遠い異国の地へと大きな黒いお船で向かう途中、少女ベティーは、船のデッキで大はしゃぎして慌ててしまったために転んで、その小さな可愛いお膝を擦りむいて、デッキの上でしゃがみこんでベソをかきました。
すぐ傍でその様子を見ていたクラブの女性が心配そうに急いで駆けつけると、既に少女ベティーの姿はそこにはありませんでした。
デッキの上を全て見回しましたが、どこにも姿がありませんでした。顔面蒼白でクラブの女性が少女ベティーを探すと「キャッキャッ」と子供の騒ぐ声が少し離れた場所から聞こえてきました。
でもまだ少女ベティーの姿は見えませんでした。
クラブの女性は思わず叫びました。「ベティーちゃん!何処にいるの?悪ふざけはやめて早く出て来なさい!」と。
すると可笑しくてたまらないと言った様子でクスクスと少女ベティーの声が船のデッキの隅っこの奥の方から聞こえて来ました。
「そこにいるのね」
クラブの女性がそう言い終わるか終わらないうちに少女ベティーは小首をちょこんとお傾げになって片方の頬を片方の肩にぴったりくっつけてこう答えました。
「お船のデッキの上で遊んでいたら、さっきレストランで飲んだジュースのせいでパンパンにお腹が張っておしっこがしたくなって今していました」少女ベティーのお顔はその時、大変満足そうに満面笑顔でした。
「まあ、そうだったの新しい下着を今持って来るわね」クラブの女性は愛らしいお茶目な少女ベティーのあどけない無邪気な立ち振る舞いに思わず微笑んでしまいました。少女ベティーは可愛い春のそよ風のような爽やかなお声で「はあい」とお答えになりました。
少女ベティーの頭の少し上のほうで二人の真っ白な羽をユラユラと揺らしている天使がとても暖かい眼差しでそのご様子を眺めていました。
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
ふと思い立ってまた書きました。^^