真・恋姫無双 ifストーリー
蜀√ 桜咲く時季に 第28話
(一刻=1時間)、(一里=4km)
【取り戻した日常・勇気の一歩】
《月視点》
(コツコツコツ)
朝の誰も居ない廊下を詠ちゃんと二人で歩く。
「まったく……少しは自分で起きる努力をして欲しいわ」
「ご主人様は昨日も夜遅くまでお仕事してたから仕方ないよ」
ご主人様に対して文句を言う詠ちゃんに私はご主人様を庇いました。
「月はあいつを甘やかし過ぎよ。少しはガツンッと言ってやらないと付け上がるだけなんだから」
「もう、詠ちゃん。ご主人様にそんな事言ったらだめだよ。本当なら私たち殺されててもおかしくなかったんだよ?」
そう。本当なら私たちは今ここには居ないはずでした。でもご主人様は危険を顧みず私たちを助ける為に色々してくださいました。
「分かってるわよ。でも、こう毎日起こしてやってるんだから愚痴の一つくらい言っても良いじゃない。それにこんなヒラヒラした服まで着せて」
「詠ちゃんたら。それが私たちのお仕事なんだよ?それにこの侍女の服も可愛くて私は好きだな」
私は服の裾を持ち上げて微笑みました。
この服はご主人様専用の侍女としての証だそうです。
「月はいいのよ。なんで私までこんな服を」
「詠ちゃんも似合ってるよ?」
「~~~っ!い、いいからさっさと行くわよ月!」
詠ちゃんはとっても恥ずかしがりやさんです。でも、そんな所も詠ちゃんのいい所です。
「何してるのよ月!早く行くわよ!」
詠ちゃんは少し先で振り返り私を呼んでいました。
「あっ。待ってよ詠ちゃ~ん!」
パタパタと走って詠ちゃんの横に並び歩く。
「……えへへ」
「?どうかしたの月?」
不意に笑い出した私に詠ちゃんは訝しげな表情を浮かべて聞いてきました。
「なんだか良いなって思って。昔みたいにこうやって詠ちゃんとお話出来る様になって」
「月……」
詠ちゃんは私の話しを聞いて黙ってしまいました。
「そんな顔しないで詠ちゃん。私嬉しいんだから。いつも詠ちゃんがそばに居てくれるし、ご主人様たちも居るから全然寂しくないよ」
故郷にいた時はいつもそばに居てくれた詠ちゃんでしたけど。洛陽に行ってからはいつも忙しそうにしている詠ちゃんに遠慮してたところもあって会う機会が少なくなっていた。
「あいつも含まれてるのは癪だけど……」
「もう詠ちゃんったら」
そんな詠ちゃんに私は微笑みました。
「まあ、感謝はしてるわよ。黙ってくれているし、こうして仕事もくれてるんだから」
「うん。そうだね」
「~~~っ!も、もう着いたわね!さあ、あの馬鹿太守を起こすわよ!」
笑顔で頷くと詠ちゃんは恥ずかしさからなのか話を逸らしていました。
もう、このやり取りを一月くらい続けています。
(コンコン)
「ご主人様~。朝ですよ。起きていますか?」
扉越しからご主人様に話しかける。
「……やっぱり寝てるわねあの馬鹿」
「もうご主人様、でしょ詠ちゃん?」
「いいのよ。ボクはまだあいつを主だなんて認めてないんだから……すぅーー」
そう言うと詠ちゃんはいつも通り大きく息を吸い込み始めました。
「……っ!さっさと起きなさいよ!このヘボ太守ーーーーーっ!!」
(ドーーーーンッ!!)
詠ちゃんは怒鳴りながらご主人様のお部屋のドアをまた蹴破りました。
「……すー、すー……んー」
「あ、相変わらずこいつは……なんでこれで起きないのよ!」
詠ちゃんは何事もなかったように寝ているご主人様を見て地団駄を踏んでいました。
「もう、詠ちゃんたら……ご主人様、起きて下さい。朝ですよ」
(ユサユサ)
寝ているご主人様に近寄り、体を揺すりながら起こす。
「ん……もう朝か?」
「はい。今日も良いお天気ですよ」
「……ふぁ~~……おはよう月、詠も」
「おはようございます」
「ふんっ!」
眠い目を擦りながらも笑顔で挨拶をしてくださるご主人様。
そんなご主人様の笑顔も詠ちゃんは腕を組んで無視していました。
「ほら、さっさと着替えなさいよ。朝から朝議でしょ」
「あ、うん。そうするよ」
「ふふ。ご主人様、お召し物はこちらにありますよ」
「いつもありがとうな月」
「へぅ~」
ご主人様は笑顔でお礼を言って頭を撫でてくれました。
「ちょ!月になに馴れ馴れしくしてるのよ!」
「ん?詠も撫でてほしいのか?」
「そんなこと言ってないわよ!月の頭を撫でるなって言ってるのよ!」
詠ちゃんは顔を真っ赤にしてご主人様の手を払ってしまいました。
「そんなことより早く着替えなさいよ!ああもう!こんなに寝癖も立たせて!」
「いたた!え、詠!か、髪を引っ張らないでくれ!」
「仕方ないでしょ!こんな頭で朝議に出させたら私達がサボってるって思われるじゃない」
「詠ちゃんたら素直じゃないんだから」
「ちょ!私は別に!」
「なんだ。詠はツン子ちゃんなのか?」
「ツ、ツン子!?ど、どういう意味よ!」
「?ツン子ってどういう意味ですか?」
「ん?ツンツン突っ張ってる子のことだよ」
「ち、違うわよ!だれが突っ張ってるって言うのよ!」
「そう言えば、詠ちゃんってご主人様にだけすっごく厳しいよね。桃香様にはそうでもないのに」
「なっ!」
「そうなのか?」
「はい。桃香様や愛紗さんには普通に接していますよ」
そう言えば、なんでご主人様だけこんなに厳しいのかな?
