No.296702

新訳 真紅の鬼神 第七鬼 ~黄巾の乱、天の御使い~

リンドウさん

誤字・脱字の指摘お願いします。
コメントよろ^^

2011-09-09 23:06:28 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:5194   閲覧ユーザー数:4087

黄巾討伐令が各諸侯に周り三日程経った。

俺達は2万の軍勢を率いて黄巾党討伐のため行軍していた。

 

「あとどれくらいで着くのですか~?」

「そうですなぁ~後一日もすれば付くでしょうなぁ~」

 

行軍中、俺の部隊の中心でねねと騰が仲良く話している。

それを尻目に俺は前方を見る。

前方は華雄の部隊が進んでいる。

月は軍の中央にいる。

後ろは霞の部隊が着いてきているので万が一賊に襲われても月まで到達する事も出来ずに全滅するだろう

 

「しっかし恋の奴何処に行ったんだ??」

 

今さっきまで横にいたはずなんだけどな~

てかこのごろ恋の行動が中々読めなくなってきた否そもそも読めてすらないんだけどね

 

「・・・呼んだ??」

「うぉ!」

 

ビックリした~。

いきなり出てこられると心臓が止まるかと思ったよ

 

「何処に行ってたんだ??」

「・・・ん」

 

恋の指指した方向を見ると月が手を振っていた。

てか、詠そんなに睨まなくても・・・

 

「月とお話してた」

「そっか、楽しかったか?」

「・・・・(コク)」

 

可愛いらしく頷き、月に手を小さくふる

その姿がまた可愛らしくてつい鼻から愛の液を垂らしてしまう

 

「また鼻血だしてるぞ」

「大丈夫なのか?殿は」

「心配ねぇだろ毎日の事だし」

「「「確かに」」」

 

テメェら・・・後で地獄を見せてやるぜ

 

「報告ー!!!」

 

前方に放っていた斥候が大声をあげながら月の前まで馬を駆けらせる。

 

「どうした?」

「ハッ!前方に黄巾の軍勢を確認!」

「数は?」

「1万程度です!」

「1万。ですか」

 

本隊に合流するつもりか・・・やっかいだな

 

「焔は!?」

「もうここに居るよ」

 

あんな切羽詰った顔でこられたら誰でも気になるっての

 

「本体と合流されたら厄介だわ、華雄と共に殲滅してきなさい!」

「御意!」

「ハッ!華雄隊!行くぞ!!」

 

詠に指示されたと同時に華雄は自分の舞台を率いて突っ込んで行った。

 

「やれやれ、俺たちも行くぞ!」

「ハッ!」

「・・・行く」

「さぁ!皆のもの行くのですぞ!!」

 

応ッ!!!!

 

黄巾一万を特に目立った被害もないまま殲滅し、少し遅れながらも諸侯の集まる拠点へと到着した。

 

「多いな」

 

官軍の旗にあれは近頃有名な陳留の曹操。あれから更に覇気が大きくなったな

あれは江東の虎と名高い孫堅の軍か

っとあれは・・・天の御使いがいると噂されている劉備率いる義勇軍か。

あとで会いに行ってみるか

 

「焔!」

「どうした?」

「アンタは月と私に付いてきなさい。他は軍営の設置を頼むわ」

「恋も行く」

 

俺の服をギュッと握る恋。

その可愛らしさに俺は鼻血を垂れ流す。

 

「恋は兵を騰とねねと一緒に纏めておいてくれ」

「・・・・・」

「少しの間だけだ。」

「・・・分かった」

 

ほっ、恋は意外と頑固な所があるからな引き下がってくれて良かった。

 

「ほら、ぼさっとしてないで話が着いたなら行くわよ!」

「分かった。じゃぁまた後でな」

「・・・・・(コク)」

 

そして俺は月と詠に向かって走ろうとした瞬間。

 

「浮気したら・・・・・ユルサナイ」

「ッ!?」

 

振り向くがそこには僅かな殺気を残して恋の姿はなかった。

てか怖ッ!!!!

