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真・恋姫 呉伝 -為了愛的人們-第56話

獅子丸さん

第56話です。

長らく更新停止して申し訳ございません。
不定期ですが更新再開します。
お待たせして申し訳ありませんでした。

2011-12-19 02:23:18 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:14439   閲覧ユーザー数:9177

 

 

 

 

『赤壁編』

 

 

 

 

― 呂蒙Side ―

 

 

 

 

 

歯痒い。

冥琳様の策が成らなかった今、直ぐにでも祭様を救出に向うべきなのに・・・。

私達北郷隊はこんな所で足踏みをしている場合ではないのです!

 

 

「来ます!!左翼は頭上を防御してください!!!」

 

 

先ほどから不規則に降り注ぐ矢の雨のお陰で、私達は前へと進むことが出来ません。

本当に歯痒い。

私達北郷隊だけならば問題なくいけるでしょう。

でも、私達が前に出すぎてしまえばその隙を確実に突かれ、前線が崩壊しかねないのです。

敵の軍師は相当な人物。

ちょっとした隙を見せれば私達は確実に食われてしまいます・・・。

 

 

「悔しいです・・・・・・」

 

 

私は力一杯手を握り締め、歯を食いしばりこの状況を耐えるほかありません。

この局面を抜ける手はあります。

でも、今この状況でその策を行っても勝てる確立はほぼ無いでしょう。

一刀様・・・一刀様ならこの局面をどう乗り切りますか?

私はまだ勉強不足です・・・。

一刀様に教えていただいた物を未だ自分の物にすることが出来ていません。

私はどうすれば良いのでしょうか?

教えてください。

教えてください一刀様!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『現代編』

 

 

 

 

 

― 諸葛亮Side ―

 

 

 

 

 

「長沙に呉の軍勢が・・・ですか?」

 

 

恐らくは長沙の太守である黄忠さんが呼んだんだと思います。

 

 

「こちらからの援軍は?」

 

「援軍ですか?・・・荊州に属する私達ではなく、呉に救援を求めた裏切り者である黄忠が治める地にですかな?」

 

 

やはり此処は駄目です。

この蔡瑁さんと言う人は自分の事しか考えていないようです。

この口ぶりからすると長沙からの援軍の要請は届いているのだと思います。

それを(わざ)と無視した。

こんな所に居ては私達は益々立場が悪くなる。

 

 

「桃香様に援軍に向うように進言します」

 

 

私はそう口にしてその場を離れようとしました。

ところが、蔡瑁さんの口から放たれた言葉は私の予想を遥かに超えた物でした。

 

 

「劉備様は先ほど涼州へと向われました」

 

 

その言葉を聴いて私は蔡瑁さんの方へと振り向きます。

蔡瑁さんの表情。

その表情は、私が生きてきた中で初めて嫌悪を抱いてしまうような笑みを浮かべていました。

 

 

「・・・・・・私は聞いていません」

 

「はて?皆に知らせたと思っておりましたが・・・・・・まぁ、大丈夫でしょう。姜維殿達もついておられることですしな」

 

 

やはり、これは初めから仕組まれていたんですね。

恐らくは雛里ちゃんも知らされていないんだと思います。

何故だかはまだわかりません。

桃香様達と私と雛里ちゃんの二人を引き離す事が目的なのだと思います。

誰が何のために?

どうして私達と桃香様を引き離す必要がある?

引き離した後、何をたくらんでいる?

 

 

「失礼する・・・」

 

「おや、これは如何なされましたかな?」

 

 

突然私達の間に乱入してきた人物。

私はその人物を見て驚きました。

 

 

「・・・・・・どうして此処に?」

 

「白蓮殿が此処に居ると聞いて・・・と言う所ですかな。当の本人は涼州に行った後のようだが・・・」

 

 

そう口にする趙雲さんの顔は、嫌悪の表情が見え隠れしていました・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

― 程昱Side ―

 

 

 

 

 

