No.358111

真説・恋姫†演義 仲帝記 第十八羽「敵(味方)を欺くにはまず味方から、のこと」

狭乃 狼さん

みなさん、どうも。

似非駄文作家の狭乃狼です。

今年最初の仲帝記、まずは汜水関攻撃前の、連合軍側の様子からお届け。

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2012-01-04 16:41:07 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:12432   閲覧ユーザー数:6686

 

 プライド。

 

 直訳すれば自慢、得意、満足。または自尊心、誇り。さらにはうぬぼれ、高慢、思い上がり。

 

 以上のような意味になる言葉である。

 

 自尊心や誇りを高く持つのは、特に悪い事とは言わない。それらを己の支えとすることで、自己を保ち、人生という茨道を歩んでいる者も、数多く居るのだから。

 

 しかし。

 

 それら自尊心や誇りを間違った方向に持ち、己にうぬぼれ、思い上がって高慢な態度を取ることは、けして褒められた行為にならない。

 

 ましてや、己が家名を自慢し、満足するその為だけに、得意になって声を高くするなど、愚にもつかない行いでしかない。

 

 

 四世に渡って、漢の三公(司徒、司空、太尉)を排出した、後漢代有数の名門、袁家。

 

 

 その家名を無二の誇りとし、その家長であることを自慢とし、そしてそれが故に自惚れ、思い上がってしまったことが、彼女の生涯における最大の失策であった、と。

 

 史書、『仲書』の内の一つ、『本初伝』には、彼女、袁本初のことがそう記されている……。

 

 

 第十八羽「(味方)を欺くにはまず味方から、のこと」

 

 

 「おーっほっほっほっほっほっほっほっほっ!!」

 「ぬははははははーっ!!」

 『……(なんだこの光景……)』

 

 二十畳ほどの広さのある、その空間の中に響き渡るのは、やたらと甲高い二つの笑い声。その発生元である二人の人物は、これ以上は無いと言うほどの上機嫌ぶりで、まるで競い合うかのように笑い続ける。

 その二人を取り囲む数名の人物達は、完全に呆れかえった表情をしている者と、全くの無関心な風を装っている者の、二種に分かれている。

 

 「みなっさん!今回は良くぞ!この、袁本初の檄文に応えてくださいましたわ。まあ?大陸一の名門である袁家の家長であるこの私が声をかけたのですから、当然といえば当然ですけど。おーっほっほっほ!!」

 

 長い縦ロールにしたその金髪を揺らしながら、その手を自らの顎に添えつつ、なにやら良く分からないが自信たっぷりに笑うその女性。冀州の牧である、袁紹、字を本初という。

 

 「袁家の家名と言うのであれば、妾の事も忘れてもらっては困るのじゃ!何しろ、袁家の“正統な”家長は、この袁公路なのじゃからな!ぬはははーっ!!」

 「よっ!素晴らしいぞ、お嬢様!何の根拠も無いその自身っぷり!小憎たらしすぎるぞ、このこのっ♪」

 「そうじゃろそうじゃろー!うははーっ♪」

 

 未だ上機嫌に高笑いを続ける袁紹に続くような形で、これまた同じように胸を張って笑ったのは、袁紹の腹違いの妹でもある、袁術その人。その傍にぴったり寄り添う張勲の、彼女を褒めていると言うよりは小馬鹿にしかしていない台詞で、なぜかさらに機嫌を良くしていた。

 

 「……麗羽、それから袁公路。いい加減、そろそろ話を進めてもいいかしら?私たちが一体何のために、今日この場に集まったか、忘れているわけではないでしょう?」

 「あら。華琳さんてばせっかちさんですわねえ。まあいいですわ。とりあえず、初めて顔を合わせる方もいらっしゃるようですし、それぞれに自己紹介などされてはいかがかしら」

 「……なら、私から始めさせてもらうわ。兗州の牧、曹孟徳よ。後ろに控えているのは私の軍師、荀文若よ」

 「……」

 

 金色の髪を両サイドでカールにした眼光鋭い相貌の持ち主、曹操、字を孟徳がその名を名乗り、同時に自身の背後に黙して控える少女の事も、一同に対して紹介を行う。主からその名を上げられたその少女、荀彧、字を文若は、言葉を発する事はせず、ただ沈黙のままにその頭を静かに下げる。

 

 「あらあら。誰かと思えば文若さんじゃあありませんの。どこに言ったかと思えば、華琳さんに拾われていたのねえ。ちんくしゃ同士、お似合いですわよ。おーっほっほっほ」

 「っ!」

 「……控えなさい、桂花」

 「……は」

 

