「男の俺は武勇に優れ白馬に乗って、
「だろ?」
「へぇ~、わたしって耳が大きくて福耳の持ち主って言われてたんだ~。わたしの耳は普通だけど、おっぱいは大きいから福乳の持ち主って言われてるんだよ~」
「そ、そうなんだ…(た、確かに福がありそう…)」
天の
三人は
「ええっと、ここは…」
「どれどれ?」
「と、桃香!? ちょっ、ちょっとそれは刺激的過ぎるぞ…(む、胸が机の上に乗っかってる…)」
「へ? 何が?」
「桃香…胸を机の上に乗せるなって、いつも言ってるだろ? 服が汚れるぞ」
「だって~、おっぱい重いから肩凝るんだもん…」
「お前、その発言は女の大半を敵に回すぞ…それに、一刀には刺激が強過ぎるんだよ」
「ご主人様になら見られても平気だも~ん」
「あのなぁ…はぁ、全くお前等は
「うっ、流石は白蓮の姉貴…」
「白蓮お姉ちゃん、鋭い…」
「そういう所も変わってないな…よく
『はい…』
呆れる白蓮に、しゅんとなる二人。
「お前等にも
「ごめん、姉貴」
「うう、すみません…」
「いつもいつも申し訳ありません、白蓮様」
「気にすんな愛紗、
新しく加わった派手な義妹その一、
「あ、お姉ちゃんのお姉ちゃん!」
「
「じゃあ…お兄ちゃんのお姉ちゃんで、お姉ちゃんのお姉ちゃんなのだ!」
「いや、白蓮で良いって」
「じゃあ、白蓮お姉ちゃん!」
「よし、それでいい」
派手な義妹その二、
・モテ過ぎる弟にも困りもの。
「一刀狙いなのが見え見えな連中に、お
「ったく、一刀め…すぐ女口説くなって、あれ程言ってるのに。自覚が無いってのは、本当にたちが悪いな……俺と桃香だけじゃ足りないのかよ」
「桃香は皆を平等に愛してって一刀に言ってるけど……だから種馬呼ばわりされるんじゃないか! 世間の風評を考えれば、さっさと桃香を第一夫人にした方が良いんじゃ…?」
「同年代や年上はともかく、あからさまに幼女趣味はマズイ気がするんだがな……せめて大人になるまで待てないのかよ! 犯罪だ~っ!!」
「と言うか、絶対一刀の事が好きとは思えない奴等もいるし……あれ、素直になれないとかそれ以前の問題だろ!! それでもし一刀に嫌われたら、泣くのは自分達なんだぞ!!」
一刀が広く優しい心を持っているのは良い事なのだが、本人は全くの無意識かつ無自覚で歯の浮くような甘い言葉で女を口説く。
そんな彼の姉貴分である白蓮と仲良くなって、一刀との仲を取り持って貰おうとする女性は多い……よって、白蓮の独り言と
・人徳がある妹……色んな意味で好かれ過ぎて困る。
「白蓮様…いえ、お義姉様! 桃香様をワタシに下さい!!」
「
「そ、そんな! ワタシのどこに問題があるというのですか!?」
「問題だらけだろ! 毎回毎回懲りもせずに悪さしては
「うっ! そ、それは……反論出来ません…」
「それ見ろ。態度を改める事が出来ないなら、桃香の事はすっぱり諦めろ……一刀の事もな」
「お、お館の事なんて何とも…あんな好色漢で、色情魔で、節操無しな奴!!」
「おい…目の前で弟の悪口言われて黙ってられる程、俺は人間出来てないぞ。お前の弱点は知り尽くしているんだ…言っとくが、懲らしめる為の手段は選ばないぞ」
「す、すいませんでした!!」
「愛紗や
「は、はい!!」
直立不動の体勢で固まってしまいつつ、返事をする焔耶…白蓮の正論は、彼女には絶大な効き目だ。
「おーっほっほっほ!! おーっほっほっほっほ!!」
「出やがったな、
「相変わらず失礼なご挨拶ですわね、白蓮さん…本当に
「お・お・お…」
「お?」
「お前が言うな、麗羽ぁあああああ!!! なぁ、本気で斬って良いか!? その
「…散髪なら間に合ってますわよ? 変なお義姉様ですわね」
「は、ははは……よし分かった、斬らせろ。いっその事、丸坊主にでもした方がすっきりするぞ…?」
