No.304846

NEW ACT4[Return]

新兵さん

読んだ方、ぜひコメントを! これでとりあえず一区切りなんだな…

2011-09-21 17:58:32 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:878   閲覧ユーザー数:869

「本気でものを言うつもりなら、言葉を飾る必要があろうか。」[ゲーテ]

 

病室。

目の前には軍服を着た女性が立っている。ローズとは違い鋭い目つきだが、どこか母親の様な優しい眼差しも宿っているように思える。「ジャック」は赤い髪を軽く触りながらふとそう感じた。彼女の名前は「アデル・ベルモンド中尉」

「…ジャック候補生。報告は以上か?」

アデルは軍帽の固いつばを触りながら聞いた。

「はい。」

「…そうか。マック兵長や候補生たちが犠牲となったのは仕方ない。ジャック。おまえは、1人の仲間を救ったのだ。おまえは正しい選択をしている。」

「しかし…私は…。」

「いいかジャック、行動の良し悪しではない。生き残った者が後を継ぐ、それだけの話だ。それに、二人の仲間に手を貸すか、意識を失いかけている仲間を助けるか…二者択一を迫られていたとしたら誰でも後者を選ぶ。おまえは正しい選択をした、わかったか。」

「…はい。」ジャックは力なく答えた。

「…まぁ良い。ではこれより「ジャック」、「ローズ・ベネット」を正規兵として正式に登録する。初期階級は一等兵、あるいは二等兵の二つだが後ほど通知する。」

「了解です。」

ジャックは意識を失ったままのローズに目をやった。

「彼女には私から伝えておきます。」

「そうしてくれ。」彼女はそう言い残し、病室を後にした。

ジャックは自分が助けた仲間にもう一度目をやり、小さな声で呟いた。

 

 

 

 

「俺はジャックだ。ブラッドマチェットはもういない…。」


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
0
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択