No.370298

真・恋姫無双「新たなる地と血」第28話

ハイ、拠点も終わりまして今回から通常運転に戻ります。

洛陽に買出しに来ていた桃香と朱里、そこで出会ったのは…?

2012-01-29 23:14:55 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:4564   閲覧ユーザー数:3670

この作品は恋姫無双の2次創作です。

 

作者の勝手な解釈もある為、若干キャラの性格等のズレが生じる場合が御座いますが

そこらへんはご容赦のほどを。

 

朱里は桃香と一緒に買出しと、桃香の気分転換の為に洛陽の街に来ていた。本来ならば、この様な雑用は兵達にやらせるものなのだが、一刀との話し合いの後、桃香は塞ぎ込んでおり普段以上にボーっとする事が多くなっていた。劉備軍の盟主である桃香が何時までもこの様な様では、士気に関わる事もあって、多少強引ではあるが連れ出したのだ。

 

洛陽で何か切っ掛けがあればと期待したが、特にこれと言ったモノが無く、買出しが終わり帰ろうとしている所で、声を掛けられた。

 

「あら、朱…諸葛亮と劉備じゃない、どうしたの?やけに暗いわね。」

 

声を掛けてきたのは、甘味処でお茶をしていた蓮華であった。勿論護衛として思春も付いて来ている。真名を呼びそうになったが一応ここでは預け合っていない為、蓮華は慌てて言い直す。

 

「あ!どうも、こんにちはでしゅ…あぅ…」

 

突然声を掛けられたことに驚き、噛む朱里にくすっと笑うと、こちらに来て一緒にお茶をしないかと蓮華に誘う。二人は特に断る理由も無い為、一緒にお茶をする事にした。

 

蓮華と朱里。以前の事もあってすぐに真名を交わした。そして暫く話していると話題に上がってくるのは、当然一刀と一樹の事になる。

 

「あ、あの蓮華さん!ご主人様に付いて、どう思われていますか!?」

 

「そうね。記憶を取り戻す前から一刀の事は、姉様から聞いていたけど、思い出した時は最初かなり混乱したわ。でも一刀が無事な事にほっとしているわ。朱里はどう?」

 

「はい、勿論私もご主人様の元気な姿が見れて良かったです。ただ、桃香様と愛紗さんが…」

 

朱里は一刀が訪ねて来た出来事を蓮華に話した。

 

「そんな事があったの…。それにしても彼女、そんなに一刀を信じられないのかしら?」

 

話を聞いた蓮華は溜息を付く。

 

「蓮華さんはご主人様にお子様がいた事については?」

 

「これも以前に子供の事に付いても聞かされていたから、それほどでもないわ。それに一刀は司馬懿を亡くして、男手一つで子供を育てているんですもの、寧ろそっちに感心するわ。」

 

「ですよねぇ。」

 

朱里も同意する。

 

「で、あなたは何時まで呆けているつもり?」

 

「ふぇ?!」

 

突然声を掛けられた桃香は、声を裏返らせらがら驚く。

 

「わ、わたし!?」

 

「そうよ。今この場であなた以外に誰が呆けているのよ?」

 

「うっ…」

 

蓮華の容赦の無い物言いに言い返せず言葉を詰まらせる。

 

「…私は北郷さんみたいに天の御使いでもないですし、天の知識なんてものもない、取り柄もないただの女…そんな私がこんな所に出てくるなんてそもそも間違っていたんですよ…」

 

「本当にそうかしら?」

 

「そう…ですよ…きっと…」

 

朱里の方を見ると彼女もお手上げです、とばかりに首を振る。蓮華は「はぁ」と一息吐く。

 

 

「あなたは一刀が何を言いたかったのか、全く分かっていないようね。」

 

「…」

 

桃香は蓮華の言葉に再び俯き、蓮華は「はぁ」ともう一度一息吐く。

 

「昔、ある大陸にいた預言者がこんな予言をしたわ。

 

『蒼天を切り裂く白き流星と共に現るは天の御遣いなり。 かの者、乱れし世を照らす一筋の光となるだろう。』

 

そしてそこで二人の少女は一人の少年と出会ったわ。」

 

桃香は蓮華が何を話そうとしているのか分からないでいた。それに構わず蓮華は話を続ける。朱里の方は何を話そうか分かった様で、じっと蓮華の話を耳を傾けた。

 

「そうして彼は天の御使いとして少女達と行動を共にする事にしたわ。乱世にあって、彼は武官ほどの力はなく、智では軍師には及ばなかった。それでも彼は挫ける事なく、自分に出来る事を精一杯したわ。自分を信じてくれた少女達の為に…」

 

「そんな彼に惹かれるように、どんどん仲間が増えていったわ。彼の下に人が集まったのか、なぜだか分かる劉備?」

 

