No.317184

楽々・恋姫無双 六話

TAPEtさん

大した内容でないはずだったのにやけに長くなってすみません。
今回はふざけは少なめにして作りました。どうぞ

2011-10-12 19:05:08 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:6058   閲覧ユーザー数:4872

これは、一刀ちゃんこと曹丕子桓がまだ華琳さまのお腹の中に居た頃の話です。

そう、これは華琳さまが妊娠したことが全大陸に伝わっている頃の物語。

 

 

時は食欲の季節、秋、場所は…最後の戦いがあった長安から、魏の臨時首都、許昌へ移ります。

 

 

 

 

「華琳さま……華琳さま」

「……うん…ん…?……あら、桂花」

 

朝、華琳さまは桂花さんの揺さぶりに目を覚ましました。

夜まで政務を続けてそのまま机の上で寝込んでいたのです。

 

「また無理をなさったんですね」

「そう怒らないで頂戴。ちょっと眠れなくて手につけたぐらいよ」

「怒らせて頂きます。だって私は昨日ちゃんと華琳さまが昨夜寝床でちゃんと眠りにつく姿を見ていたのですよ。なのに朝来てみたら、また夜遅くまで仕事をなさっていたのではないですか」

「そうは言っても、戦後処理や西涼の復興のための支援、それに都の開発まで、私が目を通さなければならない案件がこんなにあるのよ」

 

そう言う華琳さまの目先は自分の机にある沢山の竹簡に移ります。

ちなみにこれは華琳さまが自分の部屋でやろうと思って持ってきたものだけで、軍師たちが集まってる政務室にある承認を待っている報告書なんてこんなものではありmさえん。。

とはいえ、

 

「華琳さま、大変失礼であることを承知した上で言わせて頂きますが、私は華琳さまのことを心配してこんなことを言っているわけではありません」

「………」

 

いやー、昔の桂花さんの口から出てくる言葉とはとても思えないことなんですが、事実、あの事件以来桂花さんも色々あったのでしょう。

そして、その理由というのは…

 

「わかっているわ。一刀のことでしょ?」

「はい」

 

今華琳さまのお腹の中には、この大陸に平和を持ってきてくれた天の御使い、北郷一刀が宿っています。

どうして天の御使いが死なずに華琳さまの中にあるのかですって?それは黙々と虚々見てきてくださいな。

 

「最初は何の冗談なのか、皆疑ってましたし、霞なんて発狂してその後直ぐに羅馬に旅立ってしまいましたけど、華琳さまは嘘でそんなことを言う方ではないとということは私を含めた皆わかっていることです」

「……」

「でも、それだとしたら華琳さま、どうして私たちのことをもうちょっと信用してくれないのですか?」

「桂花を信用しないことなんてないわ。あなたがどれだけ優秀なのかはわかっているから。他の娘たちも、皆私が選んで迎え入れた娘たちだもの」

「それなら、国のことは私たちに任せて華琳さまはご自分の体のことを第一に考えてください。華琳さまのためにも、一刀のためにも、そしてこれは、魏に住んでいる民と私たち皆のためでもあります」

「………ごめんなさい、桂花」

「いえ、私こそ、無礼な言い方、大変申し訳ありませんでした」

 

互いに頭を下げているこの二人。

国の王と王佐の才を持ったと言われる天才軍師。

乱世の中でこの二人の関係はとても飼い犬と犬(猫?)のような関係だったものの、一刀が姿を消し、華琳さまの身に宿った後では二人は君臣の関係を超えて互いを良く分かり合う親友のような関係になっていた。

乱世の中、多くの人を下に置きながらもいつも孤独でなければならない覇王の姿には、いつも小さな子供だけが彼女と同じ位置で立つことができました。

でも、彼が居ない今、覇王をまた孤独の深淵に陥るかも知れないそんな状況で、一刀ちゃんの代わりに華琳さまと同じ位置に立ったのは、誰でも無くこの人だったのでした。

 

