No.331333

真・小姫†無双 #17

一郎太さん

今日2つ目。
ギャグに走ってる。
というかギャグにしか走ってない。
どぞ。

2011-11-07 22:40:23 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:8133   閲覧ユーザー数:5736

 

 

【CAUTION!】

 

 

この作品を読むかどうかは自己責任です。

 

気分を害しようと、それは自己責任です。

 

お金がないのも自己責任です。

 

彼女がいないのも自己責任です。

 

それでもいいという方は、文頭に

 

『J( 'ー`)し(自分の名前)…』

 

を書き込んでからコメントしてください。

 

ただし色々と否定的な※はなし。

 

作者の心が痛むから。

 

ではまた後書きにて。

 

 

 

 

 

 

 

#17

 

 

「こちらスネーク。宮中に潜入した」

「………?」

「返事がないっ?………どうした、応答しろ!」

「へぅ…すみません」

「生きているようだな………了解オーバー」

 

背中の月が僅かに震える。庇護欲をそそるので、腕に抱き替えた。

 

「へぅぅ…恥ずかしいです、一刀さん………」

「いいじゃないか。囚われの姫を救った騎士(ないと)なんだから、これくらいの役得があったって」

「姫……」

「月はいい匂いだなー」

「へぅぅぅぅぅ……」

 

真っ赤になる月の頭に顔を埋めながら、俺は宮中をてくてくと進んだ。

さて、何故俺と月がこんなところにいるのかというと、もう1人の姫を救い出す為だ。さて、今度はどんな幼女がいるのかにゃー。

 

 

 

 

 

 

「――――――こちらです」

「ふむ」

 

月の案内で迷路のような宮中を歩き、ひと際巨大な扉の前に辿り着いた。最初は真っ赤だった月も慣れたのか、いまでは片手で俺の服を掴んでいる。少しでも腕を下げたら、月の背中に俺の隆起した(自主規制)が当たりそうなので、頑張っておく。

 

「それじゃぁ、一度降ろして頂いて――――――」

「お邪魔しまーす」

「一刀さん!?」

 

月が何か言っていたが、気にせず俺は扉を開いた。

 

「なんじゃ、朕はいま政務中ぞ。雑事ならば後にせよ」

 

うちの妹たちに負けないくらいの細い声で精いっぱい威厳を出そうとする姿は、例えるならば囚われの令嬢といったところだろうか。

親は財閥の人間で、娘すらも道具のように思っている。いずれは有力な企業の社長息子にでも嫁に出して、強力なコネを作ろうと考えていた。その為には、世俗の人間に触れさせて、変な虫を寄せ付ける訳にもいかない。少女は屋敷内に軟禁され、出会う人間は使用人と家庭教師のみ。少女自身も自分の境遇と父親の意図を理解しており、それでいて精一杯の抵抗をしようと、年齢に似つかわしくない態度をとっているのだ。少女が唯一心を許せるのが、幼い頃よりずっとそばにいたメイドの彼女と、もう1人。

 

「……月?」

「失礼いたします、伯和様」

 

よし、月は俺専属のメイドになってもらおう。

 

「文和と共に逃げたのではなかったのか?………それに、その男は?」

 

少女の視線が俺に向いた。

 

「久しぶりだな、伯和」

「………そうじゃな」

「え゙?」

 

可愛らしい月の口からは想像も出来ないような渋い声が飛び出た。可哀相だから聞かなかった事にしよう。

 

 

 

 

 

 

少女が慕うもう1人は、時折こうして遊びに来る、使用人の青年であった。彼の父親が執事の長をやっており、息子の彼自身も幼い頃より使用人見習いとしてこの屋敷に勤めている。もちろん彼自身も2人の関係を理解しているし、他者の目のある場所では使用人として相応しい振る舞いをしている。彼が主である少女に対してこのような態度をとっているのは、理由があった。

 

「使用人の分際で、貴様は何をしておるのだ!」

「すみません!すみませんっ!!」

 

まだ何も分からなかった幼い頃、彼が少女と一緒に遊んでいるところを父親に見つかったのだ。こっぴどく叱られ、身分というものを文字通り拳で叩き込まれ、それ以降は呼ばれない限り近づかないようにしていた。だが、それを善しとしない者がいた。少女本人だ。

