No.352890

掌編 聖夜ノ演技・愛

オススメ作品:
疎蛇 陽様「真・恋姫無双 last promise」
魏→現代→呉と一刀君が三国平定のために頑張るお話です。今週の展開で怒涛の展開が!!また、疎蛇様の歌を題材にした短編も素敵な作品が多いです。
おちR様:真・恋姫無双 白蓮伝
白蓮の所に落っこちた一刀君。どっちかというと白蓮が主役ですが、思春かわいい、星かわいい、稟かわいい。……あれ?

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2011-12-25 23:51:10 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:1973   閲覧ユーザー数:1797

 季節は冬。それも一年の終わりとなる。暦では師走で、道行く人々も皆慌ただしく、なれどその顔には活気が溢れている。

 警邏に出て、すれ違う民は皆笑顔で私に声を交わしてくれる。そのやり取りが、私の心に温もりを与えてくれる。

 

 

 担当された区域の見回りを終え城へと引き返そうとしたとき、ふと聞き覚えのある声を耳にし、声のする方へ振り返る。

 そこには、民と談笑をしている我らが主、北郷一刀がいた。

 

 

 北郷一刀。天の御遣いとしてこの地に降り立ち、この世を太平に導いた御方だ。今この時間があるのはご主人様のおかげだ。そのことをもっと誇ってもよいと思うのだが、ご主人様は―みんなが頑張って手に入れたんだ。俺は少しだけその手伝いをしただけだよ―となんともないように返す。そこまで謙遜しなくてもいいのに、とも思うのだが、天ではそれが普通らしい。

 

 

 などと過去に話をしたことに思考を飛ばしていたら、談笑を終えたのか、ご主人様は街へと歩き始めた。

 辺りを見ても護衛の兵も連れていない。いくら平和になったとはいえ、ご主人様は用心がなさすぎる。ここは私が護衛の任を買って出なければなるまい。そう、決してご主人様と二人きりという好機を逃すまいとするわけじゃないぞ。

 

 「護衛もつけずになにをされているのですか、ご主人様」

 少し不機嫌な声音で話しかける。吃驚したのか肩を跳ねて慌ててこちらへと振り返るご主人様。なにもそこまで驚かなくてもいいではありませんか、と不満のひとつも口にしたくなるが、今はなにも言うまい。

 「なんだ、愛紗か。驚かせないでくれよ」

 あー、びっくりした。と私の顔を見て安堵の息を吐くご主人様。そこまで驚かせるようなことをしたつもりはないのだが。否、そもそも護衛をつけないご主人様の悪癖が悪いのだ。

 「あー、ところで愛紗はここでなにを?」

 「私は担当区域の警邏を終え、そこで護衛も付けずに出歩いているご主人様を見つけ、今に至ります。ご主人様こそ、ここでなにをされていたのですか?」

 私の問いかけに、心なしか少し顔色を悪くするご主人様。口からあー、とか意味をなさない言葉が飛び出し、視線は右へ左へと落ち着きがない。やがて観念したのかぽつりと話し始めた。

 「遅かれ早かれ誰かに見つかることにはなると思ったけど、見つかったならしょうがないか」

 うん、しょうがないしょうがない、と何やら自己完結しているご主人様。なにがしょうがないのだろうか。疑問に思い問いかけてみた。

 「ああ、今日は天の世界でクリスマスといって、大切な人と過ごす日なんだ」

 本当はとある人の誕生を祝う日なんだけど、少し意味合いが違ってね。と天界の行事の話を聞かせてくださった。

 「はぁ、そのくりすますとやらが今日であることはわかりましたが……それがどうかしましたか?」

 「うん、愛紗にも手伝ってもらおうと思って」

 「私に?」

 「そう、愛紗にも」

 「ご主人様のお手伝いをするに否やはありませんが……私にはくりすますというものについてはお力にはなれませんよ」

 くりすますというのも今し方ご主人様が説明してくださったが、私には残念ながらお手伝いできるところがない。

 「大丈夫、そんなに難しいことじゃないから」

 私の心情を察してくださったのか、ご主人様は笑みを浮かべてまた別の話をしてくださった。

 

