真・恋姫†無双~赤龍伝~第92話「いざ、恋姫の世界へ(二)」
元いた世界に戻る為、次元の切れ目の中に入った赤斗たちは暗闇の中を進んでいた。
雪蓮「…何も見えないけど、本当に大丈夫なの?」
暗闇の中、雪蓮がつぶやいた。
赤斗「大丈夫だよ。今のところは一本道だからね」
先頭を歩く赤斗が答えた。
流琉「こんなに暗いのによく見えますね」
赤斗「まあね」
冥琳「しかし、これでは手を離す事もできんな」
関羽「まったくだ」
赤斗たちは暗闇の中を離れ離れにならないよう、赤斗、雪蓮、冥琳、恋、関羽、流琉、季衣の順に手を繋ぎながら歩いていた。
気が付いた時には貂蝉の姿はもう無く、ただひたすらに一本の道を歩いていた。
季衣「ねえー。まだ着かないのーー?」
赤斗「分からないね。道はまだまだ続いているみたいだからね」
季衣「えーーーー!」
もうどれくらい歩いただろうか。時間の感覚がおかしくなっていた。
龍の眼を使っていても疲労が少ないので、実際はそんなに時間は経っていないのかもしれない。
だが、ただ単に暗闇の中を歩くという事が肉体的以上に、精神的な負担が掛かっていた。
雪蓮「ねえ。私たち本当に帰れるのかな?」
誰もが思っていた疑問を雪蓮が口にした。
関羽「確かに、いつまで経っても暗闇の中だ。進んでいるのかさえ怪しいものだな」
赤斗「進んでいるのは確かさ。それに…」
雪蓮「それに何?」
赤斗「ようやく出口が見えてきたようだしね♪」
赤斗は前方から光が見える事に気がついた。
雪蓮「何ですって!!」
関羽「どこだ!?」
冥琳「何も見えないが…」
雪蓮たちが辺りを見回すが出口らしきものは全く見えなかった。
流琉「一体どこにあるんですか?」
赤斗「皆にはあの光は見えないのか。安心して本当にすぐ側まで来てるから」
季衣「やったーー!」
関羽「なら急ごうではないか!」
赤斗「了解♪」
一同に急かされ赤斗は歩くスピードを速めるのであった。
一方……。
赤壁の戦い後、王と大都督と総参謀を同時に失った呉では、色々と混乱があったものの蓮華が雪蓮の跡を継いで王となり、司馬懿との決戦に備えていた。
司馬懿は魏の領土を七割以上を制圧し、今は洛陽を本拠地として呉、蜀、魏に戦いを仕掛けてきていた。
―――建業・玉座の間―――
穏「曹操さんと劉備さんから、戦闘準備を無事終えたと知らせがありました~♪」
蓮華「そう…分かったわ」
玉座には穏と藍里、そして、王となると同時に長い髪を切った蓮華がいた。
藍里「いよいよ総攻撃ですね。私たちも魏軍、蜀軍との合流を急ぎましょう」
蓮華「……そうね」
藍里「蓮華様?」
穏や藍里の報告にも蓮華は心ここにあらずといった様子だった。
穏「はぁー。やはり、まだ赤斗さんたちの事を気にしているみたいですね~」
藍里「……それは仕方がありません。穏ちゃんは大丈夫なんですか?」
穏「大丈夫なわけないじゃないですか~。でも、いつまでも悲しんでばかりはいられませんからね~」
藍里「そうですね。亞莎ちゃんも大都督として頑張っていますし、私たちも頑張って蓮華様を補佐していきましょう」
穏「はい~♪」
―――火蓮の屋敷―――
火蓮「いよいよ決戦だな」
亞莎「はいっ!」
火蓮に決戦の報告に来ていた亞莎の声が屋敷中に響く。
亞莎「五日後には全軍が蜀軍と魏軍と合流する予定です」
火蓮「なんだか反董卓連合を思い出すな」
亞莎「そうですね。しかし、相手の戦力は董卓軍を優に上回っていますが」
火蓮「だろうな。だが今回、私たちも反董卓連合とは違う。曹操や劉備と共に真の平和を築いていく為に戦うんだ。その力を見せてやろうぞ!」
亞莎「あ、あの火蓮様。まさかと思いますが、火蓮様も出陣するおつもりですか?」
火蓮「無論、そのつもりだが…悪いか?」
亞莎「い、いえ、そういうわけではありません! ただ火蓮様は建業に残るものと思っていましたので…」
火蓮「今回は総力戦だというに、屋敷に残っていられるか!」
つづく
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あけましておめでとうございます。
ひさびさの投稿にして、今年の初投稿になります。
今年もよろしくお願いします。