 

「なにしてんのよ!早く来なさいよ!馬鹿!!!」

「今行く!!」

 

女がいてもなるべく話さないようにしよう・・・下手したら俺の命が無くなる。

 

「ふむ、ようやく揃ったようだな」

「ハッ・・・董仲穎ただいま到着いたしました」

「うむ。なにやら黄巾の別動隊と接触したらしいの」

「はい。ですが殲滅したので問題はありません」

「そうか、でわ揃った事じゃし始めるとしようかの。まずワシはこの官軍の総大将を任せられた魯植というものじゃ。宜しく頼む」

 

次々自己紹介をしていく中で俺は一人の男を見る。

別にそっちの毛は無いがあの男の格好は明らかに未来の・・・俺のいた世界の制服だ。

それだけじゃなく、あの男からは凄まじいほどの武の匂いがする。

強いな・・・俺といい勝負になるんじゃね?

 

「私は平原の劉備と言います!」

「俺は北郷一刀です。一応天の御使いとも言われています」

 

アイツが天の御使いか北郷一刀と言ったな、これは会って話すのが楽しみだ。

 

 

 

一刀side

自分の紹介が終わり周りを見渡す。

と言っても一人の男を見ているだけだが・・・

あれが呂布か、凄いな武の匂いがプンプンしてくるし何より周りより雰囲気が違う。別にほかの諸侯の武将が弱いという訳じゃない。

江東の孫堅も曹操の所の夏侯惇も俺の所の愛紗も一流の武人だ。

だけど、呂布は次元が違う。

おそらく今の俺が戦っても精々相打ちだろう。

 

「ご主人様?」

「ん。なんでもないよ」

 

どうやら心配されたようだ。

朱里の頭を撫でて軍議に集中する。

後で会いに行ってみるか・・・・

しっかし、女子多いな~。桃香もそうだけど三国志の人物ほとんが女子じゃないのだろうか?

曹操もあの小さい身体から溢れんばかりの覇気を持っている。

それと・・・あの孫堅はウン。もう戦いたくて仕方ない顔してるね。ああいうのって戦闘狂っていうんだっけ?

 

まぁどちらにせよ・・・

 

「前線は劉備軍と董卓軍じゃ」

 

この戦いをどうにかしなければな

 

 

魯植のじじぃに前線と言い渡された後、詠の愚痴を聞きながら俺達は陣営へと戻った。

 

「さ~てと、俺は少し出掛けてくるぜ?」

「はぁ?アンタ何処に行くのよ!?」

「ん?あの御使いのところさ、気になったもんでね」

「あの優男が?」

「詠。一つ言っておくがアイツは俺並みに強いぜ」

「えっ!?」

 

俺はそれだけを言って天幕を出る。

 

「恋、一緒にくるか?」

「・・・(コク)」

 

確か、劉備軍の陣営はここら辺だった筈だが・・・

 

「・・・焔」

「ん??」

 

恋の指をさした方向を見ると劉と描かれた旗があった。

てか最初から旗を探せばよかったんだ・・・

 

「すまない。ここは劉備殿の陣営で間違いないか??」

「ん?何者だ貴様」

 

この偃月刀は関羽か・・・。

 

「俺は呂布奉先。董卓軍に所属している」

「お前があの呂布?」

 

疑いの目だな~それにすっげぇ警戒してるし

 

「なんの用があってここに?」

「少し御使い殿と話がしたくてな」

「ご主人様と?」

「あぁ、取り合ってくれないか?」

「・・・・・」

 

あれ?何故だんまり?

 

「本当に呂布であるかどうかわからない奴をご主人様に合わせる訳にはいかない」

「は??」

 

いやいやいや!は?何言ってんのこの女?

てか、なんで偃月刀俺に向けてるの?

俺と殺る気なの?

・・・・・・・・・

 

「頭に乗るなよ女」

「ッ!!」

 

俺は殺気を関羽に向ける。

 

「この戟を見ても俺とわからないのか?」

「戟だけじゃ分からんだろう!!」

 

関羽は偃月刀を振るい俺に突っ込んでくる。

そうか、その気なら・・・

 

迫ってくる関羽に俺は戟を構える。

そして、ぶつかり合う寸前

 

「愛紗。止めるんだ。今の愛紗じゃ勝てないよ」

「恋もその戟を納めな。」

 

俺の間に一人の男が入ってきた。

 

「呂布さん。かな・・・俺に用があるんだろ?」

「あぁ・・・」

 

純白の制服。ポリエステルか、しかし見たことも制服だな。

 

「それと御使い殿・・・その『日本刀』を早く恋から離せ」

「っ!分かったよ。それと俺は北郷一刀だ。」

 

