No.368609

真・恋姫†夢想 呉√外史 一輪の蓮は天より来りし刀と翔ぶ 第2席

霧龍さん

第2席 一刀、孫堅に連れられ建業に行くのこと です。

此処までは急ピッチの作業でしたが、此処からはかなり遅くなります。

12/01/27 誤字修正

2012-01-26 16:57:26 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:6312   閲覧ユーザー数:5213

真・恋姫†無想 呉√外史 一輪の蓮は天より来りし刀と翔ぶ

 

 

第2席 一刀、孫堅を救うのこと。

 

 

-一刀side-

 

  『天の御遣いになる資格が貴方にはある。』

  翔蓮さんに告げられた言葉。

  管輅の占いと俺が此処に落ちてきた状況が酷似するからなのだ。

 

 

 

  その言葉はあっと言う間に軍の隅々まで広がっていた。

  『天の御遣いが孫呉に舞い降りた』と。

 

 

 

  

  孫文台こと翔蓮さん。俺の知る三国志では男のはず・・・・。

 

  そう彼は考えたが、気にしても意味がないと思い軍議の方に意識を向けた。

副官「――――という事ですので、一度建業に戻り体勢を立て直す。そうい「敵襲!」うこ「なにっ?!」とで・・・っ?!」

  天幕の外から聞こえた声にいち早く反応したのは翔蓮さんだった。

  もちろん副官達も自分の獲物を手に取り迎撃に向かった。俺は予備の装備から弓を借りるために天幕を出た。

 

  翔蓮さんが敵の先方に突っ込み、次々敵を切り倒して行く。

  (まさかこんな所まで来るとは・・・・)

  一刀の予想は外れ、敵は伏せていた地で奇襲するのではなく夜営中を奇襲する策だったのだ。

  

  敵のど真ん中に突っ込んだ翔蓮さんの背後から雑魚が斬りかかる。

一刀「間に合えっ・・・!」

 

  敵の刃が翔蓮さんに届く前に矢を放つ。

  放たれた矢は兵の頭だけを貫き兵は地に伏せた――――

  ―――このとき彼は初めて人を殺めた。

 

一刀「必ず3人一組で敵1人を倒せ!確実に仕留めろ!」

翔蓮「一刀!?」

  俺は声を張り上げ今考え付いた策を伝えた。

翔蓮「これは・・・・」

  彼女も驚きを隠せなかったようだ。

  彼の判断と対処の早さ。そして何より兵達がそれに従ったこと。

  『天の御遣い』それが大きく影響しているのか、皆が指示通り布陣し敵を倒す速さが格段にあがった。

  (『天の御遣い』。貴方にそんなつもりはなくても、皆は認めているようね。一刀)

  彼女が指示を出している一刀を見ていたとき

  (グサッ)

翔蓮「ぐっ!・・・」

  彼女の左腕に矢が刺さる。

  幸い毒はないようだったが、誰が放ったものか見当がつかない。

一刀「翔蓮さん?!・・・・くそっ!何処だっ・・・」

  援護していた一刀は彼女に近づき弓を構えた。が、敵は見つからない。

  周辺の敵兵は一刀の策が功を奏して一掃され、残りは敵の弓による射撃攻撃だけだった。

翔蓮「大丈夫よ・・・ただの矢だから。それよりあの・・・・」

  彼女は気が微かに揺れるのを見逃さなかった。一刀に細かい位置を伝える。

  (あれで最後のようね・・・・。)

一刀「・・・・っ!」

  引き絞られた弓から放たれる矢は、風切り音と共に翔蓮が示した位置を貫いていた。

 

 

 

 

 

  最後の一人を射抜いた一刀の額には冷や汗が大量に流れていた。

  彼はここで生まれて初めて『人』を殺めた。しかし、ここでは人を殺めた『程度』で誰も咎めることはしないだろう。逆に主を、王を守ったということで称えられるのだ。

  一刀はそれが怖かったのだ。

 

  

 

  敵襲を押し返した後、荷をまとめ建業に向け出立した。

 

 

一刀「・・・・ハァ・・・・・・ハァ」

  覚悟できたはずなんだけど・・・・・やっぱり重い・・・

 

  一刀の想像を超えて『人を殺める』ことが、一刀の心身に負担をかけていた。

 