 くりすますという日には良い子にしていた子供達に、さんたという人物が夜な夜なぷれぜんと、という贈り物を置いていくそうだ。その贈り物選びを手伝って欲しいとのことらしい。他にも大切な人に贈り物をするのだとか。それで、皆に贈り物をする前に、ぱーてぃをしようとご主人様は計画していたらしい。

 「みんなの分を選ぶのを選ぶのはいいんだけど、女性からの視点も参考にしたいんだ」

 それに、愛紗と一緒にいたいしね。といたずらに私の手を取り歩き出すご主人様。まったく、意地の悪い御方だ。それだけで私の心は満たされてしまうのだから。

 

 

 それからというものの、ご主人様は私を連れまわした。呉服店で服を選び、酒屋で酒を注文し、玩具店で璃々や蓮華どののご息女たる孫登ら子供達への玩具を買い、商店では装飾具や食品を注文したり、等など。ご主人様は自分で選び、ときに私に意見を仰ぎ、私は私でご主人様へ気にいったものを勧めてみたり。ご主人様の気の多さに少し嫉妬の念が感じないでもないが、二人きりというこの時間を過ごせることでその念も霧散していた。

 

 「はー、結構まわったな。少し休憩を入れようか」

 「ええ、まだ時間もありますし。それに、まだまだまわるおつもりでしょう?」

 「うん。悪いけど、もう少しだけ付き合ってくれ」

 「御意」

 手頃な茶屋に入り、それぞれ注文し、一息。慣れないことをしたものだから、少し疲れた。ご主人様も、選ぶ量が量なので疲労の色が少し見える。

 

 「ところでご主人様、皆へと贈り物を選ぶのはよいですが、お金のほうは大丈夫ですか?」

 「ああ、俺は自分にはあまりお金は使わないからね。そこそこ余裕はあるんだ」

 ときどき鈴々や恋とかにごっそり食事代が持っていかれるけどね、と力ない笑顔を浮かべるご主人様。今度鈴々には遠慮をしろと注意しておこう。恋は……申し訳ありません、私では力になれそうにあれません。

 「まぁ、いざとなったら愛紗にお小遣いの前借りをお願いしなくちゃならないけどね」

 「まったく、仕方のないお人だ」

 お互い揃って苦笑い。それでも頼まれたら断れないという安易な想像ができてしまう辺り、私もご主人様のことを強くは言えないな。だけど、それも悪くないと思う。だって、こんなにも穏やかな時間を過ごせているのだから。

 

 その後もご主人様と色々な店をまわった。なかには私が知らなかった店などもあり、ご主人様の顔の広さを再確認した。

 次に訪れた所は。先に訪れたものとはまた別の呉服店だ。なにやら前に注文していた品を取りに来たらしい。

 少しおっちゃんと話すことがあるから待ってて。とご主人様に言われ、店内の品を見ることにした。可愛らしいもの、きわどいもの、派手なものなど、様々な服があるが、どれも私には似合わないな、と思う。桃香さまなら、どんな服でも着こなしてしまうだろうな。あの方は可憐だから。

 「お待たせ、愛紗。なにか気にいった服でも見つけたかい?」

 「あ、いえ。特にこれといったものはありません」

 思考の海に沈んでいた意識が、ご主人様に話しかけられ引き戻される。普段なら話しかけられる前に気付いていただろうが、少し考え込んでしまったようだ。

 「ご主人様こそ、用件はお済みに?」

 「うん、ほらこれ」

 先に買ったものとは別のものへご主人様は視線を投げる。にしても―

 「大きくありませんか?」

 そう、見た目からして大きな箱がそこにあった。まさか、これを城へ持って帰るおつもりなのだろうか?