「どうして詠ちゃん?」
「な、何がよ」
「どうしてご主人様だけ、こんなに厳しいの?」
「そ、そんなこと無いわよ。ボクはいつもこんな感じよ!」
「そうかな~?」
私は首を傾げて詠ちゃんを見る。
「う゛……」
「本当にいつも通り?」
「そ、そうよ?」
「そうかな~?」
「~~っ!い、いいから早く着替えなさいよこのヘボ太守!」
「いてっ!け、蹴る事ないだろ!?」
(ゲシッ!)
「うっさい!さっさと着替えて朝議行ってきなさいよ!この、この!」
(ゲシッ!ゲシッ!)
「わ、わかったからそんなに蹴らないでくれ!」
「ふふっ」
ご主人様を蹴る詠ちゃんを見て思わず笑ってしまいました。
「なんで笑ってるのよ月」
「だって、詠ちゃんすごく楽しそうだから」
「なっ!」
「お、俺を蹴って楽しいのか?」
「違いますよご主人様。詠ちゃんは」
「わー!わー!月はそれ以上何も言わないで!あんたはさっさと着替えて朝議に行きなさい!いいえ。むしろそのまま朝議に出てらっしゃい!」
「さ、流石にこの恰好でみんなの前に行くわけには……」
ご主人様は着替えている最中だったようで、下着姿になっていました。
「へぅ~」
「こ、こここの変態!これ持ってさっさと出て行きなさいよ!」
詠ちゃんはそう言ってご主人様の服を投げつけて部屋から追い出してしまいました。
「はぁ、はぁ……ホント、油断も隙もないんだから」
「詠ちゃん。ダメだよ。ここはご主人様のお部屋なんだから追い出したりしちゃ」
「だって月~。あんな恰好を月に見せるなんてあいつは死んで当然の男よ!」
「もう……本当ならあんなことしたら、ご主人様じゃなかったら今頃大変なことになってるよ?」
「うぐっ!」
「ご主人様ってお優しいよね。あんなに詠ちゃんに悪口言われてるのに笑顔で居るんだから」
「あ、あいつが変なだけよ」
「本当は悪いなって思ってるんでしょ?」
「っ!お、思ってないわ。これっぽっちも微塵も!悪いなんて思ってなんかないんだからね!」
「ダメだよ詠ちゃん嘘ついちゃ。何年一緒に居ると思ってるの?」
「うぐっ!」
「もしかして詠ちゃん。ご主人様のこ」
「そんなことあるわけ無いでしょ!ほら!あいつが朝議から戻ってくる前に部屋を掃除しちゃうわよ!」
詠ちゃんは背を向けて部屋の片づけを始めました。
「ふふっ。詠ちゃんったら……」
こんな詠ちゃんを見るのは初めてでした。
ご主人様たちとここに暮らすようになってから、色んな詠ちゃんを見るようになりました。
一緒に暮らしていた時にも、洛陽に来た時にも、見たことの無い詠ちゃんの表情や態度に私は嬉しくなりました。
「これもご主人様のお力なのでしょうか」
「なにしてるの月。早く終わらせてこんな所、とっとと出るわよ!」
「うん!でも、ちゃんと綺麗にしないとダメだよ。詠ちゃん」
「分かってるわよ。サボってるだなんて思われたくないしね。お給金分の働きを見せてやるわ」
詠ちゃんは箒を持ちながら片手を腰に当てて胸を張って言ってきました。
「そうだね。ご主人様に褒めてもらえるように頑張るね」
「なんでそこであいつが出てくるのよ」
「だって私達。ご主人様のめいどだよ?」
「そのめいどって言い方もなれないのよね。天の国の侍女の事だっけ?」
「うん。この服を着る人はめいどって言うらしいよ」
「それも本当だか……」
「でも、可愛い服だよね。天の国にはこんな可愛い服が一杯あるのかな?」
「さあね。ボクには似合わないから興味ないわ」
「そうかな?とっても似合ってるよ?」
掃除をしながら話す詠ちゃんに私も寝台の布を整えながら伝えました。
「そ、そうかな?」
「うん。ご主人様、詠ちゃんの良い所が分かってるのかな?とっても似合うよ」
「ま、まあ。月にそう言われるなら。少しはあいつに感謝してもいいかな?す、少しだけだからね!ホント少しだけよ!」
なぜか詠ちゃんはご主人様にだけは素直にお礼が言えません。ご主人様は命の恩人なのに。
「ほら月。手が止まってるわよ。あいつが戻ってくる前に片付けちゃうわよ」
「あ。うん」
詠ちゃんに注意されて止まっていた手を再び動かす。
「……ふふ」
「?どうしたの月。急に笑い出して」
「え?わ、私笑ってた?」
「うん。何かいいことでもあったの?」
そっか……私笑ってたんだ……そっか……
