No.336654

桔梗√ 全てを射抜く者達 第33射

黒山羊さん

やっぱり、ビールはスーパードライだと思う黒山羊です。
うむ。久しぶりに飲むビールは美味かった。安い麦焼酎飲んでいたから、少し寂しかったです。
最後にアンケートがあります。ご協力のほど、宜しくお願いします。

最後になりますが、

続きを表示

2011-11-19 18:36:34 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:3783   閲覧ユーザー数:2780

 

 

桔梗√ 全てを射抜く者達   第33射

 

 

 

 

視点:鮮花

 

一刀さんが厳顔様に抱えられて馬で城へと向かうのを見送りました。

私は一刀さん達と共に城に向かう兵士を見送ると早速、罠の設置に入りました。

罠といっても完全に敵を通せんぼ出来る罠は設置しません。あくまで、時間稼ぎする程度の物です。

その理由を軍師様は『市街戦で完全に敵を防いでしまっては、劉焉の軍は西門から城へ向かうのを諦め、民が居る東門に行かれる恐れがあります。劉焉の軍が東門に行って、私達が逃がそうとしている民達が殺されてはこの作戦も本末転倒です。』と言っておられました。

要するに、私達の任務は敵を城へ誘導しながら、時間稼ぎをするという無茶な任務でした。

 

私を含め人狼部隊所属のクロスボウを持った10人と罠設置要員40人が担当するところは一番西門に近い所です。李典様から貰った有刺鉄線を道に広げます。

一刀さん曰く、この有刺鉄線はピッタリと地面に広げるんじゃなくて、多少うねりを作りながらの方が良いみたいです。その方が足に引っ掛かってこけるので、罠として機能するとのことです。

更に、有刺鉄線だけではすぐに退かされてしまいますので、杭を打ち込んで行きます。

そして、設置された有刺鉄線は道幅を隙間なく埋め尽くし、全長10丈(30m)にも及びます。

これなら、そんなすぐにはすんなりと通ることは出来ないはずです。

 

次の所では他の娘達が罠設置の準備をしていて、私達が通ると罠を設置してくれるようになっています。

確か、次は油にまきびしだったような気がします。

滑って、扱けて、刺さるの三拍子だと軍師様は笑顔でした。

あいかわらず、あのお方は通常運転のようです。

 

「鮮花さん、今西門が突破されましたわ!」

 

櫓の上で見張りをしていた娘が私達に伝えてくれました。

その娘は櫓から降りて来て、使っていた櫓を燃えている家屋の中に放り込みます。

これで劉焉軍に利用されることはありません。

 

私達は道の真ん中に積んだ土嚢に身を隠し、クロスボウによる射撃の準備に備えます。

そして、劉焉軍は来ました。どうやら迷路を突破してきたようです。

しかし、アレですね。軍師様が言っていた罪人や奴隷が使われている軍は統率がされていませんね。

単に劉焉の軍は数ばかりで、指揮系統が無茶苦茶なのでしょうか?

隊列も武器も無茶苦茶です。そこらへんの賊以上にバラバラのちぐはぐです。

 

劉焉の軍の前線が罠を見つけた為、罠の前で止まろうとしますが、後ろから雪崩れ込んで来た軍によって押されてしまい、罠の中に強制的に押し込まれ悲鳴を上げる。だが、まるで止まる様子が無い。

まるで、空腹の者が身内を蹴り落としてでも、食べ物にありつこうとする姿に似ていた。

罠に妨害されている為ゆっくりであるが、確実にこちらに向かって来ている。

 

「ムーヴ!」

 

私達は一斉にクロスボウを乱射する。

一気に20本矢の入った弾倉は空になり、次々と新しい弾倉を装填し、乱射していきます。

大分射撃訓練に力を入れたおかげで、大分矢が当たる様になりました。

5割の確率で劉焉の軍の兵に刺さって行きます。致命傷を与えられているかどうかは分かりませんが、以前と比べては雲泥の差です。おかげで、時間は稼げている。

だが、やはり向こうの方が数の利と奴隷の渇望というものがあるため、後退することは無い。

やっかいですね。

 