うーむ。

これはもしかするともしかするかもしれませんね~。

風は手にした書簡を見つめながらそう思いました。

手にした書簡・・・少し前に稟ちゃんから頼まれた物の報告書ですね~。

明らかに物資の出入りがおかしいのが見て取れますよ。

まず、冀州から流れ出た物資は青州に向っているようです。

此処で気になる点が一つ~。

この物資は軍事行動で運ばれたのではないようなのです。

冀州の街の商人が何処からとも無く仕入れた物資を青州で売りさばいているのです。

何処からとも無く・・・ではなく、冀州の城に溜め込まれていた物資だと思われるのですがね~。

で、その物資を買い取っているのが青州の豪商のようです。

此処でもう一つ気になる点が出てきましたよ~。

青州に集まる物資が計算よりも多いのですよ。

調べて貰ったところ、明らかに増えていたのが『塩』ですね。

確かに青州は海に面していますから『塩』が多くてもおかしくは無いと思いますが~・・・。

まぁ、なんだかんだ言ってもおかしいのですよ。

風の勝手な予測ですが、この『塩』は呉から流れてきたんだと思うのですよ。

なんでも、画期的な『塩』の生産技術を編み出したとかなんとか。

まぁ、それは置いといて~・・・普通に考えてもおかしな量の『塩』ですから、恐らく呉の方も気づいているとは思うのですよ。

呉がこんなに大量の『塩』を華琳様の領地に流すはずは無いですし、こちらと同様に誰かがこっそりとやっているのでしょうね~。

さてと、話がそれたので戻りますね~。

その青州に流れた物資なのですが・・・青州で消費されているようなのですよ。

と・・・まぁ、まさか本当に青州で使われているはずもなく~。

青州から各地に向けて小分けにして運び出されているようなのです。

目的地はまだ報告があがってきてないので何とも言えないですねぇ。

商人が儲けるためにやっているのであればいいのですが・・・。

恐らくは何か目的があるのでしょうね・・・。

さてと。

そろそろ稟ちゃんにも見せてあげましょうね~。

これを見れば稟ちゃんも直ぐ気づくでしょうし、風の考えと稟ちゃんの考えを照らし合わせれば何か見えてくるはずですし~。

そうして、風は持っていた書簡を丸め、宝譿から手渡された飴をくわえ、いつも通りのんびりと歩き出したのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

― 一刀Side ―

 

 

 

 

 

「一刀様、報告です。蓮華様率いる軍が零陵を落としたそうです」

 

「もう?」

 

 

亞莎からの報告を聞いて少し驚く。

援軍としてこの長沙に到着してから既に二週間。

当初の予定通り、黄祖率いる反乱軍を殲滅ではなく、あえて撃退に留めている。

完全に反乱軍をつぶす為に冥琳が考えた策だ。

反乱軍が拠点としている南荊州。

交州と隣接している零陵、呉と隣接している桂陽と長沙。

この三つの郡を、これを期に頂いてしまおうという魂胆なんだけど・・・。

ちょっと早くないか?そう思った。

その疑問も亞莎からの説明であっさりと解決する。

交州の月達が動いたらしい。

交州には桂陽や零陵から多くの難民が流れて来た事に加え、呉の軍勢が救援に出るとの報を冥琳が届けていたようだ。

それに合わせて・・・恐らくは月が援軍を出すように進言したんだろうな。

多分だけど、月もくだらない戦で苦しむ民を見てられなかったんだと思う。

予想していなかった旧董卓軍の援護もあり、後方組の蓮華達は予想外の速さで二つの軍を攻略した。

そして、俺達は長沙と武陵の県境に居る。

黄祖達反乱軍は武陵側に陣取っていた。

 

 

「余りにも早く零陵が落ちたもんだから、しかたなく武陵に逃げることを選んだ・・・と言うところか」

 

「恐らくそうだと思いますわ」

 

 

俺の言葉にそう返してきたのは長沙を治めていた人物。

黄忠漢升その人。

反乱軍を長沙から退けた後、自ら軍を率いて俺達と共にこの場所まで進軍してきた。

共に軍を進めたと言う事は、自らが属している荊州を裏切ったと言う事に他ならない。

荊州から援軍が来ず、最後の手段である呉にそれを要請しただけでも非難は免れない。

俺達呉は美味しい所を取れるだけ掻っ攫うつもりでその要請を受けた。

その事実を黄忠は百も承知だろう。

俺は大人しく長沙に篭って出てくることは無いと踏んでいたから少し驚いた。

今後、この人は荊州に戻ることは出来ない。

そうなれば呉に下るか野に下るかのどちらか。

俺としては、あの黄忠漢升が呉に下ってくれればいいな・・・と思っている。

 

 

「伝令・・・反乱軍の後方に武陵軍の姿あり」

 

「わかった。・・・・・・美蓮さんどうする?」

 

「武陵軍に伝令を出す。我らは反乱軍を討ちに来たのであって反乱軍と関係の無い武陵と事を構える気はないと伝えよ。

・・・領土に軍を入れるが反乱軍を殲滅すればすぐさま出て行くが我ら呉に手を出すのであれば容赦しないともな」

 

「御意!」

 

 

美蓮さんは将らしい口調で伝令の兵にそう告げた。

 

 

「所で、紫苑」

 

「何かしら?」

 

「桔梗はどうしている?」

 

「相変わらず益州で酒を飲んでいると思うわ」

 

 

二人は昔剣を交えた仲だが、劉表と仲違いをする前は交流があったらしい。

桔梗と言う人も恐らくその時の知り合いなんだろうな。

なにやら昔の話で花を咲かせているのに邪魔するのも悪いので俺は天幕の中に下がった。

 

 

「一刀様」

 

「戻ったか影・・・首尾は?」

 

 

天幕の陰からすっと姿を現した影。

その表情からあまりいい報告では無さそうだなと推理する。

 

 

「劉備が涼州に向って旅立った。同行しているのは関羽、張飛、公孫賛・・・そして姜維、馬謖」

 

「は?」

 

 

思わず疑問を投げかける。

そりゃ、疑問に思っても仕方が無いよな?

