No.332002

真・恋姫夢想 天上天下絶品武道会、特別編 『エキジビジョンマッチ・その第一試合』

狭乃 狼さん

てなわけで。

武道会で不完全燃焼を訴えていた方二名のご意見により、
特別試合を急遽開催。

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2011-11-09 15:27:28 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:7500   閲覧ユーザー数:5895

 

 激戦に次ぐ激戦。熱戦に次ぐ熱戦の末、天上天下絶品武道会は、愛紗こと関羽の優勝によってその幕を閉じた。そしてその時の余韻に浸り、中々興奮の収まる様子の無かった観客達が漸く静けさを取り戻し始め、それぞれがそれぞれに帰宅の途に着こうとしたその時。

 

 誰もが全く予期していなかったその事態が、大会のメイン司会であるひっとーの口から告げられた。

 

 ひっとー「みんなー!帰るのはま~だ、just wait!だぜ!?これより緊急特別企画!エキジビジョンマッチが執り行われる事に、急遽相成ったぜーーーーッ!!」

 

 『……ほわあああああああああああああああああああああああああっっっっっっっっっ!!』

 

 エキジビジョンマッチ。

 

 それはその試合の結果を、一切の公式記録としない公開演技や模範試合を意味する。つまりはパフォーマンス的意味合いの強い、模擬試合であると言える。

 

 その特別試合を、大会終了後のこのタイミングで、急遽行う事が決定したと。ひっとーからその事実が告げられたその瞬間、会場から帰ろうとしていた観客達の足はぴたりと止まり、そして再び、大熱狂の声が轟いた。

 

 

 ひっとー「エキジビジョンマッチは二試合だ!さあ、それじゃあそれを行う不完全燃焼な熱き男たちを紹介するぜ!!まずはこの男!星渡慧!!」

 慧「よっしゃああーーっっ!!今度こそ皆に、僕の最終奥義を披露してやるからなーーーーっ!!」

 一刀「おーおー、燃えまくってるなー、慧ってば。……そこまで不完全燃焼だったか」

 華琳「そうなんでしょうね。さっきひっとーから見せてもらった彼の資料によると、どうやら本当に、まだ技を残してるみたいだから」

 蓮華「……その気合が、悪いほうに出なければ良いけど」

 

 

 ひっとー「さあ、そして次にご紹介するのは、我が偉大なる峠崎丈二師父だーーーっ!!」

 丈二「さーて。皆に俺の全力全開の力、たっぷり焼き付けてやるとするか」

 桃香「丈二さんも張り切ってますねー。……でも、丈二さんの全力全開って、確かとんでもない威力とか言っていなかった?」

 一刀「俺もその事が心配になって、狼の奴に聞いたんだよ。そしたら、『俺様特製結界のご都合主義万歳、あれを防御結界としての機能に限定してフル稼働させるから、武舞台の外には影響が出ないはずだよ』……だってさ」

 華琳「……じゃあ何?このエキジビジョンマッチとかって言う試合、大会中みたいな能力限定はかからないって事?」

 一刀「……そう言うことになるよな……。対戦相手、五体満足で済むか?」

 

 

 ひっとー「マダオの心配はまあ当然だな。てことでほんとに大丈夫か、この人!?偉大なる師父に対し、無謀にも能力限定無しでのガチンコバトルを挑んだのは、今大会の主催者であるこのおっさん!!狭乃狼だーーーーっ!!」

 狼「……だから。俺はおっさんじゃあ無いとあれほど……!!」

 牙『……後一月程度で四十になる奴を、おっさんと言わずになんと言うのだ?』

 狼「こらてめ牙!何勝手に人のリアルでの歳をぶっちゃけてやがる!!」

 牙『吾は事実を言ったまでだ』

 狼「ぬぐっ……」

 

 雪蓮「相も変わらず、二人…と言っていいのか知らないけど、仲良く喧嘩してるわねー」

 愛紗「逆に言えば、それは信頼関係の現われの様なものなのかも知れんな」

 

 

 