矢を放ち切りました。もう、此処に居ても私達にやることは無い。

あくまで、人狼部隊は障害物の多い不便な土地でクロスボウを使った戦闘に特化部隊です。

罠にかかってもたついている離れた敵を撃つことは訓練されていても、多数敵との接近戦は苦手です。

CQCの訓練は受けたが、隊長のように10人同時相手できる娘は誰もいません。

ですので、私達が使うCQCは相手の暗殺の時に多少使う程度です。

だから、私は次の防衛線に退却する指示します。

 

「リトリート!!」

 

 

 

 

視点:桔梗

 

一刀の双眼鏡を借り、城から街の状態を見る。

劉焉軍は迷路状になり火の海となった巴郡の街と人狼部隊が設置した罠に翻弄しながらも、こちらに向かって来ておる。迷路も罠も人海戦術で来られたら、困るからのう。

杏里がわしの横に来て、双眼鏡を借りたいと言ってきたので、貸してやる。

この双眼鏡は一刀の物だが、一刀はあの薬の副作用である感情の暴走を抑え込み、戦いの時に備えようしているため、柱にもたれかかって横になっておるから、そっとしておった方がよい。

杏里が双眼鏡を目から離した。

 

「のう、杏里?後どれぐらいで劉焉の若造の軍は此処に着いてしまうかのう?」

 

「おそらく、四半刻(30分)ですね。

見ていたから、分かるとは思いますが、今3つ目の防衛線が突破されましたので、城門が開いたとされる時から現在までの時間、突破された罠の配置や距離から考えてから、それぐらいだと思います。

予定通り。階段は予定通り3つの内2つを斜面にしておきました。

これで劉焉軍は真正面の階段を使ってこちらに向かってくるでしょう。」

 

階段を斜面にしたのは真桜だ。なんでもわしの知らぬ間にこの城を夜な夜な改造して居ったらしく、階段が斜面になって、途中に居る人間が滑り落ちるというからくりを城の階段につけてしまったらしい。

おかげで、この城に立て籠ったわしらが守ればよいのは、わしの目の前にある階段一つじゃ。

 

単純明快じゃな。要するに此処を守り切ればよい。

わしは一騎打ちがしたかったのじゃが、劉焉の軍には優秀な将が居らぬ。諦めるとするかのう。

 

そんなことを考えていると、階段を登って来る者が居った。

人狼部隊じゃ。人数は16人。おかしいのう?此処まで少なかったか?

完全に把握しておるわけではないが、人狼部隊は100人近く居たはずじゃぞ?

 

「おい、人狼部隊はここまで少なかったか?」

 

「いえ、数度罠を味わった所為か、劉焉の部隊が罠に対して警戒を始めました。

そして、劉焉の軍が罠の手前で止まり、矢を放って来たものですから、退却時に人狼部隊の大半がやられてしまいました。現在残っているのは負傷者を含め、24名です。

今此処に居ない8名は現在負傷者を輸送中です。」

 

一番前に居った者がそう言った。顔は仮面で見えないが、声で分かる。コイツは鮮花じゃ。

表情は分からぬが、声色や震える肩から悔しさが感じ取れる。

おそらく、一刀に任された人狼部隊の指揮を失敗して、戦友を失ったことが辛いのじゃろう。

 

「お主らは撤退の準備をしろ。」

 

「いえ、私達が先に退却する訳にはいきません。」

 

「はぁー…。お主らも勝手じゃな。」

 

「だって仕方が無いじゃないですか?私達人狼部隊は狂おしいほど、一刀さんのことが大好きなんです。

よっぽどのことが無いと、好きな人を残して逃げるなんて出来ません。」

 

「好きにしろ。だが、わしも生き残って、お主らも生き残るぞ。じゃから、先に逝くことは許さん。

残された者は悲しむのじゃぞ。」

 

「さきほど。一刀さんにも言われました。」

 

「そうか。」

 

 

 

 

兵達に最後の言葉を掛けていく。皆良い顔をしておった。

じゃから、わしらが此処から井戸を通って、脱出するのが大変申し訳なかったが、皆笑ってこう言う。

 

