No.342927 サテライトウィッチーズ 外伝2三振王さん 2011-12-03 21:49:02 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:2152 閲覧ユーザー数:2106 |
外伝2「ティファの決意」
ガロードらフリーデンの面々が扶桑に来てから3か月、横須賀基地のとある部屋でジャミルとテクスは扶桑の研究員たちからティファの体についての報告を受けていた。
「では……ティファの体の中にある魔石とやらを取り出すのは不可能だと?」
「はい、我々の今の技術では……」
三か月前、ティファは何者かによって浚われネウロイのコアと魔石を体に埋め込まれ、操られたままガロードと芳佳らストライクウィッチーズに襲い掛かった、ネウロイのコアは美緒が破壊したが魔石のほうはまだティファの体の中に残っていたのだ。
「下手に取り出そうとすると何が起こるかわかりません、今は様子を見るしかないのです……すみません」
「うむむ……専門家であるあなた達が言うのなら間違いないのでしょう、むしろここまで力を貸していただきありがとうございました」
数十分後、ジャミルとテクスはフリーデンの中にあるティファの部屋に赴き、先ほどの研究員たちの報告内容を伝えた。
「そうですか……それなら仕方ないですね」
「扶桑軍は引き続き調査を続けてくれるそうだ、ティファ……お前は何も心配することはないぞ」
「……はい」
ティファはそう言って自分の胸をぎゅっと握りしめた。
そしてジャミルとテクスが部屋を去って数分後、ティファは真っ白なキャンパスの前で筆を握りながら考え事をしていた。
(私……この世界に来てからみんなに迷惑ばかりかけている……)
ティファは操られていたとはいえ芳佳達に迷惑をかけたこと、そして今こうやって自分のために大勢の人が力を貸してくれていることに後ろめたさを感じていた。
(私にも……何かできることがあればいいのに……もっと皆の力になりたい)
ティファはじっとしていられず、部屋から出て格納庫に向かう、するとそこで格納庫でDXで物資搬入の手伝いをしているガロードを発見する。
「あ、ガロー……」
「おーいガロードくーん!」
そう言って駆け寄ろうとしたとき、ガロードの元に反対側から芳佳と美千子がやってきて、ティファは思わず近くに積んであったコンテナに隠れてしまう。
「お、芳佳どうしたー?」
「あのねー、おばあちゃんがおはぎを作ってくれたから一緒に食べようと思って……みなさんの分もありますよー」
「やったあ! 芳佳姉ちゃんありがとう! 野郎ども集まれー!」
芳佳の言葉を聞いてキッドら整備班の面々も集まってくる、その中にティファは何故か入れないでいた。
(芳佳……)
「はいガロード君、これね……芳佳ちゃんが作ったんだよ」
「み、みっちゃん! 内緒にしてって言ったのに~!?」
「おお! 一回り大きいじゃん! いただきま~す!」
「あ! ずりいぞガロード! 俺にもよこせ!」
(ガロード……芳佳と仲が良さそう……)
ティファはガロードと仲良く話す芳佳を見て、心の中で焦りが生まれているのを感じていた。
(芳佳……ずっとガロードと一緒に戦っていたんだよね、それにあの子はきっとガロードの事を……)
ティファは芳佳のガロードに対する想いをなんとなく感じ取り、自分が彼女に嫉妬しているのを感じていた。
(私最低だ、芳佳に嫉妬している……でもこのままじゃガロードが遠くに行っちゃう……)
ティファはガロードとの間に距離が広がった(そう思っているだけで本当はそんなことないのだが)ことを歯痒く感じていた……。
「ティファ……? 何をコソコソとしているのだ?」
「!!」
その時、ティファの背後に何者かが現れて、彼女は驚いて後ろを振り向いた、そこには……。
「坂本……さん」
「ああ、久しぶりだな」
三か月前、何者かに操られていた自分を救ってくれた、命の恩人でもある美緒が立っていた。
美緒はガロード達の輪に加わらずコソコソしているティファの挙動を、首を傾げて不思議がった。
「どうした? お前もあそこに行けばいいじゃないか、あそこには……」
そう言って美緒はガロード達の方を見て、ガロードと芳佳が仲睦まじく話しているところを目撃する。
「……なるほど、入り辛いのか……一緒に行くか?」
「……」
ティファは無言で首を横に振り、代わりに美緒にある提案をしてきた。
「坂本さん……実は相談したいことがあるんです」
数分後、ティファは美緒を自分の部屋に招き、最近抱えている悩みを彼女に打ち明ける。
「ふむ……つまり皆に迷惑かけっぱなしのままじゃ嫌だというのだなお前は?」
「はい、私……ガロードや助けてくれた皆の力になりたいんです、でも……」
ティファの特技である予知夢も最近発動せず、最近はフリーデンと宮藤家の診療所、そして軍基地の研究室を行ったり来たりして検査を受けるだけの生活を送っていた。
それ故にガロードと過ごす時間が以前より減っていることに、ティファは危機感と寂しさを感じていた。
「このままじゃ……みんなの重荷になってガロードが遠くに行っちゃう気がして……」
(あいつはそんなこと考えるような男ではないと思うがな)
美緒は客観的に見てガロードとティファの絆がそんな簡単に壊れるものではないと感じていた。
(必要以上に不安になっているのだな……まあ仕方ないか、ガロードは宮藤他大勢に惚れられているし……まあかくいう私もだが)
美緒はちょっと顔を赤らめて小さく咳払いする。
(だがこのままにしておくのも可哀そうだ……よし!)