翔蓮「・・・・・一刀。・・・荷車で休んでなさい。」

一刀「・・・・そうさせてもらうよ・・・(ドサッ)」

  そう翔蓮さんに言われた途端、力尽きたように倒れた。

 

 

-建業-

 

兵 「伝令!! 孫堅さまの軍が敵の奇襲を受けたとのこと。それ以降、伝令はありません!」

  伝令を持ってきた兵士の言葉に報告を聞いていた将の女性たちは食らいつくように兵士に迫った。

 

??? 「母様が?!」

??? 「なんじゃと?!」

 

  奇襲を受けた直後に放たれた一回だけのため、その後の連絡は一切なかった。というより、伝令の兵すら迎撃に当たっていて、伝令どころではなかったのだ。

 

 

 

-翔蓮side-

 

翔蓮「・・・・・一刀。・・・荷車で休んでなさい。」

  あの子に助けられた。本当はあそこで死ぬはずだったのに。

  でも、そのおかげで私は呉の大地を、土を再び踏みしめることができるのに・・・。

  私の心中はそういった喜び、嬉しさより悲しさの方が勝っていた。

  『私の所為であの子は手を血で染めた』

  その事実だけは誰にも曲げられることなく、一刀に苦痛を強いることになる。

  (私がもっとしっかりしていればこんなことに・・・)

  そう思っていた矢先だ。

 

 

一刀「・・・・そうさせてもらうよ・・・(ドサッ)」

翔蓮「一刀?!」

  その場に倒れこんだ一刀はそのまま気を失った。

  もう少しで建業ね・・・。

翔蓮「この者を荷車に乗せておきなさい。」  

  私は、近くに居た兵二人に、一刀を荷車に乗せるよう指示した。

 

翔蓮「見えてきたわね・・・私たちの家『建業』が・・・。」

  再びこの土を踏めるとはね・・・・

 

 

 

-孫策side in建業-

 

兵 「ふぁ・・・暇だなぁ・・・」

  城壁南の上で見張りをしている兵は欠伸をしながら周囲を監視していた。

  

 

  所変わって城壁北では

兵1「ん?何だあれ。煙、いや・・・・砂塵か?」

兵2「確かに砂塵だな・・・。でもこんな時間に敵が来るか?普通」

  妙だ。こんな夜明け前に大軍を率いて城攻めなどありえない。

  しばらくして、旗が見え始めた。そこに書かれた見慣れた文字――――――。

兵1「まさか・・・・・・・・あの旗は!」

 

  ―――『孫』の一文字だった。

 

兵2「孫堅様が戻られたぞ!」

兵3「孫策様たちにご報告申し上げろ!!」

 

 

 

  外が急に騒がしくなった。

孫策「・・・もぉ、夜明け前から何ようるさいわね・・・」

  苛々しながらも廊下に出、近くに居た兵に何があったのか聞いた。

  『孫文台様が戻られました。』

孫策「何・・・・ですって?母様が帰ってきた?!」

  私は驚いた。奇襲を受けた後の連絡が一切なかったから、もう会えないと思っていた。

??? 「策殿!!もう聞かれましたか?」

孫策「・・・祭。今・・・聞いたとこよ・・・本当なの?」

  祭と呼ばれた女性に彼女は答えたが、孫策の目には涙が溜まっていた。

 

  『事実じゃった。儂もこの目でしかと確かめた所じゃ。』

 

  そう聞いた瞬間、私は城門に向け駆け出していた。

 

  母様が死んだと思わざるを得なかった、認めるしかかなったあの日私は母様の後を継いだ。

  そして今は袁術の客将として甘んじている。

  しかしその母様は生きていた。もう一度会えるのに・・・・。

  

  城門について一番最初に目に映った人物―――――

  ――――母様こと孫文台だ。

翔蓮「あら、雪蓮じゃない。出迎えご苦労ね♪」

孫策「・・・・・・母様・・・本当に・・・・生きてた・・・」

  なぜか素直に喜べない孫策だったが、城門で孫堅に会った時には涙を流しその場に座り込んでしまった。

祭?「堅殿、よく戻られた。・・・して、あの孺子は?」

  祭が見ていたのは、荷車に乗せられた奇妙な格好をした孺子だった。

翔蓮「あの子は・・・・そうね・・・詳しい話は軍議のときにするから、空いている部屋に運んでおいてちょーだい。」

  そうウィンクしながら言う母様の顔は今まで見たこともない笑顔だった。

 

