No.324007 そらのおとしものショートストーリー3rd 侵略2011-10-26 00:11:04 投稿 / 全3ページ 総閲覧数:3129 閲覧ユーザー数:2202 |
侵略
きょうはイカロス先輩とニンフ先輩と智樹といっしょにてれびをみることになりました。
びびびっときたのでアニメをみることにしました。
「侵略!?イカ娘っていうタイトルなのか? 一体、どんな作品なんだ?」
智樹がくびをひねります。
「私もよく知らないけれど、きっと私みたいに格好良くて可愛い女の子が、ダウナーどもをケチョンケチョンに踏み潰しながら地上を侵略する物語だと思うの」
きいたはなしだと、イカ娘ちゃんはうみからきた侵略者なんだそうです。
つまり、シナプスからちじょうのダウナー智樹をやっつけにきたわたしとにています。
わたしはイカ娘ちゃんをたにんとはおもえません。
きっとイカ娘ちゃんもわたしのようにすごいかつやくをみせてくれるとおもいます。
「さあ、ごちゃごちゃ言っていないで、さっさと見るわよ」
わたしははないきをあらくはきながらてれびのすいっちをおしました。
『今こそ、再侵略計画を再始動しようじゃなイカっ!』
なるほどなるほど。
イカ娘ちゃんはうみからやってきた侵略者で、そのしょうたいはイカなんだそうです。
イカなのに美少女。
美少女なのに侵略者。
これってやっぱりわたしそっくりだとおもいます。
エンジェロイドなのに美少女で侵略者。
イカ娘ちゃんにはわたしにかわってちじょうのダウナーどもをばったばったとなぎたおしてほしいです。
さあ、イカ娘ちゃん。
いまこそ、侵略者としてのほんりょうをみせてくださいっ!
『イカ姉ちゃ~ん』
『いい所で会ったわ。イカ星人の日常についてインタビューさせてもらっていいかしら』
『お前も休みなら一緒に行こうぜ。エビピラフでも奢ってやるよ』
あれっ? おかしいですよ?
イカ娘ちゃんは侵略者なのにみんなから好かれています。
侵略者というのはむかしのイカロス先輩みたいにみんなからこわがられるものなんじゃないでしょうか?
ウラヌス・クイーンとよばれたイカロス先輩はダウナーどもだけでなく、シナプスのみんなからもこわがられていました。
イカ娘ちゃんとはせいはんたいです。
「……ちょっと、複雑です」
「アルファが見るにはちょっと辛い作品かもね」
イカロス先輩のかおがすこしだけくもっています。
イカロス先輩をみるニンフ先輩のかおもくもっています。
どうしたのでしょうか?
「あっ。イカ娘ちゃんはダウナーをケチョンケチョンに踏み潰すのではなく、手下にして利用するのが上手なタイプの侵略者なんですね」
ニンフ先輩みたいにさくぼうをはりめぐらせるたいぷなのだと思います。
くぅ~。
あくらつですね、イカ娘ちゃん。
わたしもみならって桜井智樹をぎゃふんといわせたいです。
さあ、イカ娘ちゃん。
そのわるだくみのすべてをわたしにみせてくださいっ!
『フッフッフ。ここからは私のターンでゲソ。侵略映画的に侵略開始だゲソ』
『店の中で暴れちゃダメでしょ……?』
『…………は、はは、はい……。ごめんなさいでゲショ』
あれ? あれ?
おかしいですよ?
イカ娘ちゃんのわるだくみはすこしもせいこうしません。
ぜんぶしっぱいしてしまいます。
イカ娘ちゃんは、ちじょうの侵略をねらうほどのすけーるのおおきな侵略者なのに。
「何つーか、このイカ娘のドジっぷりを見ていると、アストレアを見ているようにしか思えなくなる」
「……私もです」
桜井智樹はあきれがおでてれびをみています。
イカロス先輩もコクコクとくびをたてにふって智樹にうなづいています。
そのかおはさっきよりあかるくなったようにおもいます。
どうしたんでしょうかね?