一刀ちゃんが生まれるまでのこの二人の間のお話は数々ありますが、今回はその中で一つぐらい紹介しましょう。

 

 

 

 

魏の宮中日誌によると、華琳さまは妊娠中で悪阻がひどくて、暫く何も食べられない状態で居られたという記録があります。

 

「華琳さま、何でも口にしてください」

「いえ、いらないわ」

「ですが、」

「要らないって言ってるでしょ!さっさとその吐きそうなもの持って出ていきなさい!」

「は、はいっ!」

 

こんな感じで、何を持ってきても匂いだけで顔に皺を作って怒鳴るぐらいだったので、いつもなら侍女たちにも人気ものであるはずの華琳さまの部屋に入ろうとする侍女なんてもう居なくなった。

ほぼ全ての料理が食べられないと言って、流琉が持ってきた料理さえも拒否る始末。華琳さまの悪阻はもう侍女たちだけじゃ手に負えないほどだった。

 

「……というわけで、緊急に皆に集まるように頼んだわけだ」

 

魏の重臣たちの招集されて緊急会議が行われた。

皆を集めたのは秋蘭。いつも間近で華琳さまの様子を見ていた秋蘭は、ことが単に侍女たちや流琉に任せるだけじゃすまないことに気づいたのであった。

 

「これは…そろそろ本格的にまずいですよ?」

「どういうことだ?」

 

食べ物が食べられないという言葉なんて脳が認識できなさそうな春蘭さんが風の難しそうな顔に暢気に答えます。

 

「もう華琳さまは一週間以上水とちょっとした果物ぐらい以外には口にできていないようです。このままでは華琳さまご本人だけでなく、お腹の子供にまで影響されます」

「妊娠中には母が食べたものは優先的に子供の方に行っちゃいますからね。このままちゃんと栄養がとれていない食事を続けられては華琳さまの体が持ちません」

「華琳さまの悪阻って、そんなに酷いものなんですか?」

 

春蘭と同じく、食べられないものなんてなさそうな季衣が質問する。

 

「流琉が作ってきた保養食も全然食べられないという状態だからな。流琉の腕だから料理自体にどこか問題があるということでもないだろう」

「えー?保養食って、なの流琉が三日三晩頑張って作って、ボクに食べさせなかったアレのことですか?!一口も食べないなんてもったいないです」

「なんや、そんな凄いものやったん?」

「でも、流琉ちゃんの料理もダメって言われたらどうすればいいのかわかんないのー」

「悪阻ってそんなに大変なものなのですね」

 

いえ、普通そうではないと思いますけど……まぁ、普段でも料理にはうるさい華琳さまのことですからね。これは非常に難題です。

 

「女性は妊娠中では、普段良く食べたものでも匂いを嗅ぐだけでも悪阻をしたりするらしいですからね。でも逆に普段食べないものは美味しく食べたりもするようです」

「…というと?」

「例えば、普段は華琳さまなら口にもしない街の低品料理などですよ。以前の一刀ちゃんは良くそういったものを食べてましたからね」

「産婦の食べたいものをお腹の中の子供が決めるというのですか?」

「風も詳しくはわかりませんよ。ただ……秋蘭さん、以前の一刀君って嫌いな食べ物なんてありましたっけ」

「…………わからないな」

「わかんないだと?!秋蘭お前いつも北郷に料理作っていたのに、何故分からないのだ?」

「特に嫌いな食べ物なんてなかったんわけか?」

「いや、それも分からない」

「どういうことなの?」

 

秋蘭さんは難しそうな顔で答えました。

 

