第9話
「孫権仲謀」
一刀は劉備と別れた後、偶然にも同じく賊討伐をしていた江里香と合流した。
「一刀殿、澪羅殿、そちらも順調で何よりです。」
「江里香さんも順調のようで良かったよ。」
「ああ、特に問題ないよ、数名ほどお頭の餌食になっちまった
娘が増えた以外は。」
「そ、そうですか・・・」
「えと、何で二人はそんな目で俺を見るのかな?・・・」
そんな会話をしていた時、ある旗が見えた。
「あれは・・・孫の旗、そしてあの色は・・・孫堅さんの旗か?」
「へぇー、あれが江東の虎の軍かー」
「いってみましょう一刀殿。」
こうして彼らは孫堅のところへ向かった。
「母様ー」
「どうした?、雪蓮」
一人の女性が母と呼んだ女性を探していた。
彼女の名は孫策、そして母と呼ばれた人物こそ
江東の虎と呼ばれる孫堅である。
「司馬昭が来てるわよー、母様と話がしたいって。」
「司馬懿の倅がか?、わかったすぐ行く。」
と孫堅が立ち上がり一刀のところに向かおうとする。
「あー雪蓮、蓮華を呼んできてくれ、司馬昭と会わせてみたいと思う。」
「蓮華を?、あーそういうこと、わかったわ、あーそれと冥琳も呼ぼうかしら。」
そういって孫策はその二人を連れて行くため走って出て行った。
(さて、少しあの倅に期待してみようかね。)
「突然の訪問、申し訳ありません。」
「いや、問題は無い、よく来てくれた。」
「やっほー、久しぶりねぇ、司馬昭。」
一刀、孫堅、孫策はそれぞれ挨拶をする。
「元気そうでなによりだ、司馬昭殿。」
「周瑜さんも元気そうでよかったよ。」
周瑜という女性に声をかけられ言葉を返した。
一刀は以前、姉の瑠理とともに、孫堅達と賊討伐で共闘したことがある。
「司馬昭、そっちの二人は?」
「ああ、そういえば初対面でしたね、江里香さん、澪羅。」
一刀が促すと、
「はい、私は鄧艾、字は士載と申します。」
「アタイは王濬、字は士治ていうんだ。」
それぞれ名乗った。
「アタシは孫堅、字は文台だ。」
「私は孫策、字は伯符よ。」
「私は周瑜、字は公瑾という。」
孫堅達も自分の名を名乗る。
そして一刀達は互いの現状を説明する。
「なるほど、そっちも斬っても斬っても沸いて出るという状況か。」
「ええ、そうです。」
「こっちはさらに河からも沸いて出てきてな、厄介だよホント。」
「なら、俺達も手伝いたいのですが・・・」
「おぉ、そいつはありがたい、是非お願いするよ。」
「それでは司馬昭殿、賊についてなのですが・・・」
一刀と周瑜は互いにどのように討伐するかを話し合う。
(冥琳と話せるってことは頭の切れは互角かそれに近いって事になるのかしら、
それに見た感じでは武は・・・また強くなっているわね、
私と同じくらいかしら、それに顔も良いし・・・
あーあ、司馬家の人間じゃなきゃ逃がしゃしないだけどなー。)
と孫策が考えている間に話は終わったようだ。
「それじゃ、そうしようか・・・それと司馬昭、お前に会わせたい奴が
いるんだ、アタシの二人目の娘なんだが・・・入ってきな蓮華。」
孫堅がそう言うと、一人の少女が入ってくる。
「私は孫権、字は仲謀という。あなたのことはお母様、お姉様から
聞いているわ。」
「俺は司馬昭、字は子上っていうんだよろしく。」
その日の夜、
「あれ、孫権?」
「ん、ああ、司馬昭殿か・・・」
一刀は孫権の姿を見かけ話かけていた。
「・・・そうか、初陣なんだね。」
一刀は孫権の雰囲気でそう感じ取った。
「ああ、そうだ・・・」
そう言って、
「情けないか?・・・」
孫権は少し沈んだ表情でさらにそう言った。