「ううん。なんでもないよ詠ちゃん♪」
「?」
私は詠ちゃんに何でも無いと言って部屋の片づけを再開しました。
笑っていた理由は私にも分からなかったけど、きっと今が楽しいから笑っていたのかもしれないっと私は思いました。
ご主人様……本当にありがとうございました。
《桃香視点》
「では、これより朝議を始める」
愛紗ちゃんの一声で和やかだった空気が一気に引き締まった。でも……
「ねえねえ愛紗ちゃん。ご主人様がまだ来てないよ?」
いつも私の隣に居るはずのご主人様が今日はまだ居なかった。
「ですがこれ以上朝議を遅らせるわけにはまいりません」
「あ、あの!私が起こしに行きましょうか?」
「それには及ばないだろ。毎朝月たちが起こしに行っているのだ。時期に来るだろう」
手を上げて提案する雪華ちゃんに愛紗ちゃんはすっぱりと切り捨てる。
「あ、はぃ……」
雪華ちゃんはシュンっと肩を落として少し残念そうにしていた。
「もう、愛紗ちゃん。もう少し優しく言ってあげないとだめだよぉ。雪華ちゃん、落ち込んじゃってるよ?」
「べ、別に厳しくは言ってないつもりでしたが、すまんな雪華よ。もう少し気をつけよう」
「い、いえ!わ、私が出しゃばったのがいけないので気にしないでください!」
「そんなことは無い。実際、雪華はよく気が回り助かっているぞ」
「ふぇ。そ、そんな……私なんてそれくらいしか出来ませんから。だから少しでもお役に立てればと思って」
愛紗ちゃんに褒められたのが嬉しかったのか雪華ちゃんは頬を赤くして照れていました。
「すまん!遅くなった!」
扉を開けてご主人様は慌てて入ってきた。
「遅いですぞ主よ。早く席に着かれるが良い」
「ああ。そうだね」
「その前にご主人様、少しは身だしなみにお気をつけください。これでは下のものに示しがつきません」
「す、すまん。寝坊して身支度をする暇が無かったんだ」
席に着こうとするご主人様の前に立ち愛紗ちゃんは手櫛でご主人様の髪を整えていました。
「……」
むぅ~。なんだかご主人様と愛紗ちゃんが連合軍の後からすっごく仲が良くなったよね。
それは良いことなんだけど。良いことなんだけど!なんだか愛紗ちゃんにご主人様を取られちゃったみたいで、すごく嫌だった。
「おやおや。これでは夫婦に見えますぞ主、愛紗よ」
「「なっ!」」
星ちゃんの言葉に声をそろえて驚くご主人様と愛紗ちゃん。
「そ、そんなことあるわけがなかろう!何を言い出すのだ星!」
「ふっ。顔を赤くして否定されても説得力に欠けるぞ愛紗よ」
「ぬぬぬっ!」
「ま、まあまあ。愛紗、落ち着いて」
「ですが!」
拳を震わす愛紗ちゃんにご主人様は何とか落ち着かせようとしていた。
「……ほ、ほら皆!早く朝議始めよ?星ちゃんもそれ以上愛紗ちゃんをからかわないで。愛紗ちゃんも落ち着いて。ね?」
「桃香様に言われては致し方ありませんな」
「……何が致し方ないだ……はぁ」
愛紗ちゃんはまだなにか言いたそうにしてたけど、なんとかこの場は収まったみたい。
「……(ニコ)」
「っ!えへへ♪」
ご主人様は何も言わずに私に向かって微笑んでくれました。きっと御礼のつもりなんだと思います。
「?如何なさいましたか桃香様?」
「え?ううん!なんでもないよ!ほらほら、愛紗ちゃん座って座って!ご主人様も!」
「は、はい」
「あ、ああ」
愛紗ちゃんとご主人様は私の勢いに呆気に取られていました。
「うんしょ、うんしょっと。えへへ♪」
私はご主人様の席に自分の椅子を近づけて座った。
「あ、あの桃香?」
「なんですかご主人様?」
「ちょっと席が近くないか?」
「そうかな~。そんな事無いと思うよ?」
「そ、そう、かな?」
笑顔で答えるとご主人様は恥ずかしそうにしていました。
「ごほんっ!」
「あ、ごめんね愛紗ちゃん。続きをどうぞ♪」
「……では朝議を再開します」
愛紗ちゃんは少し不機嫌そうにしていたけど気持ちを切り替えたのかいつもの真面目な顔に戻っていました。
「まずは、星。街の警邏の状況を報告してくれ」
「うむ。心得た。警邏だが――」
星ちゃんからの街の警邏状況が報告された。
「ふむ。大分、民の間でも浸透してきているようだな」
「ああ。最初のうちは遠目に見ているだけだったが近頃は話しかけてくるようになったと兵から報告を受けている」