『私たちも大好きですよ』
『『『イカ先輩のことっ♪』』』
イカ娘ちゃんの侵略はすこしもうまくいきません。
でも、おせわになっている相澤家の千鶴さん、栄子ちゃん、たけるくん。
お友達の早苗ちゃん、清美ちゃんをはじめ、みんなみんなイカ娘ちゃんがだいすきです。
イカ娘ちゃんはみんなにあいされています。
ちじょうをぶりょくではなくあいのちからでつつみこむ。
こういうかたちの侵略もわるくないんじゃないかなあとおもいます。
「あ~面白かったです」
てれびをみおえたわたしのかんそうです。
「イカ娘ちゃんがとっても可愛くてまるで私をテレビで見ているようでした」
わたしがしゅじんこうのものがたりがつくられたらあんなかんじになるんだろうなとおもいます。
「確かに侵略者の癖にまるで侵略できないダメダメな所はデルタそっくりよね。でも……」
ニンフ先輩がめをほそめながらわたしをジッとみます。
「でもあのイカ娘って子は、すっごく人気者じゃない。バカなだけで別に愛されていないアンタとは大違いよ」
「ガ~~ンっ!!」
ニンフ先輩のひとことはあまりにもショックなものでした。
「私、みんなから愛されてないんですか?」
「生温かい目では見られてはいるけれど、愛されてはいないわね。だってアンタ、バカだから」
「ガガ~~ンっ!!」
バカというのはそんなにきらわれるものなのでしょうか?
わたしはじぶんとおなじぐらいバカな智樹をみました。
「ねえ、智樹。バカはみんなから愛されないの?」
「俺が学校で人気がないのはバカだからだという証言は幾つも得てしまっているからな。否定がしづらいんだ」
智樹はわたしからめをそらしました。
「イカロス先輩……」
わたしはさいごのたのみのつなとしてイカロス先輩をみました。
イカロス先輩はやさしいので、バカでもあいされるといってくれるはずです。
「……大丈夫よ、アストレア。バカだって愛されるから」
「本当ですかっ!」
やっぱり、チンチクリンで胸がないニンフ先輩や空美町一のヴァカでスケベな桜井智樹とイカロス先輩はちがいます。
わたしがそんけいするやさしくてかっこうよい先輩。
それがイカロス先輩なんですっ!
「……オケラだってアメンボだって生きている。アストレアだってダンゴムシ級に愛されているから心配しないで」
イカロス先輩はさいじょうきゅうのすまいるをみせてくれました。
「………………バカでも愛されるって証明してやるんだからぁっ!」
わたしはなきながらいえのそとへとかけ出していきました。
ぜったいぜったい、わたしがみんなからあいされているってみとめさせようとこころにちかいました。
「でも、どうしたらみんなに愛されるんでしょうか?」
あたまをひねりながらいっしょうけんめい考えます。
でも、わたしはバカなのでよいかんがえがうかびません。
「そうだ。守形に訊いてみよう」
そこでわたしはあたまのよい人にきいてみることにしました。
守形はメガネなのでたくさんのことをしっています。
どうすればあいされるかもきっとしっているとおもいます。
わたしはさっそくそらをとんで守形がいるかわらへといきました。
「ねえねえ守形~」
かわらでつりをしている守形にこえをかけます。
「どうしたアストレア? そんなに慌てて」
守形がいつもどおりのむひょうじょうのままたずねてきます
「どうしたら愛されるか守形に教えて欲しいの」
あいされるようになってみんなをギャフンといわせてやりたいです。
「AISUる? 何だ、それは? シナプスの特殊用語か?」
「う~ん。意味はよくわからないのだけど、とにかく守形が私を愛すると、私は人気者として認められるのよ」
あいってなんなのだかわたしにはむずかしくてよくわかりません。
でも、あいされることがいまのわたしにはひつようなんです。
「フム。何だかよくわからないが、シナプス絡みとなれば俺も協力せねばなるまい。いや、是非俺を協力させてくれ」
「じゃあ守形は私を愛してくれるの?」
「ああ、幾らでもAISIよう。これで新大陸に俺は1歩近付く」
やりましたぁ~♪
これでわたしもきらわれものキャラそつぎょうです。
「あ~ら~英くんにアストレアちゃ~ん。2人揃って何をしているの~?」
「きゃぁ~守形先輩~。こんな所で会えるなんて智子嬉しい~」
「守形お兄ちゃん♪ それからアストレアお姉さまもこんにちは~♪」
「あら守形くん。アストレアもこんな所でどうしたの?」
「きゃる~ん♪ 智代で~す♪」
かわらに師匠と智子とカオスとダイダロスと智樹のお母さんがあらわれました。
さっそくこの人たちにもわたしがきらわれものじゃないことをしらせたいとおもいます。
「あっ! 師匠~♪ それからみんな~♪ 私、守形に愛されたんですよ~♪ 凄いでしょう~♪」
「「「「「えっ?」」」」」
みんなのうごきがとまりました。
どうしたのでしょうか?
