No.355711

桔梗√ 全てを射抜く者達 第38射

黒山羊さん

今から酒を飲んで、寺に初詣行く黒山羊です。
あぁ、エビス美味い!やっぱり、発泡酒より、ビールだな。
でも、安いワインを三ツ矢サイダー割りというのも良いな。

最後になりますが、

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2011-12-31 22:54:42 投稿 / 全13ページ    総閲覧数:7983   閲覧ユーザー数:2995

桔梗√ 全てを射抜く者達   第38射

 

 

 

 

視点: 桔梗

 

荊州の攻略が始まろうとしている。荊州を治めるのは黄巾党だ。

詠の放った間諜の話しによれば、この黄巾党は前の以前の黄巾党と何か違うものだという。

以前のような団結力は無いが、軍事力はあるらしい。それは荊州の州牧の軍を討伐したことから分かるじゃろう。

といっても、荊州の州牧の軍が単なるヘタレじゃったとも解釈できるが、荊州の名立たる賊が幾つも加わっている事を考えると侮れない。

だが、それはあくまで戦術での話。戦略に関しては未知数じゃが、荊州の全てを掌握しているとなると油断は出来ぬな。

 

そして、そんな荊州攻略の為に洛陽を出陣しようとしておるのは桃香殿の軍勢とわしの軍勢じゃ。

そうそう、桃香殿というのは劉備の真名で、洛陽で親交を深め、真名を交換したのじゃ。桃香殿の臣下とも真名を交換しておる。

これからは桃香殿の客将扱いなので、桃香殿と『殿』を付けておる。私的な時は『殿』は抜いてくれと言われておる。

気さくな方じゃ。そして、決断力もあり、情に熱い。故にあれだけ民に慕われておるのじゃろう。

 

しかしあれじゃな。世の中面白いもんじゃ。

自分の無力を否定する為に戦う一刀、己の力を知らしめ絶対的力のもとに全てを平伏させる曹操と孫策、争うことが嫌いな月殿、他者の不幸が自分の不幸の桃香殿、どの者に関してもこの平和の為に戦っておる。こんなに主張が違うのにじゃ。

わしか?わしは酒を皆と飲める刹那な安寧を守りたいそれだけじゃ。くだらぬかもしれぬが、それが出来たら十分。それ以上は望まぬ。

じゃが、あの荊州の黄巾党には平和の文字が一欠けらも無い。誰かを食い物にして得る己の安寧は平和とは言えぬ。

だから、わしらは戦う。平和の為に、たとえ、犠牲が出ようともじゃ。

 

「おっと、ようやく大将のお出ましじゃな。」

 

そう言うと、桃香殿が出て来られた。そして、桃香殿は劉家に代々伝わるという宝剣靖王伝家を高々と掲げ集まった兵に激励を飛ばす。

そして、桃香殿の軍勢はそれに答えるように雄たけびを上げる。桃香殿の軍の士気は高い。

桃香殿の軍勢の殆どはあの袁紹から逃げた経験がある。そして、桃香殿は兵やその家族を守るために腹心を1人曹操に差し出した。

そんな苦渋の決断に兵達は感激し、桃香殿に恩を返したいと思っているのだろう。

 

わしの軍の士気も高い。この荊州攻略が終われば、次は益州成都への侵攻。それはつまり一刀の救出へと繋がる。

一刀は軍の中でも人気があった。その証拠にあの『人狼部隊』の入隊希望者数と倍率が全てを物語っている。

当然、わしも一刀の救出に行きたい。凪と鮮花はもうすでに闘気が漏れてしまっていて、周りの真桜と沙和が若干引いている。

杏里はいつになく真剣な顔をしている。ただ……。

 

「あぁ、桃香様、綺麗だなぁ//////。」

 

わしの横で焔耶がそう呟く。完全ホの字じゃな。まさか焔耶がこんな性癖の者とは思わんかった。

わしは焔耶の教育を間違えたのじゃろうか?小さい頃から男くさい酒場に連れて行ったのが、間違いだったのろうか?

男に対してそんな気を起こさなくなったのだろうか?だから、女なのか?