美緒はあることを思いつき、ティファの肩をがしっとつかむ。
「それならティファ……私にいい考えがある」
「考え……?」
「お前……ウィッチにならないか?」
その日の夜、ティファはフリーデンの主要メンバーを集めて、美緒と話し合った末に導き出したある自分の決意を話した。
「「「「「ええええええ!!? ウィッチになるうううううう!!?」」」」」
ブリッジにいたほとんどの者が声を揃えて驚きの声をあげ、そうじゃない者も目を見開いて驚いていた。
「本当なのかティファ? ウィッチになるなどと……」
普段冷静なジャミルもまた、ティファの思いがけない発言に仰天しつつも、真意を確か目るために彼女に質問する。
「はい、私決めました……私も皆の未来を守りたい、私に今できることをしたいと……守られてばかりでは嫌なのです」
「ダメダメダメ!! そんなの絶対ダメだー!!!」
案の定、ガロードは反対の声を上げる。
「ガロード、どうして……?」
「だ、だってそんな! ティファを危険な目に遭わせるわけにはいかないよ! 魔力シールド張れるとはいえウィッチは命がけなんだぞ!」
ガロードはもっともな意見でティファがウィッチになることを反対する、しかしティファも負けてはいない。
「ガロード……私もガロードが命を懸けて戦うのは嫌よ?」
「え……?」
ティファの意外な言葉に、ガロードは思わず言葉を失う。
「私……ずっと、ガロードやフリーデンの皆と出会ってから守られてばかりだった、みんなが危険な目に遭っても私はただ見ていることしかできなかった、でも今の私には皆を守る力がある……それなら今度は私にガロード達を守らせて」
「ティファ……」
ティファのこれまで秘めていた自分に対する思いに、ガロードはどう言葉を掛ければいいのか解らなくなっていた、すると後ろにいたトニヤがガロードの肩をポンと叩いた。
「いいんじゃない? ティファが決めたことなら……あんたも幸せよねガロード、ここまで思ってくれる彼女がいるなんて……あの子の想いを否定しちゃダメだと思うわよ?」
「う……」
他のフリーデンのメンバー達も、うろたえつつもティファの決意に無言で賛成していた。
そしてガロードもついに折れる。
「わかった……ティファがそう決意するならこれ以上何も言わない、でも無茶はするなよ?」
「うん……ありがとうガロード」
その時、パーラが何か思い出したかのようにティファに問いかける。
「あ、そういえばティファ、大丈夫なのか?」
「ええ、無茶はしません」
「いやそうじゃなくて……ウィッチになるってことは、あの恰好になるって事だろ? 平気なのか?」
「あの恰好? あ……!」
数日後、フリーデンのブリッジにジャミルらメインクルーだけでなく美緒と芳佳も集まっていた。
「坂本さん、今日はどうしたんですか一体?」
「ああ、お前にも見てもらいたいものがあってな……」
「ティファ……まだかな……」
「お待たせー! 着替え終わったわよー!」
するとブリッジにトニヤが誰かを引き連れて現れる。
「ほら、隠れてないで見せてあげなさい」
「は、はい……」
トニヤはドアの影に隠れているその人物の手を引く、その人物は……芳佳と同じ水兵の上着にスクール水着型のボディスーツを着たティファだった。
「おおお……!?」
(改めて見るとすげえ格好だな……)
「あ、あの……」
ウィッツやロアビィら男性陣の視線を感じもじもじするティファ。するとまず最初に芳佳と美緒がティファの格好について感想を述べた。
「すごいよティファちゃん! 似合ってる!」
「そ、そう……?」
「ああ、見事な着こなしだ、ガロード、お前も何か言ってやれ」
「え、あ、ああ」
