目を空けると、椎名京が覆いかぶさって顔を覗きこんでいた。
「おはよう、大和。大好き」
「おはよう、京。大好きだよ、姉さんもだけど」
とある理由で直江大和は、川神百代と椎名京の二人の恋人を手に入れた。しかも二人の関係は体を交じり合うほどの関係であり、女性達は大和を依存するほど愛してしまっていた。
そのために、いつも大和を起こす京だったが一人で起こすということはなくなってしまった。
「嬉しいな~大和。私も大好きだぞ!」
わざわざ大和を起こすために百代も家から寮まで早起きしてやってくる。
「う~~……」
当然ながら大和を一人占めしたい京だが、彼女に勝てる要素など何もなく、また百代も京に勝てる要素がほとんどなかったため、ほぼ平行線だった。
当人の大和は、ここまで来たら二人とも愛そうと開き直っているので何か起こす気は毛頭なかった。
しかし、二人はそれは嫌だった。
だから。
『大和。今日こそ私達どちらかを決めてもらう!』
そして、二人は大和を襲った。
―――それが朝の日課である。
「あれ? たっちゃん、お姉様や京は?」
川神一子は、大和を起こしに寮に行った姉が登校していないため同じ寮に住む源忠勝に尋ねた。
「三人は今日は休むそうだ………それ以外は聞くな」
「え? え?」
さすがに忠勝は純粋な一子に真意を言うことは得策ではないと悟り三人が休みになることだけ伝えた。
(というか……直江、いいかげん二人の綱を握らないと大変なことになるぞ)
―――――しかし、忠勝の心配を他所に大和は天国に行っているのだった。
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両人同士がそれでいいなら、何も言うことはない。