「では、俺らの来世をより良いものにして下さい。

俺らは平和な世で、まっとうな仕事について、厳顔様と酒を飲みとうございます。」

 

曇りの一遍も無い笑顔じゃった。

まるで、此処が何処かの酒屋で、昔話をしながら、一緒に潰れるまで飲んでいたような感覚じゃ。

 

じゃから、わしは城の倉庫から酒を全部出させた。それを兵達に与えることにした。

そして、蔵から出てきた酒は紹興酒、杏子酒、馬乳酒、白酒等など種類がたくさんあり、紹興酒1つをとっても、十数種類あった。引き出物として色々と貰ったのだったな。

脱出の際に、時間に余裕があったのなら、わしはこの酒も持って逃げる所じゃったが、そうも言ってられなかったので、此処に置いていったのじゃったな。

杏里は酔い潰れたら、時間が稼げなくなるから程々にしてほしいと言って来たから、わしらは困った。

唸っているとある兵が手を叩く。何かを思い出したようじゃな。その者は手を上げる。

 

「天の国にはビール掻けという祝い方があるそうです。」

 

ビール?あぁ、一刀が言っておった天の国の酒か。前に聞いた事がある。

じゃが、ビール掻けとはなんぞや?わしはそのビール掻けとやらをそのものに聞いてみた。

その者曰く、祝いの席でビールをぶちまけて、浴びるというのがビール掻けと言うらしい。要するに水浴びならぬ酒浴びらしい。一瞬その言葉を疑ったが、天の国がそれなりに平和だということを思い出したので、あり得なくもないだろうと納得する。

 

「じゃが、此処にはビールがないぞ。」

 

「これでしましょう!」

 

「この紹興酒とかでか!?はっはっは!面白いやるか!!」

 

そう言って兵達に一人一つ酒壺を渡していく。

そして、わしの号令と共に皆は酒壺に手を入れて、手で酒を掬い、隣にいる兵達にかけていく。

兵達は笑いながら、酒が美味い美味いと言っている。どうやら、酒を掛けられた時に口に入ったようじゃな。わしも皆に酒を掛けられてビショビショじゃ。民が美味い美味いと叫んでいるのは引き出物で高い酒が多かった為、民はあの値段の酒をそうそう飲めるものではない。わしもどちらかと言えば、量か質か問われたら、量を選ぶ為、こういった高い酒は余程の事が無い限り飲まぬ。

あぁ、楽しいのう。燃える城を見ながら、酒というのはそうそう無い。

花見酒や月見酒ならぬ、炎見酒か?こんな酒との付き合い方は産まれて○●年したことが無いな。

これが、なかなか面白い。燃えている城が崩れると大きな音を立て、炎の勢いが変わる。

大きくなったり、小さくなったり、その炎を見ながら、わしらは盛り上がったり、盛り下がったりする。

酒は静かに飲むのも良いが、こうやって宴会風にやるのも良い。

こんな時間が何時までも続けば良いと思っていたが、楽しい時間もそう続かないようじゃな

 

「厳顔様!劉焉の軍が来ました!」

 

杏里が報告にきたので、わしは豪天砲を持ち、最前列に出る。

鮮花の言う通り、罠という存在を学習したからか、劉焉の軍は盾を構えて、ジリジリと迫って来る。。

 

「劉焉に飼われた犬どもめ!

戦いがなんたるかをわしが教えてやろう。貴様等の命を道連れにな!さあ、来い!」

 

 

 

 

わしがそう叫ぶと劉焉の軍は再びこちらに向かって盾を構えながら、突撃してくる。

杏里の言う通りじゃな。わしの首に賞品か何かかけられているよじゃな。

一気に、劉焉の軍は階段を登り始めた。

 

わしもそれを黙って見ているつもりは無い。わしの軍の兵に射撃の命令を出す。

本来なら此処は槍を構えての迎撃じゃが、こちらは千五百しか兵が居ない。それに比べて劉焉の軍は二十万近く。数の利でわしの軍を一気に潰すじゃろう。じゃから、わしらは地の利を使う。

