No.327840

異聞~真・恋姫†無双:三五

ですてにさん

前回のあらすじ:祖父母の知識と感情が転写されているという、紀霊に魯粛。
二人の影響を受けて、前回の記憶を思い出していた七乃。
三人の画策を受け、一刀は民衆反乱の鎮圧に乗り出す。

人物名鑑:http://www.tinami.com/view/260237

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2011-11-01 14:19:56 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:6319   閲覧ユーザー数:4670

この作品はキャラ設定等が一刀くんを中心に、わりと崩壊しております。原作重視の方はご注意下さい。

時代背景等も大きな狂いがあったりしますので、

『外史だから』で許容できない方は全力でブラウザバックを連打しましょう。

 

オリキャラも出ますので、そういうのが苦手という方も、さくっとまわれ右。

 

一刀君とその家系が(ある意味で)チートじみてます。

物語の展開が冗長になる傾向もすごく強いです。(人、それをプロット崩壊という)

 

この外史では一刻=二時間、の設定を採用しています。

それでもよろしい方は楽しんで頂けると幸いです。

 

 

あはは・・・なんというか、言葉も無いよね。

 

白蓮ちゃんの所の一刀さんを見ていると、ちょっと前の私を見ているみたいで、何だか恥ずかしくなってくる。

私が言うのも筋違いなんだけど、本当に『言葉だけ』じゃ説得力が無いんだって今なら判る。

 

白蓮ちゃんの治めるこの幽州は、鮮卑族や烏丸族に代表される北方の騎馬民族との争いが絶えない地域だ。

背景を調べれば、あの人たちの住む地域の大地は基本農耕に向いてないとか、なまじ戦闘力の高い民族だから、

略奪に重きを置きやすいとか、そういう理由はあるんだけど、なかなか「話し合いしましょう!」だけでは通じにくい人たちだ。

 

私としてはもちろん対話を諦めるつもりは無いんだけど、

その為に向こうにも、話に乗ることで得があるような条件を作り出さないといけない、とか、

いろいろ下準備が必要だと思うから、その辺りは皆の知恵を借りながら、いろいろ考えている毎日。

 

が、此処の一刀さん…長いよね。此一刀さんと仮に呼ぼうかな…ときたら、

声高に『戦いは極力避け、交渉の場を持つ努力をし続けるべきだ!』と白蓮ちゃんに進言し続けていたりする。

天の世界の感覚だと、ギリギリまで戦いは回避するべきものだって。

武官の人達がそんな光景に殺気立っていたんだけど、苛立ったご主人様が折檻することで溜飲を下げている、そんな日常。

…というか、懲りずに進言し続けられる、その根性ってすごいな~と思う。

 

残念ながら、そんな彼はあくまで心情論で訴え続けていて。

私のお師匠さまの一刀さんと比べて、経験がいろいろ足りないみたい。熱意だけ見てると、すごく重なる部分もあるんだけど。

それだけに、なんだか以前の私とますます重なって悲しくなってくるというか、恥ずかしいからやめて! と叫びたくなるというか。

 

実際、どう交渉を持つのか、という所になると、具体案が無いという現状みたい。

なので、そんな彼にこっそり応援してますよ~って立場で、一緒に知恵を出してもらうべく、唸っていたりする。

 

最初は、私の同行者になんで愛紗ちゃんがいないのか、とか、星ちゃんや雛里ちゃんがこの時点でいるのがおかしいとか、

ご主人様や于吉さんのような仙人が一緒なんてあり得ない、とか、

たぶん、天の知識と照らして、一人で大騒ぎしていたみたいだけど。

 

あ、今の私の仕事というと、白蓮ちゃんの好意もあって、軍と文官さん達の統括をするような役割も与えてもらっているので、

日々、全体を見る視野を鍛えている状況です…うう、すごくしんどいんだけどね、業務量とか本当に多いし…。

白蓮ちゃんの所って、元々が人手不足過ぎるみたいだしねぇ…。

だけど、軍部で鈴々ちゃん、星ちゃんやご主人様(左慈)、文官に稟さんや雛里ちゃんがきびきびと働いている今、

私も頑張らないわけにはいかないよね!

 

…私の肩こりが最近ひどいと知った、此一刀さんが、時折揉み解してくれるのがありがたいなぁ~。

それとなく口説いてくる辺りは、なんというかお師匠様に似てるんだけど、

私には既にご主人様がいるし、お師匠様に比べると正直、物足りない。優しさだけ、というのかな。凛とした所が足りない気がする。

甘い言葉一辺倒にコロッといってしまう私はもう卒業したんだから!

…ただ、それとない仕草にちょっぴりドキッとするのは御愛嬌、だよね?