 何かしらの知己なのであろうか、荀彧の事を見知っていた袁紹が、久方ぶりに顔を見た彼女のことを曹操とともに揶揄して笑う。そんな袁紹の態度に腹が立ったのか、荀彧は思わずその一歩を踏み出そうとしたのであるが、主君から冷静に制されたことによって自制をかけ、再び一歩引いて控えていた。

 

 「じゃ、今度は私が。幽州は北平、及び遼東の太守、公孫伯珪だ。以後、よろしく頼む」

 「白蓮さんはお一人……なのかしら?相変わらずお寂しそうですわね」

 「ほっとけ。一応、うちの客将を務めている趙子龍という者が、今回同行してくれているが、今はうちの天幕で待機している。……だから決して、私は寂しくなんかないんだからな?!」

 

 赤い髪をポニーテールにした、一見、何処にでも居そうな感じを漂わせている、白い鎧姿の人物。公孫賛、字を伯珪が、袁紹のその寂しそう、という一言を全力で否定するかのように、その場には同席していない自軍の将の事を、なぜか必死にその口にするのであった。

 

 

 

 「元気出して、白蓮ちゃん。大丈夫だよ、白蓮ちゃんにはちゃんと、私って友達が居るんだから、寂しいことなんか無いよ」

 「桃香あ~……やっぱり、持つべきは友達だよなあ、うんうん」

 「あはは。あ、えっと。平原の相を務めています、劉玄徳と申します。微力ではありますけど、少しでも皆さんのお力になれればと思い、今回この場に馳せ参じました。よろしくお願いします」

 

 半分涙目になりかけていた公孫賛をフォローしつつ、そう自己紹介をして見せたのは、桃色の髪の少女。姓名を劉備、字を玄徳という。

 

 「あ、後私の後ろに居るのが、軍師の」

 「はわわっ、姓を諸葛、名を亮、字を孔明でしゅっ!はうっ」

 「あわわ。龐統、字は士元でしゅ。あぅ、噛んじゃいましゅた」

 

 劉備の背後でちっさくなっていた、ベレー帽と魔女帽をそれぞれにかぶった二人の少女が、劉備の視線が自分たちに向いたその瞬間に、あわてて自己紹介をする。噛み噛みではあるが。

 

 「それじゃあ今度はあたしだな。姓を馬、名を超、字を孟起。西涼連合盟主である馬寿成の長子だ。今回は病床に臥してる母上の名代として、ここに居る従姉妹の馬岱と一緒に参加しに来た。以後、よろしく頼む」

 「馬岱でーす。お姉さまのお目付けとして着いて来ましたー。よろしくー」

 

 長いポニーテールにした茶髪。凛々しさを強く強調するかのような、少々太めの眉。生真面目そう、という表現が一番しっくり来るであろうその少女、馬超、字を孟起が、その顔に笑顔を湛えて名乗りを上げる。その彼女の横に立つショートカットの少女、馬岱もまた、満面の笑顔で皆に挨拶をする。

 

 「それじゃ次は私か。揚州は淮南の牧、孫文台。本初どのの“義憤”に応えるため、連合に参画させてもらいに来た。よろしく頼むよ」

 「その軍師、周公瑾。どうぞ、お見知りおきを」

 

 馬超らに続いて名を名乗ったのは、先ごろ荊州は長沙より揚州淮南へと栄転したばかりの、孫堅その人と軍師の周瑜。

 

 「ならば後は妾なのじゃ!汝南より麗羽姉さまを“助けに来て差し上げた”!袁家正統当主、袁公路じゃ!皆の者、よろしく見知りおくが良いぞ!?ぬはははーっ!!」

 「んもう、お嬢様ってば無駄に尊大なんですから♪でも、そこに痺れる憧れるぅ!……というわけで、お嬢様の補佐兼、身の回りのお世話をさせていただいている、張勲と申しまーす。よろしくどーぞー」

 

 やっぱり噂は当てにならない、と。袁術のその、姉に勝るとも劣らなさそうな、愚鈍っぷりの名乗りを見て、小さく溜息を吐いていたり、顔を引きつかせている一同。

 

 「……はあ。も、なんでもいいや。んで、麗羽?これから私たちは、どう行動するんだ」

 「どうもこうもありませんわ。全軍が揃った以上、時置かずして洛陽を目指しますわ!兵は拙速を尊ぶというでしょう?」

 「へえ。麗羽にしてはいい事を言うじゃない。ならすぐに陣立ての内容を」

 「ですがその前に!この場で、もっとも重要なことを決めておかねばなりませんわ!!」

 『……もっとも重要なこと?』

 