 慧「ところで狼さん?丈二さんとは貴方が戦う事になってるけど、僕の対戦相手は?まだ教えてもらって居ないんですけど」

 狼「フッフッフ~。それじゃあその対戦相手の紹介も含めて、一戦目は君の試合の方から始めるとしよっか。丈二さん、そういうことだから俺たちは武舞台から降りるとしよう」

 丈二「おーけー。慧、相手が誰かは俺も知らんが、簡単に負けるんじゃあねえぞ?」

 慧「もちろん!」

 狼「それじゃあひっとーさ~ん!さっき渡した紹介文、読み上げちゃってくれ~い!!」

 

 慧一人だけを武舞台に残し、狼と丈二がその外へと出る。そして狼が先立ってひっとーに渡した、その慧との対戦選手を紹介する文を読み上げるよう、ひっとーを促す。

 

 ひっとー「OK~!!それじゃあ星渡慧との対戦選手の紹介だ!えーっと、……その姿、まさに戦場に咲く孤高の華!そして雄雄しきその武は天をも砕き、大地を揺さぶる!お前のその雄姿を見せてやれ!気高き者よ!その名は……『華雄』ーーーーーっっっ!!」

  

 『……えーーーーーーーーーっっ!?』

 

 そう。ひっとーのその紹介により、武舞台に颯爽とその姿を現したのは、手に長柄の大斧を携え、紫のビキニ鎧を身につけた、ここ最近、この外史からは完全に行方不明となっていたその人。元董卓軍所属の華雄、その人であった!

 

 華雄「ふ。……皆、久しぶりだな。元気そうで何よりだ」

 霞「ちょ!?華雄あんた、今まで何処におったんや!!」

 愛紗「そうだぞ、華雄!お前の事が噂にも上らなくなってはや三年!中にはもう死んだのではないかという者すら居たぐらいだぞ!?」

 華雄「……狼の所に厄介になっていたんだ。……その、一応、よ、嫁として……」

 『……え゛』

 狼「……んだよ、みんなのその反応は?」

 一刀「いやまあその。……そういや、だいぶ前にそんな話をどっかで聞いたことがあったような」

 狼「まあ、詳しい話は長くなるからカットさせてもらうが、そんなわけで、華雄は今まで俺と一緒に暮らしながら、武の腕を磨いていたのさ。……言っとくけど慧?今の彼女、管理者(おれたち)に匹敵する実力を身につけているから、侮ったりしないほうが身のためだぜ?」

 慧「……マジで?」

 

 

 

 卑弥呼「さあ、余談と雑談はそれぐらいにして、そろそろエキジビジョンマッチの第一試合を行うぞ?両選手は互いに武舞台中央へ!」

 慧「と、ともかく!こうなり当たって砕けろだ!!華雄さん!全力での一勝負、お願いします!」

 華雄「応!狼に鍛えてもらった我が新たなる武の力、とくとその目に焼き付けろ!!」

 

 卑弥呼「それではエキジビジョンマッチ第一試合!星渡慧VS華雄!レディーーーー!ゴオーーーーっ!!」

 

 『おうりゃあああーーーーーーっっっ!!』

 

 武舞台上、そこで飛び散る金属同士の激突音と火花。慧と華雄のそれぞれの武器が激しく交差し、十合、二十合と、時に交わり時に離れ、激しくも美しき舞を展開していく。

 

 華雄「ぜえーーーーーいっ!!」

 慧「くそっ!今度こそ流しきってやる!!流水刃!!」

 華雄「何度やっても同じだ!はあああああっっっっ!!」

 慧「ぐっ!!……くああああっっっ!!」

 

 慧は自身が得意とするその技の基本、相手の攻撃の威力を受け流し、逆にその勢いを利用して攻撃するという、所謂カウンターアタックに良く似たそれらの技でもって、華雄のその強力な攻撃に対応しようとしていた。しかし、それらは悉く失敗に終わり、威力を殺したつもりが殺しきれず、そのまままともに華雄の轟撃を浴び続けていた。

 

 慧「く、そ……。また、流しきれなかった……っ!」

 華雄「……相手の威力をそのまま利用し、自身はさほど疲弊せず反撃する。お前のその戦闘スタイルは実に理に適っているとおもう。だが、その技にも大きな欠点が一つある。それは、こちらの攻撃がお前の武器に当たったその瞬間に、力の流れをわずかに力点から逸らしてやるだけで、力を流しきれなくなってしまう事だ」

