No.304001

ベツレヘムの星の夢

nickさん

SFちっくなものを書いてみたいです。なるべくぶれないように。。

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2011-09-20 05:41:19 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:263   閲覧ユーザー数:263

 
 

パララララ。パララララ。乾いた鐘の音。

 

パララララ。パララララ。やってくる鐘の音と遠くの鐘の音。

 

彼は、轍を進んでいた。車輪が自らを引きずるようにして残した道。

前後には、可能性と後悔が点々と横たわって、何かを確かめるように轍の凹みを覗き込んでいた。

 

パラララ。パララララ。乾いた鐘の音

 

パラララ。パララララ。空気を裂く熱い鉄の回転。

 

彼の耳元をかすめた空気振動の悲鳴が、ノートン軍曹の頭蓋を貫き、脳髄がまた彼の後悔と可能性となって轍の上に飛び散った。

バーン・ノートン。同じ23歳だった。昨日、一緒に酒を飲み、ゲスな女の話をして笑っていた。裸になって俺を投げ飛ばしやがったあいつ。

「おまえは.....俺は.....」次の言葉が出てこなかった。

 

パララ。パララララ。乾いた鐘の音がやってくる。

 

パララ。パララララ。やってくる鐘の音ともう遠くの鐘の音。

 

彼は、轍に倒れこみ凹みの奥をのぞき見る。「俺は......」顔を上げて見張り塔の上に狙いをつけ、撃鉄を起こす。覗き込むスコープの中にジョン・ハーディングがいた。二人はスコープの中にいた。

「俺は......信じたかっただけだ。ベツレヘムの夢を見れるって。」

 

パラ。パララララ。鐘の音は止まらない。

 

パラ。パララララ。遠くの鐘の音。

 

 
 

 
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