一刀は少し考える素振りをし、
「いや、初陣だと仕方ないと思うけど・・・」
「だが、私は孫家の娘として生まれた人間として孫家を守り、
孫家の娘らしく、この程度で動揺しては・・・」
一刀は反応した、孫家の娘らしく、という言葉に、
「やっぱり・・・そこだったか・・・」
「え?」
一刀は孫権を一目見て感じ取っていた、彼女らしさというのが薄いと。
「君から見て・・・俺は司馬家の人間らしい将っていえるかな?」
「え?、それは・・・司馬家は智者の家系と聞いていたから、あなたの
武名を聞くとらしいかと言われれば、らしくないけど。」
「じゃあ、俺は母上や姉上と同じ在り方に変えなくちゃいけないのかな?」
「そんなことは無い、あなたは立派に司馬家のために戦っている。
だからそうしなくても・・・あっ・・・」
孫権は気づく、一刀が何を言いたいのか。
「俺は、母上や姉上のような才能は無かった、でも俺なりに、俺だから
できることを考えて司馬家をために行動してきた。」
「・・・・・・・」
「だから、あえて言わせてもらうよ・・・自分の家族がそうだからと自分も
同じやり方で孫家を守るのか、それとも自分だからこそできることで、
孫家を守るのか・・・どうしたらいいのかな?」
「・・・・・・・」
しばらく沈黙が続いた。
「じゃあ俺は行くよ。明日はよろしく頼む。」
そうしてしばらく孫権は一人で考えることになった。
次の日、賊の討伐は始まった。
結果は圧勝だった。
(司馬昭と冥琳の策のおかげで結構楽だったわね。それにしても、
司馬昭にしたがっている。あの二人も相当強いわねー、鄧艾なんて
下手したら母様より強い、そしてなにより王濬、武だけを見ると
私や司馬昭よりは無いと思うけど、私達より水軍の指揮や統率が上ね、
水軍の扱いは私達が一番だと思ってたけど・・・悔しいわね。)
孫策がそう考えていたとき、
「なぁ、雪蓮。」
「何?、母様」
孫堅が声を掛けた。
「蓮華なんだが、何かが少し変わったとは思わないか?」
「・・・そういえば。前に比べると少し自然体になったというか、
無理を感じなくなってきたというか。」
「そうか、お前もそう思うか、だとしたら蓮華を司馬昭と会わせたのは
良かったかもしれないな。」
「あ、やっぱりそういうことなの。」
「ん?、お二人は蓮華様を司馬昭殿に会わせればああなることがわかっていたの
ですか?」
周瑜が問うと、
「「まぁ、勘だけどな(ね)」」
「・・・そうですか・・・」
周瑜はこれ以上何も言わなかった・・・
「世話になったな司馬昭。」
「お互い様ですよ。」
周辺の賊は片付けたと思われるので別れることになった。
「司馬昭殿!」
孫権は前に出て、
「あなたの言葉・・・覚えておくわ、そしていつか私にできることを
見つけてみせる。ありがとう、また逢いましょう。」
孫権は礼を言いまた逢おうといった。
「ああ、いつかまた逢おう。」
一刀は笑顔で答えた。
ボン、と聞こえそうなほど孫権の顔は真っ赤になった。
(・・・相変わらず、いい笑顔ねぇ。)
(本当になんて顔をするんだ司馬昭殿は・・・)
孫策、周瑜も顔を赤くした。
(ありゃ、年頃の娘には強烈だな。アタシも少しやばかったよ)
孫堅は娘達の反応を見てそう思った。
こうして司馬昭達は孫堅達と別れた。
という訳で孫家の方々でした。
次は覇王といきたいと思います。
それではまたお会いしましょう。
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九話です。
今回は孫家との邂逅です。