No.304479

GROW4 第十九章 再縁する二つの魂

しゃなさん

随分長い戦いになった

2011-09-21 00:19:40 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:568   閲覧ユーザー数:568

 

再び再開した二人の戦いはさらに激しさを増していく。肉眼ではとてもじゃないが捉えきれないスピードだ。

 奈乃の剣術も、付け焼刃とはとても思えない太刀筋で、花を責め立てる。銃に至っては、奈乃の気銃のスペックが高すぎて防戦一方状態だ。

 先ほど花が述べた通り、花が勝負を決めるには武のジャンルだろう。

 

「見たこともない太刀筋だね、奈乃ちゃん。このわたしが押されるなんて・・・」

「まだまだこれからです。この“剣戯”の真の力は」

 シュラッッ

「くっ、千刃誘(せんじんいざな)」

「甘いです。一刀流法魔奥義(いっとうりゅうほうまのおうぎ)、道崩(みちなだれ)」

 ギュァァァァァァ

 キィィィィン

 

「なっ!?」

「・・・・・」

 打ち所の問題ではない。花の刀が斬られたのだ。あっさりと・・・

 お互いの距離は十分あった。花の剣筋のほうが確実に捉えていると一件思えた斬激は、一つの音と共に崩されたのだ。

 道を通るかのような可憐な一閃によって。

 

「まずは一本ですね、花さん。熟練した剣筋が止まって見えますよ」

「何だ今の一閃?いや、一閃ではない。無数の線に見えた・・・」

「一閃ですよ。ただ、“危険”な一閃ですがね」

 

「禁辞刀すらも斬り裂く鋭い一閃こそが“玄碌彗”(げんろくすい)の真価、姪國覇彗(めいこくはすい)の特性や。今の奈乃ちゃんに剣術で勝てるのはウチだけや・・・」

 舞華ちゃん・・・

「なるほど。付け焼刃の剣術を埋める特性か。しかし、それは“剣術”にのみ発動する能力じゃないかな?」

 シャッ

 ギュゥゥゥゥンンン

 

「裂罅貶(れっかおとし)」

 ガキィィィィィン

「空間移動はやっかいですね。気銃八連撃(リヴァイズ・エイツレンダス)」

 ドドドドドドドドッ

 刀を右に持ち替え、花の踵落としを受け止める花。続けざまに気銃の八連撃を叩きこむ。

「亜空間の統合壁(ビー・ヘイミスター・コンファイン)」

 ボボボボボッ

「そんな卑怯な・・・」

 花は、自分の身体に密着するように異空間の壁を張った。必然的に、花に触れる攻撃は異空間へと流れるため花には当たらないというわけだ。

「よそ見は禁物だよ。反裂照射(ミレイディオ・リフレクション)」

 ガガガガガガガッ

「ああああああああああああああああっ」

 ドサッ

「チェックメイト」

 スチャ

 ググッ

 

 亜空間へと飛ばされた奈乃の気弾が、空間移動でフィールド内に散乱する。花は、それを利用し

自分の銃で弾いた。

 縦横無尽に飛び交う気弾の動きが読めず、奈乃は全弾受けてしまう。

 

「幻想卿へとつながる拳(ミギーラムダー・ザ・アルガルディア・デモン」

「巷談同梱(こうだんどうこん)」

 バキィィィィン

「反撃を?」

「攻撃するときには実体化するのは弱点ですね。威力はこちらが上です」

 奈乃の打ち込んだ攻撃によって防がれたものの、さっきの攻撃がかなり効いたのか、奈乃は少しふらついている。

「自分の攻撃力が仇となったな、奈乃ちゃん。もうまともに動けないよね」

「わたしだけの攻撃じゃないです。さっき“何か”しましたね・・・」ゲホゲホッ

 激しく苦しみ出す奈乃。確かにあれだけの攻撃でこのダメージはあり得ない。

「さっき言ったよね。拳で決めると。こういうことだよ」

 パチィン

 ゴシャァァァァァッ

 