 

 反董卓という立場でこの場に会し、大儀をもって都を悪逆の徒から開放するという、そんな名分を掲げたこの連合軍にとって、最も重要な事とは一体なんだろうか、と。皆が揃ってその首をかしげる中、袁紹が発したその一言は、全員を思いっきり呆れさせるものだった。

 

 「もちろん、この場の総大将を誰にするか、と言うことに決まっておりますわ!誰の目にも明確になる、はっきりとした旗頭を決めておかねば、後々、陛下を初めとした都の方々が、誰に賞賛の言葉を送っていいか困ってしまわれますもの!おーっほっほっほっほ!!」

 『……』

 

 ああ、要するに、自分がその立ち居地に立って、一番に目立ちたいんだな、と。袁紹のその言葉の意味を瞬時にして理解し、同時に心底から嘆息した諸侯。

 そんな諸侯の中において、他の面々とは違った意味で嘆息している者が、一人だけ居た。

 

 (……分かっていた事とは言え、本気で情けない……あれが妾の姉上とは……)

 (しーっ、ですよ、お嬢様。……下手なことを言って誰かに聞かれたら、今までの演技がばれちゃいますからね?)

 (……っ。……分かっておる)

 

 久々に顔を見た腹違いの姉のその余りの愚者ぶりに、呆れ果てると同時に思わず、その声を大にして諫言したくなっていた袁術だったが、張勲の諭しに何とか冷静さを保ち、それまで通りの愚者ぶりを演じ続ける。

 

 「……そーゆー事であるならば、じゃ!ここはやはり名門一族である妾がなるべきじゃろう!なんと言っても、妾こそが!袁家の正統の当主じゃからの!」

 「あ~ら、美羽さんてば何を、仰っておられるのやら。袁家の正統な当主は、この、わ・た・く・し!ですわ!そしてそれはすなわち、私こそが名門の名を背負うに相応しいということですわ!おーっほっほっほっほ!!」

 「……だったら、本初でいいだろ。何より今回の義挙の発案者でもあるんだし、兵数から言っても冀州勢が一番多いしな」

 「そうだな。一番数の多い所が本隊を務めるのが、ある意味常道だしな」

 「だそうよ、麗羽。……連合軍の盟主は麗羽。それで良いでしょ?公路殿もそれでいいわね?」

 「なんじゃとおっ!?って、むぐっ?!」

 「はいはいー。私たちもそれで構いませんよー。ねえー、お嬢様?」

 「むぐ、むぐう~!!」

 

 孫堅、公孫賛、曹操の三人が、揃って袁紹を総大将に推した事に、袁術は未だ納得がいかない風を装うため、さらに抗議の声を上げようとするのだが、張勲がそれを示し合わせたかのように制し、彼女の口を押さえつつ、一同の傍から下がっていった。

 

 

 その後、唯一の反対意見者であった袁術が引っ込んだことで、連合の盟主は袁紹に決定し。その彼女の指名によって劉備勢が、この先に待ち構える、都に到達するための第一の関門、汜水関攻略の先鋒を務めることになった。

 ただその際、劉備軍の戦力が先鋒としては余りに少な過ぎる事を危惧した孫堅によって、公孫賛軍と孫堅軍がその一翼を担うことになり、最終的に劉・孫・公孫の三軍の合同に寄る汜水関の攻略ということで、その場は落ち着いた。

 

 「日の出とともに進軍を開始!華麗に、優雅に、そして雄雄しく!前進しますわよ!」

 

 と、いう袁紹のその作戦(?)の下、連合軍は明朝の出立に備え、各々休息に入った。そして、その夜の袁術軍天幕。 

 

 「ほんっっっっとに!情けのうて涙が出るわ!麗羽姉さまのあほたれ!!胸にばっかり無駄に栄養が回りすぎなのじゃ!!」

 「……本当に、全然変わってませんでしたねえ……麗羽嬢は」

 「今は亡き麗羽様の母君……袁成さまがこれをお知りになられたら、どれほどお嘆きになられるやら……」

  

 今の今まで、我慢に我慢を重ねていたその一言を、ここぞとばかりに叫ぶ袁術のその姿を見つめ、彼女のその想いに同調の意を示すのは、袁術に着いて連合(こちら)側へと同行している、諸葛玄と紀霊の二人。