この時期に居るはずも無い二人が・・・いや、三人か・・・劉備達に同行しているわけだから・・・。

すかさず影に問いかけた。

 

 

「正直な所、重要なことは何も出てこなかった・・・。

姜維について分かったことは曹操軍に属していたが軍を抜け荊州に流れ着いたと言う事だけ。

馬謖は荊州出身らしいが、今までこれといって何かを成したと言う事実はない。

姜維と共に最近になって劉表勢に加わったようだ」

 

 

姜維は確かに魏に属していた。

馬謖も荊州で働いていた。

その知識は俺の記憶にもあるし間違ってはいないだろうけど・・・。

それにしてもこの時期に突然表舞台に出てきたことが引っかかる。

考え込んでいた中、不自然なことに気づく。

 

 

「影、その一行の中に居なければおかしい二人が居ないんだけど・・・」

 

「諸葛亮と鳳統は同行していない」

 

「それは事実か?」

 

「事実だ。・・・俺もおかしいと思って調べさせた。だが、事実その二人は襄陽に残っているとの報告を受けた」

 

 

何がどうなっているんだ?

洛陽から追われた後も劉備達から離れず荊州まで付き従っていた二人がどうして今になって劉備達から離れる?

 

 

「もう一つ、幽州の趙雲が襄陽に居るらしい」

 

「っな!?」

 

 

益々訳が分からなくなってきた・・・・・・。

冀州での戦いでは曹操軍に加わっていたと報告を受けていた。

ところが、いつの間にか荊州に居る。

 

 

「まさか、公孫賛に付いて荊州に?」

 

「いや、公孫賛は趙雲が襄陽に入る前に劉備一行と共に旅立っている。それとは入れ違いで襄陽入りしたようだ」

 

 

どう言う事だ?

これじゃまるで劉備が起つ為のお膳立てがされているようなものじゃないか?

当の劉備は涼州に向っているとなると、どう考えても馬超を含む涼州勢を引き入れるつもりだろう。

訳が分からない・・・。

この世界は何があっても劉備を表舞台に立たせるつもりなのか?

それとも誰かの意志が働いているのか?

もしそうだとしたら一体誰が?

突如もたらされた思いもよらない情報に、俺は思考の海に唯々沈んでいった・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『太史慈編』

 

 

 

 

 

― 凌統Side ―

 

 

 

 

 

場所は長安郊外。

寂れた小屋の中、男が四人酒を酌み交わす。

 

 

「恩にきる」

 

「気にするな」

 

「もう一度確認するのだが、今じゃなくていいのか?」

 

「あぁ。次に俺を見かけた時でいいさ」

 

「承知した!!あの男には俺の方からも早馬を出しておこう!!」

 

 

太史慈の言葉に大男が声を大にして答える。

一体何を考えて居るのやら・・・。

太史慈の膝を枕にして寝ていた子供がその声で目を覚ます。

大男はそれに気づくと子供に謝罪していた。

大男がかいた胡坐の上にはもう一人の子供が座っていて笑いながら大男を咎めている。

大男の御付らしき男がその様子を見ながら嬉しそうに頬を緩ませているのが印象的だった。

そんな様子を尻目に俺は小屋の外に出る。

これで二つ目の懸念は取り除いたことになる。

一刀様が気に掛けていたもの。

それを太史慈が一つ一つ摘んでいく。

普通の人間が聞けば、馬鹿らしいとの一言で片付けられるだろう。

この広い大陸を這いずり回り一つ一つ潰して行くなんて誰もやろうとはしない。

やるとしてもその地に居る者にさせるのが普通なのだ。

長かった。

一刀様が死んだあの時からようやく此処までたどり着けた。

残るは幽州。

これが終われば一刀様が気に掛けていた最後の戦に向って動き出す。

その戦が始まるまでになんとしても最後の一つを終わらせなければいけない。

間に合ってくれ・・・俺は柄にもなく闇夜に浮かぶ月に向って願った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがきっぽいもの

 

 

 

すいません。

ほんっとうにすいませんorz

かなりの長期間更新が止まってしまい申し訳ありませんでした。

リアルで色々と重なりこっちの方を放置してしまいました。

ずっと気にかかっていたのですが・・・。

やっとのことで多少落ち着いたので連載を再開します。

っと言っても前ほどのペースで更新できるかは微妙なところなのですorz

それでも最後まで書き上げるつもりで居ますので、よろしくお願いいたします。

 

 

 

では、次回も

 

 

生ぬるい目でお読みいただけると幸いです。

 

 


 
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