 

 

あわわ、桃香さまもある意味悪い女でしゅ。って、なんで思考ですら噛むんだろう、私…。

自分に気があるのを判っていて、のらりくらりとかわし続けるそのやり方…天然と計算が混じっていると思われますが、

策士桃香ここにありというところでしょうか。

 

ただ、そんな桃香さま…あ、仮の私の主ですし、なんとなくこの呼び方もしっくりくるので…のお陰で、

こっちの一刀さんから、色々鮮卑族や烏丸族の人たちとの交渉の糸口を色々得ることが出来ました。

 

あちらは遊牧中心で、穀物とか足りない部分を圧倒的な騎馬能力を持って、略奪で補うという生活が確立してしまっているのですが、

冬場に不足しやすい飼い葉が取引材料に使えそうだということです。

こちらは向こうの質のいい馬であったり、ひょっとしたら塩もあるかも・・・とのことでした。

本当に塩を取引出来たとしたら、幽州は一気に富むことも可能です。

塩というのは、生活必需品に関わらず、漢室の専売状態で、しかも高値であることが殆どです。

 

ゆえに、独自の取引経路を開拓出来れば、ご主人様の予言する群雄割拠の時代が来た時に、

各諸侯に対して、大きな優位性を得ることが出来ます。

 

ちなみに、ご主人様は、雪蓮さん達の助力を得て、海水を利用した塩田の改良生産に乗り出したいけれど、

枝条架と海水をくみ上げる為の大型の風車をどうやって作るか課題だ・・・などと仰ってました。

濃度の高い鹹水を作るのに、太陽の光だけで無く、風による水分蒸発も促せるから、効率がかなり変わってくるとか何とか。

今度お会いしたらもっと詳しく教えて頂きたいと思っています。

 

それにしても、政務・内政に長けている朱里ちゃんが羨ましい・・・。だって、堂々とご主人様の近くにいられるし・・・。

いざとなれば、夜伽のお相・・・あ、あわわ、自分で考えておきながら、恥ずかしいよぉ・・・。

 

こ、こほん。

 

私は内務が不得意ということではありませんが、どちらかといえば戦術とか軍事関係が得意分野です。

だから、実際に人手不足の伯珪さんの元で、得意分野を生かしつつ、

内政面にも実務を通じながら、必死に経験を積み重ねていて・・・。

 

ちなみに、飼い葉と塩の取引の観点は、桃香さまの補佐を務める于吉さんにも助言を乞い、

概ね間違っていないというお墨付きを頂いています。

 

なんでも、于吉さんは道術士として、いろいろこの大陸の行動での制約がかかっているみたいで、

膨大な知識を持っていても、やみくもに広げるわけにはいかないのだとか。

だから、最初から教えを乞う、というわけにもいかないみたいでしゅ。…あう、また噛んじゃいました…。

 

ただ、こちらでも飼い葉の大量生産とか、冬場の飼い葉の保存方法とか、即実施というわけにもいかず、

白蓮さんや桃香さまに相談しつつ、段階的に実施していくしか無いと思います。

 

…それよりも大変そうなのが、ご主人様。この幽州だけでなく、各地にご主人様のそっくりさんが出回っているといいます。

そう、あくまでそっくりさんということで、知らず知らず『天の御遣い』であるご主人様の風評を落とす行為すら行いかねません。

 

袁本初さんの所にも御遣いが降り立ったという情報もあります。

私は稟さんと連携しながら、あちらの内情も探りつつ、

今は軍事内政共に、少しでもこの地を強国に育てるべく、少し寂しさを感じながらも充実した日々を過ごしているのです。

 

 

・・・あー、久し振りに会う祭さんの威圧感マジおっかないです。

 

居並ぶ孫呉の兵隊さん達が整列しているのが目の前で、それだけでも威圧感があるのに、

祭さんは明らかに機嫌を損ねていて、殺気を隠そうともしていないし、

隣に並ぶ、嫌悪感を露にしている壮年の偉丈夫は程公・・・程徳謀さんで間違いないだろう。

というか、多分、あちらの殺気の理由は、俺の腕に『こわ~い』とか言いながらしがみ付いている七乃さんのせいで間違いない。

 

「いちいち、我らを急に呼び戻したのは、自分の良人を見せ付けるためか? 張少軒・・・」

 

「いえいえ~? それも面白いかもしれませんけど、さすがにこの情勢でそんなことをしませんよぉ」

 

「そう思うなら、この絡ませている腕を放しましょう。ていっ」

 

軽くおでこに向かってチョップを一発。

俺の突っ込みに、七乃さんは『痛いですよぉ』と大げさに言いながら、腕を解いてくれた。

 

「それに後ろから一刀両断されますよ、あんまり調子に乗っていると・・・」

 

うん、『ゴゴゴゴゴ・・・』って効果音が聞こえてきそうな、怒り心頭の愛紗の姿。

手を出すのを必死に我慢しているのが、成長の証だけど・・・この場合、むしろ手を出して助けてくれてもいいのよ?

