No.304120

真説・恋姫†演義 ~仲帝記~(仮題) 第零羽

狭乃 狼さん

やっちまったぜいwww

りびどーを押さえ込もうと必死に頑張りましたが、結局無理でしたwww

一応後書きにもしましたが、これはあくまで、『試作段階』のもので、タイトルも正式な物ではありません。・・・まあ、ほとんど決定稿に近いのは近いんですけどねw

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2011-09-20 14:31:29 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:13860   閲覧ユーザー数:10065

 

 天使を見た―。

 

 

 

 彼が目を覚ましたとき、その視界に移ったものは、満面の笑顔を浮かべた一人の少女だった。……陽光を背に、自身の顔を興味津々に覗き込む、その金髪の少女が、自分が目を覚ました事に素直に喜び、幼さの残るそのあどけない笑顔を見せた時。これは天使の笑顔だと、彼は純粋にそう思った。

 

 「……一目惚れなんてもの、漫画とかドラマの中だけのことかと思っていたけど、現実に起こりうるものなんだなあ……。しかもそれが初恋だってんだからなあ……」

 

 こういうのを、事実は小説より奇なりって言うんだっけ、と。彼は心の中でそう思った。

 

 そう。彼はその少女に、恋をしたのだ。頬が一瞬で火のように熱くなり、心臓はこれでもかというぐらいに大きく脈打ち、思考の全てが停止したのではないかと言うぐらいに、頭の中は一瞬で真っ白になった。そんな状態の頭で、彼が考えていた事はというと。

 

 (彼女の力になりたい。そして彼女が本当にあの人物なら、この先に待ち受ける運命から救いたい)

 

 ただそれだけであった。

 

 それまで自身の心を覆っていたその闇を、一瞬にして掃ってくれたその少女の微笑みに、彼はついに光を見出したのだから。

 

 

 

 彼の名は、北郷一刀。

 

 

 

 後に、『白衣将軍(びゃくえしょうぐん)』と呼ばれることとなる彼の、その全ての始まりの時は、この出会いの時より、およそ一年ほど前に遡る……。

 

 

 

 「……どこだ、ここ?」

 

 彼の視界に映るものは、見渡す限りの大平原と、何処までも続く蒼い空だった。

 

 「……え……っと。確かついさっきまで、学校からの帰り道を歩いていたよ……な?……で確かそれから……そうだ!その途中で、この世の物とは思えない異様な姿をしたパンツ一丁の筋肉だるまに会ったような……!!……はて?たしかソイツと何か会話したような気がするけど……ん~、思い出せない……」

 

 腕を組み、その時の事を必死で思い出そうとする、白い服を着たその青年。名前は北郷一刀。日本の某都市にある聖フランチェスカという学園の、【大学部】に通う、当年とって十九歳。ちなみに専攻は政治経済である。

 

 「……って、ちょっと待て。何で俺、高校時代の制服なんか着てるんだ?!そうだ、荷物は……?!」

 

 どういう訳かは知らないが、自身が同学園の高等部に通っていた頃、毎日のように袖を通していたポリエステル製の制服を何時の間にか着ていたことに驚きつつも、彼は自分のすぐ周囲を見回す。そしてそこに、一つの鞄が落ちていたのを発見した。

 

 「……おいおい、一体どうなってんだよ。これも俺が高等部時代に使っていた奴じゃないか。……も、訳分からん。えっと、中身は……ふむ。ノートが五冊とボールペンが五本、か。後は……え?これってもしかして……?何でこんなものが入ってんだよ?……っ!?誰だ!?」

 

 うーむ、と。その鞄があった事自体もそうだったが、その中身に一刀がさらに頭を悩ませて居るところに、不意にその背後によからぬ気配を察した彼は、反射的にその身を翻していた。そうして体を反転させた彼の視界に入ったのは、頭に黄色い布を揃ってつけた、三人の男達だった。

 

 「おい兄ちゃん。あんた珍しい服着てるな?」

 「こりゃ結構高く売れそうですぜ、アニキ」

 「……い、命が惜しければ、み、身包み置いて行くんだな」

 「……」

 

 ドラマや漫画で、大昔の強盗がよく言ってるよなあ、と。そんな考えが彼の頭を一瞬よぎる。……どうかこれが、夢か、もしくは何かの冗談であって欲しいと、心底からそう願いつつ、一刀は恐る恐る、その三人に問いかけていた。