北郷が恋に向けていた日本刀を鞘へと納めた所で俺も戟を関羽の首筋から外した。

恋も北郷の胸の位置に向けていたのを納めた。

 

「先程の無礼はすまない」

「いや。あれは此方の責任だ」

「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

「なぁ、あまり慣れてない敬語は使わなくていいぞ」

「ならそっちもいいぜ」

 

あれから、俺達は天幕へと案内され今は北郷と二人で話している。

恋は今、劉備達と一緒にご飯を食べている。

まぁ大方、恋の食べる仕草に心を打たれたのだろう。

 

「一つ質問していいか?」

「なんだ?」

「なんで、これが日本刀って分かったんだ?もしかして呂布も日本から来たのか?」

「いや、違うぞ。転生したんだよ」

「転生?」

「そそ。なんか気付いたらここにいたんだ。だから多分転生かなと」

「だから、日本刀の事を知ってたのか」

「そういうことだな」

 

やっぱし話しやすいな、男だからかな?

 

「てか、明日前線だから一緒だな」

「そうだな。北郷は「一刀でいいよ」なら俺も焔でいい」

「いいのか?それ真名だろ?」

「なに、お前の名前も真名みたいなものだろ」

「それもそうだな」

「それで一刀は前線にでるのか?」

「もちろん。あの子達だけを頑張らせるにはいかないし、ここで戦功を立てないと色々とヤバイからね」

 

ふむ。確かに一刀達は義勇軍だここで戦功を県庁位の地位をもらえるだろう。

それに立てなくてこの戦自体に負けでもしたら必ず劉備軍に敗因を押し付けられるだろう。

 

「そっか、なら俺と一緒だな。俺も前線で戦うんだ」

「そりゃ、そうだろ。その武を持ってして前線に出ないなんて事はないだろ」

「そういう一刀もだろ?」

 

自然と笑ってしまう。

強者に会えたからか?

 

「今度、仕合したいな」

「だなぁ~強者と戦えるとなると武人としての血が滾る」

「それはこっちの台詞だよ」

「「クククッあははははは!!」」

 

やっぱ男友達が出来るって素晴らしいな!

それから色々と話した後、俺は自分の陣営へと戻った。

その帰りに恋を連れ戻そうとしたが、何故か劉備達が恋を気に入って中々返してくれない、そこを一刀が説得してくれてなんとか帰れた。

 

「遅い!!!!」

「すまん少々一刀と話していた」

「一刀?あの御使いと?」

「あぁ。なにかと気があった」

「はぁ~まぁいいわ。それより明日の事なんだけどーーー」

 

ふむ。明日の前線は俺と華雄か・・・

まぁ当然だな。霞はなんか不満そうだったけど仕方ない。

下手に華雄を後方へと置くと勝手に突撃するからな

 

「騰、兵達は?」

「準備万端ですぞ!今からでも出陣できるくらいですのぅ」

「・・・・zzz」

「zzz」

 

あれ?いつの間に寝たんだ?

 

「ねねは儂が天幕まで運びましょう」

「あぁよろしく頼む」

「でわ・・・」

 

優しくねねを抱きかかえ一礼してから天幕を出ていく。

さて・・・俺も恋を布団にいれて寝るかな

 

「おやすみ恋。」

「・・・・むにゃ」

 

 

「さぁて、今日は快晴!良く周りが見える」

「若殿、前へ行き過ぎでは?」

「馬鹿、前に出てないと一番に敵に当たれないだろ?」

「それはそうですが・・・」

「おはよう焔、昨日はよく眠れたかい?」

 

一瞬、一刀に向けて騰が殺気を向けたが俺が手で制した為、殺気を納めた。しかし、騰の殺気を受けて平気とは流石だな。

 

「おぅ、爆睡だ。」

「そっかなら良かった。てかなんでこんなに前に来てるんだ?」

「そりゃぁ一番槍ってやつだよ」

「あぁ~なるほど、でも俺もそのつもりで来んだ」

「・・・・・後ろで関羽とかが叫んでるみたいだけど?」

「あぁ反対されちゃってな」

「そりゃそうだろうよ。劉備軍の総大将がこんな最前線に出ていたらね~」

「いや、総大将は桃香、劉備だよ」

 

表向きだろ?