「確かに私が北郷に手料理を食べさせたことが多いのは事実だが、北郷はなかなか人が傷つくようなことを言うような子ではなかったからな」

「つまり、嫌いなものがあっても作ってくれた人のことを考えて嫌な顔もせず食べた、というわけですか?」

「ああ……」

「ああ、厄介やなー」

「いつもの良い子だった一刀ちゃんがここで来て響くのー」

「じゃあ、とりあえず、風の言った通り街の料理で試してみましょう」

「…そうだな…私ももう一度流琉と相談してみよう」

「普段食べない料理が美味しくなるのだとしたら……もしかしたら私の料理が」<<凪

「それはねーよ(ないの)」

「(´・ω・`)ショボーン」

 

 

 

 

そんな風に皆して華琳さまが食事を取れるように頑張っている魏の将たちの中で、華琳さまも華琳さまでいい気分なわけがありませんでした。

 

ぎゅるー

 

「……」

 

悪阻で何も食べたくないからと言って、お腹が減らないわけでもありません。

むしろ、子持ちの体なのだから、普段よりもっと栄養が要ります。

 

子供をはらんでいる女性の体は、子供に先ず全ての栄養を行かせるため、ちゃんと保養しないと子供を養うために産婦は栄養失調になるという状況にもなりかねないのです。

 

「と言っても、何を見ても食べたくならないのは仕方が無いわ」

 

意地ででも食べようとしたら良いのではないかと思うかもしれないけど、そうも行かないのが悪阻の悪いところ。

 

「ほんと、あなた生まれる前から私を虐める気なの?」

 

お腹の一刀ちゃんにそう言ってみる華琳さまですが、まだ産まれてもない子に嫌味言っても仕方のないこと。

 

「もうイイわ。何か自分で作ってでも食べなければ体が持たない」

 

そう思った華琳さまは寝床から体を起こして、久しぶりに厨房の向かうのでした。

 

 

 

 

トントントン

 

「流琉…こんな感じでいいのかしら」

「あ、桂花さん…って……」

「何?今度は何がいけなかったの?」

「…鱗、捌く前に処理するの忘れてます」

「え?……あ」

 

三枚おろしの前に一番最初にやる鱗の処理していないせいで桂花さんの手は鱗で輝いていました。

まぁ、それを除けば見事な三枚おろしになっていたのですけどね。

 

「他のことは大体できるようになったのに、三枚おろしだけはダメなんですよね。桂花さん」

「…他のは出来るようになったのに三枚おろし微妙に何かがうまく行かないのよね。この魚、私に何か恨みあるのかしら」

 

自分の肉を斬って喰らい尽くす者を相手に恨み…有りですね(笑)

まぁ、そうは言っても、桂花さんの料理の腕は順調に上がっているようです。

以前紗江さんに教わったこともありましたが、紗江さんが死んで、一刀ちゃんが居なくなってからは作ってあげたい人もなかったせいで当分やめていたのですが、それでもまた生まれる一刀ちゃんに自分の手料理を食べさせてあげるという遠大な夢を作って、今は流琉の下で、間が空く旅に修行を受けています。

 

「ところで、流琉、今作ってるそれはなんなの?」

「はい、各地から子を宿してる母に良いという具材を集めて来て作った保養用のお粥です」

「……匂いがちょっとアレじゃない?」

 

……え?

 

「味は二の次にしてでも、今の華琳さまには体に良い物を食べてもらわないといけないんです」

「二の次というか……結構後順位になってるみたいだけど……っ、ちょっと門開くわね。意識したら何か吐きそうになっていた」

 

華琳さまが流琉の料理を食べられなかったのって、悪阻のせいだけじゃなかったのです。

普通に料理がまずかっただけです。しかも流琉はそれにも関わらずまたそんなの作ってます。

 

「まったく華琳さまも困ったものです。一刀ちゃんのことを考えてちゃんと食べてもらわないと困りますのに」

 

いえ、流琉さん、それ以前の問題です。誰ですか、あなたは?華琳さんがあんなに料理の腕を褒めていた流琉は一体どこに行ってしまったのですか?

