No.345153

【腐向け】ぬこうさ。【絶チル・サンプル】

さん

◆脱稿したよ、冬コミ新刊…!!サンプルはえろなしですが、中身はR18 ◆けもみみ仕様の兵皆。ほのぼの甘を目指した結果が…ただのえろに ◆表紙とゲストマンガは相方ひぐらし有難し! ◆冬コミ2日目とCC大阪87、どちらも【BLACKOUT】で委託して頂きます(∩´∀`)∩ご興味がありましたら、チラッと覗いて頂けましたら。

2011-12-09 10:35:14 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1074   閲覧ユーザー数:1064

 外から聞こえる、小鳥のさえずりで目を覚ました。

「ん……朝か……?」

 カーテンから微かにのぞく朝のひかり。

 いつも仕事はきっちり外でこなして、家にまで持ち越したりすることは少ない。オンオフの切り替えは必ず行っている。しかし、元来のお人好し――よいこちゃん体質の為か、他の人物の仕事が滞ってしまっているようであれば、手伝うことはやぶさかではない。もちろん、自分のペース配分も理解していたから、能力以上のことは引き受けない。

 それなのに――。

 数冊積まれたファイルのひとつがどう見誤ったのか、見積もった以上の仕事量であったため、仕方なく持ち帰ることにしたのだ。

 どうせ数日間、彼女たちはいないのだ。時間を潰すには丁度いいかもしれない。

 普段であれば。リビングに集まって、各々好きに過ごしている。わあわあと騒がしいこともあるが、中学生に上がってからは、随分とおとなしくなったように思う。――あくまで、前に比べて、である。

 以前は必ず、『三人いっしょ』であった彼女たちも、それぞれの道を歩みはじめている。

 それが寂しく感じ訳ではないが、いいことだとは思っている。そうやって、皆と同じに過ごしていられれば。それはあくまで願い。いや、祈りのようなものかもしれない。

 その為に。

 いちばん近くにいる大人は自分のだ、しっかりしなければ。いつ何時、彼女たちが自分を必要としてくれたときに、応えられるように……。

 そう。書類を整理しながらも、いつの間にか、考えていたのは彼女たちのことだった。小さく笑みが洩れる。局長程ではないが、自分も随分と彼女たちには甘く、それでいて過保護なのだろうと思う。

 そんな彼女たちは、中学の行事で林間学舎に出かけているのだ。

 こういう行事があるたびに、ひと悶着起きる。今回はそれでも、何とかスムーズに送りだした方だった。

 学校に通うようになって、仲のよい友人もできている。力を暴走させることもなく、周囲の人間にもうまく溶け込んでいる。なのに、未だにそれとはなしに参加を拒むところが見え隠れする。普通の学校へやりたい。同年代と同じ感動を与えてやりたい。そんな、ごく普通の願い。望み。それは――同じ場所へ通うことの叶わなかった、自分自身の願いでもあった。叶えることができなかった夢を、重ねている訳ではない。ひとりひとりの人生など、自分が介入したところで変わることではないと、どこか冷めた部分では解っているからだ。過干渉はお互いにとって、よくないことだ。

 もちろん、それを今更後悔しているわけではない。過去に紡いできたものは二度と修正がきかない。自分自身、よく解っていることだ。

 いつの間にか夜は深くなる。気がつけば、デスクに突っ伏して眠ってしまっていたようだ。

 そうやって迎えた、いつも通りの朝。

 しんと静かな部屋は、以前それが当たり前だったというにもかかわらず、いやに広く感じる。

 ……寂しい。

 ふと、そんな感情が浮かんだ。

 いつも、なんだかんだと手間のかかる子供たち……。だが、世話を焼かせてくれているからこそ、その感情を、今まで実感したことがなかったのかもしれない。

「・・・・・・えーっと」

 自分は今日もB.A.B.E.L.へ登庁する予定だ。彼女たちがいようといまいと自分には仕事があるのだ。さっさと用意するに限る。

 ぺち、と軽く両頬を叩いて、向かっていたデスクから立ち上がった。


 
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