No.337602

寂しがり屋の女の子の為に…… 拾壱話

DOWANNGOさん

こんにちわ~
今回はとあるフラグを立てさせて頂きます。
まぁ、大したフラグではありませんけどね……
では、始まり~

2011-11-21 20:58:05 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:3957   閲覧ユーザー数:3420

「遅いな……」

 

俺は今、中庭に居る。

何でも華琳が街の視察がしたいそうだ。

 

「それにしても遅い……」

 

集合は正午。

分かりやすく言えば今は大体十一時五十分程だ。

確かにまだ集合時間では無いが誰も来ていないので不安になってしまう。

華琳達のことだからまさか忘れるなんてことは無いだろうが……

春蘭……君なら忘れそうだと思った駄目な師匠を許してくれ……

 

「師匠!お待たせしました!」

 

「うおっ!な、何だ春蘭か……」

 

「何かありましたか?」

 

「な、何も?」

 

「そうですか」

 

さっきまで馬鹿だと思ってたなんて言える訳が無いじゃないか……

本当にごめんね春蘭……

 

「それより秋蘭と華琳は?」

 

「華琳様は髪の纏りが悪い様で秋蘭に整えさせています」

 

あ~あのクルクルか~

いつの時代でも女のメイクに時間がかかるのは同じか。

 

「劉郷さん、今、化粧や髪型なんて大して変わらないなんて思いませんでした?」

 

そんなことを言いながら近づいてきたのは桂花と夜月と一緒に来た美蓮だった。

 

「そんなこと思って無いって」

 

あの華琳が寝癖姿で出てくる方が驚きだろう。

多分可愛いだろうけどな……

 

「そう言えば華琳は前回の刺史から州牧になったんだよな?」

 

州牧になったから季衣との約束を果たせると嬉しそうに言っていたのを覚えている。

 

「中央には知り合いが居ましたしね」

 

桂花が胸を張ってそう言った。

成程……桂花が中央に手をまわして華琳が州牧になるのを後押ししたんだろう。

でも……

 

「そう言うのって華琳が嫌がらないか?」

 

華琳は正々堂々とやるって感じだからな。

コネとかそう言うのは嫌うだろうと思うんだけど……

 

「別に構わないわよ」

 

「「華琳様!」」

 

華琳はそう言いながら秋蘭を連れてやってきた。

やっぱり華琳は可愛い……

あれ?そう言えば季衣はどこだ?

 

「華琳、季衣は?」

 

「盗賊の本拠地が見つかったよ。本当は春蘭か秋蘭に行って欲しかったけど自分が行くと聞かなくてね……」

 

「そうか……」

 

自分の邑と同じような目にあっている邑を放っておけないんだな……

本当に良い子だ……

 

「じゃぁ、今日の視察でお土産でも買って行こう。

視察の序にな」

 

「そうね。それも良いわね。

それでは桂花、美蓮、夜月、留守番よろしくね」

 

「「「えぇぇぇぇぇっ!」」」

 

息ぴったりだな……

まぁ、しょうがないだろうけど。

 

「美蓮と桂花は何かあった時の対応、夜月は補佐よ」

 

「「「「分かった(ました)(です)……」」」

 

可哀想だけど何か言ったらお土産を買って来いって言われそうだから何も言え無い俺であった……

 

俺は今、華琳と街の視察をしている。

華琳曰く最高の護衛だからと言うことだ。

春蘭は散々文句を言っていたが華琳が『春蘭』って言ったら渋々承諾してくれた。

 

「あら?あれは何かしら?」

 

「ん?」

 

華琳が指した方には何かの装置が置いてあり籠を売っているらしい少女が居た。

俺は気になってその少女に話しかけた。

 

「なぁ、その装置何だ?」

 

「お!兄さん目が高いの~!これは全自動籠編み装置や!」

 

怪し過ぎる……

でも、試してみないと分からないな。

 

「ちょっとやってみるか。

華琳、良いだろ?」

 

「ええ、壊さない様にね」

 

「まさか、子供じゃないんだから」

 

俺はそう言いながら籠編み装置に近寄る。

 

「そっちの取っ手をグルグル~っと回しや」

 

言われた通りに取っ手を回してみる。

すると本当に籠が出来上がってくる。

結構すごいな……

殆んど手動の件を除いてな……

 

ビキビキッ……

 

「ん?」

 

何だかヤバイ音が鳴った様な気が……

 

「ヤバイで……」

 

やっぱりか!

