俺は政宗の家で小さな小瓶を見つけた
茶色くて 小さな 一見すると栄養ドリンクのような…
でもなぜか 胸騒ぎがした
課題のレポートを作成する為に元親は政宗の家を訪れていた
白を基調とした部屋の中に なぜか違和感のある茶色い小瓶が
無造作にテーブルに置かれていた
「何だ?これ」
小瓶を持ち上げて 光にかざして見る
なんだか 緑色っぽい
薬品かな… それともアロマオイル?
元親は首を傾げていた
「Ah 俺のFanからもらったんだよ」
政宗は答えた
「…」
「ファン?」
元親は眉をひそめた
確かに政宗はモテる
世の中 モテキ モテキ 騒いでいるが こいつは人生自体モテキなんじゃないか…
と思うくらいだ
「Fanつーか 学部の助手からもらったんだよ 早い話実験台」
政宗はコーヒーを飲みながら話を続ける
「実験台ねえ…」
元親は小瓶を振る
少しあわ立った
「てか これ何の薬なんだ?」
「惚れ薬?」
元親はびっくりした
「そ 惚れ薬」
…
惚れ薬自体は知ってはいたが 実物は見た事が無かった
政宗は得意そうに話す
「しかもこれ 女だけに効くものじゃないらしいぜ」
…
「つまり 生き物全部に効くって事か?」
「ああ 理屈ではな… 試したことねーけど」
女では試したのかよ…
政宗には必要ないか…
そんな言葉を飲み込みつつ 元親は小瓶を振る
その時 政宗の隻眼が瞬いた
「そうだ!」
急な大声に元親は驚く
「な 何だよ」
「元就さんで… 試してみようぜ」
元親は口にしていたコーヒーを思いっきり噴いた
「で… どうすんだよ」
元親は政宗に尋ねる
元就は人一倍警戒心が強い
そいつに 薬を盛るなんて 不可能に近い
「Ha これを使うんだよ」
そう言って カップを持ち上げた
「コーヒー?」
「そ、 コーヒー」
政宗はにやりと笑う
「元就さんは 甘党だろ?」
「コーヒーには必ずミルクや砂糖を入れるだろ?」
確かに元就はコーヒーにミルクや砂糖を沢山入れる
ありえないくらい
「そんなんじゃ コーヒーの味なんて 分かりゃしない…」
確かに真っ白で… コーヒーとはとても言えない…
「と… すると…」
元親はごくりと唾を飲み込む
「ああ…」
「元就さんを 俺たちに惚れさせるんだ You see?」
そう言うと政宗は 残りのコーヒーを一気に飲み干した
頬を伝うコーヒーが とても妖しげに元親に映った
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惚れ薬を使って元就を落とそうと企む東西アニキの話