実質的に劉備も関羽も一刀に忠誠を誓ってるし・・・

 

「じゃぁ勝負だな。」

「だなぁ~」

 

一刀の馬を見てみるが赤兎にも負けないくらい立派な馬だ。

白馬ってのがまた一刀を引き立てている。

しっかし、こいつ見れば見るほどイケメンだな・・・

 

「ん?なんか顔に付いてるか?」

「いや、別に・・・」

 

イケメンとか羨ましすぎる!!

イケメンとかイケメンとか(゚Д゚)<氏ね

 

「なんか今変なこと考えてなかったか?」

「いや別に?」

 

自覚がないのが腹立たしいが、逆に自覚してたら尚更腹立たしいがな・・・。

~一刀side~

 

焔が自分の部隊を連れて一番前へと出る。

俺は朝の挨拶の為に愛紗の反対の声を無視して焔の元へ行く。

俺が焔の真名を呼んで挨拶すると、横にいた中年の男性が鋭い殺気と共に俺を睨んできた。兵達も殺気を溢れさせている。

俺とこの兵とは大違いだだな・・・まぁ兵の質というかそもそもこちらは正式な兵じゃないもんな・・・

 

どうやら、焔は一番槍をするために前に出てきたらしい。

まぁ俺もその事で愛紗とか朱里、桃香に止められてたんんだけどね・・・

てかさっきから焔が俺の顔をずっと見てくる。

なにか付いているのか?

 

しかも焔から偶に殺気が感じられる・・・

まぁいいや・・・

 

そろそろ黄巾の連中も動き出すだろうし、てか焔の馬も立派だけど、武器の戟は見ているだけでその存在感は凄い。

てか地面に刺してるだけなのに凄くめり込んでるし・・・

俺の『白椿』と打ち合ったら俺の方が折れそうだ。

 

オォォォォオオオオ!!!!!!

 

ん?どうやら動いたみたいだな

 

「行くぞ野郎ども!俺達の強さを知らしめろ!!!」

 

俺も行くかな・・・桃香達の為にも

てか、よく見たら焔の兵の騎馬隊って全員鐙ついてるし!

流石、揃えれるだけの軍資金があるな・・・

 

因みに、焔と一刀が並んで話している所を見た女性兵士は見惚れていたとかないとか・・・・

 

 

俺が真っ先に飛び出しその隣を一刀が付いてくる。

後ろには俺の兵とその後ろに劉備軍が付いてくる。

 

「一番槍は!この俺だぁあ!!」

「なにくそ!俺だ!!!」

 

競うようにして俺と一刀は黄巾賊と当たり斬り飛ばす。

 

「董卓軍麾下!呂奉先!一番乗りー!!!」

「劉備軍が天の御使い!北郷一刀!一番乗りー!!!」

 

オォォォォッォオオオオ!!!!!!!!!!

 

次々と俺と一刀は黄巾賊を斬り殺して行く。

 

「・・・・行く。」

「ガッハハハ!若殿に続けー!!!」

 

オォォォオオオオ!!!!!

俺の兵が黄巾とぶつかりその後ろに劉備軍が付いてきている

 

「強いな、焔の兵士達は」

「当たり前だ。俺と恋と騰にいつも鍛えられてるからな」

 

ひと振りで人『だった』ものが宙を舞う。

一刀もその華麗な剣捌きで次々と切り伏せていく。

しかも的確に急所を狙ってる。

しっかし一刀は戦う時は更に凛々しくなるな・・・

 

「俺も負けられんな!!負けたらいかんな!!」

 

戟を握り締め確実に5人以上斬り殺す。

 

「うわぁあ!!鬼神だ!鬼神呂布だぁあ!!!」

「こっちは御使いが!天の御使いがきたぞ!!」

 

随分と俺も名が広まったな~

 

「ぎゃぁ!」

「くっ!」

 

ん?劉備軍が押され始めたな関羽とあれは張飛かな?なんとかあの二人で持ちこたえてる様子だが、時間の問題だろ・・・

 

「一刀・・・もういないか」

 

声をかけようとしたが、既にその姿はなかった。

仕方ない・・・

 

「騰!」

「ハハッ!」

「一刀の元へ2千を連れて行け!劉備軍を援護しろ!」

「御意!」

「恋!行くぞ!」

「・・・・(コク)」

 

さぁて、そろそろ華雄が突撃してくるだろうし。

あらかた片付けておこうかな・・・

 

「気張れ野郎ども!!押し込め!!」

 

激しい雄叫びを背に加速する。

 

 

~一刀side~

 

「愛紗!鈴々!」

 