俺は籠売りの少女の言葉を聞いて一瞬で華琳の傍に行き華琳を抱えてその場から離れた。

後ろで『ドカァァァァッン!』って音がした様な気がしたけど気のせいだろう。

集合場所

 

「それで?何で揃いも揃って竹籠を抱えているのかしら?」

 

集合場所に一番に着いてそれが華琳の最初の一言。

二人は先に着いていたが何故か二人共籠を抱えていた。

 

「それが、今朝部屋の籠の底が抜けているのに気が付きまして……」

 

あ~秋蘭ってそう言うのを気にしそうだからな~

 

「あなたのことだから気になってしょうがなかったのね。

それで、春蘭は?何か山ほど入れているようだけど?」

 

春蘭は何故籠を抱えているのか分からない。

春蘭は部屋の籠の底が抜けてようが何だろうが気にする様な子じゃない筈だ。

 

「これは季衣の土産の服にございます!」

 

本当か?パッと見だが華琳並の大きさのような気がするが……

言わない方が良いんだろうな。

 

「今回の視察の件は報告書に纏めて報告しなさい。劉郷もよ」

 

マジかよ……はぁ……

 

「そこのお主……」

 

俺が項垂れているところに占い師らしい人が話しかけてきた。

顔を隠しているから女か男か良く分からない。

 

「悪い、華琳は占いは信じないんだ」

 

「劉郷、控えなさい」

 

「?分かった」

 

華琳にそう言われて俺が引き下がると占い師はこう言ってきた。

 

「強い相が見えるの……人を従え、智を尊び、この国を満たす相じゃ」

 

「ほほぅ、良く分かっているじゃないか」

 

春蘭が胸を張りそう言うと占い師はこんなことを言いだした。

 

「しかし、お主の力、今の弱った国では収まりきらぬ。その野心、留まるを知らず。溢れ出した野心は、やがて国を犯し、野を侵し、いすれこの国に名を残すほどの、類い希なる奸雄となるじゃろう」

 

「貴様!『秋蘭、華琳が何も言わないんだ。ここは下れ』分かりました……」

 

あぶねぇ……俺が止まらなかったら秋蘭はこの占い師を矢で撃ってただろう。

秋蘭は怒る時にはものすごく怒るからな。

 

「つまり乱世においては奸雄になると?」

 

「左様、それも今までの歴史に無いほどのな」

 

「そう……劉郷、この者に幾ばくかの謝礼を」

 

「分かった」

 

俺は占い師の持っている杯に言われた通りの謝礼を入れた。

華琳が愚弄されたのに怒らないってすごいな……

 

「世の奸雄、大いに結構。その程度の覚悟もなくてはこの乱れた世に覇を唱える事など出来ない。そう言う事でしょう」

 

成程、そう言うことね……

ホント、すごい奴だ……

 

「それからそこのお主」

 

「俺か?」

 

何だろう?前にもこんなことがあって……駄目だ思い出せない……

 

「……何故またもやこの舞台に……」

 

「え?」

 

『また』?前にもあったのか?

 

「……大局に逆らえば身の破滅。お気を付けなされよ?」

 

この言葉……前にも言われたような気がする……

俺は……この言葉には従えない。

何故だか知らないけど従っちゃいけないような気がしたんだ。

だから俺はこう言った。

 

「俺の知っている大局は俺の納得行く大局じゃない。

だから、自分の納得行く大局にするんだ。

いくら『前に』身の破滅を味わったとしても……」

 

あれ?今俺は何て言った?

『前に』?何だこの違和感……

この占い師は何を知っているんだ!?

 

「そうか……そこまで言ったのはお主が初めてじゃ」

 

そう言って占い師は去って行った。

その後俺は華琳達が話しかけてもしばらく占い師が去って行った方を見ていたらしい。


 
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