことです」

 

愛紗「まあ、呂布の件についてはわかった」

 

葉月「あれ、なんかまだある言い方ですね」

 

愛紗「ああ。大いにあるぞ。ご主人様の活躍を見れたのはこの上ない喜びではあるが、なぜ私の戦う場面がないのだ?」

 

葉月「あ、あ~……てへ♪」

 

愛紗「笑って誤魔化しても駄目だ!」

 

葉月「ちっ……」

 

愛紗「き、貴様!今、舌打ちしたな!」

 

葉月「はっはっは。何をおっしゃいますか。そんなこと私がするわけがないじゃないですか!ほらほら、あそこで一刀が見てますよ」

 

愛紗「な、なんだと!そういうことは早く言え!ご、ご主人様、違うのです!これに訳がっ!……?」

 

葉月「うっそで~す♪にしし、愛紗が引っ掛かった~♪」

 

愛紗「き、き~~さ~~~ま~~~~っ!!!許さん!許さんぞ葉月っ!今日こそその首級打ち取って見せる!」

 

葉月「ふっ。そんな大雑把な攻撃が私にあたるわけが」

 

愛紗「ならば、これならどうだ!はぁぁあああ、はぁっ!」

 

葉月「がはっ!しょ、掌底ですと!?」

 

愛紗「ふん!体術の心得くらい私にもある。さあ葉月、これでしばらくは動けまい。じっくりと、ねっとりと、いたぶらせてもらおうか!」

 

葉月「ち、ちょっと!流石にそれは!」

 

愛紗「ふふふ……お前はどのように鳴いてくれるのだ葉月よ?ふふふ……」

 

葉月「あ、愛紗が壊れた!お、落ち着いてください愛紗さん。は、話し合いましょう!」

 

愛紗「聞く耳持たんな。今までの所業、今ここで全て償ってもらうぞ……ふふふ」

 

葉月「ひっ!あ、愛紗の顔が悪党の笑い顔に!」

 

愛紗「さぁ……懺悔時間だ!ふははははっ!」

 

葉月「ぎゃーーーーーーっ!!」

 

 

《しばらくお待ちください》

 

 

葉月「もうお嫁にいけない……」

 

愛紗「そこまで酷いことはしていないだろ!」

 

葉月「うぅ……」

 

愛紗「ええい。女々しい奴だ!それにお前は嫁ではなく婿だろうが!それより次回はどうなっているのだ」

 

葉月「ぐすん……呂布が仲間になります」

 

愛紗「……そ、それだけか?」

 

葉月「……それではみなさん。また次回~」

 

愛紗「ちょ!ほ、本当にそれだけなのか!?お、おい。葉月!どこにいく!」

 

葉月「しばらく旅に出ます!」

 

愛紗「逃げた!?私はそこまで酷いことしていないぞ!まて葉月!ちゃんと次回も書くんだろうな!こら~~~~っ!と、とにかく私は葉月を追う!必ず連れ戻すので次回も楽しみにしていてくれ。さらばだ!」


 
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