 ガガガッガッガガッ

 シュゥゥゥゥ・・・

「空間移動ゼロ距離からの多方角不定期攻撃!?」

「流石に二度目は受け流したか。異空間を利用した無数の攻撃。爆風に混じらせ叩きこんだんだよ。あれで立っていられるなんて頑丈過ぎるよね、奈乃ちゃんは・・・」

「種が割れれば何の意味もなさない。一刀裏秘儀(いっとううらひぎ)、零戦鎌鼬(ぜろせんかまいたち)」

 ふわわわっ

「攻撃が・・・・飛んでこない?」

「まずは一撃です」

 ズバシュッ

「何が!?」

 大きく剣を振り抜いた奈乃だったが、風の一つも起きず何も起こらないと思いきや、突然花が激しく血しぶきを上げた。

 斬り口が見えない。それに、花の周りには亜空間の壁が貼っていた筈。

「あはれなり花さん。“本物”の剣筋とは、斬られたことすら相手に分からせないほどの鋭い一閃のことを言います。ちなみに最初に見せたのはただの風を斬った囮(おとり)。本当の斬撃は・・・

今ですよ」

 すっ

 花に自分の持っている刀を見せつける。

「一刀流不可死期居合。空間減衰後鳥(からまげんすいごちょう)」

 キィン

 ズバシュゥゥゥゥ

「ガァァァァァァッ」

「見事!!」

 

 

 

 2

 

 ガッ

 

「花さんも大概頑丈ですね」

「今の剣撃、このわたしですら全く見えなかった。ぐっ、随分と深い・・・」

 傷を抑える花だが、血はドクドクと絶え間なく流れ出している。一気に立場が逆転された上に、花にはあの剣撃を防ぐ術(すべ)がない。

「そろそろおしまいですね。わたしも、全開状態だとかなりきついので早く決めたいです。そこでこの一本・・・」

「新たな剣、だと・・・」

 ズバシュゥゥゥゥ

「ううんっ♪いい感じです」

「自分の身体を斬りつけて何をしでかすつもりだ?がはっ」

 奈乃が今使っていた剣が、一度扇子に戻り再び刀へと変化する。

 しかし、先ほど使っていた剣とは異なるものだ。禍々しく波打つ乱れ刃からは、先ほど斬り裂いた奈乃の血が滴りおちている。

 ポタッ・・・・

 ポタッ・・・・

 

と、不気味な音を立てながら。

 

「花さん。最初に言いますが、この剣に触れたら死にますよ」

「そ、そんな危険な刀を取り出すなよ」

 奈乃の表情が歪みだす。

 滴り落ちる血は、黒く染まり出しフィールドを激しく溶かしていく。

「この刀は“最強”です。絶対に勝てませんよ」

「そうかい。そんなこと言われて退くわけにはいかないよね。黄刀(きとう)、洸縁(こうえん)」

 ススッ

 ギラァァァッ

「雷鳴悲歌(らいめいひか)、“轟”(とどろき)」

「・・・・・・」

 ガギィィィンンン

 ミシミシミシィィ

 

「ばかな。ノーモーションで!?」

 奈乃は動かなかった。しかし、音はしたのだ。止める音は・・・

「速さを誇るこの刀の攻撃を・・・・更に速い捌きで止めたのか?」

「止めたのではないです。わたしのはあなたの攻撃は止まって見えます」

 パキパキパキパキ

「剣が粉々に?」

「先ほどから使用してきた剣戯は、刀の力を120パーセント使用した偽の剣術です。刀の自立機能のです。だから・・・・」

「まさか、まさか・・・」

「そうです。わたしには花さんの剣筋ははっきり見えませんし剣術においても遥か格下です」

「それならばなぜ、プライドの高いお前がそれを承諾した?自分で戦っているとはかけ離れているだろう」

「力は違えども、わたしの考えにより手足は動き攻撃します。こんな力でもわたしの能力です。そして、今では・・・」

 ジャキッ

「完全にあなたの剣を上回りました」

「操り人形に負けたとなっちゃ、話にならないな・・・」

 カラァン

「なぜ剣を捨てるのですか?」

「言っただろ、拳で勝つって」

「まだそんなに甘いことを」

「いいから来なさい。所詮偽物の剣なんかにわたしは負けない」

「終わりです。一刀流、黒鬼(くろおに)」

 ズババババババッ

「効かないねぇ、偽物ぉ!!おおおおおおおおおおおおおおっ」

「攻撃を受けながら前進を!?ありえないです」

 ゴシャァァァァッ 

「ぐっ」

 ザザッ

 ブシュゥゥゥ

 