 

「今回も頂かなければ……お腹の一刀ちゃんの健康のためにも……四肢を縛って意地にでも食べさせます……ふふふ」

「ぁ………」

 

病んでる!この流琉病んでます!ヤバいです!

一刀ちゃん、こっち来て。あ、今居ないじゃん!華琳さま、こっち来て!いや、逃げてー、超にげてー!!

 

「あら、桂花、こんなところで何をして…っぶ!」

 

その時、空気も読まず厨房に辿りついた華琳さまが、厨房の扉を開いて息を吸ってる桂花さんに会った瞬間、桂花さんは華琳さまの口を鱗の着いた手で塞ぎました。

 

「流琉、私ちょっと急用が出来たから今日はこの辺で失礼するわ!」

「…ふふふ、一刀ちゃん、待っててね。一刀ちゃんが産まれてからでも、一刀ちゃんのご飯がずっと私が……」

 

三日三晩も料理作ってたのがいけなかったのか、ちょっと変になってる流琉が気づかないうちに、桂花さんは華琳さんの口を塞いだまま厨房から離れていくのでした。

 

 

 

 

「っぷはー!…桂花、なんてことしてくれるのよ!ぷっ!口の中に魚の鱗が入ったじゃない!」

 

厨房からの酷い匂いが届かないほど遠くまで来た所で、桂花さんは華琳さまを解放しました。

 

「申し訳ありません、華琳さま。これも華琳さまの身のためです。暫く、厨房には近付かない方がよろしいかと」

「……そう。あなたがそういうのなら…信じてあげましょう。それにしても困ったわね。これじゃあ、自分で作るのもできないし」

「そういえば華琳さま、お聞きしました。最近、悪阻でろくな食事も出来てないとか…」

「ええ…意地ででも果物や生の野菜などを食べてなんとかしてきたけど、もうそろそろ限界よ。皆にも心配をかけているようだし」

「はい、そういえば今日皆集まって何か話合っていたみたいです」

「そう……ほんといい加減なんとかしないとまずいわね……桂花、何かいい方法はないかしら」

「………」

 

城の一級料理師(流琉を除く)たちが作った料理も全部ダメと言われている状況で、桂花さんだとしてもうまい手が見つかるはずがな……

 

「華琳さま、ちょっと来ていただけますか?」

 

…さすが魏の一等軍師である。

 

・・・

 

・・

 

 

 

桂花さんが華琳さまを連れてきたのは許昌の繁栄した街から少し離れたちょっと落ち着いた感じの道。

ここは、ちょっと特殊な食性をした人たちのための店たちが集まってある。言わばマニア専用食い町でうs。

 

その中、桂花さんはある屋台で足を止めた。

 

「ここは…?」

 

華琳さまが屋台の上を見上げると、『メンマ園』という四文字が見えます

 

「華琳さま、一つここに入る前に約束してもらってい宜しいでしょうか?」

「何かしら」

「ここは、生前に一刀が一番好きだった店です。私も一刀と一緒に来てみたことがあります。だから絶対にここに入って味に対して何か言い出すことはダメです。絶対にダメです」

「………そうね。今日はあなたの言う通りにしましょう。そのかわり、もし私が食べられなかった場合は?」

「その時はどんなお仕置きでも快く受けます」

「分かったわ。入りましょう」

「はい」

 

桂花さんが先に屋台の中に入って、華琳さまがその後に付いて入りました。

 

「おじさん」

「うん?…おお、荀彧さまじゃないですか」

「…あなた、ここ常連なの?」

 

桂花さんがメンマ園の常連……

 

「い、いえ、たまたま来てるだけですよ」

「2日連続なんて珍しいですな」

「おじさん余計なこと言わないでよ!」

「ぁ……」

 

というか、桂花さんが普通に男と会話している件について…

 

「とにかく、いつものお願い」

「あい、メンマラーメンだね。量は?」

「普通に」

「桂花、私メンマはあまり好きじゃないから…」

「あ、華琳さま」

「なんですと!メンマが嫌いだなどとそれは行きませんな!」

 