 そしてもう後三人、袁術と張勲以外にその場に同席している人物が居た。   

 

 「先ほどの軍議では、袁家の見苦しい部分をお見せしてしまい、本当にお恥ずかしい限りです、蓮樹おばさま方」

 「……おば様?」

 「……ぴっ!?ご、ごめんなさいなのじゃ、蓮樹お姉さまっ!!(ガタガタブルブルガタガタブルブル)」

 

 その人物の内の一人、孫堅のその青い瞳に見据えられ、子リスのように縮こまって震えながら、袁術は慌ててその呼称を言い換える。

 

 「ん、宜しい。……ま、それはともかくとして、だ。麗羽の態度や考えがどうであれ、あたしらは明日、汜水に向けて軍を進めないと行けないわけだが、七乃」

 「あ、はい。何でしょうか、文台様」

 「あっちに行った連中……うまく話を纏めているんだろうね?」

 「そこは安心していいですよ、蓮樹ちゃん。つい先ほど、一刀くんから棗ちゃんの…魯子敬の部下を通じて連絡がありました。無事、共闘の意と此方の策を伝え、向こうにも了承をもらえたそうですよ」

 

 いつもと変わらぬ飄々とした態度と笑顔のまま、諸葛玄は孫堅に対し、作戦が無事進行していることを伝える。

  

 「そうかい。そいつは重畳、だね」

 「しかし、公路様より始めて連絡を受けた時には、本当に驚きました。此方も明命配下の草達によって、洛陽の最近の様子は掴んでいましたが、さすがに董相国本人の人柄までは分かりませんでしたからね」

 「そうね。まさか漢の相国様が、虫も殺せないような優しく儚げな少女だなんて、誰も想像だにすらしていないでしょうね」

 

 孫堅以外の残る二人の人物、周瑜、そして孫堅の姪である孫皎が、その顔に苦笑を浮かべつつ、それらの事実を口にする。

 

 孫堅らの下にそれが訪れたのは、袁紹から送られてきた件の檄文に対し応えるかどうかの議論を、彼女らの新しい居城である廬江(ろこう)の城にて行っていた、ちょうどその真っ最中のことだった。

 袁術からの使者を名乗る一人の少女が、何の前触れも無く孫堅らの元を訪問し、洛陽と董卓その人に関する仔細を記した袁術直筆の文を、彼女らに届けたのである。

 さらにその上で、謂われなく悪逆の徒扱いを受けた董卓を助けるべく、自分たちは連合と董卓軍側の、その双方に着いて策を展開するため、孫堅にも密かに助力を請いたいと、使者であるその少女、諸葛瑾はそう袁術の言葉と意思を伝えたのである。

 

 袁紹と袁術。

 

 そのどちらの言葉を信用するかと、孫策らはその場においてわずかに逡巡したのだが、家長である孫堅はいともあっさり、袁術の言葉を信じると言い切り、策への惜しみない協力を、その場で諸葛瑾に約した。

 そして、孫堅と孫皎、周瑜の三人でもって廬江の地を出立し、豫州北部にあるこの地にて、袁紹ら連合参加勢力との合流をすることになった。

 もっとも、連合参画を決めたその際に、母親から留守番を言い渡された孫策が、その場でかなりごねたのだが、ちょうどその頃、揚州南部方面に不穏な動きが見られているという事情もあり、それを抑えるためにも孫策が残って、かの地に睨みを利かせなければいけないという事もあって、渋々、妹や若手の将、軍師らとともに、淮南の地に残ったのであった。

 

 「いい加減そろそろ、お前も次期孫家家長として、自覚を持たなきゃいけない頃合だ。家長たる者、時には家に残って、周囲にどっしり構えて見せることも必要だ。王というのは、兵の将である事より、将の将であらねばならないこと、この際しっかり覚えておきな」

 

 いつに無く真剣な表情をした母親から、まっすぐにその瞳を見つめられ、王としての心構えを、そう諭されていた孫策であった。

 

 

 話を元に戻すが。

 

 そうして連合勢に合流した孫堅たちは、前もって示し合わせていたとおり、袁術と張勲が軍議の場で行う、愚者を装った演技を何も言わずに、表面上はあきれ果ててものが言えない態度を終止貫いて、見つめていた。

 

 『連合参画中、袁術(自分)は徹頭徹尾、愚者を演じ続け、この戦を長引かせることに終止する』

 