「それじゃ、問題はなさそうかな?」
「いや。そうでもない。親しみが出てきた分、緊急時にはあまり道を開けてくれなくなったそうだ。その為、現場に着くのが遅くなっていると報告を受けている」
ご主人様の話に星ちゃんは現状の問題点を話し始めました。
「それは私も感じたな。確かに敬遠されるよりは良い事なのだがな」
愛紗ちゃんも頷きながら同じ事を言っていました。
「でも、それじゃどうするの?みんなを無理やりどかすわけにも行かないよね?」
「そこが問題なのです桃香様。無理に押し通り万が一怪我でもさせてしまえば今まで築き上げてきたものが全て無駄になってしまうでしょう」
「……なにか対策を考えないといけませんね。何方か良い考えはありますか?」
「……」
朱里ちゃんの質問に良い案が無いのか誰も答える人はいませんでした。
「……ちょっといいかな?一つ試してみたいことがあるんだ」
沈黙する室内にご主人様の声が響きました。
「なんでしょうか?」
「俺の世界では緊急時に音を鳴らして道を開けてもらう乗り物があるんだ」
「へ~。でもなんで音なの?声じゃ駄目なの?」
「ずっと怒鳴ってたら声が枯れちゃうだろ?それに一人の声なんて大勢の人前だとかき消されちゃうんだよ」
「はるほど~」
私の疑問にご主人様は判りやすく答えてくれた。
「それは名案ですね。では実験的に商店の多い中央通りと露店の並ぶ市場の駐在所に置いてみましょう。鳴らす音は銅鑼のようなものでいいのでしょうか?」
「う~ん。それでも構わないと思うけど、もっと甲高い音がいいと思うんだ。だからどちらかと言うと鐘がいいと思うんだけど」
「なるほど……」
朱里ちゃんは頷くと竹簡にご主人様の意見をまとめはじめていた。
「流石ご主人様ですね。そんな発想ありませんでした」
「そんなことないよ。これが俺の世界での常識になってるだけなんだ。だから俺はそれを思い出して話しているだけだよ」
「それでも、私たちには無い知識です。ですからすごいんです」
「そっか。それじゃ、そう言うことにしておくよ。ありがとうな」
「あわわ……はぅ」
頭を撫でながら微笑むご主人様に雛里ちゃんは恥ずかしそうに顔を赤くしていました。
いいな~雛里ちゃん。頭を撫でて貰えて。
「ん?どうかしたか桃香?」
「えっ!?う、ううん!なんでもないよ。なんでも!」
両手を振ってなんでもないとご主人様に伝える。
「?それじゃ、次の議題にいってもいいのかな?」
ご主人様は首を傾げたけど直ぐに切り替えて会議を再開した。
「では、次に兵の調練ですが――」
その後、何事も無く朝議は終了した。
午前中の朝議・街の巡回も終わり、昼食を取った後、執務室で政務の仕事中。
「はぁ~~」
筆を置き大きなため息を吐く。
別に目を通さなきゃいけない書簡が多いからため息を吐いてるわけじゃないんだけど……ごめんなさい。少しだけ、半分くらいかな?それもあります。
でも、一番の原因は他にあるの。
「うぅ~。今日はご主人様がお休みの日だって忘れてたよぉ」
横目でご主人様がいつも座って仕事をしている机を見る。
「……」
綺麗に片付けられた机の上。そしていつもご主人様が政務の時に着ている予備の上着が椅子の背もたれに掛けられていた。
なんで予備の上着があるのかと言うと、墨が撥ねたりしてご主人様のキラキラ光る服に汚れを付けないようにする為だと朱里ちゃんが用意をさせたものだった。
「……ちょっとくらいいいよね?」
私は立ち上がりご主人様の机に向かった。
悪戯をする子供のように周りを気にしながらご主人様の服を手に取った。
「……んっしょ。わわっ、ちょっとぶかぶかだよ。やっぱりご主人様って大きいな」
ご主人様の上着に袖を通す。袖は私の腕よりも少し長くて親指が隠れるくらいまでの長さがあった。
「くんくん……えへへ♪ご主人様の匂いがする♪」
袖の匂いを嗅ぐとご主人様の匂いがした。
「なんだかこうしてると、ご主人様に抱かれてるみたいだよ♪」
私は自分で自分を抱きしめた。
「……ご主人様は私の事どう思ってるのかなぁ」
愛紗ちゃんは反董卓連合軍の時にご主人様に告白しました。私はその時とても喜んだ。だってあの奥手だった愛紗ちゃんがやっとご主人様に自分の気持ちを伝えたんだもん。義姉として嬉しいよ。
……なら、私は?
