パララララ。パララララ。乾いた鐘の音。
パララララ。パララララ。やってくる鐘の音と遠くの鐘の音。
彼は、轍を進んでいた。車輪が自らを引きずるようにして残した道。
前後には、可能性と後悔が点々と横たわって、何かを確かめるように轍の凹みを覗き込んでいた。
パラララ。パララララ。乾いた鐘の音
パラララ。パララララ。空気を裂く熱い鉄の回転。
彼の耳元をかすめた空気振動の悲鳴が、ノートン軍曹の頭蓋を貫き、脳髄がまた彼の後悔と可能性となって轍の上に飛び散った。
バーン・ノートン。同じ23歳だった。昨日、一緒に酒を飲み、ゲスな女の話をして笑っていた。裸になって俺を投げ飛ばしやがったあいつ。
「おまえは.....俺は.....」次の言葉が出てこなかった。
パララ。パララララ。乾いた鐘の音がやってくる。
パララ。パララララ。やってくる鐘の音ともう遠くの鐘の音。
彼は、轍に倒れこみ凹みの奥をのぞき見る。「俺は......」顔を上げて見張り塔の上に狙いをつけ、撃鉄を起こす。覗き込むスコープの中にジョン・ハーディングがいた。二人はスコープの中にいた。
「俺は......信じたかっただけだ。ベツレヘムの夢を見れるって。」
パラ。パララララ。鐘の音は止まらない。
パラ。パララララ。遠くの鐘の音。
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
SFちっくなものを書いてみたいです。なるべくぶれないように。。