こっちの方が高い位置にあり、射撃はとても有効な手段だと杏里は言っておった。

じゃが、残念な事に劉焉軍は盾を装備している為、弓による射撃だけでは聞かぬようじゃな。

だからこそ、わしの豪天砲がある。

 

わしは豪天砲の引き金を引く、すると弾は高速で飛び、劉焉軍の盾を粉砕する。

矢に比べて比重が重い豪天砲の弾の破壊力はやはり桁違いじゃな。だが、一発ではあまり効果が無い。

何度も乱射し、盾を壊していく。だが、それでも劉焉の兵はこちらに向かってくる。

盾が全て破壊され、矢の雨が降り注いでいるのにも関わらずだ。

何故かって?見れば分かるだろう。劉焉軍は最前列にさっきまで居た兵を盾にしておるのじゃ。

負傷したり、死んだから兵士として使いものにならない。だから、盾として利用する。

負傷した兵は『止めてくれ』と悲鳴を上げておる。

兵士間に友情や団結力があるのならば、到底そんなことは出来ぬ。

他人は分からぬが、少なくともわしは負傷した焔耶や一刀を盾にして敵軍に突っ込むことは出来ぬ。

 

じゃから、見ていて胸糞悪かった。

自由を餌に敵地へ突っ込ませる劉焉がわしは死ぬほど憎かった。戦は喧嘩の延長戦のようなモノで、華が。

このようなやり方は華が無い。わしの武人としての境地を汚された気分じゃ。

 

だからといって、戦で手加減して、殺されるつもりも無い。

わしは豪天砲を何度も乱射する。狙う場所はもちろん頭部じゃ。理由は簡単。当れば死ぬ。たとえ、外したとしても、これだけ敵軍が居るのじゃ。必ず、流れ弾が誰かに当たる。

今この場で必要なのは、わしらが罠を用意していないと信じ込ませるために必死に戦っていると演出する必要がある。え?どんな罠か知りたいじゃと?

説明は不要じゃ。もう、劉焉軍が階段を登り切りそうになっておる。

 

「真桜!今じゃ!」

 

「あいよ!」

 

わしが大声でそう叫ぶと、真桜は階段の近くの壁をおもいっきり螺旋槍で叩いた。

何かが動く音が階段の方から聞こえていた。まるで、わしの豪天砲を床の上に置いた時のような音じゃ。

それと同時に劉焉の軍の兵は転倒し、後ろへと滑って行く。その光景はまるで雪崩のようじゃった。

この罠による敵軍への影響は階段を上っていた兵以外にも及んだ。階段を上ろうとしていた兵達だ。

要するに、階段を登っていた兵は雪崩となって転がり、下に居た兵は雪崩に巻き込まれたのだ。どちらも被害は甚大だ。だが、これで倒せた兵はおそらく多くて千だろう。そして、斜面を流れて行った劉焉の軍の兵達は階段の麓で積もっておる。高く積もった劉焉の軍からうめき声が聞こえて来る。

 

「今じゃ!敵は怯んでおる!一気に矢を放つのじゃ!」

 

わしはそう言いながら、豪天砲を放つ。わしの真横で一刀も天の弓を放っておった。

やはり、天の弓はえげつないのう。貫通力というのか?一発放てば、弾が貫通して何人か死による。

豪天砲ではこうはいかんぞ。豪天砲は射抜くというより、撃ち壊すというのが専門じゃからな。

だから、豪天砲を喰らって死ぬ輩は大抵打撲か内臓破裂と診断される。

 

「フーッ!フーッ!!うォぉォォォぉっォ!!