私は未だにご主人様に自分の気持ちを伝えていない。間接的には行動してきたけど、ご主人様は鈍感さんだから全然気づいてくれていない。
(ギシッ)
ご主人様の椅子の背もたれに手をかけそのまま座り寝そべりながら窓の外を見る。
「はぁ~……私も人のこと言えないよね」
愛紗ちゃんには発破をかけたくせに私は全然何もしていない。
あっ、なんだかここ暖かいなぁ~
ご主人様の席に丁度良く陽の光りに照らされてポカポカと暖かくなってきた。
「……ふぁ~~……お昼食べた後だから眠くなってきちゃったよ……ちょっとくらい寝ても大丈夫だよね?」
私はそういいながらも既に寝る体勢にはいていた。
「……ちょっとだけ……ちょっとだけだから……直ぐに起きて、お仕事ちゃん、と……か、ら……」
私はご主人様の匂いと暖かな陽の光りに徐々に瞼を落としていった……
………………
…………
……
「と……さ、ま」
う……ん……
「とう……さま、お……さい」
誰だろう。誰かが私を呼んでるみたい。
「桃香様っ!起きて下さいっ!!」
「っ!あ、愛紗ちゃん?お、おはよう」
愛紗ちゃんの大きな声に私は飛び起きた。
「はぁ、おはようではありません。追加の書簡をお持ちして来て見れば……なぜご主人様の上着を羽織ってご主人様の机で寝ていたのですか?」
愛紗ちゃんはジト目で私の事を見てきました。
「えっと……あは、あはは……お日様がポカポカしてて気持ちよかったからつい……」
「つい、ですか。どれほど時間が経っているかお判りですか桃香様」
「え?……あ、あれ?外が暗くなってきてる?」
窓の外に目を向けると陽は傾き始めて空の色は青から赤くなって来ていた。
「えっと……ご、ごめんなさい!」
愛紗ちゃんの冷たい目線に耐えられなくなった私は素直に謝った。
「はぁ。この様子ですと、殆ど手を付けていませんね」
「あはは……」
私の机の上は目を通して印を押したものと、まだ目を通していないものと分かれていた。そして、その差は見るも無残な結果だった。
「うぇ~ん!愛紗ちゃん手伝って~~!」
「私もまだ自分の仕事が残っていますので手伝うことは出来ません」
「そんな~っ!」
愛紗ちゃんに泣き付くもあっさりと拒否されてしまった。
「はぁ……とにかく、まずは重要なものから進めてください。時間があればあとで私も手伝いに参ります」
「うぅ~。うん、わかったよ愛紗ちゃん」
「では」
愛紗ちゃんは一礼して部屋を出て行っちゃいました。
「……はぁ」
山積みになっている書簡を見てため息しか出てこなかった。
………………
…………
……
「えっと、これは……」
書簡と資料を見つめながら作業を黙々と続ける。
(くぅ~~)
「……」
(くぅ~~)
「うぅ~。お腹空いたよぉ~」
自分のお腹から何度となく出る音にヘナヘナと力なく机に横たわる。
「愛紗ちゃんも来てくれないし。外はもう暗いし。ご主人様とも会ってないし。もういや~」
もう愚痴しか出てこなかった。そんな時だった。
(コンコンッ)
「はぁ~い?誰ですかぁ~?」
部屋の扉を叩く音にだらけながら答えた。
「俺、一刀だけど入ってもいいかな?」
「ええっ!ご、ご主人様!?ちょ、ちょっと待ってね!」
扉の向こうから聞こえてくる声に慌てて起き上がった。
(ドサドサドサッ!)
「わーっ!書簡が!(ドンッ!)いったーい!」
慌てて立ち上がったせいで書簡が机から落ちそうになる、それを落とさないようにしようと手を伸ばしたら体制を崩して爪先を机の角にぶつけたりともう大惨事だった。
(ガチャッ)
「……ど、どうぞ」
「だ、大丈夫か桃香。なんだかすごい音がしてたけど……」
「あ、あはは。うん、私はなんとか……え、えへへ」
そう良いながら部屋の中を見て苦笑いを浮かべる。
「す、直ぐに片付けるから!」
「ああ。俺がやるからいいよ」
「で、でも……あれ?良い匂いが」
「お腹空いてるだろうと思ってね。作ってきたんだよ」
ご主人様はそう良いながらお盆に載せた炒飯を見せてくれた。
「だから、桃香は冷めないうちに食べて」
「う、うん……ありがとう。ご主人様」
「どういたしまして。でも姫。こちらへどうぞ」
ご主人様は散らかっていない自分の机に炒飯を置いて椅子を引いてくれた。
「また執事?ですか。それ恥ずかしいからやめてぉご主人様!」
「ははっ!わかったよ。まあ、座って座って」
「うん♪」
椅子に座り良い匂いのする炒飯に目を向ける。
わぁ~。出来立てだ♪
「頂きます……はむっ……~~~っ!おいしぃ!」
「それはよかったよ。作った甲斐があるってもんだよ」
「えぇえっ!?これご主人様が作ったの!?」
「ああ。桃香が夕餉も食べないで頑張ってるって愛紗から聞いてね。お腹空いてるんじゃないかと思って作ってきたんだよ」
「うん。もうお腹ペコペコだったんだよ。ありがとうご主人様!」
ご主人様が作ってくれた炒飯を口の中一杯に頬張る。
「ははっ。こんな所にご飯粒付けてるぞ……はむ」
ご主人様は笑いながら私の頬についていた米粒を取り食べてしまった。
「はぅ!」
い、今、ご主人様、私の頬についてた炒飯食べたよね!わわっ!ど、どうしようー!