「ちょっ、お義姉様!? 目が笑ってませんわよ!? その剣で一体何をなさるおつもりですの!?」
「うるさぁ~い!! 俺をお義姉様って呼ぶな~!!」
普段から一刀の事を理不尽なまでに
そのしつこさと、一刀への
剣を抜いたり、白馬に乗って追い掛け回したりするのはしょっちゅうだ……暫くは、百合の花を見るのも嫌になる程だった。
「俺みたいな奴の説教でも少しは効果あったのか、焔耶はまるで改心したかのように一刀にも素直になった。麗羽は……あいつは相変わらず何考えてるのか分からん」
後に、悩み事が一つ減った事に安堵する白蓮であった…。
・弟を
「おうおうおうおう!! やいやいやいやい!! 黙って聞いてりゃ、勝手な事ばかりぬかしやがって…こんの恩知らずが!!」
豪快に上着を脱ぎ捨て、背中に彫られている桜吹雪の
「お前の好きな子が一刀を好きになったから…もしそんな理由で一刀を殺しやがったら、お前の好きな子は悲しむどころじゃ済まないって分かってるんだよな、ああ!?」
「桃香の性格じゃ、この国の王を殺した罪でも国外追放が妥当だろうが、国外追放されたからって一生安心出来る日は無いと思いやがれ!!
「もし桃香が許しても、俺は許さねぇからな! ま、例え俺が許しても許さないって奴は他にもいるだろうしな…俺の弟を裏切って殺すってのはそういう事だ、その覚悟はあるんだよな?」
太守として皆の為に頑張っている一刀…本来なら殺されてもおかしくない敵同士だったのに、彼の優しさに命を救われて仲間になった者も多い。
だが、味方の癖に日頃から一刀に反抗的な者には…武官だろうが文官だろうが関係無く、何度も釘を刺す。
特に…いくら一刀が大抵の事は笑って許すからって、懲りずに理不尽な目に遭わせる馬鹿には厳しく当たる。
・白馬と蝶。
「相変わらず過保護ですな、白蓮殿は…あれでは脅迫ですぞ。桃香様の時と同様に『貴様等みたいな捻くれ者に大事な弟はやらん』の一言で良いのでは?」
「俺は正論を言ってるだけだ。一刀と桃香が優し過ぎる分は俺が厳しくしないと、ああいう連中が付け上がるんだよ」
「
「見れる訳無いだろ!! あんなの悪辣以外の何者でもないぞ!! あんなの、嫌ってくれって言ってるようなものだぞ!!」
「白蓮殿から見れば、そうなりますわな。主と桃香様が太守でなければ、とっくに処刑されてもおかしくないような酷い言動の数々が出来ても…只一言の本音が言えないのはいっそ哀れですが」
「哀れだぁ!? それだけ酷い事やらかしておいて、一刀に嫌われたんじゃ…と自己嫌悪に陥っても自業自得だ!! ただでさえ一刀は鈍いんだ…あんな酷い態度で嫌いにならないでくれ、本音を察してくれ、好きになってくれなんて、自分勝手にも程があるぞ!!」
怒りに任せて一気に叫び続けたので、白蓮は喉の渇きを癒す為に酒を呑み干す。
「…白蓮殿の個人的な怒りと嫉妬と独占欲が混じっておりますが、まぁ正論ですな」
「お前は相変わらず一言多いな…」
「ですが、確かにあやつ等の言動に問題があるのは事実。時々、主に誠心誠意を持って忠義を尽くしている我々が馬鹿のように思えて来ます」
「確かに、愛紗とか翠とかは特に不満に思ってそうだしな……って、お前はいつも一刀や皆をおちょくって楽しんでるだろ!」
「おや、そうでしたかな?」
「良く言うよ…時々、一刀はあいつ等が女だから許してるのかって思う時すらあるぞ。男だったら死刑にするような奴じゃないって分かってるけどさ…」
「主はそちらの趣味もあると?」
「茶化すな!! 俺に
よく酒場等で一緒に酒を呑む事があるが、白蓮が真面目な話をしようとしても大抵は星のペースに乗せられて漫才のような会話になってしまう。
「話を変えましょう。太守二人の
「器用貧乏なだけだっての…武力でも軍略でも政務でも一番にはなれないしな。俺だって
「流石は、白馬長史ですな」
「数少ない取り得だからな」
「ご謙遜を」