押され始めた俺達の軍は二人によってなんとか保たれている状態だ。それも崩れるのは時間の問題。

 

「のけぇぇぇ!!!」

 

道にいる黄巾を斬り伏せながら愛紗達の元へ向かう

 

「ご主人様!」

「お兄ちゃん!!」

「無事か二人とも!?」

 

二人の元へと辿り着く。

良かった。

小さい傷が気になるが、目立った怪我はしてなさそうだ。

 

「ですが、我らの前線が」

「大丈夫だよ愛紗・・・」

「え?」

 

次の瞬間、目の前にいた黄巾賊が吹き飛んだ。

 

「若殿の命により北郷殿の援護に参り申した」

「あぁ、ありがとう。」

「ワシ等が道を広げるので着いてきてくだされ」

「分かった!行くぞ!皆!奮起せよ!」

 

オォォォオオオオオオ!!!!!!!!

 

「愛紗!鈴々!行くぞ!」

「御意!」

「うぅぅ!!行くのだーー!!!!」

 

よし、勢いは取り戻した。

やっぱり俺達の軍に騎兵がいないのは痛手だな・・・。

しかし、焔の軍は本当に強いな、一人一人の雰囲気が武将並みだ。連携も取れてるし何より乱れがい。

実質、ここまで死者一人も出してないし重傷者さえ見当たらない・・・

あの焔の副官の韓昭だっけ?

下手したら愛紗以上の強さ持ってるぞ・・・

呂姫は俺達より若干劣る位で愛紗達よりは遥かに強い。

そう考えれば、ほぼ無敵だろ焔・・・・(汗

 

「ご主人様!」

「ん?おっと」

 

愛紗の声で、目の前に迫ってくる刃に気がつき、直ぐに『白椿』で防ぐ。

 

「貴様が天の御使いか!!!」

「そうだが」

「俺は張蔡!いざ勝負!」

「・・・・」

 

ガッとお互い馬を走らせる。

 

「おぉぉぉう!!」

「フッ!!」

 

張蔡の刃が一刀に届く前に『白椿』が張蔡の首を捉える。

宙を張蔡の首が舞い忘れていたかのように血が吹き出す。

 

「敵将張蔡!天の御使い北郷一刀が討ち取った!!」

 

オォォオッォオオオ!!!!!!!!!

 

沸き上がる歓声、黄巾党は只でさえ鬼神と名高い呂布が暴れているのにも関わらず、同じく武でも称されている天の御使いに将が討たれ次々と城へと逃げ帰る。

 

「さ、流石ご主人様です!」

「にゃーお兄ちゃん相変わらず凄いのだ」

「そうでもないさ、それに俺より焔・・・呂布の方が凄いぞ」

 

ふと焔のいる方へと目を向ければ遠くからでも分かる程の殺気と闘気を振りまき、あの真紅の戟を振りかざし敵を討っている。

確かに鬼神と呼ばれるだけある。

なんせ敵の返り血を浴びて黒の鎧が真っ赤になっている姿を見たら誰もが鬼と思うだろう。

 

「北郷殿、我々の勝利のようです。」

「あぁそのようだね」

 

先程まで場外で指揮をとっていた敵将は焔の戟によって宙に舞っていった。

 

これで完璧に敵は瓦解、普通はここで追撃するところなのだが、此方はと言っても俺達だが、被害が大きいのでそれが出来ない。

 

それを焔は分かってか追撃せずに当たりに残っている賊を殲滅している。

 

「ご主人様ー!!」

 

向こうから桃香が走ってくるのが見える。

 

「愛紗」

「はい!全軍!動けるものは負傷者を運べ!」

「悪いが、援護を頼めますか韓昭さん」

「分かりました。我々が援護するので撤退を」

 

そう韓昭は言って捨て身覚悟で向かってきた賊を斬り捨てる。

後ろからは董卓軍が突撃して来ている。

華雄もこれでもかという程の猛攻をしてるし・・・

 

「はぁ~とにかく戦功は立てれたし良しとするか」

 

~焔side~

 

「ふぅ~」

 

黄巾党の連中が城へと逃げ、既に日も傾き始めているのでこれ以上の戦闘は不可能と言うことで俺達は本陣へと戻っていた。

 

「兵の被害は?」

「ハッ我が部隊は軽傷者はいるものの重傷者、死者はいません。しかし華雄将軍の所からは数人出たそうですが・・・」

 