 

 「……え……っと。あの、それって何かの撮影……ですか?その格好もコスプレ……だったりとか?」

 

 「ああ?さつえい?……何言ってんだ、てめえ」

 「こ、こすぷれ?何わけの分からねえ事言ってんだ?ああ?!」

 「お、オデたちを馬鹿にし、してんだな?」

 「……まじですか?」

 

 三人からの返事を聞いたその瞬間、一刀の中で最後の頼みとでも言うべき糸が、ぷつりと切れた。……他の状況はともかく、今自分は、現実に追いはぎに遭っているのだと言うことを、完全に認識した彼であった。……そうとなれば、彼に出来ることは二つしかなかった。

 

 大人しく、言うことを聞いて身包み渡すか。それとも、実力の分からない相手三人に、正面切って喧嘩を売るか。

 

 前者を選べば、少なくとも命が助かる可能性が、この場限りにおいては多少生まれるかもしれない。しかし、何処とも分からないところで全てを投げ出せば、その後に待つのは自滅のみ。

 

 では、後者を選んだ場合はどうなるか?……その選択をした場合、相手取らねばならないその三人を、一刀はその瞳だけを動かし、じっくりと観察をし始めた。

 

 (……少なくとも、こいつらからは不動さんみたいな威圧感は感じない。その動作、一挙手一頭足からも、とても達人には見えない。……このぐらいの相手なら、せめて木刀か何かでもあれば……って待てよ?確か鞄の中に……!!)

 

 ごそごそと。三人から気取られぬよう、背後に回した鞄の中をまさぐる一刀。その中に入っていた、一つの棒状のモノをしっかりと掴み、手持ちの部分の“突起”を確認する。

 

 「おい、兄ちゃん。さっきから何ごそごそやってんだ、ああん?いいからとっととその服脱ぎな。でもってさっさとその荷物を置いて消えちまえよ」

 

 ずい、と。三人の内の一人、中肉中背の、アニキと他の二人から呼ばれていた男が、腰に挿していた剣を抜き放ちながら、鞄を後ろ手に立つ一刀へと、その距離を詰めていく。

 

 「……えっと。も一つ聞きたいんですけど、その剣って本物……?」

 「はあ?んなもの当たり前だろうが!いいからとっとと荷を寄越しやがれ!」

 

 ぶんっ!と。男が何時までも煮え切らない態度の一刀にとうとう切れ、その剣を思い切り上段から振り下ろした。

 

 「……っ!このっ!!」

  

 がぎいっ!!……鈍い金属音を響かせ、一刀は鞄から“それ”を取り出しつつ、手元の突起を押して一瞬で伸ばした金属製の棒―警棒でもって、男の剣をしっかりと受け止めた。

 

 「な、なんだと?!」

 「……隙ありっ!!」

 「おうわあっ!?」

 

 自分が思い切り振り下ろした剣を、突然取り出した棒のような物で、一刀が軽々と受け止めた事に驚いた男が見せた一瞬の隙。そこを付いて男の手首をがっしりと掴み、その腰紐に手をかけ、一刀は背負い投げで男を思い切り投げ飛ばした。……受身などというものを知らない男は、地面に思い切り叩きつけられた。……そして運が悪かったのだろう。彼は地面にあった少々大きめの石に、その頭を思い切り打ちつけ……即死した。

 

 「……え?ちょ、し、死ん、だ……?うそ。……殺し、た?俺が?人、を……?」

 「あ、アニキ!てめえ!よくもアニキを殺しやがったな!」

 「お、お前も殺してやるんだな!!」

 「……あ、あ、あ、あ、あ……!!ああああああああああああああああっっっっっっっっっっ!!」

 

 

 

 ……そこから先の事は、彼自身あまり覚えていない。気がつけば、最初の男と同様、残る二人も血反吐を吐き、その場に物言わぬムクロと化して転がっていた。……どれほどの時が経ったか、気がつけば激しい雨が降りしきり始め、地に両膝を着いて脱力している彼の体を、容赦なく叩きだしていた。

 

 「……なにやってんだろ、おれ……」

 

 何処とも知れない場所に一人放り出され、その挙句、人を三人もその手にかけた。……たとえ、そうしなければ、今頃そこに転がっていたのが彼らではなく、自分自身だったかもしれなくとも。