「事実だよ…って言うか、お前も競馬大会に出れば良いのに」
「私は観戦しながら酒を呑む方が性に合いますので」
「お前は呑めれば何でも良いんだろ、この
このまま愚痴が続くと白蓮のヤケ酒&絡み酒に絡まれ、翌日酔った時の記憶を覚えていて自己嫌悪に陥る白蓮を
「酒のつまみはメンマがあれば最高ですな」
「お前はいつもメンマばかりだろ…個人の好みにはとやかく言わんが、この前みたいな詐欺紛いの客引きやったら許さんからな」
「詐欺とは失礼な! メンマの素晴らしさを世の中に広める為の布教活動と言って頂きたい!」
「だったら最初からメンマ料理専門店って看板作るように店主に言っとけ! あれじゃ、折角の料理の腕前が台無しだぞ…」
「ふむ…白蓮殿が腕前を褒めた事も含めて、店主に伝えておきましょう。では、主が発明なされたメンマ丼はいかがでしたかな?」
「ああ、あれは美味かったな~」
「では、是非とも皆にもメンマの素晴らしさを
「それはお前一人でやれ!」
普段は何事にも冷静で客観的な視点で物事を判断出来る星だが……大好物のメンマの事になると別人の様に熱くなり、普段の冷静さをかなぐり捨てて熱弁する。
「ああ、そうそう…
「また話題変えたな…ってか、お前も悪い虫じゃないのか?」
「失敬な、私は蝶です。蝶の美しさに惹かれるのは、人として当然かと」
「よくそこまで自分で自分を褒められるよな、お前って奴は…」
「事実ですからな」
「うわ、言い切ったよこいつ……ったく、一刀の世界の趙雲を見習って欲しいよ」
「一騎当千の強さを誇る文武両道の武人で、真面目で礼儀正しく忠義に厚い美形…違うのは性別だけではないですか」
「やっぱり性悪のひねくれ者だよ、お前は…」
「ふっ…それが私ですからな」
お互い全く遠慮の無い会話だが、二人の表情はとても穏やかだった。
・せめて自分の身は自分で守れるように。
「一刀相手じゃ張り切り過ぎて手加減無しでやって怪我させたり、翌日全身筋肉痛にしたり、一刀を誘惑する事しか考えてないのがいる…と」
「姉貴、
「桃香相手じゃ危険過ぎるだの恐れ多いだので、訓練相手が見つからない……で、お前等の鍛練も俺が担当する事になるんだよな」
「うう、お手数かけます…」
一刀は祖父から習った剣術の腕前は『修行さえすれば形になる』と評価されているが……現時点では武官達と力の差が有り過ぎて、修行する前に怪我したり全身筋肉痛になる始末。
桃香は武術の腕前はからっきし……そりゃ、武官連中が
「本来なら、山に
「俺もそう思うよ…」
「皆を心配させない為にも、出来るだけ近い所でやる。疲れが酷い場合は、野宿すると言ってあるしな」
「あ、それは大助かりだよ~。わたし、この中で一番体力無いし…」
三人はそれぞれ荷物を背負い、街から離れた近くの山に登って鍛練を行う事にした。
荷物の中には野宿用の装備一式と
近くに
「いいか、せめて自分の身は自分で守れる位になるんだ。いくら
『はい!!』
「せめて、俺よりは強くなってくれよ? 俺だって、自分の鍛練しないといけない身だしな」
「いや、それってかなり厳しいんですけど!?」
「ふぇえ…」
二人……特に桃香にとっては、非常に厳しい条件であった。
「走れ走れ~!!」
「うぉおおおお~!!」
「はぁっ、はぁっ、はぁっ…」
「剣の重さに慣れて、自在に振り回せるようにならないとな!」
「おう!」
「は、はい!」
「くっ…」
「きゃあっ!」
「どうしたどうした! 二対一で俺に勝てないようじゃ、
走り込みを初めとした体力作り、剣の素振り、組み手…基礎を徹底した訓練内容を行う。
「よーし、今日はここまで!」
「つ、疲れた…」
「わたしも~…あうぅ、出来ればお風呂入りたいよぉ…」
「おいおい、お前等だらしないぞ…」
二人はすっかり疲れきって、草むらに仰向けに倒れこむ。
「疲れたけど、心地よい疲れだな…どうした、桃香?」