「え~っと…天の御使いだから?」

 

「それも間違ってはいないわ。けど彼自身に覚悟と責任を感じたからよ。」

 

「覚悟と責任…」

 

「ええ。彼のいた天の国では、日常的に小さな争いはあっても、国同士の戦争なんてほぼ無いらしいわ。彼自身、命のやり取りなんてものは無縁だったらしいし。そんな所から人の死なんてものが日常的に起きる様な所に来て、それを目の当たりに生き抜いていかなければならない、その『覚悟』。そして、彼の判断一つで生きる命もあれば、散る命もある。彼の行動には何をするにしても『責任』のと言うものが付いてまわるわ。」

 

死という言葉に桃香は思わずゴクリと唾を飲む。桃香も死と言うものには少なからずとも関わった事はある。だが蓮華の言う責任というものまで考えた事はなく、自分の一挙手一投足にそれほどの重みがある事に改めて気付かされる。

 

「私に足りなかったのは『覚悟』と『責任』…」

 

「あくまでも話を聞いた上での事だから一刀が本当にそれをあなたに求めたのかは判らないけどね。」と蓮華は付け足す。

 

「いえ!これが北郷さんが、私に足りないものだと言いたかったんだと思います。気付かせてくれてありがとうございます、孫権さん!」

 

桃香は勢い良く立ち上がると、蓮華に礼をする。

 

「私は大した事はしてはいないわ。けどもう大丈夫のようね劉備?一刀の期待を裏切らないでね?」

 

「はい!あの私の真名は桃香と言います。あなたに預けたいと思います。」

 

「いいの?」

 

「はい!良く知りもしない私の相談に乗ってくれましたから、そのお礼みたいなものです。」

 

一点の迷いも無くなった彼女は屈託無い笑顔で、蓮華に真名を預ける。その感情をストレートに表現する桃香のそんな姿に蓮華は(ああ、これが彼女が人を惹きつける理由なんだ)と納得し、なんとなくこういう所は一刀と共通するものがあるように感じた。

 

「では、私もあなたに真名を預けるわ。私の真名は蓮華よ。よろしくね、桃香。」

 

そう言って蓮華は手を差し出すが、桃香はどうしたらいいか困惑気味に朱里に顔を向ける。朱里は「握り返して上げて下さい」と答えると、桃香はそれに従い、蓮華の手を握り返した。

 

そろそろ帰らないとみんなが心配するという事で、桃香と朱里は別れの挨拶をし去って行った。

 

 

桃香が去っていくとそれまで黙っていた思春が口を開いた。

 

「よろしいのですか?蓮華様。」

 

「あら、なにがかしら?」

 

後々(のちのち)、我々の敵になるやも知れません者を態々(わざわざ)立ち直らせてしまって。」

 

「出会ってしまったんですもの、放ってはおけないわ。」

 

「あいつのような考え方ですね。伝染(うつ)ってしまわれましたか?」

 

思春は思いあたる人物の顔を思い出したのか、顔を顰めながら忌々しげに言い放つ。蓮華はそんな風に悪態を付く思春にクスリと笑いながら続ける。

 

「そうかもしれないわね。「蓮華様。」でもね思春、そう言うあなたも以前(記憶を取り戻す前)ほど硬い雰囲気は無くなっているわよ?。」

 

「そう…でしょうか?」

 

「ええ、そうよ。」

 

「だって、記憶を取り戻す前のあなたなら、私が他所の所の者とお茶をしようとすれば直ぐに反対したでしょう?あなたも十分影響を受けてると思うわ。」

 

「…それは護衛として当然の事です。」

 

「くすっ。そう言う事にしておくわ。」

 

「…何か引っ掛かる様な言い方ですね。」

 

「あなたの気の所為よ。」

 

蓮華の言葉に釈然としないと言いながらも、思春の口元が若干緩んでいるのは蓮華の気の所為ではないだろう…

 

そして劉備達が去った後も残った二人は暫しお茶を楽しんだ。

 

あとがき

 

ひと~つ、これで片が付きました。後はあの人…大体下書きは出来ているんでそれほど掛からないかと…でも過度な期待はしないでね?ww

 

桃香の最初の方って覚悟と責任が欠落していると思うんですよ。蜀√の場合はそれを一刀が補っていたので、それほど蜀√では目立たない。だが別の√の視点からでは一刀が居らずそれが足りない為、やけに目立ってしまい、フルボッコな状態な目に遭うと言うちょっと不幸な娘…

 

さて話は変わりますが、最近急に冷え込んできましたね。本当の冬になったと思う今日この頃。皆さんもくれぐれも体調を崩さぬよう体調には十分に気を付けてお過ごし下さい。

 

ではまた次回ぃ~


 
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