ここは地球によく似た惑星「リカーランド星」。
巨大ロボットが普及し、それが日常に溶け込んでいる世界。
人々は巨大ロボットとともに、平和な時を過ごしていた…。
しかし、いつの世も、またどこの星でも、平和の中には必ず影があるもの。
リカーランド星のその栄光の影にもまた、人々の知らぬ間にうごめく脅威があったのだ。
そう…巨大ロボットを悪用した犯罪がこの星の各地で多発。
また、科学技術の進歩の影では、事故なども大型化していたのである。
これは、平和を愛し、正義を愛する少年たちの、熱き戦いの記録である!!
ここはリカーランド星にある小さな町「カンパリ・タウン」。
「バール!バールいつまで寝てるの!さっさと起きないと遅刻するよ!!」
そこに暮らす少年、バール・クロウの家の前で叫ぶ少女。
彼女はバールの幼馴染、トリマ・ルーティンであった。
「うるせぇなぁ、もう…」
「時計見てみなさいよ、もうこんな時間よ?」
面倒くさそうに起き上がるバールだったが、時計を見るや否や、勢いよく飛び起きた。
「やべえ!もうこんな時間だ!!急がなきゃ!!」
「もう、ロボットフェスタに一番乗りしたいって言い出したのバールじゃない。急がないと一番乗りできなくなるわよ?」
「わかってる!今着替えるからちょっと待ってくれよ!!」
そう、この日はバールが一番楽しみにしていたロボットフェスタの開催日。
星中から各種大型ロボットが集まり、人々が熱狂の渦に包まれる一大イベントなのだ。
バールは、以前からこのロボットフェスタに興味を持っていたのである。
しかし、このロボットフェスタに悪の魔の手が迫っていたことを、バールたちはまだ知る由もなかった。
同時刻。
「準備できましたぜ、アニキ」
「ご苦労だった。あとはこの爆弾でここに来てる奴らを脅かしたあと、一気に展示してあるロボットを奪い去る。そして売りさばけば俺たちゃ大金持ちってワケだ。グフフフ…」
ロボットフェスタ会場の裏では、なにやら怪しげな影がうごめいていた。
一体彼らは何をたくらんでいるのか!?
さてさて、ロボットフェスタ会場にたどりついたバールとトリマは、この春発売された新型ロボット「ワークアント」に見入っていた。
「ワークアントかあ。こいつがあれば店の仕事も少しは楽になるんだけどなあ」
「でもさぁ、バール」
「ん?」
「そもそもあんたの店ってロボット置くスペースあるの?」
「あ…」
と、いつもながらの会話を繰り返す二人。
しかし、技術の祭典は突如、爆風とともに混乱の渦に呑まれたのであった!
「うわぁ!?」
「な、なんだ!!」
人々が次々に騒ぎ出す。会場内に仕掛けられていた爆弾が爆発したのである。
大量の煙が会場を包んでいるところを見ると、破壊力もほとんどない煙幕弾だろう。
しかし煙幕弾とはいえ、大量に爆発すればそのぶん煙も濃くなり何も見えなくなる。
厄介なことこの上ない。
「バ、バール!?」
「手を離すな!はぐれちまうぞ!!」
二人はしっかりと手を繋ぎ、何とか煙幕から逃れようと歩いていた。
だがそのとき…
「うお!?」
「きゃ!?」
二人の目の前に白衣の男がぶつかったのである。
煙で何も見えない状況なので、気がつかないのも無理はないといえるのだが…。
「だ、大丈夫かねキミたち」
声をかける謎の男に、バールは尻をさすりながらもゆっくりと立ち上がった。
「え、えぇ、なんとか…」
「あの、どなた様ですか?」
トリマは男に尋ねた。
「ああ、私はダイス。ロボット工学博士だよ。実は今、この惑星ではロボット犯罪が多発していてね…それに対抗できる組織を結成しようとしているところなんだ」
「そうなんですか…。あ、オレはバール・クロウです!こっちは幼馴染のトリマ・ルーティン。それよかダイス博士、一体全体この騒ぎはなんなんです!?なんか煙だらけで何もわかんないッスけど」
「わからん…何か別の目的があって、それを隠すために撒いたのかもしれんが…嫌な予感がするぞ」
しかし、博士の予感は的中する…。
「ガハハ!そのまさかよ!」
「な!?」
バール、トリマ、そしてダイス博士が振り向いた先には、なにやら怪しげなロボットの影。
よく見るとその隣では、展示品のロボットが次々と運び去られているのが見て取れた。
目の前の怪ロボットにバールが食って掛かる。
「煙幕を撒いたのはてめぇか!」
「ご名答。混乱してる隙にこのロボットたちをかっぱらって売りさばく。そうすりゃオレ様たちゃ大金持ちってワケよ!」
目の前に現れたカマキリのようなロボットに乗っている男に、博士は叫んだ。
「やはりな…エンドミル一味のラフィングか!今すぐに盗んだロボットを返すんだ!!」
「へっ、うるせぇ中年だなァ…オレ様に逆らうヤツは…叩きのめしてやる!!」
ラフィングと呼ばれたその男が乗る「キラーマンティス」の両腕に備え付けられた超振動ブレードが振り下ろされる!
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「出動!セイバーフォース」第1話。ロボットモノにありがちなプロローグ的なイベントです。まずは1号メカから出さないとね。