「わたし、本当に強くなれるのかな…」
「おいおい、今日始めたばかりだろ」
「でも…」
「桃香、今のお前でも一刀に簡単に勝てる方法があるぞ」
「……へ?」
「本当なの、お姉ちゃん!?」
鍛練らしい鍛練に充実感を感じている一刀に対し、自分に自信が持てない桃香。
そんな時、白蓮からの一言に驚く二人。
「ああ、そのでかい胸や尻で一刀の顔塞いで窒息させてしまえ。あ、太腿で首絞めてやるのも良いな。どっちにしろ、一刀は喜ぶぞ」
「ちょっ!? 何吹き込んでるんだよ姉貴!?」
「うんっ! じゃあ、やってみるね!」
「むぐっ!?」
桃香は白蓮に吹き込まれた通り、一刀に覆い被さって来た。
一刀の顔は大きな胸に完全に包み込まれる。
「ん~! ん~! (く、苦しい! 全く息が出来ない!!)」
「あんっ、ご主人様ぁ…駄目だよ、暴れちゃあ…」
「むぐぐ~!!」
桃香は一刀の両手を握り、更に胸を押し付けてくる。
一刀は必死に暴れるが、桃香から逃げられる体力は残っていない。
「と、とうか…くるひぃ…ぐるじい…」
「あっ! ご、ごめんなさい!」
「ぷあっ! く、苦しかった…」
桃香が慌ててどいてくれたので、ようやく息が出来る。
「な? 勝てただろ?」
「うん! おっぱいでご主人様に勝てちゃった!」
「桃香、その言い方は止めて…落ち込むから…」
「あ、そうだね…ごめんなさい…」
「じゃあ一刀、俺の胸で泣くか?」
白蓮が鎧を外すと、細身の割に大きな胸が解放される。
「あ~っ! お姉ちゃん、ずる~い! ご主人様、わたしの胸で泣いて良いんだよ!」
「え、えっと…」
「やれやれ…じゃあ、二人同時だな」
「そうだね~…えいっ」
「むぐぐっ!?」
二人は一刀の上半身を抱き起こし、優しく抱き締める。
顔の右側を白蓮、左側を桃香の胸に包み込まれる。
「ほら一刀、気が済むまで泣いて良いんだぞ」
「ご主人様、うんと甘えて良いんだよ…わたしだって、一応お姉ちゃんなんだから」
「お前も一刀の姉弟子だから、一応そうなるんだよな……どう見ても妹だけど」
「あ~、ひっど~い!」
「うん…ありがとう、二人共…」
「どういたしまして」
「えへへ…」
二人の胸の暖かさと柔らかさに包まれて、甘い香りに刺激され、一刀の心は安らいで行く。
「良し、すっかり元気になったようだな」
「あっ、こっちも元気になってるね~♪」
「あ、あんなに胸押し付けられたら反応するって!」
二人の胸に抱かれて、一刀の下半身はすっかり反応していた。
「じゃあ、次は素手での組み手…主に寝技の鍛練をするか」
「えっ!? ね、寝技って…まさか…」
「そう、そのまさかだ。お前だって期待してただろ?」
「そ、それはまぁ…」
「あ、それならわたしも~。でも今日は、ご主人様に乗っかる位しか出来ないや…」
「力が付けば、色々出来るようになるって。一刀を抱き抱えたり、背負ったりとかな」
「あっ、それ良いな~。ご主人様におんぶして貰った事はあるけど、した事は無かったし」
「桃香が俺をおんぶに抱っこ……想像出来ない」
「その内、現実になるさ。ほら一刀…されるがままが嫌なら、お前ももっと体力付けるんだな」
「あ、うん…」
「じゃあ、それまでは俺の好きにさせて貰うぞ。桃香、お前も手伝え」
「は~い♪」
「うわっ!?」
二人は一刀をそっと寝かせて、そのまま左右から覆い被さる。
「ほらほら一刀、反撃しても良いんだぞ~…んっ…」
「ごしゅじんさまぁ…ちゅっ、んんっ…」
「そ、そんな事…言われても…気持ち良くて、力が…抜けるぅ…」
二人は左右から密着し、一刀の顔や首筋にキスの雨を降らせる。
疲れ切っている体に快楽を与えられ、益々力が入らない。
「ちゃんと強くならないと、こんな風に襲われちまうぞ~、敵兵にだって女はいるんだぞ~」
「そうだよ~、そのまま誘拐されちゃうかもしれないんだよ~」
