No.367586

テキスト練習2

園寺 司さん

練習用です。ですので是非。

2012-01-23 23:12:16 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:532   閲覧ユーザー数:532

 

 

 

 

何気ない所ほど気になってしまう。

ついつい流し気味のあるあるを切り取っていく……。

裕太「今日の議題は『家族で飯食ってる時にお色気シーンが流れた時のあの気まずさ』、

   を取り上げるっ!」

時紀「ど、どうしたのさっ!?」

やはり驚いているなっ、時紀……。

しかし、俺はどうしてもこの話をしなければならないのだ。

裕太「時紀はこんな経験、ないか?」

時紀「あ、あるけどさ……」

時紀は困惑が続いている。

何があったかまだ理解できていないようだな。

裕太「俺は昨日飯を食っていた……」

その情報だけで時紀は察したようだった。

時紀「なるほどね……」

裕太「わかってくれたか?」

時紀「要するに昨日、そうなったワケだ」

裕太「その通り! 流石、時紀」

時紀「いつになく子供っぽいねぇ」

おいやめろその冷めた視線。

裕太「……で、時紀もあるならわかるだろ?

   この意図してない気まずさが」

時紀「まぁ、わかるけどさぁ……でも気にしたって……」

裕太「しかし! この話には続きがある!」

時紀「っ!?」

急に大声を出したので、時紀がビクリ! と反応した。

裕太「その気まずさもそうだが、

   そこから性生活的な話題に発展する場合が、ある」

そう。母親は思春期男子である俺に、訪ねやがったのだ。

裕太「俺に『アンタもこんなことしてんの?』と」

時紀「ぶぅーーーーーーーーーーっ!」

ゆっくり飲んでいた牛乳を吐き出した。

裕太「うわ汚ぇっ!」

時紀「ごほっ、ごほっ……」

驚いて吹いたのなら許すが、

笑って吹いたのなら罰が必要になるぞ時紀。

時紀「……んっ……んぁいっ変わらずだね裕太のお母さんは……」

まだ飲み物が気管に残っているようだった。

裕太「お前……笑って吹いたのか?」

ジロリ、と睨みつけた。

時紀「い、いや……笑ってない笑ってない」

裕太「本当に?」

時紀「ホントホント」

裕太「微妙に片言になってないか?」

時紀「なってないなってない……。

   って、それより話したい事あるんでしょ?」

裕太「今回だけは許してやろう……」

時紀「ありがとうございますっ」

裕太「ふん。調子のいい奴め」

時紀「ごほっごほっ……で、お母さんに訊かれた訳ね」

裕太「ああ。その通りだ」

時紀「それでそんな喋り方なのね」

裕太「…………」

俺の切れ長の目で見つめる。

時紀「……ううん、何も言ってない言ってない」

裕太「勉強ばかりで貧相な体も、今の俺にかかれば真っ二つだ」

中途半端に鍛えた手でリンゴを砕くような仕草をしてみせる。

時紀「ごめんってばっ」

裕太「いいな?」

時紀「了解~」

こいつのいらないツッコミのせいで脱線してしまった……。

裕太「話題を戻す。……そう母に訊かれたという本題に」

時紀「で、その事に腹を立ててるワケ?」

裕太「普通聞かなくていいだろ……。

   居間でエロシーンが流れるハプニングがあった後だぞ?」

ただでさえ、その年頃にとってはデリケートな問題なのに……。

時紀「逆にそんなときぐらいしか聞けないでしょ」

裕太「…………」

時紀「…………」

時紀は両手を広げ、どう? みたいな仕草をした。

裕太「……まぁ……確かにな……」

時紀の言うことも一理あるかもしれないが……。

裕太「でもやっぱ聞くのはナシだろ~」

時紀「わかるけど、もう聞かれちゃったんでしょ?」

裕太「ああ。根掘り葉掘りな……」

時紀「前も思ったけど、

   裕太のお母さんって結構大胆に踏み込んでくるよね……」

裕太「そういや、

   お前が家に来た時にも彼女がどうとか訊かれたよな」

時紀「ああ、あったねぇ」

裕太「あれは本当にひどかった。

   彼女の話題はもちろん、俺よりも先行ってるとか何とか……」

時紀「そうそうっ」

裕太「あの後、お前が帰ってからも俺に訊いてくるんだぜ?」

時紀「あ、そうだったの!?」

裕太「ああ。まぁ、何も言ってはいないけどよ」

時紀「いやそれはいいんだけどさ……」

裕太「もう知らんっつーのって感じで」

時紀「まぁ僕の事を時紀に聞いても仕方ないよね」

裕太「本当だよったく……」

時紀「でも、ああいう知りたがりな所とか裕太にソックリだよ?」

裕太「おいおい……」

時紀「ホントにないって言い切れる~?」

時紀のぱっちり目がジト目になって俺を詰問する。

裕太「た、確かにないとは言えない……と、お、思う……っ」

時紀「でしょ? 問い詰め系は間違いなくお母さんの遺伝だよね」

裕太「そうかなぁ……」

時紀「間違いなくそうでしょ」

裕太「う~ん……」

時紀「そんなに嫌なんだ……」

裕太「そりゃあそこまでデリカシーないとさぁ……」

時紀「裕太だってそんなにデリカシーないでしょ?」

(性に関しては)紳士な俺を捕まえてなんて事を。

時紀「それって何? ナンパ師ってこと?」

裕太「だから俺の心読むのやめろって!」

時紀「得意の八の字眉げだからね」

困り眉毛を撫でながら、

裕太「そんなに眉毛に出るのか……?」

時紀「わっかりやすいぐらいにね」

裕太「んな事言われるんのお前くらいになんだけどなあ」

時紀「ふふん、まぁ僕くらいだよね裕太の表情が読めるのは」

裕太「まぁ実際そうなんだが……」

悔しいがそこは間違っていない。

時紀にはなぜか心を読まれてしまう。

時紀「読むなって顔に出てるよ?」

裕太「わかってるなら読むなぁっ!」

時紀「ふっふーん」

心が読めたらプライバシーの意味ないだろ……

裕太「ったく……」

時紀「今日はこのぐらいにしてあげるよ、読むの」

裕太「今日だけじゃなくて明日も明後日も読むな!」

時紀「ま、それは裕太次第だよねぇ~」

キーンコーン、チャイムが鳴った。

裕太「あ……」

貴重な休み時間は終わってしまった……。

あれ? 本題ってなんだっけ?

なんかあったような……。

 

まぁいいや。どーせいつもの事だし。

 

 

 

 

 
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