怒れ!一刀!此処は戦場だぁ!もット怒れ!!憤怒の炎ダ!」

 

一刀はまた忘我状態になり、一帯が怒気に包まれる。純粋に黒い怒気だ。

そして、その怒気に当てられたのか、わしの兵達も老若男女問わず、次第に怒り出した。

彼らもまた、呪いのような怒りの言葉を吐く。この世の不条理さ呪ったような怒りだった。

怒り狂うわしの兵はその一挙手一投足に力が入っていた。これにより、怒涛の反撃と行きたかった。

 

だが、やはり、どんなに一人一人の気持ちが強くなっても、それは兵自身が強くなったわけではない。

だから、一人、また一人と立ちなおし始めた数の利のある劉焉の軍の矢を受けて倒れて行った。

矢を受け、血を吐きながら戦おうとしている者も多く居たが、失血で荼毘に付していく。

 

 

 

 

そして、気がつけば、もう人狼部隊10人と兵が数人、真桜に杏里、一刀に儂しか残っていなかった。

もう、ここらが潮時だな。杏里も同じ意見のようじゃ。

わしは一刀に脱出用の井戸へと案内させる。

 

一刀が案内した井戸はもう使われていない井戸だった。わしがこの城の城主になった頃からこの井戸は使われていなかった。おかげで周りは草が生い茂っており、囲いの石も崩れておった。

何でもいきなり水がでなくなったとかで使わないようになったらしい。

壊すのも面倒だった為、そのまま放置されていたという訳だ。

一刀曰く、元々ある地下水脈に丁度当たっていたらしいのだが、何かの衝撃でその地下水脈の流れが変わった為、水が無くなってしまったということらしい。

 

地下水脈の途中という事は中で迷ったりしないかと杏里が一刀に聞いたが、一刀は中を1週間かけて調査した時に目印を付けたから迷うことは無いだろうと言っておった。

さらに、こんな時に備えて、この先にある鍾乳洞に備蓄が置かれている小さな小屋があるらしい。

食料も長期間持つ塩蔵品が多いらしく、100人が3日居ても飢え死にすることは無いという。

さすがは一刀、用意周到じゃな。

 

まず、数人の兵が降りた。そして、負傷者を紐に括りつけ、降ろしていく。

兵達は下で負傷者を受け止め、近くの空いた所に寝かしていく。その間、人狼部隊と一刀が万が一の時の事を考えて、警護をしている。そして、杏里が降り、続いて兵達が降りて真桜も降りた。

そして、鮮花以外の人狼部隊が降りた。

 

「鮮花、次はお主が降りろ。」

 

「はい。ですが、その前に。」

 

「うぅっ!」

 

突然、背中にチクリと何かが刺さるような感覚がわしを襲った。

後ろを振り向くと、左手で頭を抱えた一刀が居た。相変わらず、歪んだ精神安定剤に苦しんでおるようじゃな。一刀はわしの方をみている。そんな一刀に少し違和感があった。何じゃろう?何かが違う。

 

少し考えた瞬間、あることが分かった。そう一刀が持っている得物がいつもの天の弓とは違っておった。

一刀が持っておった者は筒状の棒じゃった。あれはなんじゃ?どこかで見たことがある。

その時だった。

 

わしは急に体に力が入らなくなり、その場に崩れる。

なんじゃ?何が起こった?どこも負傷して居ないはずなのじゃが、訳が分からぬ。

そして、そのまま、凄い睡魔に襲われた。何も考えることが出来ないぐらいの睡魔だ。

 

あぁ、そうか。なるほどのう。

杏里の調合した睡眠薬が塗られた吹き矢でわしは一刀に喰らわされたらしい。

殺気を消すのが一刀は得意じゃと言っておったからな。こんな至近距離で殺気なしで吹き矢を噴かれたら、誰だってやられてしまうというものじゃ。流石のわしでもな。

 

わしはそこで意識を失ってしまった。

 

 

 

 

視点:鮮花

 

此処に残っているのは、厳顔様と私と一刀さんです。といっても厳顔様は寝ているのですけどね。

何故寝ているかって?一刀さんが厳顔様の背中に麻酔吹き矢を当てたからです。

李典様のからくりも凄いですが、徐庶様の調合薬も本当にすごいです。

なんせ一瞬で厳顔様を眠らしてしまったのですから。

 

「一刀さん、本当にこれで良かったのですか?」

 

「仕方なイダろう?俺が此処に残るッて言ったラ、桔梗様、絶対に怒りマスよ。」

 

そうです。一刀さんはこの城に立て籠りを始めた時に私だけに此処に残ると言ったのです。

最初は私もそれは反対ですと反論しましたが、一刀さんはこう続けました。

 

『敵の目的は俺の捕縛もしくは桔梗様の首だと言ったな。

優先度が高いのはおそらく俺を手に入れることだろう。理由は簡単だ。この戦は劉焉が俺を手に入れて邪魔者を排除することがきっかけで始まった。だから、俺が捕まれば、この戦は終わる。

もし、俺と桔梗様が逃げた結果、俺と桔梗様が心中したと敵が誤認したら、どうなる?