 

 

-一刀side-

 

??? 「・い・・・き・・・は・・おき・・早う起きろ!」

 

  誰かが俺を呼んでいる。そうだ・・・俺気絶したんだ。

一刀「・・・・・・。」

  目を開けると、そこは見たこともない部屋とベッドの横に妙齢の女性が立っていた。

??? 「やっと起きたか・・・おっと、儂の名は黄蓋じゃ。堅殿が王の間で待っておられる。来い」

  何がなんだかさっぱりワカラン。起きたら知らない部屋で寝てて・・・の前に俺、気絶したんだ。

  ・・・・ってことは、此処が建業?!

黄蓋「何をしておる!はようせい!」

一刀「は・・はい!」

  翔蓮さん・・・・ありがとう。俺は心の中で礼を言いながら、黄蓋と名乗った女性について行く。

一刀「コウガイさんって黄に蓋で黄蓋?・・・・・字ってもしかして公覆?」

黄蓋「ほぉ・・・よくわかったの。さすが堅殿が認めた『天の御遣い』というところか」

  そんなやり取りをしながら、俺は王の間に着いた。

黄蓋「堅殿、例の男を連れて参ったぞ。」

  王の間に入ると翔蓮さんは玉座のすぐ下座に、玉座には翔蓮さんの娘さんらしき人物が座っていた。

  (あれは多分、孫伯符だな・・・)

翔蓮「一刀はこっちよ♪」

  そういいながら翔蓮さんが指を刺したのは玉座の下座だ・・・・

  「「「はぁ?!(なっ?!)」」」

  そこに居た数名(俺を含め)が疑問符と共に驚いた。

一刀「なんで俺がそんな上座に?!」

  誰もがそう思っただろう。

  おれ自身なぜあそこに立つのか分からない。

翔蓮「貴方をここに居るみんなに紹介するためよ♪」

  わざわざ上座に立つ必要があるのだろうか・・・。

  俺は渋々(あくまで渋々)従い、上座に立った。

 

翔蓮「紹介するわね~。彼が管輅の占いに出てくる『天の御遣い』こと北郷一刀君。一応、私の命の恩人ね―――――」

 

  そんな感じで俺の紹介も終わり、軽い自己紹介をさせられた。

一刀「姓は北郷、名は一刀。字や真名はない。俺は―――――」

  簡単に俺の素性を話し、互いに名や真名を交換した。

 

  ―――――翔蓮さんの娘さんこと現・呉王、孫伯符。真名を雪蓮。

  雪蓮の軍師、『呉の大都督』周公謹。真名を冥琳。

  冥琳の弟子、陸伯言。真名を穏。

  呉の宿将、黄公覆。真名を祭。

 

一刀「貴女方の真名、謹んでお預かり致します。」

  俺には真名がない。したがってそれに値するものを預けた。

  親からもらった唯一の名。『一刀』を。

 

雪蓮「よろしくね~」

冥琳「よろしく頼む」

穏 「かずとさぁ~ん♪これからよろしくお願いしますねぇ~」

祭 「これからが楽しみじゃわい!」(バシバシ)

  祭さんの手荒い歓迎やちょっと危ない視線などを受けながら、俺はある程度認めてもらった。

 

 

あとがき

 

霧龍「第2席いかがだったでしょうか?」

霧龍「結構時間がかかってしまいました・・・・」

霧龍「ってなわけで第2話あとがきのゲストさんです! どうぞこちらへ」

冥琳「今回は私が呼ばれた訳だが、意味はあるのか?」

霧龍「当然あります!!」

冥琳「ほぅ・・・説明を聞こうではないか」

霧龍「第3席で冥琳さんのあのシーンがあるからです!」

冥琳「あのシーン?・・・・ほぅ、貴様そんなに早死したいか」

霧龍「ちょっ?!・・・・・やばそうなので今回は此処までにします!」

霧龍「次回、『真・恋姫†無想 呉√外史 一輪の蓮は天より来りし刀と翔ぶ』第3席 一刀、孫呉の将になる?のことです!お楽しみに~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冥琳「逃げれると思わないことだな。穏!」

穏 「はぁ~い。お呼びですかぁ?」

霧龍「ちょっと?!何で穏までここにいるの!」


 
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