いきなり美緒に振られ動揺するガロード、そして顔を真っ赤にしながらティファに話しかけた。
「す、すごく似合っているぞティファ……可愛いよ」
「ありがとう……ガロード……」
ティファは気恥ずかしさと嬉しさのあまり顔が真っ赤になっていた。そしてジャミルは改めて美緒に話しかける。
「では坂本少佐……ティファの事、よろしくお願いします」
「はい、この子は私が責任をもってお預かりいたします」
ティファは一人前のウィッチになるため、しばらくの間美緒が教官をしている学校で訓練を受ける事になっていた。
「も、もっさん……あんまりティファをいじめないでくれよ?」
「はっはっは! それはティファ次第だ……それとも一緒に訓練を受けるか?」
「ガロード……私は大丈夫、もっともっと強くなって戻ってくるから……」
そう言ってティファは芳佳の方をちらりと見る。
(芳佳にも……皆にも負けたくないから……)
「ん? どうしたのティファちゃん?」
「ううん、何でも無い……」
こうしてティファはしばらくフリーデンを離れ、美緒の元で厳しい訓練を受ける事になった。その彼女の訓練の成果が見せられるのはそれから数カ月後の事だった……。
おまけTIPS:ティファの使い魔
訓練学校での初日、ティファはグラウンドで美緒の前で訓練用のストライカーを履いて魔法を発動させていた。
「ふむ、ガリアの時は解析している暇は無かったが、お前の使い魔はどうやら白鳥のようだな」
「白鳥……」
ティファは自分の頭から生える二本の白い鳥の羽根のようなものを撫でる。ちなみにお尻からは白鳥のシッポらしきものが生えている。
「鳥系の使い魔はエースが多いから期待ができるな……だが甘やかすつもりはない! これからビシビシしごいてやるからな!」
「はい……お願いします……」
(ああ、大丈夫かなティファ……!)
ティファ達のいるグラウンドの隅に生えている草むら……その陰でガロードは木の枝を握りしめながら彼女達の様子を観察していた。どうやら心配になって見に来たようだ。
(け、怪我とかしなきゃいけど……! もし何かあったら俺が……!)
その時、ポニーテールヘアの少女を先頭にグラウンドを走っていた訓練生達が、隠れていたガロードの姿を発見する。
「あ! 覗き! 先生呼ばなきゃ!」
「いーや! どうせなら私達で捕まえちゃいましょう!」
「え!? いやちょっと待って!!?」
ガロードの事を覗きと勘違い(間違ってはいない)した訓練生達は仲間達を呼んで逃げ出した彼を追いかけ回した。
「「「待て~! 覗き魔~!!!」」」
「ご、ご、誤解だあ~!!!」
「ん? 向こうが騒がしいが……まあいい、それじゃ早速腕立て500回!」
「ごひゃ……!? は、はい……」
そんなガロードの様子は露知らず、ティファはウィッチになる事を早速ちょっぴり後悔しつつも、美緒に言われた通りの訓練を開始するのだった……。
最初ティファの使い魔はイルカにしようと思ったんですけど、流石に海の生き物は……と思い、ニュータイプに馴染みの深い生き物と言えばやっぱり白鳥でしょと思って現在の形になりました。
第二部の予定ではティファは原作にはいなかったストライクウィッチーズ2での12人目のウィッチとして活躍してもらう予定ですが……全然できてない状態ですので、某所に投稿していたもう一個のガンダムクロス作品(サテライトウィッチーズと話が繋がっています)を投稿することを検討中です。
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外伝その2になります。
投稿するのにすごく悩みました……もしかしたら消すかもしれません。