 

 「……カルネアデスの船板でもあるまいし。……ああ、確か日本の法律にも、そんなのがあったっけか、な……?は、はは、ははは……ハハハハハハハハハハハッッッッ!!」

 

 その笑いは、一体何の笑いだったのか。人殺しと言う、逃れようの無い事をしでかした事実から、自身が知識として知っている弁護手段を思い出し、逃避しようとしているそんな自分の滑稽さに対する嘲りなのか。

 

 「……は、はは。……誰か……助けて……くれ、よ……」

 

 空しい願いと分かりつつも、彼はそう呟かずには居られなかった。……そうして、ひとしきり、もはや枯れ果てたのではないかと思うほどに涙を流した後、彼はその手に鞄を握り、逃げるかのようにしてその場からふらふらと歩き始めた。……何時の間にか雨が止み、再びその姿を現したその蒼空の下の何処かに、こんな自分を救ってくれる、もしくは“楽にしてくれる”所を、ただ捜し求めて……。

 

 

 それとほぼ時同じ頃。

 

 「七乃~!今向こうの方に流れ星が見えたぞ!」

 

 高く蒼い空を指し示し、その少女は自身の瞳に捉えたそれを、驚きと興奮が入り混じった顔で見つめつつ、同じその部屋にいた女性に教えて聞かせた。

 

 「……こんな時刻に流星ですか、お嬢様?」

 「間違いないのじゃ!……もしや例の噂の奴じゃったりしないかのう?」

 「……だとしても関係ないですよ~。だってうちはこんなに平和なんですもの~。ね~、お嬢様?」

 「ま、それもそうじゃな♪あ、それよりも七乃!次の蜂蜜水を持ってくるのじゃ!」

 「はいは~い♪すぐにお持ちしますね~」

 

 上機嫌で笑うその金髪の少女に言われるがまま、青い髪の女性は足早にその部屋から出て行く。その女性を笑顔で見送った後、少女は再びその視線を蒼い空へと移す。

 

 「……『蒼空を裂いて地に降りる流星。そは天よりの御遣いを乗せる。その者、始め闇に落ちるもやがて光を見出し、大陸を平穏へと導くその片羽とならん』……じゃったかな?ま、菅輅とかいう似非占い師のいい加減な噂じゃし。妾には関係の無い話じゃの♪……おっと。そんなことより今は蜂蜜じゃ!七乃~!蜂蜜水はまだかや~?!」

 

 先ほどまでの憂いを帯びた表情は何処へやら。すぐさま普段どおりの、無邪気で天真爛漫な少女に戻り、彼女は自分の大好物である蜂蜜水を取りに行った先ほどの女性を急かすため、ぱたぱたと軽い足取りで部屋を出た。

 

 大陸中部、荊州は南陽の地にて、その太守の地位にあるその少女。

 

 姓を袁、(いみな)を術、字を公路という。

 

 今からおよそ三年前。彼女の母であり、前南陽太守であった袁逢が逝去し、当時十三才になったばかりの彼女がその跡を継ぐこととなった。だが、その歳の若さを主な理由とした彼女の一族たちにより、袁術は政からは一切遠ざけられ、その側近兼教育係である先ほどの女性、張勲のその手で教育という名の甘やかしを受け、その姿同様、心幼い童のままにその日々を送り始めた。

 

 そしてそれから三年間。彼女は城から一切出ることは無く、例え日の下に出ることはあっても、せいぜい城中の中庭までしかその目にすることは無くなった。……その間に、彼女に代わって街を運営している一族たちの手により、南陽の街がどんどん寂れて行き、その事によって募って行く人々の不満と怨嗟の声が、すべて自分自身に向けられていることなど、露とも知らずに。

 

 

 

 そして、そんな南陽の街に、件の彼、北郷一刀が流れ着いていた。

 

 「……酷い所だな、此処。……ま、俺にはどうでもいいことだけど……(ぐぅ~)……腹減った、な……もうこれで、何日食べていないんだっけ……」

 

 例の追いはぎ三人を“殺して”しまったあの日から、一週間という日が過ぎていた。この間、彼がその口にしたのは幾ばくかの野草のみ。それも、火を通さずに川の水で洗ったと言うだけの、決して衛生的ではないものばかり。水分は川の水や雨露で補給こそできたものの、彼の体力はもはやほとんど限界に来ていたと言っても過言ではないだろう。

