俺は今聖フランチェスカ学院のA組の教室の前に居る。
確かA組は年齢混在で学院の優秀な生徒の集まりだ。
俺みたいな奴が入れるようなクラスじゃない様な気がするがテストの振り分け試験で優秀な成績をとれたから入れたらしい。
「北郷君、大丈夫かしら?」
そう話しかけて来たのは2-Aの担任、『黄 紫苑』先生。
苗字が中国人っぽいのはこの際気にしないことにする。
「大丈夫ですよ。
転校が初めてなので少し緊張してますけど」
「くすくす、そう言えばさっき言ったことは忘れてないかしら?」
「大丈夫です」
黄先生がさっき言ったことは二つ。
一つ目は家の事。
別にバレても構わないが自分から言わないようにすること。
二つ目はこのクラスのことだ。
Aクラスでは生徒が三つのグループに分かれている。
一つはクラス皆で仲良くやろうと言ってる『劉 桃香』率いるグループ。
もう一つは仲間で楽しくやろうと言っている『孫 雪蓮』率いるグループ。
この二つは特に問題は無い。
だが、最後の一つに問題がある。
A組を乗っ取ろうとしている『曹 華琳』率いるグループ。
かつてこの三つのグループは敵対しておりお互いに敵対していた。
今は休戦協定が結ばれているが何かが引き金になってまた敵対し始めるかもしれない。
なので気をつけて欲しいとのことだった。
「大丈夫ですよ。
そんなバカな真似はしません」
良く海外のマフィアと交渉をしているからバカな真似は絶対にしない。
「とにかく気を付けてください」
「分かりました」
俺がそう返事をすると満足したような顔をして教室の扉を開いた。
A組教室
「皆さん、静かにしてください。
今日は転校生を紹介します」
教室に入って黄先生は教室内の生徒を静かにさせた。
そして俺に目で自己紹介するように指示する。
「北郷一刀です。よろしくお願いします(ニコ)」
「「「//////」」」
あれ?皆どうして顔が赤いんだ?
もしかして風邪が流行ってるのかな?
「はっ!み、皆さん、何か北郷君に質問はありますか?」
「は、はい!」
「はい、劉さん」
「北郷君は付き合っている人は居ますか?」
良く聞かれるんだよな……
残念ながら居ないんだよなぁ……
「居ません」
「はい!」
「はい、雪蓮さん」
「北郷君はどのグループに入りますか?」
「え、あ、その……」
何言ってんだよ……
先生!どうすればいいですか!?
「(ぷい)」
目をそらさないでぇぇぇっ!
助けてぇぇぇっ!
すると、三人の少女が立って俺に近づいてきた。
「私のグループに入る気は無いかしら?」
「ねぇねぇ、私達のグループに入る気は無い?」
「私達のグループに入りましょうよ~」
あれ?これはまさか不味い流れか?
「北郷は私のグループに入るのよ」
「私達のグループよ」
「私達の!」
やばい……三人がものすごく睨み合ってる。
相当怖い……下手すれば祖父より怖いかもしれない……
先生!頼みますから目で何とかしろって指示をするのはやめてください!
俺に死ねって言うんですか!
「さ、三人共。
俺がどのグループに入るかはいつかちゃんと決めるから今は落ち着いて……」
「北郷がそう言うのなら仕方ないわね」
「今は諦めましょうか」
「私も……」
三人は席に座って行った。
た、助かった……
「では、授業を始めましょうか」
「「「は~い!」」」
放課後武術部部室
今俺は授業が全て終わり放課後になって武術部の部室に居る。
そう言えば顧問は誰なんだ?