 

「どうして、兄様は私に敬語を使うのじゃ?」

「………私は一介の使用人だからでございます、お嬢様」

「そんなのは嫌じゃ!昔みたいに、私を妹として扱って欲しいのじゃ!」

「ですが…それは、できません。申し訳ございません」

 

そんな青年の様子に、少女は落胆する。だがしかし、彼女はそこで留まるような少女ではなかった。厳しい家庭教師の指導の下、英才教育を受けてきた少女には、回る頭があった。彼女が採った策は、命令だった。

 

「………ならば、お主は私の命令を聞くのじゃな?」

「勿論でございます」

 

少女の言葉に、青年は苦い思いをすると同時に安堵した。彼女から近づいてこなければ、青年は自分の仕事を全う出来るからだ。

 

「なれば最初の命令じゃ」

「はい、何でしょう?」

「2人きりの時は、これまで通りに振る舞え。そして、時間がある時は、誰にもバレぬようにこの部屋に遊びに来い」

「……………ははっ…畏まりました、お嬢様」

 

ほんの少し滲む涙を隠しながら、青年は微笑んだ。口調は変わらなかったが、その声音はつい先程までの起伏のないものとは、まったくの別物であった。

 

「ふふっ、一刀さんの負けですね」

「からかうなよ、月」

 

2人の関係を知り、この時も部屋の隅で待機していた月が微笑む。彼女もまた、彼といる時に見せる年相応の少女が好きだったのだ。

 

 

 

 

 

 

「とまぁ、冗談(もうそう)はここまでにしておこう」

「そうじゃな」

「え、どこからどこまでがですか!?」

 

気付けば、つい先ほどまで洋風だった部屋が、宮廷のそれになっていた。

 

「で、お主は誰じゃ?」

「俺は北郷一刀。君の新しいお兄さんだ」

「は?」

 

月がこれまでの経緯を説明する。董卓軍は反董卓連合に敗れた事。自分は部下と共に南陽に逃げる事。俺がその南陽の人間である事。少女は最後まで説明を聞き、俺に問うた。

 

「――――――お主は朕を擁して何をするつもりなのじゃ?」

「俺?別に何もしないよ。強いて言うならば、君を妹にしたいと思っている」

「………………は?」

「聞けば、君は両親も姉さんも失って、1人なんだろう?だったら俺が兄貴になってやるってだけだ」

「いや、そうは言うがな………朕が誰だか知りながら、そう言っておるのか?」

「そだよ。なんせ、俺はみんなのお兄さんだからな」

「へぅ!?へへへ陛下の御前です、一刀さんっ」

 

隣に立つ妹を撫でれば、真っ赤になってしまった。コラ、陛下の御前だぞ。

 

「………まぁよい。どちらにしろ、朕に選択肢はないのじゃからな。北郷と言うたか………月共々、よろしく頼む」

「任せろ。でもひとつだけ条件が」

「なんじゃ?」

「俺の事は兄上と呼ぶように」

「………………ふむ、それもまた善し。弁姉様を思い出すな。それではこれからは兄上と呼ばせてもらおう。朕は、劉協伯和。真名は空じゃ。月も、これからはそう呼んでくれ」

 

空に真名を預けられて悲鳴を上げる月を小脇に抱え、俺は空を背負って宮中から抜け出すのであった。

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

 

「………あの」

「………………」

「桃香様?」

「………………ふんだ」

 

いつもは緊張感のない事を言って叱かられる劉備と叱る関羽だったが、いまは立場が逆転していた。

 

「どうか機嫌を直してください」

「ふーんだ。愛紗ちゃんは北郷さんみたいな人がいいんでしょ!私みたいに何のとりえもない人間なんかより!」

「い、いえ!そんな事は………」

 

先程の趙雲のモノマネに、劉備がヘソを曲げてしまっていたのだ。

 

「自業自得だぞ、愛紗。桃香様の臣でありながら、他所の男にうつつを抜かすとはな」

「誰の所為だと思ってる!!」

 

趙雲が口を挟み、関羽は再び激昂する。

 

劉備軍、解散の危機であった。

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

というわけで、劉備軍がヤバい。

 

またすぐ次の回で。

 

 

 

 


 
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