 花は、奈乃の攻撃を受けながらも右拳を叩きこんだ。しかし、今ので更なる傷を負ってしまう。

 奈乃のほうは倒れる気配すらない。

「その傷で素晴らしいパンチでしたよ」

 左親指で、口から出た血を拭いとる奈乃。目の前の花はもはや戦闘不能寸前だ。

「まだ、だ。ウソつきには制裁をしないといけない」

「??」

「奈乃ちゃんの剣術は“本物”だった。偽物ということで“ある”ことをとっさに隠すために」

「何のことですか?」

「レプリカってことさ。少しは疑うべきだったな。禁辞刀を使い始めてたった一日そこらの人間が

使いこなせる筈がないと。最初にわたしの剣を斬り裂いて見せたのも奈乃ちゃんの実力」

「なぜ分かったんですか?剣が偽物(レプリカ)だと」

「今、斬られて分かった。剣に重みが全く感じられないと。だからわたしは倒れなかった」

「そうですか。“半分”は正解です。確かに二本目の刀は偽物です。分かるようにわざとらしい演戯までしました。しかし・・・一本目は“本物”です」

「なるほど。途中までわたしが気がつかない筈だ。まいったよ・・・」

 ドサッ

 

 「勝者、御波奈乃」

「ギリギリでした。禁辞刀は骨が折れます

『両間接バキバキだな』・・・」

 

 

 

 3

 

 激しい戦いが終わった直後。次の試合も荒れそうだ。

 三回戦に入ってまだ二試合目というのに、次も同校同士の戦いだ。

 

 第三回戦第二試合。籠山三尋(流水2)VS御狩懈刹那(流水1)の試合だ。

 予選では戦わなかった二人だが、二人が戦ったところを見たことがない。

 結果は全く読めない試合だ。

 

「まさか、刹那ちゃんと戦うことになるとはね。予選といい一年生には驚かされるよ」

「あなたには大きな“借り”がありますが、今回はそれを返すつもりで行かせてもらいます」

「借り、ね。五分間フィールドに立てたならチャラでもいいよ」

「勝ったら、でしょ?」

「おおきくでたね、“せっちゃん”♪」

「うるさいですよ、“みーちゃん”^^♪」

 

 「第二試合目、始め!!」

「今回のフィールドは太陽か。太陽といっても内部の温度は対して暑くないからね」

「ず、随分と暑いじゃんww」

「僕は闇の特性上そういうのは効かないんだ」

「まぁいいですけど。黒天の槍、三式骸濾(さんしきむくろ)」

「闇の払手(ダークネス・ティオルディマ)」

 ヒュヒュン

 ガキィン

 

「おおっと、“無効化”だったっけ」

 闇の攻撃がかき消されて思い出したかのように言う三尋さん。あんまり焦る様子はない。

「五式泉下(ごしきせんか)、黒い蒜麻績(ブラクデス・パラドリアン・レイグム)」

 パシィィィ

「えっ」

 鋭い突きが片手で止められる。

「闇の力は抑えてる筈なのに?」

「忘れてないかい刹那ちゃん。闇の力を防いだところでそれはただの“棒”に等しいんだよ・・・

それに、闇の前進(ダークネス・ウルディマレイド)」

 ブァッッ

「あああああああああああああああっ」

「それで確実に防がないと意味がない・・・」

 全方位に広がる攻撃が刹那さんを襲った。防ぎきれる範囲を超えている。

「悪いけど早々に勝負を決めさせてもらうよ刹那ちゃん。黒燗する濃闇(デガラマルガチオ・フレルド・イん・ダークネッサ)、取り囲む闇の泉(ブレムドリャフカ・ジレイ・ダークネス)」

「・・・・・」

「滅びの喰闇人(ロディスヴァルゲ・サーバニスカ・ワガラマルフェー)」

 ドドドドドドドドッ

 

 刹那さんが立っていたところも含め、直進した巨大な攻撃がそのまま太陽の外壁を粉砕した。

 強力な攻撃のせいで当たりが蒸発した術の一部で煙が上がっている。

「やりすぎたかな?」

 ボシュゥゥゥ

「やっぱりこっちのほうがいいね」

「む、無傷?」

 煙をかき消して現れた刹那さんの左手には、燃え盛る焔の槍が。そして、あれだけの攻撃を受けながら全くの無傷だという。

「三尋さん。勝たせてもらいます!!」

「全く。そうキラキラしてると舞華ちゃんの時みたいに“勝たせたく”なってしまうじゃないか。この本選で・・・」

 

 太陽の熱が増す中、二人の本格的な試合が始まろうとしていた。

 

 

 4

 

 次回予告

 

 太陽の中で人間は生きられません→結論ww

 えっと、長くなりましたがまあ読む分には10分もかかんないでしょうか?

 次回のネタはまったく考えてないけれどなんとかなるでしょう

 

 次回、GROW4 第二十章 闇の恐怖

 

 大台20ですww

 40くらい行きそうで怖いww

 

 ではでは


 
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