俺の横で眠っているクラウドは、何だか幸せそうな笑みを浮かべている。
おいしいものでも食べている夢を見ているのだろう。
ケーキを好きなだけ食べる夢でも見ているかもしれない。
寝る前にどうしても食べたいと言い出して、クラウドはケーキを食べ始めたのだ。
そこまではよかった。
1個目をあっという間に食べきると、2個目に手を伸ばした。それを俺が慌てて制止したので、明らかに不機嫌な顔をして、一人さっさと寝室に行ってしまったのだ。1個しか食べられなかった不満を夢の中で解消しているのかもしれないと思うと、起こすことはできなかった。
「…お腹…いっぱい……」
「ん?」
クラウドの声に返事をしてみたが、当の本人は起きている様子はない。寝言だったらしい。吸っていた煙草をもみ消し、俺も眠ろうと横になろうとしたときだった。
「…セフィロス…、ありがと……」
またも寝言だろうと、寝る体勢に入った。
しかし、一応と思って確認してみたところ、やはりクラウドは眠っているようだった。まるで天使のような笑みを浮かべて。
軽く頭だけ撫でて横になったら、今度はくすくす笑い声が聞こえた。
「…クラウド…?」
体を起こして、再度顔を覗き込んでみると、口元が少し上がっている。
「…いつから起きてた?」
「おなか…いっぱい…なのは本当だ」
「寝る前にケーキなんか食うからだ。2個目を止めて正解だったな」
「…ちがう、そうじゃない…」
クラウドは、んしょ、と小さく掛け声みたいな声を出すと、体をひねって、俺の上に乗っかってきた。
「セフィロスの愛をいっぱい受け止めたから…だ…」
クラウドの指先が俺の唇をなぞっている。
「ほぉ。ならばもう眠ったらどうだ?」
「…お腹いっぱいじゃないくせに?」
クラウドは俺を見下ろして意地悪い笑みを浮かべている。さっきまでの天使はどこへやら。いや、元々天使ではなかったか。
小悪魔が化けていたのか。
「俺はいつでも飢えてるさ。腹がいっぱいになどなることはない」
「…俺もお腹空いてきた…」
俺の唇をなぞっていた指先が今度は鎖骨を滑る。
その手を掴んで俺の方に引き寄せると、クラウドはバランスを崩して俺の上に落ちてきた。その体を抱きしめる。
「…先に俺の空腹を解消させてもらうぞ?」
クラウドの耳を舐めるように言うと、クラウドは軽く息を漏らした。
「…いいよ…。でも、その後は俺もまたお腹が空っぽになってるけど…」
「安心しろ。ちゃんと俺が満たしてやる」
クラウドはぎゅっと俺に抱きついてきた。
「…絶対だぞ」
「わかってるさ」
「…じゃ…、どうぞ……」
耳元で聞こえたクラウドの声を合図に小悪魔が誘った底の見えない快楽のプールへと二人で飛び込んだ。
<終>
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セフィクラで、短編です。登場人物:クラウドとセフィロス。
時代:ゲームエンディング後(ゲームエンディング後は二人で暮らしている設定です)。二人でいちゃいちゃしてます。