No.296676

幻想郷奔走記(二話)

さん

毎度、潮です。
このお話は、某所でやってる幻想入り「幻想郷奔走記」の本編二話部分に当たります。
この頃は台本作成ペース割と速かったんだけどなぁ。

2011-09-09 22:47:38 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:366   閲覧ユーザー数:364

 

妖精

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「コイツ…外来人?」

 

?「多分、そうじゃないかな…」

 

頭上で誰かの声が聞こえる。

目を開けると、2人の女の子がこちらをのぞき込んでいた。

 

?「あ、起きた」

 

青い髪の、活発そうな女の子と

 

?「大丈夫ですか?」

 

緑の髪の、大人しそうな女の子だ。

 

俺「う、大丈…ぐはっ」

 

体を起こしながら反射的に大丈夫と言おうとして、右足が痛いのに気付いた。

うわ、何かすっげー腫れてる。

 

俺「何があったんだ…?」

 

青「それはこっちが聞きたいよ!せっかくお昼寝してたのに」

 

青い髪の子が何やら半泣きで言っている。

 

緑「私が来た時には、二人ともここで倒れていた?んです」

 

緑の髪の子の話に?が浮かぶ。

 

俺「…何故そこで疑問系なんだ?」

 

?「あ、あはは…」

 

何か緑の髪の子が若干引いているが、気にしない事にした。

ふと青い髪の子をよく見ると、後頭部、リボンの横辺りにたんこぶが出来ていた。

ポク、ポク、ポク……チーン!

成る程、泣いてたのはコレか。

って事は…俺はこの子の頭を蹴り飛ばしたんだな。(で、俺はカッ飛んだんだな)

 

俺「いや悪い、ついやっちゃったんだ☆許せ!」

 

青「ふざ…うん。許す」

 

冗談のつもりで言ったんだが、許されてしまった…まぁいいか。

謝罪(?)も済んで、周囲の異変に気付く。

 

俺「それで…ここ、どこ?」

 

走っていた街並みは面影すらない。

周りにあるのは木々と湖、そして霧だけだ。

 

緑「霧の湖って言われてます」

 

俺「霧の湖?何か聞いたこ…」

 

緑の髪の子を見て、本当に今更に気付く。

緑の髪にサイドテールに羽根?

よく見ると青い髪の子にも羽根…あれ?

そういやこの2人、何か見た事が…。

 

俺「え、えーと、名前訊いても、いいかな?」

 

何か嫌な予感がしたが、訊いてみた。

 

青「あたい?チルノ」

 

緑「大妖精って呼ばれてます」

 

俺「ΩΩΩ<な、何だってぇぇっ!!!???」

 

いろんな意味で大当たりだった。

 

俺「幻想郷…だと…?」

 

俺は知らないうちに、とんでもない事に巻き込まれてしまったみたいだ…。

 

 

 

この世界に来るには、何かしらの限られた方法で来るしかない。

 

俺「(カラオケ屋の入口に何かあったのか?)」

 

いや、あの場所に何か出来てたら、鬼かく…じゃなかった神隠しが頻繁に起こるハズだ。

となると、考えられるのは…あちらとこちらの世界を行き来出来るあの妖怪。

そこで、ここに来る前にすれ違った女性の事を思い出した。

あの時見た、日傘の女性。

あれが…スキマ妖怪・八雲 紫。

だが、それでも疑問が残る。

 

俺「(犯人は彼女だとして何故、俺がスキマ送りに?)」

 

俺自身、幻想郷に行きたいとかは…めっちゃあったけど、そんなモンで来れる訳ないだろうし。

ん?そういえば、あの時…

 

『…やっと見つけた…』

 

確かに紫さんはそう言っていた。

 

俺「(見つけた?俺を?)」

 

至って普通の生活を送ってきたハズだが…。

何だ?無意識のうちに突然能力でも発現したのか?

そうなると、自分の能力が気になりだした。

 

俺「(一体どんな能力を?変形するとかか?)」

 

単独変形とかはしょぼいよな。

 

?「…ねぇ、ねぇってば!」

 

俺「(気持ちよく毛が抜ける能力…変態じゃねぇか)」

 

そもそも、そんな能力よりもっとかっちょいい能力が…あれ?