「と、桃香は分かるけど…俺、こんな風に…襲われる心配なんて、無いと思う、けど…」
「お姉ちゃん……ご主人様って、自分の魅力分かってないよね」
「……だな」
「ええっ!?」
一刀は何故二人が呆れ顔なのか、全く理解出来なかった。
「あれだけ女口説いておいて、こんの鈍感は……桃香、もう一回胸で押さえ付けてやれ。あ、今度は窒息しそうになったら隙間を開けてやれよ」
「うん♪ ご主人様、じっとしててね~」
「えっ、ちょ…わぷっ!?」
「ほんと、こっちは随分と元気だな…俺達でたっぷりと相手してやるか」
「むむう!?」
再び桃香の胸を顔に乗せられ、白蓮に分身を優しく撫でられる。
更に積極的になった二人により、一刀は最後までされるがままだった…。
「ふふっ、動けなくなっても精力は凄いな…」
「ほんと、ご主人様は凄いよね~」
「あ、姉貴…」
「ん?」
「な、何で…こんな事を…うぅ…」
「こちとら、お前等の鍛練もやる事になったんだ。これ位の役得は無いと…なぁ、桃香?」
「うん♪ これからも一緒に頑張ろうね、ご主人様v」
「あ、ああ…」
もっと体鍛えよう……じゃないと、鍛練終わった途端に『寝技』でされるがままだ。
一刀は心の底から、そう思った…。
・皇帝の姉君
三国同盟が結ばれる事によって平和が訪れ、一刀は三国統一の立役者として皇帝となり、三国間の交流が頻繁に行われるようになる……が、『統一皇帝と蜀王の義姉』になった白蓮の苦労が更に増えるのは言うまでもなかった。
「一刀の具合の方は?」
「……どこかの国の馬鹿将軍と性悪軍師共のせいで大怪我したから、療養中だ。あれ、俺なら何回死んでるんだろうなって思ったよ……ほんと、一刀が頑丈で良かったよ」
「…否定出来ないのが悲しいわね」
「なぁ、魏は三国同盟に不満で、戦争を望んでるんだよな? それ以外に三国統一の立役者である一刀の命を狙う理由は無いよな!? 無いって言ってくれよ、頼むからさぁ…」
「…私だって無いって言いたいわよ。三国同盟崩壊の元凶になったら、魏は蜀と呉の同盟に滅ぼされてもおかしくないというのに、全く…」
「男に生まれたってだけで殺されそうになったってのかよ! じゃあ何か、あいつが女だったら殺さなかったとでも言うつもりか!!」
「いいえ、女でも殺そうとしたでしょうね。はぁ…嫉妬深い子が多くて困るわ」
「もっと性質が悪いぞ、それ!! ってか、嫉妬深いの一言で済ませるな!!」
「ふぅ…本来なら首を
「いや、白蓮で良いから。頼むから、お義姉様だけは止めてくれ…お前に言われるとシャレにならないんだよ。はぁ…蜀の百合百合しい人材も魏にくれてやりたい気分だよ……蜀の百合の花全部も付けるからさ」
「それは興味深い話ね…あ、麗羽はいらないから」
「じゃあ、代わりに一刀と桃香は諦めてくれ」
「却下。その条件は呑めないわ。その人材達にも興味はあるけど、私は一刀と桃香と…愛紗も欲しいの」
「どんだけ強欲なんだよ!!」
「ふふ、この
「だ~か~ら~!! その呼び方は止めろって!!」
百合百合しい輩が多く、懲りずに『一刀を理不尽な目に遭わせる馬鹿共』も多い
その度に部下達に厳しく激しいお仕置きをしてから非礼を
「あ、あの…一刀の怪我の具合は…?」
「……どこかの国の王の護衛やってる無口で無愛想な暗殺者のせいで、危うく死にかけたから療養中だ。俺なら確実に死んでたろうな……いくら一刀が頑丈でも、あれは酷いぞ…」
「うっ…この度は、なんとお詫びすれば良いか…」
「なぁ、呉も三国同盟より戦争を望んでるんだよな? わざわざ暗殺者が一刀を狙うのって、それ以外に理由は無いって言ってくれよ、なぁ…!? それともあいつも百合百合しい輩で、お前さんと仲が良い男である一刀が邪魔なのかぁ!?」
「も…申し訳ありません、
「分かった、分かったから泣くなよ…。呉に戦争の意志は無いって分かったからさぁ…うう、泣きたいのはこっちだよ……あと、白蓮で良いからさ」