わしは焔耶の将来が不安になってしまった。

 

桃香殿の激励が終わるとわしらは洛陽を出た。

向かう先は紫苑の居る荊州の北部の南陽へと向かうこととなっている。洛陽から街道があるおかげで行軍は容易だった。

途中、黄巾党の襲撃を受けることも無く、なにか問題が発生するようなことも無く、南陽へと到着した。

そして、南陽の門が開かれ、紫苑と面会する為に、わしらは玉座の間へと向かっている。

 

紫苑にこの事についての連絡は既に行っている。

そして、紫苑は桃香殿の将となり、わしらの軍と桃香殿の軍は南陽を拠点とし、月殿からの補給支援を受けることとなっている。

紫苑が桃香殿の客将ではなく、将として降るのは、荊州の事情を知っているということと、一刀を一人占めにするという思惑があるらしい。

わしの陣営に入れば、確実に一刀と接する機会は増えるが、一人占めは出来ない。

しかし、もし桃香殿の陣営に降り、一刀が手に入れば、桃香殿の陣営で一刀に惚れている紫苑一人であるため、確実に一人占めできる。

なんとも計算高い狡い奴じゃ。じゃが、一刀は紫苑に渡すつもりは無い。

 

そして、わしらは紫苑のいる玉座の間へと入った。

 

 

 

 

紫苑は玉座の間の玉座に座らずに階段の下でわしらを待っていた。

桃香殿が入ると、桃香様の前に行き、跪き、降将になる儀式を始めた。

降将の儀式と言っても、この城の倉の鍵とこの城の城主であることを示す印鑑を渡し、真名を預けるだけの簡単なものだ。

儀式が終わると、朱里に連れられて桃香殿が玉座へと座る。

 

そして、紫苑から荊州の情勢を詳しく聞き、荊州攻略の為の軍議が行われた。

黄巾党は荊州の南部の零陵の城を本拠地としているらしい。兵の総数は50万。あの劉焉の軍勢の倍以上もある。

賊の集まりの所為か、備蓄はあまり無いようで、農村を襲い、食料を調達しているようだ。

黄巾党は農民たちを殺しはしないらしいが、農民は暴力を受けていると聞かされた。

他に農民を殺さない理由を上げるとしたら、殺してはまた農作物を調達できなくなってしまうと踏んでいるのだろう。

農民からすれば、漢王朝の豪族が高い税を要求していた頃より、悪化していると言える。

この農民に対する暴力は日に日に悪化しており、農民が作物を作れない状況になりつつあるという。

 

方針としてはこのまま街道を通り南下し、黄巾党の支配下になっている全ての城を落とし、最後に荊州黄巾党の本拠地を落とす。

そして、途中で通過した街や農村に洛陽からの農作物を配給と一時的に農作業の補助をしていくことが決まった。

行軍は早くなくても構わないとのことじゃ。地盤固めをせずに行軍しては、東の孫策や西の劉焉が攻めて来るやもしれぬ。

そうなっては漁夫の利じゃ。

 

軍議が終わると紫苑がわしの方に寄ってきた。そして、睨みつけてくる。

その光景を見た周りの者は静かになる。そして、紫苑は笑顔でわしに話しかけてきた。

 

「久しぶりね。桔梗。」

 

「いつぶりかのう?」

 

「蒼の所で会ったのが最後だったわよ。」

 

「あぁ、そうじゃったな。で、わしに何の用じゃ?」

 

「一刀さんは絶対に貰いますからと、宣戦布告ですわ。」

 

「そうか。だが、わしもそう簡単にお主に一刀を譲るつもりは無いぞ。」

 

「あら、やっと自覚したの?やっぱり、恋敵はそうでないとね。」

 

「まあ、色々とあってな。

それより、一刀はわしのものじゃ。紫苑の毒牙にかからせるつもりは毛頭ないから安心しておけ。」

 

「それはこっちの台詞よ。……フフフフフ」

 

「ははははははは。」

 

わしと紫苑の乾いた笑い声が玉座の間に木霊する。おかげで殆どの者がわしと紫苑から後ずさりする。

真桜と沙和、朱里と雛里はもう完全涙目でお互いに抱きついている。桃香殿と凪は冷や汗が垂れている。鈴々は半笑いだ。

星は一刀を知らない上にあの性格だ。かなり興味しんしんの笑顔でこちらを見て来る。

杏里は歯ぎしりをしている。よく聞こえないが、『アノチョウチチオバケドモガ!ナニチチブツケアッテンデスカ!』と訳の分からない呪文を唱えておる。そして、璃々がこの空気に耐えられず、泣き始めた事で、この場は解散となった。

