No.310282

こびとの歌

柊 幸さん

ぼくはきょうおにわでちいさなこびとさんをみつけました。

2011-09-30 20:56:10 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:750   閲覧ユーザー数:750

 

 

 

 

ぼくは今日おにわで変なものを見つけました。

 

 おかあさんが大事にしてるピンク色のバラの花に、小さな人が隠れているのを見つけました。

 

小人はぼくのおかあさん指より小さいみたいでした。

 

ぼくがつかまえようと、手をのばすといっぱいある花びらの中にかくれちゃいます。

 

ぼくがお花にはさわらないで待っていると、また顔をだします。こんどはさわらないでそのままかんさつすることにしました。

 

よく見ると小人さんは女の子みたいでした。洋服は葉っぱで出来ています。

 

最初はぼくを怖がっていたけど、ぼくがなにもしないことがわかると、花びらのあいだから出てきて、大きく伸びをしました。

 

そしてバラの花の上でおどりだしました。小人さんが花の上でステップを踏むたびにバラの花は右に左にと、ゆれていました。

 

風に乗ってかすかに歌声が聞こえます。近くにいるぼくにしか聞こえない小さな小さなお声です。

 

小さな小人さんが小さなお口でうたう歌は、ぼくの知らない言葉だったけど、すごく気に入りました。

 

小人さんの歌に夢中になっていると、おうちの中からおかあさんがぼくを呼びました。まわりを見ると、お空は真っ赤な夕焼けになっていました。

 

 ぼくはおなかもすいたのでおうちにかえりました。

 

 次の日もぼくはピンクのバラの花を見におにわに行きました。お花に小人はいませんでした。

 

 ぼくはお花の前にしゃがんでじっと待っていました。

 

しずかにしていると花びらがカサカサと動いて昨日の小人さんが顔を出しました。

 

小人さんは近くにいるのがぼくだけだとわかると、お花の上に出て来て今日も歌ってくれました。

 

それから、ぼくは毎日おなじ時間に小人さんの住むお花を見にいくようになりました。

 

小人さんの歌はお天気によって違うみたいでした。晴れの日は元気な歌、くもりの日は静かな歌、雨の日は悲しい歌。

 

ぼくは雨の日もかさをさして小人さんの歌を聞きにいきました。おかあさんはぼくはお花が大好きなのだと思っているようでした。

 

 

 

 そんなある日、いつものように小人さんに会いに行こうとすると、おかあさんに、今日はお外に出てはダメよ。と言われました。

 

 どうして、とたずねると、今日はお庭にお薬をまくといいました。そのお薬でお花につく付く悪い虫をやっつけちゃうそうです。

 

 大変です。そんなことされたらきっと小人さんも死んでしまいます。

 

 ぼくはあわててお庭に飛び出しました。

 

 お庭にはマスクをつけたおじさんたちがいて、お花にくさいお水をかけていました。

 

 きっとあれがお薬なんだと思いました。

 小人さんのバラにはまだお薬はかかってないみたいでした。

 

 なんとか小人さんだけ助けようとしましたが大人の人が近くにいるので小人さんは出てきてくれそうにありません。

 

 いつものようにゆっくり待っている時間もありません。

 

ぼくは仕方なく、小人さんのかくれたバラの花をつみとりました。

 

 ちょうどその時おかあさんがぼくを探しておにわに出てきました。

 

 おかあさんはぼくをおこりました。

 

 ぼくはおかあさんには見つからないように、お花をお服のおなかのところにかくしてお部屋にもっていきました。

 

 バラのお花にはトゲトゲがあって、おなかにチクチクささりましたが、おかあさんに見つからないようにぼくはいっしょうけんめいガマンしました。

 

 

 

 

 お部屋にもどるとぼくはコップにお水を入れてきて、お花をつけてあげました。

 

  これならば、雨の日でもゆっくり小人さんの歌がきけるのでぼくはうれしくなりました。

 

いつもと同じようにだまってお花を見ていると、ゆっくりと花びらがひらいて小人さんが顔を出しました。

 