まぁ華雄の戦い方じゃ仕方ないだろう。

 

「一刀・・・劉備軍は?」

「死者が多数出た模様で随分と減らされたとか」

「そうか、報告ご苦労。下がっていいぞ・・・・騰」

「ハッ!」

「ねね」

「はいですぞ!」

「二人は武器と馬の点検をしてくれ、それと、ねねは次の戦、騰と共に出てもらう。早く戦場に慣れろ」

「ハッ!」

「・・・分かったのですぞ!」

 

まぁ正直早すぎるけど、早めに慣れておいたほうがいい。

戦場の空気は独特だし、今ねねの習っていることしていることは机上の策。机上の動きでしかない。

実際に見てどう動きどう人が死んでいくか、軍師になるにはその一つの策で数十人の単位で死んでいくからな・・・。

 

「・・・焔」

「どうした恋?」

「月が呼んでた」

「月が?そうか、なら行くか」

「・・・・(コク)」

 

兵に休むよう伝え月がいる本営へと足を進める。

 

「呂布だ」

「どうぞ」

 

中へ入ると月と詠がいた。

 

「どうした?」

「明日は私達は後曲になりました。」

 

なるほど、今日戦功をあげたから次は後ろに下がれか・・・

 

「ならば、どれだけ官軍がどれだけ出来るか高みの見物ですね」

 

普通はこのようなことを言ってもし官軍の将に見つかるものなら処罰は免れないが、官軍も他の諸侯も鬼神呂布と呂姫を筆頭とする名高い将がいる董卓軍に手を出そうとは思わないのだろう。

 

「まぁそういう事よ。」

「今日はお疲れ様でした。ゆっくり休んで下さいね」

「ハッ!」

 

天幕を出ると恋が待っていた。

 

「待っててくれたのか?」

「・・・・(コク)」

「なら一緒に戻ろう。今日は疲れたし寝るとしよう」

 

一刀の強さも見れたし、今日は十分だ。

さて、明日の戦。官軍が何処まで戦えるのか楽しみだ。

あと、曹操と孫堅も、興味はあるしな。

そうだ、どうせなら一刀と一緒に酒を飲みながら見よう。

色々とあいつも勉強になるだろうし、陣とか城攻めの仕方とか・・・・兎も角、明日が楽しみだ。

 

「ご主人様ー!」

「どうした桃香?」

 

俺達の総大将こと劉備。真名を桃香が走りよってくる。

 

「明日の戦ね私たち後曲だって!」

「そうか」

 

まぁ今日の被害は結構大きいから助かるしかも・・・

 

「今日の戦で十分な戦功はご主人様が取ってくださったので後は後曲にいても大丈夫かと」

「そうだな」

 

俺の横に立っている我等が軍師、諸葛亮こと朱里が笑顔で言う。

 

「あわわー!朱里ちゃん!大変だよ~」

「どうしたの雛里ちゃん?」

 

そしてもう一人の軍師、龐統こと雛里。

なにやら慌ててるようだが・・・

 

「兵士さん達の包帯がなくなっちゃったよ~」

「え~!もう無くなっちゃったの~!?」

「コラ!二人ともご主人様の御前だぞ!」

「「あぅ」」

「はははっ別に構わないよ愛紗。包帯は、焔に無理言って貰おう。まぁ貰えるか分からないがな」

「にゃ~お兄ちゃん呂布のとこに行くのか~?」

「ご主人様!お一人じゃ危ないので私がお供いたしましょう!」

 

いや、別に大丈夫なのだが、焔もそんな事するような奴じゃないし・・・

まぁ大方、呂姫にも会いに行きたいのだろう。

俺が焔と話してる時も結構仲良くなってたしね。

桃香とか会いたいって目してるし・・・

 

「なら私も行く!」

「それは駄目です!桃香様は総大将なのですよ!もし万が一の事があれば」

「大丈夫だもん!その時はご主人様が護ってくれるもん!」

 

まぁ確かにそんな状況が出来たら命をかけて護るけどね・・・

 

「兎も角、別についてきてもいいが長居はしないし、無理を承知でお願いしに行くんだからそこを間違えないように!」

 

は~い。と声を聞いて俺は朱里達に軍を任せて焔の陣営へと足を進ませる。

もし、焔も明日後曲ならゆっくりと話をしよう。

きっと楽しくなるはずだ。

 

 

 


 
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