No.323828

真・恋姫†無双 外伝:幼なじみは普通の娘

一郎太さん

アンケートで第1位に輝いたのは、この方でした。
………タイトルで誰だか丸わかりじゃねぇか。
という訳で、タグも隠さないでさっさと投稿。
どぞ。
あ、アンケはまだ継続だぜ。

2011-10-25 19:19:11 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:8555   閲覧ユーザー数:6484

 

 

 

幼なじみは普通の娘

 

 

 

pppppp……―――。

 

「うぅ……」

 

毎朝耳にする電子音が鳴り響いている。もぞもぞと身体の向きを変え、その音源へと腕を伸ばした。

 

「……………朝、か」

 

時計を見れば、短針は時計盤の5を指している。窓へと顔を向ければ、まだ陽も射していない。これは別に、今朝だけ早起きをしたという訳ではない。毎朝の恒例行事だ。

いつものように布団から抜け出して軽く伸びをすると、いつものように着替える為に立ち上がり――――――

 

「………ふぅ」

 

――――――そして、いつものように息をひとつ吐く

 

 

 

 

 

 

いつものようにランニングと道場での鍛錬を終え、婆ちゃんの朝食を食べる。

制服に着替え、鞄の準備をし、そして爺ちゃんたちに見送られて家を出ると、丁度向かいの家の玄関が開いた。

 

「おはよう、一刀」

「おはよう」

 

普通の朝の挨拶。彼女は特に制服を着崩したりすることも、ましてやほんの少しの化粧もすることなく、まさに一般的な学生のスタイルで俺の隣に並んだ。

 

「どうしたんだ?」

「いや……平和だな、と」

「何言ってるんだか」

 

とりとめもない会話をしながら登校路を進む。

 

「かずピー、おはよーさん。白蓮ちゃんも」

「おっす」

「及川か、おはよう」

 

背後から軽く駆け寄り、ポンと肩を叩いてきたのは同級生。

 

「それにしても相変わらずやなー」

「何が?」

「ワイも白蓮ちゃんみたいな彼女と一緒に学校行きたいて」

 

及川の冗談に、隣の少女がビクッと肩を震わせる。

 

「ななななな!わわ、私と一刀は別にそんな関係なんかじゃ―――」

 

ついで一気に捲し立てるかと思いきや、その声はどんどん萎んでいき、ついには黙り込んでしまった。

 

「なぁ、かずピー」

「言うな……」

「なんか、こう…あまりにベタな反応やと思うんやけど」

「だから言うな、って」

 

顔を真っ赤にした白蓮が、ちらちらとこちらを窺ってくる。その、あまりにテンプレな反応に、及川もそれ以上ボケきることが出来ないようだ。

 

 

 

 

 

 

「なぁ、一刀」

 

昼休み。俺の机に弁当を広げて昼食をとるなか、白蓮が口を開いた。

 

「どうした?」

「数学の小テスト、どうだった?」

「95点」

「マジか!?私なんか70点しか取れなかったのに………………」

「普通の点数だな」

「普通って言うな」

 

どうも俺の幼馴染は、自分が普通という事が気に入らないらしい。勉強はそこそこ、運動もそこそこ。何でもそつなくこなすが、特別目立っているという部分もない。それはそれで凄いと思うのだが、彼女は『普通』や『ベタ』、『テンプレ』というカテゴライズをされると、こうして怒ってしまう。

 

「そうそう、ひとつお願いがあるんだけど……」

 

彼女がそう切り出したのは、昼食も終わり、あとは次の授業を待つだけと机に突っ伏している時だった。ピコピコといじっていた携帯を鞄に戻した彼女が、俺に向き直る。

 

「なんだ?」

「今日の放課後って空いてるか?」

「まぁ、帰宅部だしな」

「だったら、その………」

「?」

 

口籠る彼女は、そっぽを向いて言葉を絞り出した。

 

「今日の放課後、中庭に来てくれないか?」

「………………………いいけど」

 

ベタの一言に尽きる。

 

 

 

 

 

 

放課後。今週の当番である掃除も終え、俺は白蓮に言われた通りに後者を挟んでグラウンドとは反対側にある中庭に足を運んだ。俺も馬鹿ではない。このような場所に呼び出されて起こり得る事は、そう多くはないはずだ。

 

「まだ来てないみたいだな」

 

昼休み以降、俺とは目を合そうとしなかった彼女。まぁ、ベタだ。漫画とかでよくあるパターンだ。実際、俺の幼なじみなら取り得る選択肢である。

と、背後に足音と人の気配を感じた。

 