こ、これって間接接吻になっちゃうのかな?かな?うぅ~、恥ずかしいよぉ。
「って!ご、ご主人様なにしてるんですか!?」
一人で恥ずかしがっているとご主人様は散らかった書簡を手にとって私の席に座りました。
「え?桃香が食べてる間。桃香の仕事をしようかと思って」
「だ、駄目ですよ!本当ならご主人様はお昼からお休みなのに!」
「いいからいいから。それに俺が手をつけるのは桃香じゃなくても良い案件だけだから」
「で、でも……」
「ほら、早く食べないと冷めちゃうよ」
「……本当にいいんですか?」
「ああ。そうだ!なら食べた後でいいから、俺と散歩に付き合ってくれるかな?」
「……うん。わかったよご主人様」
ご主人様の提案に頷く。この食後の散歩も本当は私の事を思ってだと思うとやっぱりご主人様には勝てないなと思った。
「夜風か気持ちいいな」
「そうだね。でも、ちょっと肌寒いかな」
私は少し身震いをしながら答えた。
「これでどうかな?」
そんな私を見てご主人様は自分の上着を私の肩に掛けてくれた。
「ありがとうご主人様。暖かいです」
今までご主人様が着ていたからとても暖かかった。それに胸の奥も暖かくなったような気がした。
もう。こんなことされちゃうから好きになっちゃうんだよご主人様?
ご主人様に気が付かれない様に上目遣いでご主人様を見上げた。
「……?(ニコッ)」
「っ!」
見ているのに気がついたご主人様は微笑み返してくれた。
うぅ~。やっぱりご主人様は笑っている顔がいいよね。
真剣な顔、怒っている顔、困っている顔、どれも私の好きなご主人様の顔だけどやっぱり一番は笑っている顔。
ご主人様の笑っている顔を見るだけで私は幸せになれるし、元気にもなれる。
……うん。やっぱり今しかないよね。これはきっと愛紗ちゃんがくれた好機なんだよ!
そして、私は勇気を出してご主人様に話しかける。
「あ、あの。ご主人様!」
「うん?どうかした?」
「あ、あの……あのね?その……」
言わなきゃ!言わないと私の気持ちを!
私は力強く手を握り締めた。
「あ、あの、私……ご主人様の事が好きです!」
「えっ」
言っちゃった……等々言っちゃったよ。もう後戻りできない。もう元には戻れない。だから私はありったけの言葉を使ってご主人様に伝えるだけ。
「私、ご主人様に会った時から好きでした!それは今でも変わってない、ううん。会った時以上に、好きになってるの!」
「……」
「でも、いつもそばに居てくれるからこの気持ちは言わないでおこうってそう思ったの。でも……」
一拍置いて気持ちを落ち着かせる。
「でも、ご主人様が一人で黄巾党に向かっていった時。ご主人様が死んじゃう!ってそう思ったの……だからその考えは間違いだったって思った。だって、今はこんな時代だもん、いつ人が死んじゃうか分からないから」
私はあの時の事を思い出して体を震わせた。
「だから……だから、ご主人様にはちゃんと自分の気持ちを言おうって思ったの!」
「でも、俺は……」
「うん。知ってるよ。愛紗ちゃんに告白されたんだよね?」
「っ!」
「ごめんね。あれ、私が愛紗ちゃんを焚きつけたの。愛紗ちゃんは自分の気持ちよりも私の事を優先するところがあったから。でも、私は後悔してないよ。だって同じ人を好きになるって素敵なことだと思うから」
「そうだったのか……でも、俺なんかでいいのか?」
「ご主人様だからいいんだよ!だって、ご主人様と一緒に居ると楽しいし、でも胸がドキドキして苦しくなる時もあるけど、ご主人様がそばに居ないと寂しくて悲しい気持ちになっちゃうんだもん!」
(ぎゅっ)
私は勢い良くご主人様に抱きついた。
「だから、だから!ご主人様を好きで居させてください!」
「わかった。その気持ち、受け取ったよ」
「ご主人様……」
「俺も好きだよ。桃香……ん」
ご主人様の顔が近づき自然と私も目を瞑る。
「ん……」
触れるだけの優しい口付け。でも、私はそれだけで天にも昇る気持ちだった。
「……えへへ♪これで両想いだねご主人様♪」
「そうだな。それに桃香とはファーストキスもしたしな」
「ふぁすときす?」
「ファーストキス、つまり『初めての口付け』って意味だよ。まあ、あの時は事故だったみたいなものだけどね」
苦笑いを浮かべるご主人様。
「ふぁあすときす……初めての口付け。えへへ♪なんだか恥ずかしいな」
あの時の事は突然すぎて全然口付けをした気がしなかったけど。あの時が私とご主人様の最初だったんだね。