「はい、白蓮義姉様…」
「だから、義姉様じゃないって…」
「お願いします、そう呼ばせて下さい……貴女を見ていると、うちの姉様にも見習って欲しくなりますから」
「お前も苦労してるんだな…」
『天の御遣いの血』を自国に入れようと一刀を誘惑する面子が多い
呉王の親衛隊長である
・姉として、妻として。
「姉貴の背中の桜吹雪を見てると、凄く安心するんだ…」
「嬉しい事言ってくれるねぇ…でも、こういう時に姉貴は止めてくれよなって、いつも言ってるだろ?」
「そうでした…白蓮」
「ん?」
「いつもありがとう…本当に助かるよ」
「弟を助けるのは姉の役目、夫を支えるのは妻の役目だよ。桃香が第一夫人で、私が第二夫人だからな…盧植先生の下で学んでいた頃から、そう決めただろ?」
「ああ。じゃあ改めて…いつも俺を庇ってくれて、
「こんな
一刀は白蓮を後ろから優しく抱き締める。
「…で、お前を助ける度に慰めてるけど、その…抱きたくなるのか?」
「白蓮が助けてくれたのが凄く嬉しいのと、助かったって思ったらホッとしたから…ってのが主な理由かな」
「なるほどね。あ、それと……さらし巻いただけの胸と背中見て、興奮してるだろ?」
「うっ…鋭い…」
「こうやって後ろから胸揉むの好きだよな~、お前って…誰かさんのせいで、随分大きくなった気がするよ。肩が凝るんだよなぁ…」
「ご、ごめん…」
「冗談だよ…むしろ、感謝してる。それにしても、あいつ等も懲りないよな……私、お前にちゃんと閨に呼ばれたのっていつ以来だ?」
「え、え~と……いつだったかな」
「お前、一体どれだけ命狙われてるんだよ!? お前を助ける度に慰めてるのを数に入れると、私が一番多いって一体どういう事だ!?」
「そ、そう言えば…」
「いや、そりゃ嬉しいけどさ! 複雑だ……それもこれも、お前が無節操に女口説くから悪いんだぞ!!」
「お、俺に言われても…ってか、口説いた覚え無いし…」
「頼むから自覚持ってくれよ…英雄色を好むって言っても限度ってものがあるぞ!」
「そんな事言われても…」
「それに、私一人じゃ体が持たないんだよ…お前の事を絶対に裏切らなくて、馬鹿な奴等から庇ってくれて、慰めてくれるような奴がもっといてくれればなぁ…」
白蓮のそんなボヤキが通じたのか、その後…白蓮を真似て、今まで以上に積極的に一刀を守り、慰めようとする者達が増えたと言う。
そのおかげか、白蓮曰く『悪辣極まりない言動で一刀を理不尽な目に遭わせる馬鹿共』の悪事も激減したとか。
「桃香…こういう時位は、名前で呼んで欲しいな」
「うん、じゃあ…一刀様…」
「ん…」
一刀は桃香を優しく抱き締め、口付けを交わす。
未だに「ご主人様」と呼ばれる事に慣れない一刀は、せめて閨等で二人きりの時は名前で呼んで欲しいと頼む。
「桃香の胸、気持ち良い…こうしていると、凄く落ち着く…」
「ふふっ…一刀様ってば、甘えん坊さんだね~。赤ちゃんみたいで可愛いv」
桃香は一刀の顔を胸に抱き締め、優しく頭を撫でる。
「何故か、桃香と二人きりだと甘えたくなってしまうんだよな…これも福乳の効果なのかな」
「どうだろうね~、わたしのおっぱいにそんな不思議な力があるとは思えないんだけど…」
「よく、皆から大きいって言われてるじゃないか。福が詰まってそうな感じがするし」
「でも、
「いや、あの二人は規格外だって! 比べる方がおかしいから!」
「そうかなぁ…。じゃあ、触った人に福が……って一刀様、福どころかいつも酷い目に遭ってるよね」
「うう…確かに…」
「妊娠してないのに母乳が出る…とかじゃないし」
「母乳ねぇ…『劉備様、うちの子にご加護を~』って感じで赤ちゃんを連れた大行列が出来そうだね」
「あはは、そうかもね。ねぇ…もしそうなったら、一刀様も赤ちゃんになりたい?」