 という袁術のその芝居に付き合い、袁紹をものの見事に誘導した袁術の後をさらに押して、連合の総大将に推し、袁紹先導による無為無策なままの戦が進行するようにも仕向けた。

 さらに、先鋒を命じられた劉備に協力するという名分の下、可能な限り汜水関の攻略を遅らせても見せる腹積もりで居る孫堅であった。 

 

 「……本当ならこの場で一番の上策は、董相国のその真の姿が、麗羽の奴のいう悪逆非道とは、実は全く逆のものだったと、世間に広く知らしめて、さっさと麗羽に矛を収めさせるのが、最上……なんだけど」

 「もはやこれだけ一人歩きしてしまった情報を、今から真実をもって上書きする為には、少々時間がかかり過ぎますし、何よりそれを信じてもらえるかどうかすら、危ういでしょう」

 「さらに言えば、相国は内にも敵を抱えていますからね。宮廷内の反董卓勢力……それらを沈黙させないことには、相国のみならず、陛下すら下手に動けないとのことですからねえ」

 

 まさに内憂外患というやつですねえ、と。諸葛玄はそう言って肩をすくめて見せた。

 

 「……中々に難しいものだな……。それで、張勲?最終的にはこの戦、お前達はどう収めるつもりなのだ?」

 「そうですねー。一番の理想は、連合軍が洛陽に到達するその前……出来れば虎牢関位で完全に足止めした上で、陛下の勅でもって戦を鎮定……と言うのが、最上の結果なんですけど」

 「それが叶わなかった場合は?」

 「……残念じゃが、董相国には“死んでいただく”しか、手は無くなるじゃろうな……」

 『……』

 

 出来うる事なら取りたくない、最悪最後の手段。それが袁術の口から悲痛な面持ちでもって語られると、他の一同はそれ以上何も言うことが出来なくなり、そうせざるを得なくならないよう、改めて策の成功の為に誓いを立てるのであった。

 

 そして、長いような短いような、そんな夜は明け。

 

 劉、孫、公孫の、三つの牙門旗を掲げた軍勢を先頭に、およそ二十万の反董卓連合軍は、最初の関門である汜水関を目指し、意気揚々と進軍を開始した。

 そしてその彼女らの目指す汜水関には、『張』と『華』の二つの旗がはためき、その旗の下にて四つの人影が、迫り来る大軍をじっと見据えていたのであった……。

 

 ~続く~

 

 

 狼「予告どおり、高笑いから始まりました、新年一発目の仲帝記です」

 輝「後書き担当の輝里です。今年もヨロシク」

 命「同じく、今年も後書き担当の命じゃ。よろしゅう頼むな?」

 

 狼「今回はまず、連合に参加した美羽たちの側から、お話をお送りしました」

 輝「概ね予想通り、お姉さんに呆れるどころかそれを通り越して、怒ってましたねー、美羽ちゃん」

 命「とはいえ、本人の前ではそれをおくびにも出す事無く、自らもまた馬鹿を演じきって居ったの。いや、大人になったものじゃ」

 狼「だあねー。そしてその美羽たちに協力することになった、孫堅ママ」

 輝「カッコイイというか、渋いと言うか。こちらも大人ですね」

 命「大人というよりはおばs(ぞくっ!)な、なんじゃ?!なにやら急に寒気が・・・!!」

 狼「それは禁句!思っていても言っちゃだめ!!・・・命が惜しければね」

 命「ガタガタブルブルガタガタブルブル」

 

 輝「ま、まあ、それはさておき。雪蓮さんたちは今回、孫堅さんに同行していないんですね。結構珍しいパターンかも」

 狼「後々の為の伏線にね。どういう意味でのかは、もちろんまだ内緒だけど♪」

 命「で?次回は董卓軍の方に行った一刀達の話しになるのか?」

 狼「そういうこと。汜水関に挙がってる旗の通り、董卓軍の守将はいつもの二人。後の二人が誰と誰かは・・・次回にて」

 輝「私の出番?」

 狼「それも秘密」

 命「妾は何時出るのだ?」

 狼「それも同上♪」

 輝「・・・決めていないだけだったりして」

 狼「さあねえ~?ww」

 

 命「では、今回はこの辺でお開きかの?」

 狼「はい。それでは皆さん、また次回、仲帝記、第十九羽にて、お目にかかりましょう」

 輝「今年も沢山のご指導ご鞭撻、どうかよろしくお願いしますね?あ、勿論最低限のマナーは守った上で、ね?」

 

 『それでは、再見~!!です♪』

 

 

  


 
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