 「いや、さすがにそれは無理かな。まぁ重くはないけど量が量だからね、ちょっとおっちゃんに頼んで城まで持って行ってもらうつもり」

 じゃ、よろしく頼むよ、と店主にお願いするご主人様。店主も愛想のよい返事で返す。そんなやりとりを経て、店を出た。

 

 目当ての店をまわり終わり、歩く足は城へと向いている。長かった贈り物選びもこれで終わりらしい。

 「今日は付き合ってくれてありがとう」

 「いえ、私こそあまりお役に立てず申し訳ありません」

 実際、ご主人様の感性には驚かされることが多かった。選んだ相手に映える物が多かったと思う。

 「いやいや。愛紗が付き合ってくれたからここまでスムーズ、じゃなくて滞りなく選ぶことができたんだよ。それに――」

 久々に愛紗と二人きりで過ごすことができたしね。と、照れくさそうに頬を掻きながらご主人様は言った。

 「――――――!」

 あああ、貴方様はどうしてそう私の心を乱すのですか!

 自分の顔が熱を帯びていく様がわかる。誰が見ても私の顔は真っ赤だろう。まったく、憎いお人だ。

 「さ、帰ろう愛紗」

 「はい、ご主人様」

 手を差し伸べる愛しい人。私の返事は声になったかはわからない。けれど、繋いだ手を握り返してくれた力が、暖かさが嬉しくて、私の心は弾んでしまうのだった。

 

 

 程なくして城に着いた。先ほど購入したものは既に城へと運ばれていたらしい。さきの大きな箱がそこに存在を主張していた。

 「それじゃ愛紗にはこれ」

 はい。とご主人様から手渡されたものは赤い色で丈が短く、上下に別れた服に、三角帽。服の所々にふわふわとした意匠が施されている。

 「あの、ご主人様、これは?」

 「ん、サンタの衣装だけど?」

 それがどうかしたの?と心底不思議な顔で仰るご主人様。

 「なんですかこの衣装は!こ、こ、こ、こんな破廉恥な!」

 「大丈夫だ、問題ない」

 「問題ない、ではありません!問題だらけではないですか!」

 「大丈夫だよ、愛紗。とても似合っている。それに――」

 皆の分もあるんだ。と至極いい笑顔を浮かべて言ったご主人様。よく見ると似ているようで別の種類もあるようだ。だけど問題はそこではなく――

 「なんで、このような格好を――!」

 そう、季節は冬だというのに、恋みたいな格好になるのだ。おまけに腰布は丈が短く、下着が見えてしまいそうだ。

 「そんなの、俺が見たいからに決まってるじゃないか!」

 いっそ清々しいという位でご主人様は言いきった。先ほどまでの時間と私のときめきを返してほしい。

 途方に暮れている私を余所に、ご主人様もさんたの衣装に着替えていた。上下ともに赤い衣装に三角帽。真っ白なつけひげがその手にあり、あれをつけた状態が天界のさんたなるものなのだろう。

 「それじゃ、愛紗は桃香に話して広間へとみんなを集めておいてくれ。俺はこれから蓮華たちや華琳たちを呼んでくるから」

 「はぁ、わかりました」

 ときどきご主人様は異常に行動力がある。過去の龍退治のときもそうだった。つまり、今はなにを言ってもしょうがないということだ。ならばいっそ開き直ってこの状況を楽しむことにしよう。

 気持ちを切り替え、桃香さまのいる政務室へ足を向ける。

 「っと、忘れるところだった。愛紗!」

 ご主人様が慌ててこちらへと駆けてくる。私もそれに応えるために振り返る。

 「なんでしょう、ご主人様?」

 「今日は俺に付き合ってくれてありがとう」

 「いえ、礼にはおよびません。私もご主人様と同じ時間を過ごせて嬉しく思いました」

 「それでも、だよ。ありがとう愛紗。それと――」

 メリークリスマス。手渡されたものは小さな小箱。開けてみて、とご主人様の目が訴える。そこには――

 「これは――髪飾り、ですか?」

 「うん。愛紗に似合うと思って」

 こっそり買っておいたんだ。これは、今日一日付き合ってくれたお礼。

 一足早いクリスマスプレゼントだと、ご主人様は言った。その後慌てて、皆に渡すものとは別のものだよと弁明した。だけど、その言葉は嬉しさのあまり耳に入っていなかった。

 「ありがとうございます、ご主人様」

 小さな声で、そう返すのが精一杯だった。だけど、どういたしまして、と彼は満足そうに笑みを浮かべていた。

 じゃ、桃香によろしくね、と踵を返して歩き出すご主人様。だけど、私ももらわれてばかりでは武人として、何より女として自分に納得できない。だから――

 「ご主人様!」

 なんだい、愛紗?と振り向く前にご主人様に近付き――

 

