No.378662

ディアボロシュガー 1話

雷者さん

砂糖が世に出回り始めたばかりのころの,中世風微ファンタジーな世界観で 肥満化小説を書いてみたいと思います. 突拍子もなく魔法でボン!というのは個人的に嫌なので,徐々に,確実に肥えていく様を書いていきたいと思います.本格的な描写は4話目位からな・・ ・・・週勝中なのになぁ.それと内容的にr-18になる可能性があるんだけど・・・大丈夫かな?

2012-02-16 00:45:19 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1971   閲覧ユーザー数:1960

謎多き善王ビゴラス

 

 建国1000年を迎えたアスタリスコ.現在は民主主義国家だが50年前まで王制国家であった.しかし国王はどの代でも国民を第一に考えた善政を布き,常に国民から慕われていたという.ところが5代目国王ビゴラスがクーデターを起こし国王となった時には,隣接する国々との領地争いも多々発生した.しかし戦争の一つ一つは1年以内に収束したものが多く,全てアスタリスコ王国の勝利であったという.

 ところがこの勝利には不可解な点が多い.特に当時最大の国力を要していたマーカット王国との戦争の際には,マーカット国内で勃発した原因不明の内紛により,マーカット王国は指揮統制が乱れ,アスタリスコ王国はこれといって大きな戦闘をすることもなくその広大な領地を手にしている.

 謎の多い強国アスタリスコであるが,アスタリスコに伝わる数々の民話には,王が隣国の王を魔物と見破ったとか,畑を荒らす悪魔を通りがかった王が懲らしめたなど,5代目国王ビゴラスが活躍したものが多い.また当時の戦争の風景を描いたという絵画も多数残っているが,どういうわけか全ての絵でアスタリスコ軍が戦っている相手は豚の姿をしているのだ.一見不可解な2つの謎だが,この謎こそが5代目国王ビゴラスが常に戦争に勝ち続けた秘策であるという説もある・・・

 

5代目アスタリスコ

国王ビゴラス

元はアスタリスコ北部の山岳地帯出身の山賊の子であったが,その腕っ節を買われアスタリスコ軍に士官.数多くの武勲を得て短期間のうちに軍上層まで上り詰めた.クーデターを起こして王になったまでの経緯は明らかではないが,当時から絶対の支持を得ていたという.しかしその謎の多さから近隣各国からアスタリスコ国内へ多数の密偵が送られていた.もっとも,ほとんどの密偵は捕まえられ行方が知れないという.

「くそ!連絡が途絶えてこれで15人目だ!」

 

憤慨するその女,マーカット軍獅子隊隊長.名をソシエという.マーカット王国は,当時では珍しい女流社会で,軍にも毎年女性が多数士官するほどであったという.特に彼女らが目指したのは,齢17と若くして隊長となった,美しき勝利の女神ことソシエ率いる獅子隊で,500人の兵士で1万の大軍に勝ったと言われている当時最強の部隊であった.獅子隊の由来は,少数のライオンのメスが勇猛にバファローの大群に挑んでいく様からつけたもので,敵国の大群を少数の精鋭でかき乱し後から大勢で仕留めるというライオンらしい戦法であった.しかしこの戦法には敵国の軍内部の状態や士気,統率能力などの情報が不可欠で,常に敵国に多数の密偵を送り込んでいた.ところがここ半年アスタリスコに密偵を送り続けたものの情報が全く入ってこず,獅子隊といえどなかなか攻め込めない状態であった.

 

「・・・実に胡散臭い・・・」

 

密偵が消息不明になることはこれまで滅多になかったのだが,今回ばかりは明らかにおかしい.歴戦の将であるソシエですら今回ばかりは頭を抱えていた.攻め込むことは決まっており準備も着々と進んでいるのに情報だけが入ってこない状況に軍上層部からも,獅子隊の部下からも不満の声が聞こえ出してきた.

「こうもやられるとは・・・うちの密偵は腐抜けだらけなのか・・・?」

 

「私の仲間が腑抜けだと・・・?」

 

「!」

 

澄んだ声が聞こえたと思ったら,ソシエは羽交い絞めにされ,のど元には短刀が突き付けられていた.

 

「くっ・・・ゾンダ・・・」

 

「私の仲間を悪く言うのは・・・私に殺してくれと言っているのと同じ・・・」

 

隠密部隊隊長ゾンダ.彼女もまたソシエと同じく齢17で隠密部隊隊長となった暗殺,情報収集の若き天才である.ソシエとは軍に士官してからの仲であるが,幼少のころから厳しい訓練ばかりしていたためか人とのなれ合いは苦手で,仕官したばかりの頃,少し悪口を言われただけで上官を殺しかけたこともある.

 

「悪かったから!私が悪かったから!離しなさい!」

 

そう言われるとゾンダは不満そうに短刀をしまい,ソシエの拘束を解いた.

 

「・・・二度とそんなこと言わないで・・・」

 

「はぁ・・・分かっているわ・・・でも状況が状況だし・・・.」

 

「・・・・・・」

 

「あ・・・あなたの隊を悪く言うわけじゃないわよ!?」

 

「・・・・・・」

 

「とにかく,アスタリスコの警備は相当ヤバいみたいだし・・・その・・・」

 

「?」

 

「・・・今回ばかりは隠密部隊最強のあなたに行ってもらいたいと・・・」

 

「・・・初めから・・・そう頼めばよかった・・・」

 

そう言うとゾンダは音もなくその場から立ち去り,アスタリスコへと向かった.

 

「・・・いくらなんでも・・・気が早いって・・・」


 
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