 

解散すると、簡単に部屋ふりが行われ、わしは自分の荷物を自分の部屋に置きに行った。

まあ、荷物と言っても服ぐらいのものだ。十数日もすれば、ここを出て、南下する。

わしは荷物を起き終わると、外に出て、焔耶達と簡単な鍛錬し、わし一人だけ早めに切り上げ、近くの川で水浴びをする。

この時期の水はとても冷たい為、身に浸みる。城に戻ると、酒壺を持った星が話しかけてきた。

 

 

 

 

視点:星

 

「桔梗殿よ。よければ、これから飲みませぬか?」

 

「星か。わしは良いぞ。しかし、わしと飲みたいとは珍しいな。」

 

「あぁ、射撃狼殿の事を私だけ知らないので、個人的にその話をしながら、少しばかり飲みたいと思っただけだ。」

 

「そう言われると、恋敵が増えそうな気がして心配だが…。

まあ、幾ら恋敵が増えたところで、全てわしが返り討ちにするつもりじゃから良いぞ。」

 

「そうか。それでは。」

 

桔梗殿と城壁の上で、星を見ながら飲むこととなった。

時間は夕食後すぐだ。この時期は日が落ちるのが早いおかげで、夕食後でも星が十分に見える。天気が良くてよかった。

私は城壁の上に立つ見張り小屋の屋根の上に座って桔梗殿が来るのを待っていた。

 

「おーーい、星、来たぞ。」

 

私はその声に反応して、立ち上がると、後ろに回りながら跳躍する。

そして、屋根の端を掴み、屋根にぶら下がった状態になる。その後、手を屋根から放し、着地する。

 

「おぉ、見事じゃな。さすがは、華蝶仮面。」

 

「なぜ、それを!」

 

「顔の一部しか隠しておらぬのだから、すぐに分かるわ。」

 

「むぅ、初めて正体がばれてしまった。何とかせな……。」

 

「安心しろ。正体を見抜けぬ民の夢を潰すつもりは無い。それより、わしに聞きたいことがあったのではないのか?」

 

「おぉ!そうだった。射撃狼殿が桔梗殿の目にはどのように映っているのですか?」

 

「わしの目?」

 

「左様。私はこれまでに桃香様や愛紗……関羽のことです。それに鈴々、朱里、雛里。

さらに焔耶に凪、沙和、真桜、杏里に鮮花に聞きました。それゆえ、だいたいのことは分かっています。」

 

「ならば、わしに聞く必要はないのではないか?」

 

「いや。もっとも射撃狼殿との距離が短いと思われる桔梗殿の目にはどう映っているのか分かりません。

それはすこしばかり、探究心から知りたいと思っただけですよ。」

 

「………そうか。わしの目から映った。一刀か。

なんというか。あれじゃ。狼なんぞ言われておるが、わしには子犬も見える。」

 

「子犬ですか?」

 

「左様。あやつは死にたがり屋だったが、今は単なる寂しがり屋だ。」

 

「死にたがり屋。それは射撃狼殿の『俺は無力で無い事を実証する為に戦う。』というあれだろうか?」

 

「まあ、声は全く似ていないが、それじゃ。」

 

「で、寂しがり屋というのは?」

 

「あやつを一人の兵士として見るとわしも見習わなければならないほどの素晴らしい兵士だ。

さらに、料理もできるし、子供の相手も出来る。そして、天の国の知識でわしらには考え出すことが出来ない様な政策を考え出す。

………だが。」

 

「だが?」

 

「一刀は『わし』を一人の異性として好いておるらしく、一刀の行動原理のほとんどが『わし』だというのだ。」

 

「ほう。故に寂しがり屋だと。で、桔梗殿はそんな射撃狼殿をどう思っておられるのですか?」

 

「わしはあやつが好きじゃ。一人の男としてな。」

 

桔梗殿はどこかを見ながらそう呟かれた。

星座から考えるに、桔梗殿が見られているのは西の空だな。そして、西には成都があり、射撃狼殿が居られる。

楽しみだ。桔梗殿だけではなく、様々な将を惚れさせる魔性の狼殿に私は会ってみたい。

あわよくば、その牙に掛かってみたいものだ。

 