華琳だって、顔が若干引きつっているし、正直機嫌が悪くなっているのが判る。

 

「そうそう、一刀は孫呉の種馬になってもらうんだもんね~♪」

 

「しぇれぇん!? 鎮火しようとしたのに、なぜ油を注ぐのかなぁっ!?」

 

隙ありとばかりに空いた腕に絡んできた雪蓮さん。実にいい笑顔でこう仰るわけですよ・・・。

 

「・・・その方が面白いから♪」

 

「被害に遭うのは俺だああああああああ!」

 

腕を振り払おうとする俺。絶対に絡み付いて離れようとしない雪蓮。

おまけに振り回す間に、器用に足を浮かせて、急に浮いてみせる軽業まで披露なさってくださいました。

 

「・・・なんというか、こんな無邪気な策殿を見るのは、何年ぶりかのう」

 

「文台さまが亡くなってから久しいが、なんというか生前の風景を見ている錯覚に陥るな。

しかし、雪蓮さまが真名まで許されているとは…」

 

毒気を抜かれた格好の孫呉の宿将お二人がそんな感想を漏らすと、

ぜいぜい息をついている俺に向かって、雪蓮はあの笑顔のまま・・・。

 

「ほら、計算どおり♪」

 

「ぜぇったいちげぇええええええええええええ!!!!! というか、いつまでしがみついてるんだああああ!」

 

「やーん♪ そんな乱暴に振り回されたら落ちちゃう~♪」

 

緊張感に包まれていたはずの孫呉の宿将との対面の場は、なんというか、『いつも通り』の俺達の風景になってしまうのだった。

華佗が何か薬を冥琳に渡していたり、華琳が見慣れた呆れ顔だったり、そんな感じで。

愛紗は『人一人を軽々と振り回すとは、ご主人様も逞しくなられたものだ・・・』と変に感心していた。

 

「・・・えっと、大丈夫、かの?」

 

「はい、なんというか・・・緊張感の欠片も無くなってしまって、逆に申し訳ないです・・・」

 

場の空気を真面目なものに戻そうと、祭さんに逆に気を使わせる始末。

 

「・・・冥琳。雪蓮殿が『絶対の勘』で見つけたのは、この若者で合っているのか」

 

「程公、間違いありませんよ。ここまで雪蓮が気を許しているのがある種の証左になりましょう。

それに、彼の・・・北郷の氣を探ってみて頂ければ、腑に落ちるかと思います」

 

「ふむ・・・。・・・! なるほどの、これは類まれな氣を持っておるな。量も尋常ではないが、この気質は・・・」

 

徳謀さんも祭さん同様、氣の扱いには長けているのだ、と冥琳が耳打ちしてくれる。

だから、氣を見てもらうのが、下手な言葉より雄弁なのだ、と。

 

「面白いではないか、このぱっと見では、ひょろっとしている儒子が通常持ち得るものではないわい・・・。

おい、儒子。八半刻もかからん、ちょいと顔を貸せ」

 

同じように、俺の氣を見たのだろう。

口元をニヤリと歪ませるが早いか、祭さんは俺の襟をつかんで持ち上げ・・・う、浮いてる!? ま、待って! 首が、首が・・・。

息が・・・出来・・・な・・・。

 

「徳謀、出撃準備を整えておいてくれ。部下達に張大将軍の指示通り、今回に限り、この儒子の指揮下に入るゆえ、と」

 

「全く・・・。まぁ良い。心得た」

 

「儂は最後の見極めをしてくるわい」

 

「その前に襟を緩めていただきますよ、このままでは北郷が窒息してしまう」

 

ぜぇぜぇ・・・。スーハー、スーハー・・・。

あ、ありがとう、冥琳! なんか一瞬綺麗なお花畑が見えたような錯覚は気のせいと思おう。

 

「大丈夫か、北郷」

 

「あ、ありがとう、冥琳・・・。あ、華琳。子敬さんに話して、『アレ』用意できそうだったら、頼むね」

 

「ええ、戻ってくる頃には整えておくわ。うまくいけば文字通り美味しい思いが出来るわけだしね」

 

俺はほくそ笑む華琳に手を振りながら、祭さんに砂煙が上がるほどの勢いで、

子敬さんの屋敷の裏の方へと引きずられていくのだった。激しく打ち付けられる両足を必死に氣で纏いながら。

硬氣功の訓練がこんな形で実を結ぶのはどうかと思いつつも・・・。

 

 

<あとがき>

 

祭さんとの再会シーンまで一気に書こうと思ったのですが、

正直悩んだので一旦ここで止めました。

 

悩みは二つ。

 

○祭さんは→既に思い出している or まだあやふや(既視感を感じている程度)

 

○いちゃいちゃor模擬戦という名の生命のやり取り

 

コメント欄という名の天の啓示に頼ろうと思います!

読者参加型の異聞~真・恋姫†無双をどうぞよろしく!(白目で


 
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