 慧「……」 

 華雄「……なんだ?その思いっきり呆気に取られてますって言う顔は」

 慧「あ、いや。……まさかその、華雄さんがそんな理知的な判断に基づいた事が出来るだなんて、その、思っても居なかったんで」

 

 それは慧だけではなく、同じ会場内に居る一刀や三国の将を始め、狼以外の管理者達も同様の感想を持っていた。……今の彼女は余りにも、彼らの知るかつての彼女からは想像もつかないほどに、その腕も性格も違いすぎていた。

 

 華雄「まあ、言わんとする所は分からないでもないがな。……狼と一緒に暮らすようになってからの三年間、それこそ筆舌に尽くしがたい修行を行ってきたしな」

 狼「だからさっき言っただろ、慧。今の彼女を…(ゆん)を甘く見ないほうがいいってさ」

 慧「……そうですね。確かに僕の方がどこかで彼女を侮っていたみたいです」

 

 それだけ言うと、慧はその両手に携えている剣を柄頭に仕込んである鎖で繋ぎ合わせ、その本来の姿である『天地鳴動』へと変えて、とある技の型へと入った。

 

 慧「では、今の華雄さんのその実力に敬意を表して、僕の最終奥義でもって決着をつけさせてもらいます。……蒼き竜の咆哮。その身にしかと味わってください!!」

 華雄「良かろう!ならば私も、狼から授かった新しい技を持って、それに正面から応えてやる!我が大斧、金剛爆斧よ、我が闘志、そして我が戦気に応えろ!はあああああっっっっ!!」

 

 膨大なる気の奔流。それが慧と華雄、それぞれを中心にして巻き起こり、巨大な竜巻が武舞台上に発生する。

 

 

 慧「行きます!天鳴よ!地動よ!我が内に眠る気高き竜の力を呼び起こせ!!」

 

 リィーーーーーーーン!と、慧が天命と地動を打ち合わせ、己とそれらを同調(シンクロ)させる。その瞬間、彼の体から青白い光を纏った竜の姿が浮き上がり、その咆哮を周囲に轟かせる。

 

 華雄「我が闘志、我が戦気を贄とし、我が愛斧に今こそ顕現せよ!強力(ごうりき)なる稲妻の闘神!雷神トール!」 

 

 雷神トール。それは北欧神話に語られる、稲妻の名を冠する神。華雄はその神の力を斧が金剛爆斧に召還し、その大いなるいかずちをその全身に纏う。

 

 慧「……最終奥義!彗衝撃竜剣(すいしょうげきりゅうけん)!!」

 華雄「雷撃粉砕!闘瑠反魔(トールハンマー)ーーーーーーーっっっ!!」

 

 両者による最後の、そして渾身の一撃が武舞台中央にて激突し。その余りの威力に、武舞台を覆っている防御結界が激しく震える。そして、己が両脚によって地を踏みしめ、その手の武器を掲げて立っていたのは、

 

 卑弥呼「そこまでえっ!!エキジビジョンマッチ、第一試合目の勝者は……元董卓軍所属、華雄であるーーーーーっっ!!」

 

 『ほわあああああああああああああああああああっっっっ』

 

 予想以上の大激闘となったこのエキジビジョンマッチ第一試合、その勝者は、突如飛び入り参加となった華雄、その人となったのであった。

 

 華雄「……しかし、今のは危なかった。もしあと少し、こちらの一撃が遅れていたら、地に臥していたのは私の方だったろうな……星渡慧、立てるか?」

 慧「……か、華雄、さん。お、お願いがあります」

 華雄「?なんだ?」

 慧「……こ、これを明命に……一回戦で、僕と戦ってくれたお礼だと、渡してください……」

 華雄「……って、なんだこれ?遊○王のカードか?「レスキューキャット」なあ……。まあ、安心しろ、ちゃんと渡しておいてやる」

 慧「お願いします……がく」

 

 

 と、言った所で、エキジビジョンマッチは二試合目へと続きます♪

 

 to be continued……

  


 
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