 

 「……やべ。目の前が霞んで来た……はは、まさか行き倒れた末に、餓死することになるなんて、な……貴重な、体験を、したもん……だ……」

 

 どさ、と。なんとか振り絞っていた気力もついに切れ、とある建物の壁にもたれかかるようにして崩れ落ちる一刀。……もはや生き倒れなどは珍しくもなんとも無いこの街の人々は、そんな一刀をその視界に捉えても、誰一人その手を差し伸べる事をしなかった。……自分達自身が、その日その日を生きていくのに必死な状況で、他人を助ける余裕など、その気持ちとは裏腹に、何処にもありはしないのだから。

 

 「……このまま俺が死んだら、服も荷物も、全部持って行かれるんだろう、な……。でもまあ、それで誰かが、得をするって言うんなら、それだけでも、俺がここに来た、その意味があるかも、な」

 

 己の命が危機に晒されていると言うのに、一刀は薄れ行く意識の中、そんなことを呟いていた。人を殺した自分の罪が、それで少しでも償えるのなら、誰かの力に、少しでもなれたのなら、それはそれで本望かもな、と。

 

 「……なんだか、とっても眠たい、な……じいちゃん、ばあちゃん、とうさん、かあさん、……、おやす、み……」

 

 瞼の重さに耐えられなくなり、一刀はゆっくりと目を閉じた。……その意識が、深い眠りの淵へと落ちる寸前、一刀の耳はその声を捉えていた。

 

 「……生き倒れか。ふむ、いまさら珍しいわけじゃあないけど、人の家の前で出られると、流石に無視できないんだよねえ。それにこの服装……結構変わった格好だし、意外と面白い拾い物になるかもね」

 

 声の主はそれだけ言うと、眠りについた一刀を抱えあげ、自分の家の中へと運び込んだ。……この人物に、運よく拾われた事。それが後に、一刀が生涯その愛を誓う事となる人物との、その出会いへと繋がる事となるが、無論今の彼にそれを知る術などあるはずも無く、今はその夢の中、温かで懐かしい安らぎに身を委ねる。

 

 夢から覚めたその後、彼を拾ったその人物の手により、過酷で厳しい一年と言う月日が、その身に降りかかろうことなど、夢想だにすらせぬままに……。

 

 

 

 時はこうして動き始めた。

 

 少女と青年の、その運命の邂逅まで、後、一年。

 

 だが、時代はその間にも、確実にその歩みを進めていく。……時の王朝は退廃し、人心は(すさ)み、世には賊が跋扈し始める。

 

 大陸に黄色い嵐が吹き荒れ始めるとき、美しき羽は、真なる片羽を得る。

 

 ……これは、後の世に三国志として伝わる物語の、その一角を占めた国の史書を基にした物語。天の御遣いたる青年北郷一刀と、仲王朝太祖たる袁公路の、その怒涛の半生を記した史書、【仲書・公路帝記】。

 

 そこに記された、青年と少女の、その恋と戦いの物語を、これより描いて参ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それでは、新たな外史の扉を、いざ、開きましょう―――――――――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【真説・恋姫†演義 ~仲帝記~】

 

  

 

 

 

 

 Coming soon……

 

  

 

 

  

 とりあえずぶっちゃけます。

 

 

 これはあくまで、『テスト投稿』です。

 

 

 現在連載中の北朝伝、その終了後に書き始める予定の美羽ルート、そのプロローグの試作的作品です。

 

 なので、実際にこれを書き進めることになった場合、おそらくこれをベースにまたちょっと書き直して、正式な作品としてスタートする予定です。

 

 

 

 

 

 え?だったらなんでこれを投稿したのかって?

 

 

 ・・・・・・りびどーが抑え切れませんでした(オイwww

 

 

 いやね?現在開催中の天上天下絶品武道会を書いている合間に、他所の袁術ルートを読んでいたら、どうしても我慢が出来なくなりましてw

 

 でもって、書き上げた以上は、やはり目を通してもらいたくなるのが人情という物(ぉ

 

 ということで、思い切って投稿をしてみました。えっへん!www

 

 

 

 というわけで、今度こそ武道会の続きをうpしますので、それまではこれを見て、ゆっくり気長にお待ちくださいw

 

 

 それでは!www         


 
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