あ、地雷踏んだ。

 

「メンマはですな、お嬢さん、昔から百薬の長って言われて……」

「あぁ、始まった……」

 

桂花さんが頭を抱えている側で、

 

「それは酒でしょ?後酒も呑み過ぎると病気よ」

「男女老少を問わずに体に良く、特に子を孕んでいる奥さんなんてそれはもう九ヶ月十日メンマだけ食べても良いほど万能な食品……」

「大盛りに頂戴」

「あいよ」

「あぁ………あれ?もう終わったの?」

 

奥さん、割りと耳が……

 

 

 

「あい、メンマラーメン大盛り2つ」

「ちょっと!私は普通だって……ああ、もう良いわ」

「大盛りって…麺が見えないのだけれど」

 

メンマ園のメンマラーメン大盛りの具の配合→メンマ:麺:その他=5:4:1

 

「ところで華琳さま、如何ですか?悪阻は…」

「そういえば、さっきからずっと匂いもしていたのに、全然吐き気がないわね。もしかしたらこれなら食べられるかもしれないわ」

 

とりあえず、最初の関門は突破できたようです。

 

「にしても、この量…さすがに予想できなかったわ」

「ここの店主はメンマの話になると目が狂っちゃいますから……実はこの屋台も、最初に陳留に居た時一度洛陽に移ってたんです。そしてまた許昌に戻ってきたのです」

「どうして?」

「一刀に会うため、だそうです」

「へ?」

「最初陳留にこの店があった時、一刀がすごく美味しそうな顔でここのラーメンを食べて、それからここが人気な屋台になったのです。でも、その後洛陽に移ることになってから、連合軍後に洛陽の復興が始まった後でも、なかなかラーメンの味をわかってくれる人がなかった、そうです」

「だから、私たちが都をここに移ってから一刀がここに居るだろうと思ってここに来たと」

「はい」

 

でも、その時は一刀ちゃんはもういませんでしたね。

 

「店主、一刀のことを知っていたの?」

「?お嬢ちゃん、あの坊やのことを知っているのか?今どこに居るんだ?」

「…天の御使いの噂は分かってるでしょ?その話通りよ」

「……そっか…」

 

一刀ちゃんが消えた後、華琳さまの妊娠したことを外に離さず、世を平和にした御使いは天に戻った、ということにしておくことにしておいたのです。

だから魏の民たちも、天の御使いは再び天に戻った。でもまたいつか帰ってきたかのようにまた戻ってきてくれるだろうと思いながら、彼の再来(三来?)を待っているのです。

 

「あの坊やが店に来たら、他の人たちまで俺のメンマを美味しく食べてくれたんだからな……またあの笑顔が見れたらと思って洛陽から来たのは良かったけど、まさかもうここには居ないなんて思わなんだ」

「残念だったわね」

「いや、でも実は洛陽にある時ね、一度だけあの坊やが食べにきてくれたことがあるんですよ」

「…へ?」

「おじさん、それは初耳だけど?」

「言ってなかったからな。確か……三国同盟の一週間ぐらい前だったかな」

 

同盟の一週間前だとしたら、当時最後の戦いを始めた頃ですね。しかも一刀が死ぬ一週間ぐらい残していた頃……

あんな時にラーメン食いに来るなんてなんですか?

