No.369130

魔法少女とま☆ラビ(第三話)

月野美夕さん

オリジナルの魔法少女としてイラストで描いてきたものの文章化・第三話です。ノリの勢いで書いてますので、最後まで続けることが出来るか不安になってきたり(^^;)

2012-01-27 21:21:12 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:561   閲覧ユーザー数:486

<魔法少女とま☆ラビ>

 

 

第三話

 

 

気迫を出し猛威を振るう【キャぐるみット】。その足元に、とまを踏みつけ余裕さえ見せている。

とまを踏んだその足をぐりぐりと動かしたまま、ジロッと見たその先には、近くでしゃがみこみ冷や汗を出すラビがいた。

 

その気になれば、自分一人ならなんとか走って逃げることも、確率としてはそう低くないかもしれない。

だが、確実ではない上に、その行動をとれば間違いなくとまが殺されてしまうだろう。

知り合ったばかりとはいえ仲間として、そして不思議なことに、とまの存在をすんなり受け入れた気持ちと、

なにより友達として心の中で受け入れていた相手を見捨てるようなマネは出来ない。

そして、そんなアイデアを一瞬でも考えてしまった自分を情けないと思ったり、ラビの頭の中は一度に鍋に具材を入れてメチャクチャに

なったように、まるで考えに収拾がつかなくなっていた。

でも何かがなければ打開も出来ない。どうする・・・?

 

キャぐるみットが迫るほんの僅かの時に、結論の出せないまま考えまくっていたラビ。

その時、どこかからささやくような声がラビの耳に聞こえてきた。

いえ、正確には頭に直接伝わってきたのである。

 

「なにこれ・・・頭に鳴り渡るような・・・誰? わたしに何を言ってるの?」

 

何度も伝わってくるその小さな囁きに、ラビはハッと気が付いた。

「杖だ! この杖がしゃべってる!!」

キャぐるみットが迫るその状況の中、ラビは杖に顔を寄せて、必死に聞き耳をたてた。

「・・・・を・・・ろ。」

 

「何か言ってる! なに!? 何て言ってるの!?」

 

時間にしてみれば、おそらくはほんの数秒、あるいは一瞬のことだったのかもしれない。

だがしかし、ラビはその僅かな間に確かに杖から言葉を聞き取ったのだ。

それはラビの才能の一つとしてのものであり、常人離れした集中力と耳の良さであった。

 

集中してから、やがてすくっと立ち上がり、じっとキャぐるみットを睨みつけながら、ラビは杖から聞き取ったその言葉を詠唱した。

「聖なる大地よ、輝きを広げ大いなる使いを呼び覚まし、光の名のもとに集え・・・・。」

 

ラビが言葉を唱え始めると、その足元に魔法陣が光り現れ始めた。

その時とまは、キャぐるみットによって地面に踏みつけられていた息苦しさの中、ラビの様子がおかしいことに気が付いた。

「ラ・・・ラビちゃん・・? 目が・・・緑色に光って・・・。」

 

とまがそう口を開いた後も、ラビの詠唱は続く。

 

「・・・大地の底に息吹く源となるその力を剣に変え、我が力となりて彼(か)の敵を滅ぼせ。」

 

詠唱をそっと終わらせたかと思ったその時、ラビは大きな声でキャぐるみットを杖で指さし叫んだ。

「ライトニング・バーーード!!」

 

 

ラビがそう叫んだその瞬間、その足元にあった魔法陣が一気に明るく輝き、それはすぐ近くにある岩までもが砕け舞い上がる勢いだった。

そして、ラビの体も魔法陣と同様に輝きを発し、特に輝きを増していた胸にある鳥型の紋様から一気に光があふれ出て、それが数多くの

鳥の形をなし、キャぐるみットに向けて発射された。

 

ほんの僅かな瞬間での出来事ではあったが、だが確かにラビは自分で詠唱し、魔法を発動させたのである。

やがてその輝く鳥の魔法、「ライトニング・バード」は全弾命中し、キャぐるみットはぶすぶすとしたコゲ臭い匂いを出しながら倒れていった。

さらによく見ると、いつの間にかラビの持つ杖の先端が大きく膨らみ、ウサギの顔のように姿を変えてキャぐるみットを威嚇している。

そしてキャぐるみットは、背中のファスナーを開けて出た、その一回り小さな姿で必死に謝りながらスゴスゴと逃げていくのだった。

 

 

 

ラビの唱えた魔法攻撃のおかげでキャぐるみットから脱出したとまは、慌ててラビのもとへ向かった。

「ラビちゃん! ラビちゃん!!」

「ラビちゃんってば!!!」

 

とまが何度も怒鳴るように声をかけると、意識を失いかけていたラビは、ハッと我に返り返事をした。

「あ・・・とまちゃん。 よかった、助かったんだね~~。」

そういうと、ラビは途端にぺたりと再び腰をおろし、安堵の息を出した。

 

「ラビちゃん、さっきのは・・・魔法?なんで出来たの?あたし、何も教えてないよ?」

「それに、杖の先が大きなウサギ顔に・・・って、あれ?もう元に戻っちゃってる・・・気のせい、じゃないよね・・?」

 

深呼吸をしながら聞いていたラビは、とまに事のありさまを話した。

両手を組みながら下を向き、とまは考え込むようにラビに言葉を返した。

「そう・・・あの時、そんなことが・・・・。」

「この杖って、もしかしたら何かの意識を詰め込んだ物なのかな・・・。それかあるいは、直接生命を持っているのか・・・。」

「どちらかはわからないけど、ラビちゃんの呼びかけに応えたことは間違いないわ。ラビちゃんとは偶然会ったのかと思ってたけど、

実は会うべくして会ったのかもしれないね。」

 

杖の初めての発動とラビの様子を見て、とまは偶然とは思えない何かを感じていた。

もしかしたら、まだまだ何か杖の秘密が出てくるかもしれない。

そう思い、ボロボロになった古い文献を握りしめながら、とまは不思議ニンジンを探すこととこの杖との関係も気になっていた。

 

 

『・・・不思議ニンジン。・・・・なる・・・力を・・・封じた。 ・・・・代償・・・・永きに・・・復活させ・・・・

やがて・・・・甦る。』

 


 
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