No.364167

宇宙世紀でタンブラーやってたんですけどこんなものが流れてきました

velsさん

俺のタンブラー・・・

2012-01-16 13:32:12 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:451   閲覧ユーザー数:451

スクラップ集①

 

 

モビルスーツのアンバック機動というものに対して

 

-宇宙世紀0084年6月 軍事情報誌 『宙域』6月号 に収録 『宇宙世紀の力学』より一部抜粋-

 宇宙世紀において、軍事的な革新といえば、宇宙でのアンバック機動があげられると思われる。

アンバック機動とはモビルスーツによる宇宙機動の一種であり、姿勢制御を推進剤に頼らないで行う機構のことである。

 だが、この機動の理論はいまだに誤解が多く、また軍側も研究情報を公開しないためにどういう機能であるのかが見えてきていない風潮がある。

 そこで今回は回転運動の理論からアンバック機動をできるだけ数式を使用せずに解説を試みてみよう。

 宇宙空間は地球とは違い強力な重力が存在していない。さらに障害物も地球と比べればないも同然であり、運動に抵抗する気体は無視できるレベルである。

 これはつまり宇宙空間では力をかければ空気などの抵抗を受けず、また明確な方向への落下もないために力を受けない限り運動を続けることを意味している。

 地球内の航空機や艦艇とは一線をこえた兵器が必要になってくるのだ。

 モビルスーツの開発背景はここでは省略する。

 アンバックに一番多い誤解は、回転運動は「反動」を用いているということであろうか。

 つまり、作用反作用の原理で四肢を振り回し旋回を行っている、という考えである。

 それは半分は正しい。実際、これはニュートンの力学にそったものである。

 しかしここで指摘したいのは、アンバックと直線運動を混同しているということだ。

 宇宙空間では力を受けない限り直進はしない。さらにいえば力を直線方向に入れなければ直線運動にはならないのである。

 これはちょうど推進剤を使った運動である。

 しかし、アンバックとは旋回を行うシステムであり、けっして直線運動のための機動ではないのである。

 ここで力学を登場させようと思う。

 回転運動とは誤解を恐れずいうならばA点から出発し自動的にA点に戻るような運動である。

 もっといえば回転の中心にむかい力が働いているというイメージを持っていただきたい。

 この拘束により、力学は直線運動とは違った面を見せることになる。

 ちなみに力学にはベクトルという概念を使うが、ここはあえて登場させない。

 まず、速さの表現である。

 速度を直線運動で表すならば距離を基準にしている。

 距離をゼロに限りなく近い時間で測った値が速度である。

 では回転運動とは何で速さを測るべきか。

 もちろん通常の直線運動の速度も使えるし、力の単位もニュートンを単位にすることができる。

 だが回転運動では角度を速度の単位としたほうが何かとわかりやすいし、便利である。

 つまり、ゼロに近い時間で回った角度を測定するのである。

 それは主に角速度と呼ばれ、一秒間でどれだけの角度を回るか、という値で表現される。

 回転しているこまを考えると、こまが一秒に何度分回るか?ということだ。

 通常の速度単位で表したいのであれば、こまの半径と角速度を掛け合わせると速度が出る。

 回転半径が小さければそれだけ速度も大きくなるわけである。もちろん角速度をアップさせるだけでもよい。

 その考えを踏まえて、今度は角運動量を考えてみる。

 角運動量を算出するには回転している物体の角速度を回転半径にかけ、それに回転物体の質量をかけあわせる。そして最後に回転半径をさらに掛け合わせればよい。

 ここで掛け合わせるという言葉を使っているがあくまでこれは比例に近い関係があるという意味である。ベクトルでは外積という概念を使って計算するので単純な掛け算では表現できない。

 そして、ここで角運動量がでたが、これが回転する物体の持つ回転エネルギーといえる。

 つまり回転する原動力である。

 この数値がアンバック姿勢の概念を支えている。

 角運動量は保存される。証明の数式は省くが、つまり速度と回転半径の関係は一定の値で結ばれ、外からの力を受けない限り角運動量は一定の値をとるということである。

 角運動量は速度と関係しているということがわかる。つまり角運動量がゼロであれば回転はしない。

 そう、角運動量がなければ回転しないし、また力がなければ角運動量もゼロである、ということを踏まえておいてほしい。

 このことがアンバックと深いかかわりを持っているのだ。

 発想を逆にして考えてみる。角運動量はゼロ。それでは速度が発生しない。

 しかしもし速度が発生したら?

 回転するテーブルを考えてみる。

 その上に人が乗っている。

 しかしテーブルはまったく角運動量を持っていない。

 ここからが重要である。

 もし人が腕をテーブルの面と水平に腕を回したらどうなるであろうか。

 テーブルと人はつながっているわけであるから、腕の速度はテーブルの速度である。

 しかし外からテーブルと同じ地面にいる人間が手で押しているわけではない。そのためにあくまでも角運動量は0のままである。

  テーブルが人が腕を降る向きと同じ方向に回転すればそれはすでに角運動量が発生するのでだめである。

 ここで回答するのであれば、テーブルは腕から発生した速度を打ち消すと考えてもらいたいのである。

つまり、テーブルは角運動量がゼロであることを前提にし、逆方向に回ることで腕の速度を打ち消すのである。

 これをモビルスーツに拡張してみる。

 宇宙空間では地面がない。

 つまりどう回転してもいいし、回転を阻害するものはないわけである。

 モビルスーツが関節を動かすとそこから速度が生まれる。その速度は機体全体に伝わり、機体全体の速度になる。

 モビルスーツが角運動量ゼロの状態であれば、まさにいまいったテーブルの状態になる。角運動量ゼロの状態にのっとり、機体は発生した速度を打ち消そうと逆向きに回転を始める。

 つまり旋回できるのである。

 ある程度の四肢の速度があれば、機軸を中心にして回転することは可能である。

 そしてその利点がある。

 スラスターを使った姿勢制御であれば、それは推進剤を蹴り飛ばすのと同じことになり、反動で動いているので外力をうけたことになるので角運動量が発生する。

 しかし、角運動量がゼロで一定の場合がある。

 アンバック機動とは四肢が動いている間だけ回転し、動きを一切止めれば停止するのである。

 結果的に速度がゼロになるのであるから、である。

 推進剤の消費につながるわけである。

 スラスターを使えば回転を与えたらその回転をやめるために、つまり角運動量をゼロにしなければとまらない。

 腕を振れば角運動量の発生になるのではないか?つまり腕を回転させることが角運動量の発生につながるであろうという考えが振り切れない方は次の実験をしてみるといい。

 つまり、直立した状態で自分の胸を自分の手で押してみるのである。これで体が後ろに進むことはないであろう。

 以上のことから、アンバックシステムとは巷で考えられている『反動』で機能するのではなくあくまで角運動量保存の法則により動くのである。

 ちなみにアンバックの語源は「能動的質量移動による自動姿勢制御」であるが、質量移動というよりは速度発生によるものであるので間違ってはいないが角運動量のイメージを描きづらいと思う。

 

 

 

 

 


 
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