 

 

 

―十数日後―

 

南陽を出て、南下を始めた。目標は義陽の城。

此処の城の城主は黄巾党だ。つまり南陽のように簡単に城に入れるわけではない。

義陽の城に入ったら、南陽からの支援を受けながら、内政を整え、また南下するという訳だ。

 

洛陽からの輜重隊の受け入れや備蓄の管理を行うのは、真桜だ。

当初、桔梗殿は真桜のサボり癖を心配しておられたが、射撃狼殿に幻滅されないように頑張ると言ったので、それを信じることとなった。

射撃狼殿という人物は相当な女たらしだな。

 

私の部隊は街道から少し西にずれてから、南下し、義陽の城を西から攻めることとなった。

攻め方は不意打ち。つまり言うところの伏兵というものだ。だが、目立つ伏兵だ。

目立つ伏兵の意味が分からないであろう。簡単に説明しよう。作戦の流れはこうだ。

 

まず、桃香様の軍勢が義陽の城を北から攻める。

黄巾党は桃香様の軍勢を迎え撃つべく城から出て来るか、籠城戦をするかのどちらかだろう。

その結果、黄巾党は北の門へと兵力を集中させる。そして、桃香様の軍勢と黄巾党は衝突する。

だが、衝突も一瞬だ。桃香様の軍勢は一当てすると、北東へ退却する。

退却したのと同時に、私の軍が義陽の城を西から攻撃する。

そこで、黄巾党は『北からの部隊は囮で西からの部隊が本命で、不意打ちで城を落そうとしている』と思い、兵力を西側に集中させるだろう。

だが、そう。私の軍勢さえも囮だ。

 

時間差で、東側から鈴々と凪の部隊が突撃する。突撃力のある部隊編成だ。

東は西の正反対。西に兵力を集中させているのだから、黄巾党は兵力を東に集中させるのに時間が掛かる。

黄巾党の兵が東に来るまでに、北東に逃げた桃香様の軍勢が合流し、鈴々と凪の部隊を援護する。

そして、その間に鈴々と凪の部隊が城門を突破し、義陽の城を制圧するという訳だ。

 

城を制圧したら、黄巾党は散り散りになるか、こちらに攻撃を仕掛けて来るかのどちらかだろう。

もし、後者だとしても、こちらには城という理がある。

さらに、城の西には私の部隊が居る。挟み撃ちにすれば、容易に黄巾党を打倒できるわけだ。

 

こんな計算され尽くされた策を考えて使う。

こんな恐ろしい策を出し惜しみしないという事はそれだけ策があるということだろう。

朱里、雛里、杏里の三人が組むと怖いモノだ。

 

「川に橋、そして、城の方向と地系からすると………此処が待機場所だな。

各員待機しろ!だが、何時でも戦える準備はしておけ!桃香様の軍が3度銅鑼を鳴らしたら、城に向かって突撃だ!いいな!」

 

そういうと私は馬から降りて、川の方へ行く。

川の水は透き通っている。私は懐から竹で作った簡易の器を取りだし、川の水を掬うと、自身の喉を潤す。

これから戦だ。故に、十分な水分補給は大事だ。

 

 

 

 

「ふぅー。」

 

私は一気に水を飲むと、塩分補給用のメンマを懐から取り出す。

塩分の補給も大事だ。汗は単なる水では無い。塩分を含んだ水だ。だから、ある程度の塩分を補給しなければならない。

 

「荊州のメンマも侮れんな。」

 

「こんな時でもメンマか?」

 

「本当にメンマが好きね。星ちゃん。」

 

そう言って私に話しかけてきたのは、桔梗殿と紫苑と杏里だった。

桔梗殿と紫苑は私の横に座る。杏里は何かを目に当てている。

 

「軍師殿、一体それはなんだそれは?」

 

「これか?天の国の偵察器具。双眼鏡です。簡単に言えば、遠くのモノが良く見える眼鏡と言ったところです。

一刀さんの持っていた物を見て、真桜が試作品を作らせました。その試作品がこれです。

黄巾党が城から出てきました!軍師が考えているより、簡単に落ちそうですね。」

 

「そうだな。」

 

「そうね。」

 