「フム。俺はアストレアをAISIた。これで新大陸に1歩近付いた」
「ええっ!?」
みんながおおごえをあげておどろきます。
ほんと、どうしたのでしょうか?
「そう。そうなのね……私、アストレアちゃんのことも英くんのことも信じていたのに……」
「智子が、智子が悪いんですね。守形先輩の欲求を満たしてあげなかったから、こんな胸だけしか取り得がないバカ女に引っ掛かっちゃったんですね……」
「アストレアお姉さまの泥棒猫。こんなことならもっと早く殺しておけば良かった……」
「アストレアなんて……作るんじゃなかった。今からでも廃棄処分するしかないわね……」
「きゃる~ん♪ みんな子供ね~♪ 智代は浮気全然オッケ~だから~♪ だから英くん、その分智代も愛してね~♪」
智樹のお母さんだけのぞいてみんなうつむいてかたをふるわせています。
さむいのでしょうか?
「どうしたんですか、みんな? 私が守形に愛されたのがそんなにまずかったですか?」
「俺がアストレアをAISIたのがそんなに不満なのか?」
守形とふたり。まるでわけがわかりません。
「「「「そう。それが2人の回答なのね……よく、わかったわぁああああぁっ!」」」」
「きゃる~ん♪」
そして5にんのあくまがいっせいにわたしと守形におそいかかってきたのでした。
「「ぎゃぁああああああああああぁっ!?」」
ひとりひとりがイカロス先輩よりもつよいんじゃないかとおもうほどにみんなはつよくて、わたしたちはあっというまにてんにめされてしまいました。
たましいがそらへとのぼっていきながら守形とふたりでわたしたちのなにがわるかったのかかんがえます。
(アストレア、お前、歯ががイカ墨で黒くなっているぞ)
したを出してたしかめます。
するとたしかにしたがくろくなっていました。
(これ、お昼に食べたイカ墨スパゲッティーのやつだぁ)
イカロス先輩のおてせいのイカ墨スパゲッティーを食べてわたしはイカ娘をみようとけついしたのをおもいだしました。
なるほど。
みんなはきっと、ごかいしたのだとおもいます。
イカ娘ちゃんのことをよくしらないみんなは、イカ娘ちゃんそっくりなわたしがわるい侵略者なのだとかんちがいしたのです。
やっぱり、わたしはイカ娘ちゃんそっくりだったのです。
きっとみんなもイカ娘ちゃんをみれば、わたしがあいされキャラだとわかってくれたとおもいます。
(私、みんなに愛されちゃってますよぉ~っ!)
ほこらしいきもちになりながらわたしはひかりのなかへとのぼり、そしてきえていきました。
わたしはいつまでもあいにみちたこころでイカロス先輩たちをみまもりたいとおもいます。
了
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水曜定期更新。
手抜きは続くよどこまでも。
ということで今回のテーマは『侵略』
アストレアが頑張ります。
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