 「ん――――――」

 

 愛しい彼へ口づけを落とす。触れ合った時間は一瞬だけど、私の心は満たされていた。

 「めりーくりすます、です。一刀さま」

 きっと赤いであろう顔を見られないように、返す刀で政務室まで駆けだした。

 

 その後のことを語ろう。さんたの衣装を見て、喜ぶ者、恥ずかしがる者、憤慨する者等など、ご主人様が尊い犠牲となったが、それでも皆、さんた服を着ていた。くりすますぷれぜんとも、皆程度はどうあれ、喜んでいたようだ。

 私へのぷれぜんとか?それは、内緒、だ。

 

次→あとがき

 

 

 

 ここまで見てくれてありがとうございます。はじめまして、もしくはお久しぶりでございます、カナタです(・ω・)ノ

 さてさて、今回はギリギリで投稿してしまったので皆さまの迷惑になっていないか若干心配です。

 本当はどしどし投稿したいところではありますが、文がまとめられないというorz

これを書くために無印愛紗の可愛さを再確認してきました。やはり愛紗はいい。ただ、料理の仕方が難しい。小説書ける皆さますごいなーあこがれちゃうなーと指を咥えつつ小説を漁る日々です(笑)

 

精進のため、感想を残していただけると嬉しいです。気がついたこと、ここをこうしたほうがいい、などと気軽にどうぞ。ただ、当方心は硝子なので、手心を加えてやってくださいませm(__)m

それではまた。再見(・ω・)ノシ

追記:俺、短編3つ目を書きあげたら、連載に手を出すんだ……。

さらに追記:愛紗へのプレゼントは本当は指輪にしようと思いました。それで結婚しよう的な流れにしようかとも思ったのですが、私のスキルでは収集できそうになかったので、自重しました。筆(指だけど)の暴走ってこわい(笑)

 

 

いいのかい、ホイホイのぞいちまって。俺は妄想も平気で投下しちゃう男なんだぜ?

 

まぁ茶番はここまでにしておいて、モンハン大好きカナタです。今なお3rdで頑張ってます。

1stキャラで勲章コンプしたので、2ndでクエ消化、3rdでランク1で終焉チャレンジしてます。

 

閑話休題、恋姫の絵師様も同人などでモンハンの装備をしたキャラをあげてますが、この恋姫にはこの武器、もしくは防具がいいんじゃね?と日々是妄想の日々です。

 

はい、気持ち悪いですね!だが私は謝らない。

 

まぁ一部だけ書いていこうかな、と。

愛紗→「リオソウルZ」:雛太さまの絵ではSソルZでしたが、どっちかというとリオソウルZのほうがいいかなと。青龍ですし。もちろん、Sソル愛紗も大好きです。

桃香→「リオハートZ」同じく雛太さまの絵ではGルナZでしたが、雰囲気的にリオハートZのほうが合ってるなーと。もちr(ry

星:荒天。あのひらひら感が星っぽいなーと。まぁ頭装備はいらないかもですが(笑)

翠:ジンオウS。力の解放とか、怒ると力が増す翠にはぴったりだなーと。絶対領域加減も(笑)

 

他にもまだまだあるんですが、時間がアレなのでこの辺で。多分こっそり追記します(笑)このキャラはこっちだろ!という意見はもちろんどうぞ。でも、小説の感想もよろしくお願いしますね。

それでは、今度こそ再見!

 

至極どうでもいい追記:

Q.最後の文章はいりませんよね?

A.書きあげたテンションと残り時間の板挟みでハイになってムラムラしてやった。今は反省も後悔も公開もしている。


 
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