No.360267

【グリザイアの果実SS】 〜みちるルートのその後〜

ネタバレ有りです。グリザイアの果実みちるルートの日常を書いてみました。

2012-01-08 05:21:50 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:8763   閲覧ユーザー数:8722

みちる「ねえ雄二。雄二とあたし達はもう恋人なんだよね」

雄二 「ああ。そうだったのか」

みちる「ええええええええええええぇぇ!! キスしてくれたじゃん!」

みちる「埋葬までしてくれた仲でしょ。ちゃんと面倒みなさいよねっ!」

埋葬した仲と言われると、我ながら凄い歪な関係に聞こえる。

みちる「じゃあさ、じゃあさ。恋人なんだから、もうデートごっこじゃないわよね」

雄二 「何故俺が答える前に次のステップに進む」

みちる「これって本当のデートなのよね」

雄二 「……」

みちる「ちょっとー、なんでだまるのー」

雄二 「ああ、分かった。本当のデートってヤツでいい」

みちる「………………」

雄二 「何故黙る」

みちる「凄い……これが本物のツンデレ」

雄二 「じゃあな」

みちる「あーー! 待ってーー! 今のなしーー!」

近くに居たら居るでうるさい奴だな。

飽きない女、というか飽きないみちるは興味単位では望ましいが……

みちる『雄二君。それなら私とデートはどうかしら?』

雄二 「……」

みちる「ちょっとー、何であんたが出てきてんのよ。今日は私の番でしょー!」

みちる『雄二君スネちゃったじゃない。だから今度は私の番よ』

みちる「ずーるーいー! そんなのってない! わーたーしー!」

本当に見てる分には飽きないな。

みちる『もうお昼を回るわ。手っ取り早く三人で行きましょう』

雄二 「そうだな」

みちる「ちょっとあんた! 何勝手に三人とか言ってるのよ!」

みちる『あら。だって二人きりだったら雄二君帰っちゃうじゃない』

みちる「雄二はツンデレなの! そんでもってツンデレの私が好きなの!」

いつも思うがこいつはもうめちゃくちゃだな。

雄二 「今日はどこに行くんだ?」

みちる『今日も……ホテルに行きましょうか』

みちる「きいいいい! あんたいい加減にしなさいよねーーー!」

みちる『うふふ。じゃあ、頑張ってね。今日はもう私休むから』

みちる「むきいいいいい! 待ちなさいよ! もう出て来るんじゃないわよ!」

どっちだよ。

みちる「あ、ちょっと待って」

みちる「今日"も"……ホテル………って……」

雄二 「む、珍しい花だ。これ何の花か分かるかみちる」

みちる「え、どれ?」

雄二 「これだ」

みちる「へー。珍しいんだコレ。その辺りにいっぱいあるじゃない」

雄二 「そうだ。ハナビシソウというこの辺り一帯にしか割かない花だ」

みちる「へー。そうなんだ」

ちなみに日本中では割と有名な一年草だったりもする。

みちる「でも、こういうのってなんかいいわよね」

みちる「珍しかったり、当たり前の日常をきちんと感謝できるのはいいよね」

雄二 「……」

中々深い発言だな。

みちる「なによー。なんか言いなさいよね」

ニャンメルのこと。

自分の命のこと。

もう一人のみちる。

色々なことがみちるを成長させ、こういう言葉が生まれたんだな。

雄二 「いや……そうだな」

自分を大切にしない甘えた人間は嫌いだ。

雄二 「みちる。デート行くぞ」

みちる「へ?」

雄二 「走るぞ」

みちる「ちょちょちょ、ちょっと待ちなさいよ雄二!!」

みちるは自分を大切にすることを学んだ。

みちる「これってデートしてるんじゃないの!?」

雄二 「デートごっこの時も俺とのデートを練習しただろ」

みちる「おにー! あくまー!」

そして俺は、人を変える喜びと人に触れ合うことを学んだ。

雄二 「嫌なら来なくていい。俺は走る」

みちる「走らないなんて言ってないんだからね!」

雄二 「……ぷ、」

一緒にいると楽しい。

 

人を大切にする必要を求めなかった俺は、

多分俺が思っているよりも多くのものをみちるから学んでいる。

 

雄二 「ゆっくりでいいぞ」

雄二 「ゆっくりでいいから付いてこい」

みちる「わ、わかってるわよ」

雄二 「……」

みちる「は…は…並んだわよ雄二」

雄二 「俺がペースを落としているからだ」

 

多分、こいつが頭悪いのは、

本当に人を幸せにすることのできる才能なんだと思う。

 

みちる『でもそれにしてもホテルの件をスルーするのは彼女を馬鹿にしすぎだと思うわ』

みちる「あーーーーー!!」

雄二 「……」

なるほど。文字通りみちるは一枚岩ではないな。

雄二 「む。珍しい草だな」

みちる「二度も同じ手は食らうかーーーー!!」

ち、学習しやがった。

雄二 「行くぞ。ペースアップ」

みちる「ゆっくりでいいって言ったじゃない!」

雄二 「よし。展望台まで競争だ」

みちる「ちょちょ、ちょっと待ちなさいよ浮気者!!」

……浮気のラインが見えないのは厄介な現象だな。

みちる『あら、雄二君は二人のものでしょ?』

みちる「いーやーなーのー! ずーるーいー!」

雄二 「……」

みちる「何よ、雄二のやつ。私だって、ちゃんと彼女として扱って……ブツブツ」

みちる『彼、もうあんな遠くまで言ったわよ』

みちる「ちょ、待って…」

みちる「待ちなさいよ雄二ーーー!」

みちる『(……うふふ)』

みちる『(可愛い子ほど、いじめたくなるっていうしね)』

みちる『(結局、みちるは私よりも愛されてるね……)』

みちる「ゆーじー! 本当にそれペース早すぎ! 付いて行けない!」

みちる『雄二くーん! 私が今から追いつくねー!』

みちる「あんたは3回休みなの!!」

みちる「おらあああああああ! 負けてられるか、絶対追いつくんだから!」

 

みちる『(……)』

みちる『(案外、実は私もアナタに劣等感あったりしてるんだけどね)』

 

人は生きているから笑っていられることができるわけじゃない。

でも、生きていないと笑うことはできない。

 

毎日に感謝して、今の大切さを必死に生きる人は幸せで、

その幸せは人に幸福を運ぶ。

 

みちるだったからこそ、

私も、雄二君も今が笑えるんだと思う。

 

みちる『みちる』

みちる「また出た!」

みちる『……』

みちる「なによー」

 

ありがとう、は言ったらダメね。

言ってしまったらみちるは優しいから、また変に気を遣っちゃうし。

 

みちる『……ふふ。呼んだだけ。もうそろそろ見えなくなるわよ』

みちる「きいいいいいいい!」

 

 

 

 

 

———end

 


 
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