私はそういうと龍牙を軽く振るい感触を確かめる。一方の紫苑は腰の矢筒に入っている矢の本数確かめているようだ。

杏里は双眼鏡を鞄の中にしまう。桔梗殿は裾についた草を払い、豪天砲の動作を確認する。

そして、軽く柔軟をすると、銅鑼が鳴った。回数は三回。音からして間違いなく桃香様の軍勢のモノだ。

そうつまり、予定通りの桃香様の軍の退却の合図だ。

 

「では、行くぞ!全軍突撃!」

 

私は馬に乗り、私の合図で軍は城に向かって走り出す。橋を越えたら、その先は開けた場所だ。

このまま黄巾党が釣れ無かったら、城門を突破するようにと言われたが、やはり得物は釣れたようだ。

北の方からおよそ数千、城の城壁にはおよそ千の兵が見える。

 

私は軍を二つに分ける。私の軍と桔梗殿と紫苑の軍だ。

私の軍は北に向かい、敵を迎え撃つ。一方の桔梗殿と紫苑の軍は射撃で城を攻撃することとなっている。

 

「こやつらは人としての誇りを捨て、弱いモノを食い荒らすことしかない獣だ!

獣に犯した罪の重さを思い知らせてやるぞ!」

 

私の部隊と黄巾党が衝突した。私は龍牙で次々と黄巾党の心の臓を貫き、葬っていく。

だが、やはり軍を3つに分けた結果、兵数が少なくなり、こちらが若干押され気味だ。

そして、2度銅鑼が鳴らされた。これは杏里からの銅鑼だな。十分時間は稼げたようだ。

私は退却指示を出し、馬に乗ると、西へと軍を移動させる。やはり我が軍の方が行軍速度が速いらしい。

黄巾党を引き放し、一気に橋を渡る。私の部隊が渡り終わると、続いて桔梗殿の部隊が来た。

 

 

 

 

視点:桔梗

 

わしは軍の最前線に行き、黄巾党と戦い、紫苑と共に兵達に橋を渡らす。

そして、橋を渡り切った者達に援護射撃で黄巾党を足止めしてもらいながら、わしと紫苑は一気に橋を渡る。

途中で黄巾党は走って追いかけて来るのではなく、射撃でわしと紫苑を殺そうとしてきた。

わしは紫苑を先に行かせる。わしの豪天砲の方が防御に向いているからだ。わしが矢を防ぎ、紫苑を先に逃がす。

紫苑も紫苑で、矢筒と弓でわしの防御の隙間から紫苑の方へと流れて行った矢を防いでいく。

このままいけば、あと数丈で橋を渡り切れる!そう思った時だ。

 

「きゃぁ!」

 

「紫苑!?」

 

わしは紫苑の叫び声に振り向く。紫苑は橋の上で倒れていて、右足に矢が刺さっていた。

どうやら、わしの防御圏内に入らないように、殆ど真上に放った矢が落ちて来て紫苑の脚に当たったようだ。

紫苑の前に立ち、わしは紫苑を庇う。その間に紫苑を逃がす。そのつもりだった。

だが、黄巾党はわしらと紫苑を討つ絶好の機会だと踏んだのか、こちらに突撃してきた。

相変わらず、こちらに向かって射撃をしてきている。

 

わしは防御をしながら、豪天砲に弾を装填していく。

防御しながらということもあり、装填に時間がかった。なんとか装填が終わると、わしは豪天砲を構える。

防御は出来ないが、これしかわしの頭では思い浮かばなかった。

黄巾党が迫って来ている。もう距離は残り3丈。

 

わしは橋の床に向かって豪天砲を放った。ただ放っただけでは無い。

何発もなぎ払うように撃つ。その結果、橋の床は抜ける。

更に、大人数が橋の上で疾走する所為で、わしの壊した部分が振動で、広がる。

おかげで、こちらに突撃しようとしていた黄巾党は皆橋から落ちて行く。

ただ普通に川に落ちるのではなく、橋の骨組みに当たる者が多く。負傷していく。あれだけの高さだ。かなりの重傷だろう。

そんな重傷で川に落ちれば、まともに動けず、溺死確定じゃな。

その穴に黄巾党の軍の後ろの方は気付かないため、後ろから押された前の軍の者が次々と落ちて行く。

わしの咄嗟の攻撃が黄巾党の戦力を二百近く削った。

 

だが、わしの攻撃は良い方向にだけ作用しなかった。そう、わしの空けた床の穴はこちらにも拡大してきた。わしは咄嗟に後ろに跳ぶ。

そこで、わしは肝心な事を忘れていた事に気がついた。そう、紫苑だ。

紫苑は怪我している所為で逃げ遅れ。わしの空けた床の穴の所為で川に落ちようとしていた。

まずい。このままでは!

