No.351628

まぶらほ 凜ちゃんのクリスマスイヴ

オルカさん

まぶらほの中では凜と千早が大好きです。

凜と和樹のクリスマス話を衝動に任せて書いたので、こんなの凜じゃないと言われるかも……。

※他のキャラも書いてみようかなと思うのですが、こんなシチュがいいとかあればコメントしてもらえればと思います。

2011-12-24 01:07:51 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:2259   閲覧ユーザー数:2143

 12月24日 クリスマスイブ

 

 私は魔術師養成学校、葵学園に通う神代凜だ。

 

 家は代々化け物退治を生業としてきた神代家なのだが、私の実家は分家であり豆腐屋を営んでいる。私は剣術と魔法の素質があったため本家に呼ばれ、子供のころから修業に明け暮れていた。そんな折、突如葵学園に入学し式森和樹という男と結婚しろという命が下った。私はそんなどこの馬の骨とも分からない男と結婚などする気もなかったし、ただ先祖が有名な魔術師というだけで何の取り柄もない男に興味は無かった。

 

 そう。興味などこれっぽっちもなかったのだ。むしろ第一印象は最悪だった。優柔不断で軟弱、運動神経も無ければ勉強も中の中という平凡を絵に描いたような男だ。おまけに女に対して果てしなく鈍感だ。

 

 長所を挙げろと言われればたった一つ。

 

 底抜けに優しい。

 

 これに尽きるだろう。

 

 式森は誰にでもわけ隔てなく接し、人を思いやることができる。言ってしまえば、お人好しなのだ。

 

 

 いつしか私は、そんな式森の事を自然と目で追うようになっていた。私は玖里子さんや夕菜さんのように積極的な行動はできないが、そんな私でもあいつは何かと気にかけてくれる。

 

 はたから見れば、仲の良い先輩後輩という表現が一番しっくりくるだろう。

 そんな私たちの関係を見かねた玖里子さんが私の為に夕菜さんを連れ出してくれた。普段の玖里子さんはやりたい放題の自由人に見えるが、あれで人一倍気を使う性格だ。特に私と玖里子さんは夕菜さんに対して同盟を組んでいる仲で、何かあれば協力することを惜しまない。

 

 今、私たちはレストランで食事を楽しんでいる。周りはカップルや家族連れで賑わっているが雰囲気もよく、騒いだりする客はいない。皆今日という日をそれぞれに楽しんでいる。

 

「…ゃん、凜ちゃん?ねぇ、凜ちゃんってば!」

「あ、ああ。どうした式森?」

「どうした、じゃないよ。さっきからぼーっとしちゃって。なにかあった?僕でよければ話しぐらい聞くよ?」

「いや、何でもない。気にするな」

 

 いかんな。せっかく玖里子さんが作ってくれたチャンスを棒に振るような真似だけはしたくない。二人で食事をし、夜景を楽しむのが今日の予定だそうだ。全部玖里子さんに任せた結果こんな事になってしまった。

 

 私はあまり高級レストランなどに縁は無く、緊張で料理の味が分からない。

 

「な、なぁ、式森。ここは玖里子さんのオススメなんだがどうだ?美味いか?」

「あはは、こういうとこは慣れてないから緊張しちゃって。おいしいとは思うんだけどよく分からないかな」

「そ、そうか。実は私もよく分からないんだ。まぁ、あとはクリスマスケーキが出てくるらしいからそれでコースは終わりだろう」

「それにしても本当に僕なんかでよかったの?本当は皆と過ごしたかったんじゃない?」

「式森は、私と過ごすのは嫌か?」

「そんなことないよ!凜ちゃんだって予定とかあったんじゃないかなって思っただけだし、僕は誘ってもらえて嬉しかったよ」

 

 そう言って私に笑顔を向ける式森の顔は本当に嬉しそうで、私まで自然と頬が緩んでしまう。

 

 そうしていると店のボーイが二人分のサイズのブッシュ・ド・ノエルを持ってきてくれた。紅茶が生地に含まれているのか紅茶の風味が程良く口の中に広がり、チョコレートクリームと絶妙なハーモニーを作りだす。甘さもしつこくなく、気づけばケーキは跡形もなくなっていた。

 

 

「最後のケーキは美味しかったな」

「うん、やっぱり玖里子さんがオススメするだけはあるよね。でも本当に支払いはしなくて良かったのかな?」

「玖里子さんが話しを通していたそうだ。私たち二人の分は風椿家に請求するように、と。さしづめクリスマスプレゼントのつもりなんだろう」

「夕菜や舞穂ちゃんは玖里子さんと一緒なんだっけ?」

「ああ……」

 

 まったく。この男はいつもそうだ。二人きりだというのに他の女の事が頭の片隅にある。

 

 やはり私ではだめなのだろうか?確かに出会った当初はつらく当たった事も多かったし、料理の腕は家庭科の教師曰く『食べた事は無いけどコンクリートはきっとこんな感じ』と言わせたほどの料理下手だ。夕菜さんのように女の子らしくもないし、玖里子さんのように大人っぽくもない。

 

 凜の思考はどんどん後ろ向きになっていく。そんな凛が和樹には落ち込んでいるように見えた。

 

「ねぇ、凜ちゃん。今日は誘ってくれてありがとう。僕本当に嬉しかったよ」

「……式森」

「今日はせっかくのクリスマスなんだから楽しもうよ。まぁ、相手が僕じゃ不満かもしれないけどさ」

 

 そう言って苦笑する和樹の言葉は凜の不安を拭い去るには十分だった。

 

 私が素直になれる日は今日しかないだろう。だから聖夜の奇跡とかいうものに賭けてみようじゃないか。

 

 

 

 

 私が今できる最高の笑顔と共に

 

 

 

 

 

 

「式森、メリークリスマス」

 

 

 

 

恋姫書かずに何してんだろ?

 

でもなんか書いてて楽しいって重要だなぁ、と再確認できました。

たぶんちょくちょくこういう息抜きが入ってくるかもしれませんけど、生温かい目で見守っていただければ嬉しい限りです。

 

年内に出来れば二話、最低でも一話は上げるつもりです。

 

でわでわしつれいします。

 

 

 


 
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