周囲がなにやら涼しくなってる?

いや、むしろ寒いくらい…。

 

?「アイシクルフォール!」

 

俺「うっひょい!?」

 

飛んできた氷の塊を驚きながらかわす。

見ると、目の前にチルノがいた。

 

チルノ「一人でブツブツ何言ってるのさ!」

 

考えてて呼びかけに気付かなかったみたいだ。

 

俺「あ、悪い悪い…何ぞ?」

 

チルノ「アンタ、名前は?」

 

俺「名乗る程の者じゃないぜ!」

 

カッコよく決まっ

 

チルノ「…もう一発撃つよ?」

 

俺「すいません嘘です。見(けん)というチンケな奴でございます」

 

らなかった。

平伏して名乗る。

だって…弾幕怖いんだもん。

 

大妖精「けん、さんですか」

 

チルノ「ケン…へぇ犬なんだ?」

 

見「漢字が違うわ⑨」

 

チルノ「……」

 

見「ちょっ…パーフェクトフリーズは止めてえぇ!?」

 

 

 

数分後…。

 

見「こ、こういう字です…」

 

震える指先で名前を書く。

弾幕、怖い……。

 

チルノ「ふぅん「貝」ね…アンタはヘタレみたいね」

 

うわぁ、⑨にヘタレって言われた!

⑨のクセにっ!

 

チルノ「何か文句あるの?」

 

見「そそそんな訳ないじゃないですか…やだなぁチルノさんったら」

 

憎い…つくづく小者な自分が憎いっ!!

 

チルノ「まぁいいわ。それより、アンタ外来人よね?」

 

見「そうなりますね」

 

何故か、敬語チックになってるが気にしたら負けだと自分に言い聞かせる。

 

大妖精「チルノちゃん、この人はイタズラとかしないと思うよ」

 

大妖精(大ちゃんでいいか)のセリフで大体予想がついた。

そういやコイツ、皆からいじられっぱなしだっけ。

 

チルノ「あんなのイタズラじゃないよっ!殴り飛ばされたり、溶かされたり…」

 

自分で言って思い出したのか、泣きそうな顔になっている。

何か…苦労してるんだな。

 

チルノ「でも、コイツはチキンみたいだから反逆なんかしなさそうだし」

 

同情した俺が⑨だった。

 

見「くっそ、能力の詳細が分かったらコテンパンに…」

 

チルノ「何か言った?」

 

見「いえいえ、チルノさん最強っスねと」

 

あぁ…小者だなぁ、俺。

それはさておき、ここにいても犯人(紫さん)は現れないだろう。

取りあえず、いそうな場所に移動するか。

 

見「それで…ここは霧の湖だったな?俺は犯人を探しに行こうと思う…どっちに行ったらいいよ?」

 

チルノ「犯人って…スキマ妖怪?」

 

見「そう。あの人は神出鬼没らしいですから…まずは、人里の方でしょうか?」

 

安全面と情報収集的にも…あと出会いフラグ的にも。

 

チルノ「人里?こっちだよ」

 

大ちゃん「人里だったら、こっちですよ」

 

見「………どっち?」

 

教えてくれるのはありがたいが、二人して正反対を指すとかどうしろと?

いや…チルノの方を見ると何か館が見えるんですが。

 

見「チルノさん、ありゃ何ですか?」

 

チ「え?紅魔館じゃない?」

 

「何を今更…」といった顔をする。

やっぱ、⑨は⑨なんだな。

 

見「…えーっと、じゃあこっちね」

 

大ちゃんの指した方を見る。

道は…獣道っぽいが何とかなるだろ。

取りあえず、日が暮れる前に行くか。

 

見「それじゃ、二人ともありがとな」

 

チルノ「また暇だったら遊んであげるよ!」

 

大ちゃん「気を付けて下さいね」

 

チルノと大ちゃんに見送られ(チルノの言葉はスルーし)ながら、俺は霧の湖を後にした。

 

 

 

 

 

妖精 了

 

 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
0
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択