No.324297

学園✝無双 一話

DOWANNGOさん

こんにちわ~
一刀の設定が決定しましたので投稿開始です。
では、始まり~

2011-10-26 20:05:02 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:3591   閲覧ユーザー数:3094

ある廃ビルの一室。

ここでは先程まで銃声や人の叫び声が鳴り響いていた。

だが今はもう既にそんな気配は無い。

叫び声を出す『人』が居ないからだ。

いや、厳密に言えば二人居る。

一人は先程まで居た『人』に指示を出していた男。

もう一人は先程まで居た『人』を人ではなくした少年。

男は少年に命乞いしていた。

 

「頼む!もう北郷組には喧嘩を売らない!だから命だけは……!」

 

「分かっていた筈だ。

北郷組に喧嘩を売ればどうなるか……」

 

少年は拳銃の引き金をゆっくりと引き始める。

男はそれを見て泣き始める。

 

「頼む!金ならいくらでも払うから!」

 

少年は確かに人を殺すのは好かないがこれも掟と考え完全に引き金を引いた。

 

パァァッン!

 

そんな乾いた音と共にその場に『人』は少年のみになった。

少年は胸ポケットから携帯を取り出し目的の番号にかける。

 

「もしもし、一刀です。

……ええ、奴等を完全に潰しました。

……はい、分かりました。

すぐに帰ります」

 

そして、少年はその場から立ち去った。

北郷家

 

ここは北郷家。

極道界の中で最も逆らってはならない組だ。

その門を今くぐっているのは『北郷組次期組長 北郷一刀』

北郷家歴代の中で実力は一位二位を争っていると言われている。

 

『お帰りなさいやし!』

 

そう言って一刀の部下達が頭を下げている。

一刀は部下からの信用がとても厚く、北郷家の中で一刀の言うことに反対意見を言う人間は居ない。

 

「ああ、組長はどこに?」

 

一刀がそう聞くと部下の一人が前に出て答える。

 

「今頃お部屋に居るかと思います!

それと組長から伝言です!」

 

「何て?」

 

「『任務達成よくやった。お前に褒美を与えてやるからすぐに儂の部屋に来い』だそうです!」

 

「分かったありがとう」

 

「はっ!」

 

部下はそう言いながら一刀の進路の邪魔にならない様に下がる。

そして一刀は組長である自分の祖父の部屋に向かった。

一刀side

 

一刀の祖父の部屋

 

「失礼します」

 

「一刀か、入れ」

 

「はい」

 

そう言って俺は俺の祖父『北郷 源刀』の部屋に入った。

そこには……

 

「邪魔しておるぞ」

 

「邪魔してるわぁぁん」

 

筋肉質のじょ……いや、女性と言うと全国の女性に失礼だろう。

服装は女性物だがどう見ても男だからな。

ここは男性と言うべきだろう。

つまり簡単に言えば気持ち悪い男性が二人居た。

 

「「誰が気持ち悪い(じゃと)(ですって)!?」」

 

「そんなことは思ってません」

 

実際は思った。

初めて見た人は『化け物だ!』と言うのは目に見えている。

 

「「誰が化け物(じゃと)(ですって)!?」」

 

「誰もそんなことは思ってません」

 

この二人は心が読めるのだろうか?

読めても読むのはやめて欲しい。

そんなことばかり考えていると話が脱線しそうだな。

 

「組長、褒美とは?」

 

俺は褒美と言ってもそんなに高望みはしていない。

だから、次の言葉がこんな言葉だなんて想像してなかったんだ。

 

「お前が家を継がなくても良い様にしてやろう」

 

こんな言葉だなんて……

俺はしばらく放心していた。

祖父の口からそんな言葉が出るなんて思って無かったからだ。

 

「どういう……意味ですか?」

 

俺がようやく出せた言葉はそんな言葉だった。

意味を確認したかった訳じゃない。

それを分かっているんだろう。

祖父はこう答えた。

 

「今回だけの任務だけでは家を継がなくても良い様にならん。

だから、お前にチャンスをやろうと思ったのじゃ」

 

「そのチャンスと言うのは?」

 

俺は十歳になってから六年間ずっと家の邪魔になる人間を殺してきた。

今までそんな人生に苦を感じていない訳が無い。

家を継がなくても良いなら俺はこんな家をすぐに出て行ってやる。

そんな覚悟すらしてた。

そんな中訪れた絶好のチャンス。

上手く利用してやる!

 

「ここに居る二人は『聖フランチェスカ学院』の理事長と学院長じゃ。

お前は『聖フランチェスカ学院』に転校しその学院にある『武術部』に入り無事卒業するんじゃ」

 

「ちょっと待ってください。

確か『聖フランチェスカ学院』は女子高だったような気が……」

 

このじじいは俺に女装しろってか?

もしそうなら絶対頭に風穴を開けてやる……!

 

「最近共学になったんじゃ。

知らなかったかの?」

 

「知りませんでした」

 

「無事に卒業出来れば家を継がなくても良いようにしてやる。

どうじゃ?」

 

「答えは分かっているんでしょう?」

 

その程度で人を殺さなくても良い様になるなら俺は……

 

「受けます」

第三者視点

 

一刀が部屋から出て行って三人は密談をしていた。

 

「本当に良いの?」

 

そう尋ねたのは聖フランチェスカ学院の学院長である『美人装 貂蝉』

 

「お主は地獄に自分の孫をつき落した様な物じゃぞ」

 

そう言ったのは聖フランチェスカ学院の理事長『美人装 卑弥呼』

 

「地獄など、既にあやつは見ておる。

それにあやつの人を殺したくないと言う心意気が確かなら大したことではない」

 

「でも……あの子はもしかしたら……」

 

「貂蝉よ、儂の孫をなめるでない」

 

「………」

 

しばらくその場に沈黙が流れる。

そして、それを破ったのは卑弥呼だった。

 

「貂蝉よ、学院に戻り転校手続きをするぞ」

 

「ええ……分かったわ」

 

そして二人は立ち去って行った。

それを見て源刀はこう呟いた。

 

「一刀よ……許してくれ……」

後書き

 

一話目はこんな感じです。

明日はこちらの『新たな外史を創る者達』を更新した後気が向いたらこの作品の二話を投稿します。

では、また次回です。


 
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