「遅かった……な?」

 

誰だ。呼び出したのは白蓮の筈なのに、俺の目の前には初めて見る女子生徒がいた。赤味がかった茶髪の両脇に、白い羽根飾りがついている、ぽややんとした雰囲気の少女だ。制服から判断するに、俺と同じ2年生のようだ。

 

「あの、北郷君……急に呼び出したりしてごめんね………」

「あ、いや……」

 

ただ、向こうは俺の事を知っているらしい。そして、言葉から判断するに、彼女が白蓮にこの事を頼んだという事か。

 

「白蓮ちゃんにお願いしたの。びっくりした?」

「まぁ…」

 

予想通りだ。

 

「それで、どうしたんだ?」

「えと…北郷君は知らないかもしれないけれど、あたし、中学校も同じなんだよ?」

「………」

 

マジか。まったく記憶にない。そんな俺の思考を読んだか、目の前の少女は苦笑いを浮かべる。

 

「やっぱり知らないよね。でも、私はずっと見てた………」

「………」

「中学1年の時から、ずっと北郷君を見てたの」

 

あぁ…ここまで言われてしまえば、いくら俺にだって想像がつく。

 

「ずっと好きでした!北郷君の彼女にしてくださいっ!」

 

顔を真っ赤にした少女は、俺の目をまっすぐに見据えてそう言った。

 

 

 

 

 

 

「あれ、来てたのか」

「………」

 

家に戻り、自分の部屋に上がれば、部屋の中で幼なじみがベッドを背に膝を抱いていた。その眼は、何を言うともなしに俺にじっと注がれている。

 

「どうしたんだ?」

「………………会ったか?」

「誰に?」

 

彼女の口から、1人の少女の名前が紡がれる。それは、夕方にも学校で聞いた名前だった。

 

「会ったよ」

「そうか…」

 

そしてまた、彼女は黙り込んだ。

 

どれほど時が経っただろうか。彼女はゆっくりと立ち上がった。

 

「邪魔したな」

「帰るのか?いつもなら漫画読むくせに」

 

何を言っているのだろうな、俺は。だが、まぁ………なんというか、展開は読める。

 

「いや、これ以上、私は此処に来てはいけないんだ」

「なんで?」

「だって……お前にはもう、彼女がいるじゃないか」

 

勘違いの仕方までテンプレ通り。思わず溜息が漏れる。

 

「いないよ」

「そうだろう?あいつは可愛いもんな、私なんかより。胸だって大きいし、性格だって明るいし………………って、はぁ!?」

「どうしたんだ、百面相なんかして」

「いや、え?なんで!?告白されたんだろ?」

「されたよ」

「OKしたんだろ?」

「してないよ」

「なんで?」

「だって、俺には白蓮がいるし」

「………………………」

 

絶句とはまさに彼女の顔を言うのだろう。口をぽかんと開け、これでもかと目を見開き、呆気にとられる事十数秒――――――

 

「………っく、ぇぐっ………」

「なんでっ!?」

 

彼女は滝のように涙を流した。

 

 

 

 

 

 

「だって…だって!一刀はそんな素振りなんてちっとも見せてくれないし、ひっく…私の事なんて、どうにも思ってないんだと思ってた………」

「いつ俺がそんな事言った?」

 

いまだ泣きじゃくる幼なじみの頭を撫でながら、俺は問いかける。

 

「だって、一刀はカッコいいし、頭だっていいし、運動も出来るし………わたっ、私なんかじゃ釣り合わないって………うぅぅうぅぅぅ………」

「それを決めるのは俺だろ?俺はお前がいいんだよ」

「う、うぅ……うぇぇええぇぇえぇん」

「よしよし」

 

涙で目を真っ赤に腫らしながら、胸に飛び込んでくる少女。そんな幼なじみがたまらなく愛おしくなり、俺はこう告げた。

 

「ベタな展開にも程があるだろ」

「………ベタって言うな」

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

というわけで、アンケ第1位に輝いたのは白蓮たんでした。

圧倒的人気の投票数に申し訳ないんだが、ネタが思いつかなさすぎるorz

お前らもヒドイ事しやがって………

 

とまぁ、こんな感じで本編は遅々として進まずに外伝でした。

前書きにもある通り、アンケは継続なので、他に見たいのがあったらコメントにて。

ぱっと思いついたら、数に関係なく書くかも(七乃さんの時みたいに)

 

それではまた次回、お会いしましょう。

バイバイ。

 

 

 


 
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