目的を達成することが出来なかったといって、劉焉が駄々をこねるかもしれない。

手に入れたいモノを話し合いでは無く、戦争で手に入れようとする我儘だ。十分に可能性はある。

で、駄々をこねたら、最悪、八つ当たりと言って、民が襲われるかもしれない。

そうなれば、俺や桔梗様や焔耶、杏里達が殺されるかもしれない。

だが、俺が素直に捕まればどうなる?劉焉は欲しい玩具を手に入れた子供と同じ。

まずはそれで遊んでみる。そうなれば、民達が追撃されることもないだろう?

最初から俺だけが降伏していたらということも考えられたが、折角ここまで来たからといって桔梗様を殺すと言いだすかもしれないだろう?反乱分子を潰すといって、巴郡の民達を殺すと言ったかもしれない。

だから、俺は此処に残る必要がある。』

 

それでも、私は一刀さんにも逃げて欲しかった。

だって、この策って劉焉に天の弓が渡ってしまいますから、劉焉が一刀さんに使い方を聞こうとするじゃないですか!拷問とか、どんな方法を使ってでも絶対に使い方を聞きだそうとします。

大好きな一刀さんがそんな目に合うかもしれないのを私は黙って遠くから見るのは嫌だった。

 

私は自分に忠を尽くすと言った。

一刀さん曰く、自分に忠を尽くすとは自分や自分の守りたい者や理想の為に戦うことらしい。

私にとって守りたいモノは一刀さん達とその理想。そして、私は今どちらを取るかと考えた。

そして、熟考の末、私は一刀さんの理想を取った。それが私の忠を尽くすだと思ったから。

 

「鮮花、これを渡してオきます。」

 

「これは何ですか?」

 

渡されたのは単なる布きれだった。でもこれ何処かで何時も見ていたような気がします。

そうだ。これは一刀さんが何時頭に巻いていました!確か名前は。

 

「無限バンダナだ。桔梗様が起きたら、渡しておいテクれ。」

 

「はい。」

 

「じゃぁ、行ってクれ。すまンな。コんな嫌わレ役を頼んでしマッて。」

 

私と桔梗様は井戸を降りて行きました。

 

 

 

 

どうも、黒山羊です。

今回の話は如何だったでしょうか?

それから、撤退の軍事用語が分からなかったので、スペースアルクで調べてそれっぽい単語を使いました。間違っていたらごめんなさい。知っていたら、教えて下さい。

 

これで、巴郡陥落編は終了です。

やはり、私の国語力ではそこまで長くなりませんでした。もっと掻きたかったのですが、まったく情けない限りです。偏差値25って頭おかしいですよねww

 

さて、ここで皆さまにアンケートです。

この『桔梗√ 全てを射抜く者達』では初めてではないでしょうか?

アンケートの内容は至極簡単。次の回から、書いて欲しいのはどっち?というものです。

(最終的にはどっちも書きますから安心して下さい。)

 

1.桔梗編

桔梗は気が付くと一刀が居ない事に気が付く。落ち込む桔梗だが、皆の前でその姿を見せる訳にはいかないので、地下を歩いて地上へと向かった。地上へ着くとそこには…

 

2.一刀編

劉焉軍は梯子を使い、斜面を登ってきた。一刀は天の弓を乱射し、CQCで応戦するが、四方から抑え込まれてしまう。劉焉に天の弓の使い方を聞かれるが、一刀は口を割らない。そして…

 

以上です。では、アンケート宜しくお願いします。

何時モノで閉めましょう。それでは、御唱和下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

へぅ( ゚∀゚)o彡°

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
42
3

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択