「あ、あの……ご主人様?もう一回そ、その……きす?をしてくれますか?」
「ああ。いいよ……ん……ちゅ」
「ん……ちゅ、んんっ……」
ご主人様は私を更に抱き寄せてさっきよりも長い『きす』をしてくれました。
「えへへ♪うん、これで残りも仕事も頑張れそうだよ!」
「それはよかった。俺も手伝おうか?」
「ううん。大丈夫!今の私ならなんでも出来ちゃうよ!」
「そっか。頑張れよ桃香」
「うん!それじゃ執務室に戻るね。ありがとうご主人様!大好きだよ!」
私は手を振り執務室へと戻っていった。
「よぉ~し!やるぞぉ!」
私は右腕を振り上げて気合を入れた。
………………
…………
……
――とある宮殿
「のー。七乃」
「はいはーい。なんですか美羽様」
「あの劉備とか言うぽわぽわした間抜けな小娘。生意気だとは思わぬかえ?」
「ああ、あの胸だけでかくて何も考えてなさそうな人の事ですね」
「うむ。そこで妾は思ったのじゃ!そんな小娘の居る土地なら簡単に奪えるのではないかと!」
「わー。流石は美羽様。考えることがえげつないですねぇ。そんなところが素敵で憧れる~」
「うははははっ!そんなに褒めるでない七乃!それで、どう攻めればよいかの?」
「そうですね~。孫策さんに先鋒を任せて私たちは相手が弱ったところで一気に攻めるって言うのはどうですか?」
「おおっ!流石は七乃!良い考えなのじゃ!それでは孫策に文を出すのじゃ!」
「はいはーい。わかりましたー」
………………
…………
……
――とある森の中
「……一刀、嘘吐いた」
「り、呂布殿!あれはですね!」
「嘘吐いた……」
「うぅ、全然ネネの話を聞いてくれないのです。あれはそう思わせる作戦だとネネは思うのですが、それに呂布殿が引っかかってしまうとは」
「……陳宮」
「っ!な、なんでしょうか呂布殿!」
「……約束破った。だから罰」
「で、ですが呂布殿!」
「陳宮はここで待つ」
「呂布殿はどうするのですか?」
「……行く」
「行く?」
「一刀のところ」
「ちょーー!だ、ダメなのです!今はまだ諸侯の目が厳しいのです!今動くと目に付いてしまうのです」
「……なら待つ」
「ふぅ。なんとかなったですが。これも長く続かないのです。まったく、あの男は余計なことをしてくれたのです!」
《To be continued...》
葉月「お待たせしましたー!投票結果の発表です!」
愛紗「うむ。結果が楽しみだ」
葉月「ですがその前に今回のお話ですね」
愛紗「等々、桃香様もご主人様に告白されてしまわれたか」
葉月「強力なライバル出現ですね」
愛紗「ああ。だが、桃香様であろうと私とご主人様との絆は切れることは無い!」
葉月「凄い自信ですけど。愛紗より先に一刀と桃香はキスしてるんですよ?」
愛紗「あ、あれは事故ではないか!桃香様を落ち着かせようとした!それに桃香様も作中であれは無かったことにしている!」
葉月「無かったことにしてても事実は事実ですからね~」
愛紗「ぐぬぬっ!な、なら桃香様より先にその先をすればよいではないか!」
葉月「まあ、そうなんですけど。ちなみに、その先ってなんですか?」
愛紗「そ、その先だと?……い、一緒に出かけるとか、か?」
葉月「……え?」
愛紗「な、なんだ!何かおかしなことを私は言ったか!?」
葉月「いえ。なんでキスのその先がデートなのかなと思っただけで」
愛紗「な、ならその先は何だと言うのだ!」
葉月「えっと。言いづらいので耳打ちで……ごにょごにょ」
愛紗「ふむふむ……なっ!なぁぁぁあああっ!?!?」
葉月「が、その先かと」
愛紗「そ、そそそそそっ!」
葉月「言葉になってないですよ~」
愛紗「そ、そんなこと出来るかーーーーーっ!!ご、ご主人様に肌を晒すなど!」
葉月「えー。でも一度事故で愛紗の着替え見てるじゃないですか」
愛紗「あ、あれは。わ、私も主従の関係としてだな!」
葉月「それって今でも変わってないですよね?」
愛紗「~~~~っ!!も、もうこの話は終わりだ!早く投票の結果を発表しろ!」
葉月「はいはい。純粋なんですから……ではでは、投票総数:102票、有効票数:98票、無効票数5票です」
愛紗「随分と今回は多いな」
葉月「まあ、一人の投票数を増やしましたからね数的にはあまり変わらないかと。では投票結果の発表です!まずは9位から!」
第9位:朱里(2票)
朱里「はわわっ!?ま、まさか私が最下位なんですか!?はぅ~、鈴々ちゃんには勝てると思ってたのにぃ」