小人さんはいつもとちがう場所につれてこられたから怖がっているみたいでした。

 

ぼくはにっこりわらって小人さんを安心させてあげました。

 

小人さんはぼくを見つけてゆっくりと花の中から出てきました。

 

 ぼくが歌をききたいと言うと、くもりの日にうたう静かな歌を歌ってくれました。

 

 ぼくは元気な歌が好きだったので、元気な歌を歌って下さい。とお願いしましたが小人さんは首をふって歌ってはくれませんでした。

 

その日は、いつまでまっても、小人さんは元気な歌を歌ってはくれません。

 

 いつまでもいつまでも、静かな歌と悲しい歌を繰り返し歌っているだけでした。

 

 次の日になっても小人さんは元気な歌を歌ってはくれませんでした。

 

お水にさした花は少し元気がなくなったように見えました。

 

 小人さんもお花と同じように元気がなくなってきていました。

 

ふつうでも聞き取りにくい小さなお声は、お耳をお花にくっつくくらい近づかないと聞こえなくなっていました。

 

 ぼくは、おかあさんがお花を育てるときには、いつも肥料をあげているのを思い出しました。

 

おかあさんに見つからないようにお花の肥料を持ってきて、コップの中にいれました。

 

 きっと明日にはお花も小人さんも元気になるはずです。

 ぼくはそれを楽しみに、お花が見つからないようにおもちゃ箱の中にかくしました。

 

 次の日、お花を見たぼくはビックリしてしまいました。

 

お花は元気になるどころか、ぐったりと下を向いていました。

 

あわてて小人さんを探すと、小人さんは花びらの間ですっかり動かなくなっていました。

 

どうすることもできないぼくは、急いでお花をコップに入れたままおかあさんのところに持っていきました。

 

 

 

 

ぼくは、小人さんのことをおかあさんに話しました。

 

 おかあさんはだまってぼくの話を聞いてくれました。

 

おかあさんはぼくの手の中にあるお花を見ました。でも、おかあさんには小人さんの姿は見えていないみたいでした。

 

 おかあさんは小人さんが見えなくてもぼくの話をしんじてくれました。

 

 でも、お花はつんでしまうと、お水に入れてもそんなに長くはもたないと言われました。

 

 ぼくはかなしくなりました。

 

 ぼくがお花をつんじゃったから、いけないんだと思うとなみだが出てきました。

 

 ぼくのなみだがお花の上に落ちました。

 

 すると、まったく動かなかった小人さんの体が、花びらの間で少しだけ動きました。

 

 ぼくが声をかけると、小人さんはぼくの方を見て、小さく微笑みました。

 

 そしてそのしゅんかん、小人さんのつつまれた花びらはバラバラになってちってしまいました。

 

ぼくはあわてて手を伸ばしましたが、花びらは指のすきまをスルリと落ちて床に散らばってしまいました。

 

そして、、、小人さんも消えてしまいました。

 

 大きな声で泣き続けるぼくを、お母さんは抱きしめてくれました。

 

 そして、ぼくが小人さんのことを忘れなければ、またいつか会えるとおしえてくれました。

 

 それでも、ぼくのなみだは止まらなかったのです。

 

あれから、小人さんの歌は聞こえません。

 

 おにわにはたくさんのお花が咲いているのに、どのお花にも小人さんはいませんでした。

 

 小人さんがいなくなってからも、ぼくは毎日おにわに出て小人さんを探しました。

 

 そして毎日、忘れないように小人さんの歌をうたいました。

 

 言葉がわからなくてでたらめだったけど、いっしょうけんめい歌いました。

 

 

 そうして一年がすぎました。

 

 季節はまた春を迎えました。

 

 ぼくには妹ができていました。

 

 妹が初めておうちにきたとき、いつまでたっても泣き止みませんでした。

 

 ぼくは妹に毎日歌っている小人さんの元気な歌を歌ってあげました。

 

 すると、妹はピタリと泣き止み笑顔を見せました。

 

 なぜだかその笑顔は、ぼくにとって、とても懐かしいものに感じたのです。

 

 

終わり

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
1
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択