 

わしは前に走り出した。わしは橋から飛び降り、橋の柱の上を走る。

そして、わしは紫苑に向かってくる矢を防いだ。

 

「星。助かった。」

 

そう、星が紫苑の服を槍で引っかけて、川に落ちるのを防いでくれたのだ。

 

「いやいや。桔梗殿が防いでおられなかったら、私と紫苑は射撃をまともに受けていただろう。感謝する。」

 

「感謝するのはこっちじゃ。大事な友人を救うの手を貸してくれて感謝するぞ。」

 

「私は私のやりたい事をやっただけだ。気にしないでくれ。」

 

わしら3人は橋の骨組みの上を走り、自軍の居る所に退却した。

そして、わしと紫苑の射撃に特化した部隊で黄巾党に射撃をし、数を削っていく。

そこに、桃香様の部隊が黄巾党の軍を後ろから攻撃し、義陽の黄巾党は壊滅した。

その後、入城し、桃香殿は義陽を手中に収めた。

 

 

 

 

視点:鮮花

 

「あのクソモヤシ!よくも一刀さんを拷問したな!許すまじ!何時か肉まんの具にして、野良犬の餌にしてやる!!」ギリギリ

 

 

 

 

どうも、黒山羊です。

ああ、もう、年が明けますね。今年は色々ありましたね。

酒を飲んで、SS書いて、酒を飲んで、勉強して、酒飲んで、ラーメン食って………って色々な事した気がしねぇ!!

 

ってなわけで今回の話は如何だったでしょうか?

桔梗が少しばかり活躍しました。桔梗の戦闘シーンが欲しいという要望に答えたつもりでしたが、答えられたでしょうか?

え?桔梗がドジ踏んだ所為でいまいちだった?うーん。でも、アルコールが俺にそう書けと言ってくるので、諦めました。

うんうん。仕方ねぇ。

 

それから、黄巾党との戦いを長々と書いて行くのはどうかと思うし、一刀が出て来ないとこのSS結構支援数が下がってしまうことから読者の受けが悪いと思うので、いきなりですが、次は荊州攻略編の零陵での戦いとなります。

 

そして、久しぶりに出て来ました。

今日の鮮花!何で?荊州に居るのに益州の一刀の様子が分かるの?という疑問が出てきたと思われますが、まあ、後々分かるので、ご安心ください。

 

それでは、今回のお別れの挨拶は焔耶さんです。

焔耶さん、宜しくお願いします!

 

「ふん。魏延だ。」

 

あの、もっと愛想のいい挨拶しないと何処かの猫耳軍師殿と被ってしまいますよ。

 

「はぁ!?貴様何言ってんの?私とアイツを一緒にするな!」

 

いやだって、焔耶さんって旧ツンデレじゃないですか?

 

「誰がツンデレだ!」

 

ごふっ!ちょ!マジで!股間は勘弁!うっつぅぅぅぅ!

 

 

 

 

―黒山羊が回復するまで少々お待ち下さい―

 

 

 

 

お待たせしました。

で、焔耶さん、これって文字だけで表現しているので、声が届かないんですよ。

だから、口調を変えないと、分かりにくいんでお願いしますよ。

 

「それぐらい気合で何とかしろ!」

 

ごふっ!またしても!!

 

 

 

 

―黒山羊が回復するまで少々お待ち下さい―

 

 

 

 

お待たせしました。このままでは無限ループになりそうなので、焔耶さん、お別れの挨拶お願いします。

 

「何を言えば良い?」

 

では、一刀さんに甘えた時の言葉を言ってみてください。

 

「それって、挨拶なのか?」

 

まあ、良いから良いから。

 

「うむ。それでは行くぞ//////」

 

どうして鈍砕骨を構えるんですか?

 

「臨戦態勢という奴だ//////」

 

「…………はぁ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「親方、強く抱きしめすぎだヽ(//_//)ノ」

 

 


 
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