それなりにやれる人だと思うんだけど……
「「ぶるわぁぁぁっ!」」
「まじかよ……」
一瞬で入る気が失せた……
「でも、入らないと不味いよな……」
この部に入るのも指示の内だからな……
「おおっ!北郷君!」
「どうも。
これ、入部届けです」
「うむ!」
卑弥呼先生(だったけ?)は入部届けを受け取り近くに居た少女に声を掛ける。
「関よ、彼は今日入部することになったのだ。
一度手合わせしてやれ」
「はい!」
あれ?彼女、どこかで……
「あ、今日転校してきた……」
「ああ、やっぱりクラスメートだったか」
どうりでどこかで見たと思った。
「今日は桃香が失礼したな」
「いや、大丈夫だよ」
死ぬ程怖い思いをしたけど……
「じゃ、一度手合わせしよう。
得物は何を?」
「私は槍を使うんだ」
「あ~……俺は刀とか剣なんだよなぁ……
ま、良いか。一応やってみよう」
「ああ」
お互いの得物を構えて俺達は対峙していた。
関さんの覇気はまるで武人のそれ。
今の俺の気分はまさに戦場に立っている様なものだ。
「では、始めるぞ」
卑弥呼先生がそう言うと俺達は頷いた。
それを見て卑弥呼先生は手合わせの始めの宣言をした。
「正々堂々と手合わせせよ!
始め!」
その宣言を聞いてまず関さんは俺に一撃を入れようとしてくる。
俺は最小の動きでかわす。
「(早っ!)」
それにめちゃくちゃ威力ありそうだし……
あれは絶対もろにくらいたくないな……
そう思っている間にも関さんの攻撃は続いている。
無駄の無い見事な攻撃。
ここまで見事な攻撃は見たことが無い。
あまり隙を見つけられない。
でも……
「!?」
俺は本当の一瞬だけ出来た隙を突いて攻撃をする。
その一撃を関さんはなんとか防いだが衝撃は完全に殺せておらずまた隙が出来る。
その隙に柄で関さんの武器を持っている方の手の手首を叩いて武器を落とす。
「なっ!?」
「やっぱり隙を突かれることになれてなかったか」
カランッ!カラァンッ!
そんな金属音が鳴り響き勝負は終わった。
「勝者!北郷一刀!」
部活が終わり校門
関さんとの勝負が終わり俺は帰る為に校門に居た。
「関さんすごく強かったな~」
あんなに強い人は最近見ていない。
見た人には一瞬で勝負がついたように見えるかもしれないけどそんなことは無い。
攻撃をかわすのだって正直きつかった。
「何であんなに強くなれたんだろう?
やっぱり日々の鍛練か?」
そう言えば最近鍛練をしてなかったな……
ちゃんとしないと……
「一刀様」
「ん?」
呼ばれて前を見るとそこには俺の部下が居た。
「どうした?」
「組長から伝言です。
これからの学園生活では寮で暮らすようにとのことです。
これは寮生活での道具です」
あのじじい……!
勝手に決めやがったな……!
しょうがない……
「分かった……」
俺はそう言って荷物を受け取った。
「申し訳ありません……
組員全員が反対したのですが……」
部下の男は俯いていたが表情は簡単に読めた。
「あんたが悪い訳じゃないだろ?
平気だ」
「………」
全く……しょうがない奴だ……
「そう思ってるなら祖父に調べさせて欲しいことがあるんだけど調べさせてくれ」
「分かりました」
「A組の生徒のことを祖父に調べさせてくれ」
「御意」
そう言って部下は家に向かって帰って行った。
寮
「どこかのホテルみたいだな……」
流石聖フランチェスカ学院と言ったところ寮の部屋も相当でかい。
設備も半端無い。
部屋は十五畳の洋室。
部屋にエアコン完備。
部屋にバスルームとトイレも完備でテレビが地デジの四十二インチ。
一人で暮らすには丁度良過ぎる部屋だ。
「これからどうなるのかね……」
祖父が俺に課した俺が家を継がなくても良い様になる試練……
絶対に何かある……
もし、クラスメート達に危険が迫ったら……
「考えても結果は出ないな……」
今は試練を乗り越えることだけを考える。
だってそれが……
「たくさんの人の命を救うことになるんだから……」
俺はそう呟いてベットの上で目を瞑った。
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