No.331699

そらのおとしもの  そは雪姫

BLACKさん

今回の話はゲーム『テイルズオブグレイセス』のサブイベントであったものをそらのおとしものキャラに置き換え、そらのおとしものらしくしたものです。
また作者の分身となるオリジナルキャラも出てきます。

2011-11-08 21:06:43 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1036   閲覧ユーザー数:1019

 

そらのおとしもの   そは雪姫

 

 

「昔々、あるところにそは雪姫と言う美しい女性がいました」

 

ナレーションをするイカロス。

幕があがり、そこに白雪姫衣装のそはらが登場する。

 

「私はそは雪姫。今日もいい天気ね。動物達も生き生きしてる。皆、いらっしゃ~い」

 

そは雪姫は空を眺めながら、つぶやく。

 

「そは雪姫はその美しさと心優しさで皆の人気者でした」

 

幕が一度下される。

 

「そんな中、お城では……」

 

幕が再び上がり、そこにはお城の中が映し出される。

 

「わた~しは、世界一美しい王妃よ!」

 

そこに出てきたのは王妃の格好をした守形であった。

しかし、この守形、ノリノリである。

 

「鏡よ、鏡さん! 世界で~一番美しいのは~~~この私よね!」

 

魔法の鏡は守形の方に振り向く。

その魔法の鏡はアストレアであった。

 

「はいは~い! 魔法の鏡で~す。それで何?」

「世界一美しいのはこの私よね?」

「ぷすす~。そは雪姫って子が世界で一番美しいんですよ、ぷすす~」

 

二回笑うアストレア。鏡なのに手を出して口を押えて笑っている。

 

「そは雪姫ですって!? 何かの間違いではなくて!?」

「え~、そう言われると……」

 

鏡アストレアはその問いに悩んでしまう。

 

(アストレア……)

 

舞台下にいるイカロスが台本をアストレアに見せる。

台本はアストレア用に丁寧にひらがなで書かれていた。

 

「え~と、間違いないよ~だっと…」

「まあ! 憎いわ! 憎いわ! どうしてやりましょうかしら……。

そうだわ! そのそは雪姫を殺してしまえば私が世界で一番美しい者になれるはずよ!」

 

守形王妃は舞台袖へと去っていくと幕が下りる。

 

「守形王妃が何かを企んでいる中、そは雪姫は森の妖精さん達と一緒に暮らしていました」

 

幕が再び上がり、そこにはそは雪姫と妖精の姿をした美香子とニンフがいた。

 

「それじゃあ仕事に行ってくるわね」

 

美香子とニンフの手にはマシンガン銃が抱えられていた。

 

「行ってらっしゃい……」

「「行ってくるわね~」」

 

美香子とニンフはマシンガン銃を持ったまま舞台袖に去っていった。

 

「ぎゃあああああああああ!! ちょっ! 会長! ニンフ! ぎゃあああああああ!!!」

 

舞台袖で誰の悲鳴が起こったのかは言うまでもない。

 

「そこの御嬢さん……」

 

そは雪姫の元に一人のおばあさんがやって来た。

そのおばあさんは守形王妃が化けたものであった。

 

「何でしょうか?」

「このリンゴ、差し上げますよ」

「え? でも……」

「このリンゴを食べればたちまちあなたは王子と結婚できるはずです」

「王子と!?」

 

そは雪姫はそこからものすごい妄想に浸った。

 

「いただきます!」

 

そは雪姫はリンゴを食べる。

すると突然苦しみだし、倒れる。

おばあさんはそは雪姫が倒れるのを見て、その場を立ち去った。

そこに仕事から終えて帰って来た美香子とニンフがやって来る。

 

「そは雪姫! どうしたの!?」

「ダメ……死んでる………」

「………」

 

二人が悲しみにより黙り込んでいると一人の男がやって来る。

その男は全身を銃で撃たれた跡があった。

 

「そこに、すごく偶然通りかかった智樹王子様がやって来ます」

 

智樹王子はひとまずお辞儀をする。

 

「失礼、その女の子は誰かな?」

「この子はそは雪姫」

「どうやら、毒りんごを食べて死んでしまったようなのよね。

それで生き返らせるにはキスするしかないのよね~」

「そうか、それなら仕方ないな~」

 

智樹の顔はにやけていた。

 

「それじゃあ、ちゅ~しちゃいますよ~」

 

智樹は倒れているそは雪姫の元に近づき、唇をキス状態にしてそはらの顔に近づける。

 

(きた~……演技とは言え、智ちゃんとキスなんて……)

 

目を薄めにして智樹の顔が近づいてくるのを見る。

 

(でも智ちゃんの顔………恥ずかしい………)

(…………)

 

智樹とそはらの状態を顔を後ろに向けて確認する。

 

((………))

 

舞台袖にいるアストレアに舞台外でナレーションをしているイカロスも複雑な心境であった。

 

(マスター……)

(トモキ……)

(絶対許さない!)

 

三人が智樹に向かって攻撃を仕掛けようとした時であった。

突如と劇場の屋根が破壊され、そこから何かが落ちてきた。

 

「きゃっ!」

「な、何!?」

 

そはらは思わず起き上がる。

砂埃が晴れるとそこにはカオスがいた。

 

「ねえ、これでよかったの?」

「ばっちりだ」

 

するといつの間にか智樹を肩に抱えていた秋山がいた。

 

「どうやらショック療法のおかげでそは雪姫は目を覚ましたようだな」

「あ、あなたは一体……」

「神とその使いだ。ではこの伸びてる王子はこの神が責任を持って城に返しておこう。さらばだ」

「じゃあね~」

 

秋山とカオスは屋根に空いた穴から空へと飛んで行った。

 

「これはどうしたらいいのでしょうか?」

 

イカロスだけでなく全員がそう思った。

 

 

「なんであんなことをしたんですか!?」

 

芝居を終えた後、そはらは秋山を追及した。

 

「仕方ねえだろ。あのままだと確実にお前と智樹はキスする。俺はそれを阻止したまでだ」

「けど……」

「それにな~」

 

秋山は後ろの方でイカロス、ニンフ、アストレアに何か言われて、カオスに抱きつかれている智樹の方を見る。

 

「まだ決める時じゃない。そう思っただけさ」

「?」

「時が来たら分かるさ」

 

秋山はかなり意味深なことを言うのであった。

 

 

 

終わり


 
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