「あなたが汽車に乗ったときに簡単な魔法で、今の力を
試させてもらったロシー」
オリンズの、たんこぶが、みるみるうちに無くなった。
「ドロシーさんだったんですか、あの魔法」
この人が、オリンズの師なんだ、なんか語尾がおかしい
けど……
「そこの少年」
ボクは、びくっとした。
「あなたが、あの魔法を解いたようだけど……どんな特殊
な能力かと思えば、ソードコミュニケーターだったとはロシー」
ボクは、なにがなんだかわからない。あの魔法は偶然解けた
はずだし、ソードコミュニケーター?
「稽古とはいえ、油断していると死を招くロシー」
マスク越しで「本当だよ」と、ぼそっと言われた。
「あなた、そのマスクで相手に何の呪文か悟られないように
しているみたいだけど、ワタシにはすべてお見通しロシー」
オリンズは、月を指差し、口元を動かす。
ドロシーは手話のように、手や指を動かしている。
大気が震えている。
ドゴゴゴーン!
ボクはもう、大抵のことでは驚かないと思っていた。
しかし、「これは夢ですか?」と誰かに問いたい、そんな心境だ。
なんと、地中から2メートルはあろうかという人参が2本生えた
にんじんだから2メートルで2本なのだろうか?
そして、それらが宙に浮いた。
さらに月から何かがこちらへやって来る。
ん?大きな白い……その刹那。
ガガガガコーン!
土煙が舞い上がる。だんだんと視界がひらけると、そこには
耳は長く眼は赤い、髭が長くて全身、白の毛に覆われた巨大な
うさぎだ。
2本の足で立ち、前足は腕組をしている。
「あなたは相変わらずメルヘンな世界観の魔法を使うロシー
そちらが、うさぎなら……」
ガオーン!
何かの鳴き声と共に目の前に煙がたちこめる。
ガルルル!
立派な鬣、口には何でも食い千切りそうな牙、巨大な百獣の
王ライオンがいる。
「少年、キミにも稽古をつけてあげるロシー。二人でかかって
きなさい」
にこッと、微笑んでいる。
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
ファンタジー小説です、続きものです。