 

「詳しく教えて頂戴」

「確か……メンマの良さをわかってくれる人がなくてそろそろ店をやめて、実家に兄の戻ってメンマの作りを手伝おうかなぁと思っていた頃ですな。ため息をついてちょっと早く店を閉じようとしたら屋台にあの坊やがいつもみたいに笑って座ってるんですよ」

「それで、どうしたの?」

「どうやってここに来たのか聞こうとしたけど、何も言わずにいつものをくれと竹簡に書いて見せられたから、締めようとした屋台を開けてラーメンを作って出しました。……久しぶりにあの俺のメンマラーメンを食べながら見る笑顔を見たら、またヤル気が出てきましたね」

「………そう。だからここに来たのね」

「あの時そのままあの坊やは帰りましたけど、またあの笑顔が見たくてここまで来たんすよね。でも、来てみりゃ世が平和になったから、天の御使い様は天の帰ったとか言って、結局坊やをまた見ることは出来なかった」

「……あの子、私が知らない間にそんなことしていたのね」

 

華琳さまはそう思いながら目の前のメンマを口に入れました。

 

「……あら?メンマって以外といけるわね」

「でしょう?このメンマはですな。南陽にある俺の兄が自分の手で育てた竹で……」

「おじさん、その話もう直ぐ百回目よ」

 

ちなみに華琳さまはメンマ大盛りを全部食べたと記されてます。

 

 

「久しぶりに美味しい食事が出来たわ、ありがとうけい……どうしたの?」

「いえ、ちょっと……当分、あの店には行きたくありません」

「そう?私はかなり気に入ってるんだけど。もう一刀が産まれるまでメンマだけでも良いかな」

「メンマのこと言わないでください!うぐぅ……」

 

あはは…桂花さんも大変ですね。

 

「ありがとう、桂花、今日私をここに連れてきてくれて…」

「いえ、華琳さまの悩まれていたことが解けて私も嬉しいです」

「ええ、でもそれだけではないわ。おかげで良い事に気づいたの」

「何ですか?」

「…あの子にあんな能力があった理由よ」

 

一刀ちゃんにどこにでもいける能力があった理由?

 

「『皆の幸せがボクの幸せ』って言っていたあの子のことよ。悲しそうにしている人が居たら、その人がどこに居てもそこに行ってその人に笑顔を与えてあげるために、そんなの能力を持つようになったって思うわ。魏の皆を、大陸の皆を笑顔にしてあげるように、ね」

「大陸の皆を幸せに…ですか」

「そう…あの子がやりそうなことでしょ?」

「そうですね……そして、今回もまた同じ事をするでしょう」

「そうね……あまりこれ以上母のことを困らせないで欲しいのだけれど」

「無理なご相談かと」

「ふふっ……そうね」

 

この時期既に苦労な日々を予想していらっしゃったお二人です。

 

「楽しみだわ。またこの子と一緒に居られる日が来るのが…」

「はい、私もです」

「そういえば、桂花って最近、あた料理を学び始めたみたいね。三枚おろしはうまくできるようになったのかしら」

「はいっ?え、あぁ…あの、お味噌汁は作れます」

「三枚おろしは?」

「卵巻き作れます」

「…三枚おろしは?」

「……できません」

「そう、精進なさい。一刀が育ったぐらいには間に合うようにね」

「はい」

 

 

 

記録によると、この後城に戻ったお二人は、凪が準備してきた激辛麻婆を食べさせられることになって大苦労したそうだが、それについては、それ以上の詳しい記録はないので、今日はここまでで……

 

 

・・・

 

・・

 

 

 

 

 

次回予告

 

 

………ありません。

予定がありません。何書こうかもまだ考えてません。

ネタに困った時のアンケートタイムです。

 

どっちが良いか選択してください。

 

時期:

 

1.さっちゃん来る前(一刀ちゃん2才)

2.さっちゃんと結以帰ってきて(一刀ちゃん5才)

3.祭りで劉禅(桃華)と孫登(朱蓮)会った後(五才)※第二回同人まつり作品参照

4.超首都建設後(六才)

 

 

誰と絡めるかはご自由にどうぞ。

ただし、今羅馬に居る霞さんと、張三姉妹はダメです。それ以外には蜀や呉の人たちでもかまいません。

 

 

 

p.s. 文内で二の前と書いていたところ、実は二の次と言いたかったのです。他の外史見ていて間違ったと気づいて修正しました。


 
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