葉月「まあ、次回頑張ってください」
朱里「それだけでしゅか!?」
葉月「続きましては第8位!」
第8位:鈴々(3票)
鈴々「また愛紗に勝てなかったのだ!どうしてなのだ!」
葉月「どうしてでしょうかね~」
鈴々「納得いかないのだ!」
葉月「納得行かなくても結果は結果!続きまして第6位!」
第6位:桃香・月(8票)
桃香「はぅ~。また、入賞出来なかったよ。何が悪いのかな?」
月「えっと……こんなに入れていただいてありがとうございます」
葉月「健闘したお二人でしたが惜しくも入れませんでした」
桃香「なんでかな?ねえ、なんでカナ。ハヅキサン?」
ハヅキ「ちょ!く、黒くなってますよ桃香!?」
桃香「アハハー、ソンナコトナイヨ?」
葉月「と、とにかく第5位!」
第5位:詠(13票)
詠「ちょっと!月に入れるなとは言ったけどだからってボクに入れないでよね!」
葉月「きっと蜀√での唯一の罵りキャラだからじゃないですか?」
詠「はぁあ!?罵声ならネネも居るじゃない!」
葉月「まだ、居ませんし~♪さて、第3位!」
第3位:雛里・星(14票)
雛里「あわわ……そ、そのあの……あ、ありがとうございまひゅ!」
星「ふむ。前回から順位は落ちてしまったがまあいい!さあ、私の極上メンマを死ぬまで食わせてやるぞ!」
葉月「死ぬまで食べさせたら次、誰も投票する人が居なくなってしまうのでは?」
星「おっと。それはまずいな、では、死ぬ一歩手前まで食わせてやろう!はーっはっはっはっ!」
雛里「あわわ、あわわ」
葉月「一人慌てる雛里でした……さて、残り二人!誰が一位になるのか!?」
第2位:雪華(16票)
雪華「ふぇええ!?ま、またこんなに票をいただけたんですか!?」
葉月「そうですよ。なぜか原作キャラを差し置いて上位に居る!」
雪華「ふぇ……あ、あの。ありがとうございます!これからも、皆さんのご期待にそえるようがんばります!」
葉月「ええこや……雪華はええこやな~。なんで一位じゃないんだ!」
雪華「ふぇぇえええ!?い、一位だなんて無理です!わ、私は皆さんみたいに魅力はありませんし、まだご主人様のお役に立っているとはいえませんし」
葉月「くそーーー!今から私が追加で20票くらい入れたいくらいだ!」
(スコーーンッ!)
葉月「っ!」
雪華「ふえ!?」
(ブラーンブラーン)
葉月「えっと、なぜここに愛紗の天龍偃月刀が?」
雪華「あ、あの。早く一位の方をご紹介したほうがいいのではないでしょうか?」
葉月「そ、そうですね……で、では、1位に輝いたのはこの方です!」
第1位:愛紗(19票)
愛紗「葉月。後で話があるから覚悟しておけ」
葉月「あ、あはは……じょ、冗談じゃないですか~。愛紗さんに勝てる人なんて居ませんよ!ええ、そうですとも!」
愛紗「ふん。口だけは達者な奴だ。だが、一位に選ばれたということはそ、その……あるのだろ?」
葉月「はい?何がですか?」
愛紗「だから、あれだ!そ、その~、ご、ご主人様とのい……」
葉月「い?」
愛紗「イチャイチャだ!」
葉月「ええ、まあ。その予定ですけど」
愛紗「そうかそうか!うんうん。よしこれでご主人様と」
葉月「ああ、言っておきますけど冒頭で言ったようなことはまだなので諦めてくださいね」
愛紗「なんだと!?貴様、それはどういうことだ!」
葉月「しょ、蜀に移ってからの方がいいかなと思って……もしかして今すぐにでも一刀に閨へ誘ってもらいたいんですか?」
愛紗「ば、ばか!こんな所でそのようなことを言うな!もし桃香様に聞かれでもしたら!」
桃香「あはは~。もう聞いちゃったよ愛紗ちゃん」
愛紗「桃香様!?」
桃香「うん。私は全然気にしてないよ?拠点書かれないことも気にしてないよ?でもね……ハヅキサンだけはちょっと貸してほしいかな?」
愛紗「どうぞ。お持ちください」
葉月「ちょ!ひ、酷い!私を売るなんて!」
愛紗「葉月よ……強く生きろ」
葉月「そ、そんなーーーーっ!!」
桃香「アハハ、それじゃハヅキサン逝キマショウネ」
葉月「ま、まだ逝きたくなぁぁいぃぃぃぃ……」
愛紗「……で、では次回だが、いつも通りなら5位から順番に作品を書いていくだろう。楽しみに待っていてくれ。で、ではさらばだ!」
Tweet |
|
|
58
|
3
|
追加するフォルダを選択
お待たせしました。
第二十八話投稿です!
今回は前回の拠点投票の結果を後書きで発表しています。
続きを表示