「…なりたいです」
「うん、一刀様は正直だね~」
福耳ならぬ福乳の持ち主と呼ばれている割に、桃香にそんな不思議な力は無い。
だが、今の二人には確実に福が訪れている。
「ねぇ、わたしもこういう時はお姉ちゃんっぽいでしょ?」
「うん…お姉ちゃん」
「もう、こういう時しか呼んでくれないんだから…」
「桃香だって、こういう時しか俺の事を名前で呼んでくれないから、おあいこだよ」
「ぶぅ…いいもん、いつか絶対に白蓮お姉ちゃんみたいに、一刀様にも愛紗ちゃんにも鈴々ちゃんにも頼られるお姉ちゃんになってみせるもん!」
白蓮と違って普段は姉弟子扱いされない不満から、桃香は可愛らしく頬を膨らませる。
「うん、楽しみにしてるよ」
「えへへ…一刀様は私のご主人様で、旦那様で、可愛い弟でもあるんだからね~♪」
「わぷっ…」
気を良くした桃香は、少し力を強めにして一刀の顔を胸に抱き締めて谷間に埋めた。
「さて、寝技の時のお返しをさせて貰いますか」
「やれやれ…されっぱなしが嫌なら、早く私より強くなれよ」
「まぁまぁ、二人同時に愛してくれるんだから良いじゃない♪」
一刀は二人を布団に寝かせて、そっと覆い被さる。
「ほら、反撃しても良いんだよ…」
「んっ…一刀ぉ…」
「一刀様ぁ…あんっ…」
二対一にも関わらず、ずっと優勢を保ち続ける。
二人の反撃も物ともせずに快楽を与え続け、徐々に力を抜いて行く。
「可愛いよ、二人共…」
「か、可愛いって…お前な…あうっ…」
「嬉しい…あんっ、かずとさまぁ…」
二人の身体中にキスの雨を降らせる。
丁寧に快楽を与え続けて、平等に愛を注ぐ。
「なぁ…普段からこれだけの体力出せるようになろうぜ、一刀…」
「だねぇ…一刀様、閨だと凄過ぎるよ…」
閨で一戦交えると……ぐったりしている二人に対して、一刀は平気な顔をしている。
「そんな事言われても…俺にこんな事教えてくれたのは二人じゃないか」
「そ、それはそうだけど…」
「私達だって
「う~…いつか一刀様を抱っこしたりおんぶしたり出来る位、力付けてやるんだから~」
「私も、もっと鍛えないとな…体力は勿論、閨の方もな」
「はは、俺も体力付けないとな」
「閨の方は
「そうそう、わたし達だけじゃ持たないもん」
「ええっ!?」
こうして、三人の夜は更けて行く…。
~あとがき~
SDガンダム三国伝から恋姫シリーズを知った、ノワールです。
偶然にも似た性格やカラーリングのキャラがいた事に興味を持ちまして…「緑の関羽」とか「赤い張飛」とか。
劉備が公孫賛を「兄貴」と呼んでいたので……白蓮も桃香に「お姉ちゃん」とか呼ばれてたら、と思いまして。
白蓮は無印では真名は無かったけど一人称が「俺」と「私」だったのに、真以降は「私」だけになりましたからね…十分個性になったろうに。
背中に彫られている桜吹雪の刺青はPS2版夢想の公孫賛おまけシナリオが元ネタです。
「いつの間にか、蜀の裏の王になってしまった白蓮」ってネタになってしまいました……義姉弟関係云々は本編開始前に一刀が白蓮と桃香に出会っていたら、こうなってたかもと思われます。
白蓮がツンキャラ達に超厳しくなりましたが……彼女の常識人な性格考えれば独占欲や嫉妬を抜きにしても、過保護姉になっても仕方ないかと。
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三国志ものは専門用語が多いので、ルビ機能の練習を兼ねて「一刀が白蓮と桃香と共に盧植先生の下で学び、姉弟分になった外史」です。
元ネタはSDガンダム三国伝で劉備が、兄弟子の公孫賛を「公孫賛の兄貴」と呼んでいる所から。
・白蓮のキャラは、無印とPS2版夢想の公孫賛おまけシナリオが元ネタです。
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