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真・恋姫†無双 真公孫伝 ~雲と蓮と御遣いと~ 1-14

真・恋姫†無双 真公孫伝 ~雲と蓮と御遣いと~ 1-14
更新させていただきます。

前回コメントで油分をくれた皆様、ありがとうございました。
元気、出ました。

2011-09-05 23:32:00 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:10776   閲覧ユーザー数:6112

 

 

 

この作品は恋姫無双の二次創作です。

 

三国志の二次創作である恋姫無双に、さらに作者が創作を加えたものであるため

 

人物設定の違いや時系列の違い。時代背景的な変更もありますので

 

その辺りは、なにとぞご容赦をお願いいたします。

 

上記をご理解の上、興味をお持ちの方は 次へ をクリックし、先にお進みください。

 

 

 

 

 

 

 

 

幽州黄巾党殲滅戦。

そう名付けられることになるこの戦は圧倒的だった。

少なくとも、殲滅戦などという物騒な単語が誇張されて付く程度には。

 

 

北郷一刀が発案した策は物の見事に上手くいった。

何者かの作為を感じるほど鮮やかに上手くいった。

実際、何者の作為はなかったものの、そう錯覚せざるを得ないほど、見事に。

 

 

 

 

 

 

戦が終わった戦場。

夕陽に照らされた戦場に一人、一刀は岩に腰掛けていた。

 

死体。

あちこちに転がる死体。

右を見ても左を見ても、死体。

 

もちろん、黄色い布を巻いた者たちだけではなく、公孫賛軍で正式採用されている鎧を身に纏った死体も。

 

明確に視点を合わせることもなく戦場を見渡す。

 

 

「…ず…」

 

 

突き立っている剣や槍が、まるで墓標のようで

 

 

「…ずと」

 

 

死体の、もう何も映さないはずの濁った瞳が、まるで自分を責めているかの――

 

 

「一刀!」

 

 

「!?」

 

 

急に後ろから聞こえてきた大きな声に現実へと引き戻される。

それほど大きな声ではなかったのだろうが、人間に限らず生き物は、意識の外からの声には過敏に反応するものである。

 

気付けば、白蓮が後ろに立っていた。

 

「あぁ……白蓮か」

 

「もう皆、出立するぞ?」

 

「悪い。もうちょっとだけ」

 

一刀はただ戦場に目を向け続ける。

 

「その腕。大丈夫か?」

 

「あぁ、これ?大丈夫大丈夫。ちょっと切られただけだから」

 

そう言って一刀は白蓮に指摘された右腕の切り傷に布を巻く。

消毒もなにもしていないがそれほど深い傷でもないので、そこまで慌てることはなかった。出血もほんの少量。

 

「いやー、でも戦場ってやっぱ怖いな。目を血走らせてなんて表現、現実じゃあ初めて見た」

 

いつもと変わらない口調で話す一刀。

唯一普段と違うところがあるとすれば、なにか達観したような表情を浮かべているところか。

 

暫くの間、沈黙が続く。

 

 

「……ごめんな」

 

その沈黙を破ったのは、白蓮の謝罪だった。

 

 

 

 

その時初めて一刀は振り向き、白蓮を視界に納める。

なんとも複雑な表情をした女の子、白蓮。

一刀は言葉を発せずにいた。

何に対して謝られたのかが理解できなかったからだ。

 

「今回の戦で私は一刀の策を使ったよな?……でも、そうするべきじゃなかったと思う。なんかさ、一刀とはずっと前から一緒に居るような気になってて。だから、一刀が戦の無い世界から来たっていうのを忘れてた。……ごめん」

 

その言葉を聞いて理解する。

今回の戦。確かに自分の案が採用されて、その通りに上手く事が運んだ。

上手すぎるぐらいに。

 

策には責任が伴う。

実行するのは兵かもしれないが、それが人間の考える策である以上、完全ではない。

戦であれば、少なからず被害は出る。

敵味方、共に。

だから、策には責任が伴う。

直接的ではないにしろ、その策を案として出した時点で、人死にを想定している時点で、机上で人の生き死にを動かしているのだから。

 

だけど

 

とっくに

 

「そのことに対して、白蓮に落ち度なんてないよ」

 

そんな覚悟は決めている。

 

人殺しの悪名だろうが。

策を弄して勝つ卑怯者と罵る者がいようが。

 

 

 

「……もし無かったとしても一刀を戦場に連れてきたのは私だ。連れてこなければ一刀が策を考えることもなかったし、なにより戦場の恐怖を教えずに済んだだろ?だから今後は一刀を戦には――」

 

「イヤだ」

 

明確な拒否。

それだけは、聞き入れられない。

 

 

「どうして――!」

 

その白蓮の驚く声にわざと被せるようにして言葉を紡ぎ始める。

 

「さっき戦場が怖かったって言ったけど、多分それは回数を重ねてく内に慣れてくと思うんだよ。だから俺が怖いと思ったのはそれじゃなくて。、白蓮に星。舞流に燕璃、それに兵の皆。その誰もが、もし俺の全然知らない場所で戦って、知らない間に死にでもしたらってことなんだ。俺はそれが本当に怖い。敵と斬り結ぶことなんかより、眼を血走らせた暴徒が襲いかかって来るより……な」

 

だから

 

「俺はこれからも戦場に着いてくよ。文官であろうが無かろうが、俄か軍師であろうが無かろうが、経験の浅い武官であろうが無かろうが。俺はこれからも白蓮に着いていくさ。なんてったって俺は天の御遣いだからな」

 

そう言って一刀は今日初めて、無理をした笑顔ではなく、心からの笑顔を白蓮にむけた。

初めて人を殺した夜。

 

星に話を聞いてもらい生まれた覚悟は

今、あるべき場所へと宿った。

 

 

 

 

「……」

 

一刀の言葉にポカンと口を空けたまま反応しない白蓮。

その頬が紅に染まっているように見えるのは夕陽のせいか、それとも一刀の眼の錯覚か。

 

「あー……でさ、言い難いんだけど」

 

覚悟を告げた時とはうって変わった苦笑いのような表情で頭を掻く一刀。

その変わりようにハッと我に返った白蓮が続く言葉を待つ。

何か他に不備でもあったかと白蓮は身構えるが――

 

「いや、一回座ったら足動かなくなっちゃって。……悪いけど手貸してもらっていいかな?」

 

一刀の口から出てきた言葉は、その場でずっこけてしまいそうなほど、間抜けというかしょうもないというか、情けない一言だった。

 

「はぁ?ったくしょうがないな……ほら」

 

拍子抜けした声を出しながらも良い人筆頭である白蓮。

人の頼みを無下には断らない。

岩の上に座っている一刀に顔はそっぽを向いたまま手を差し出した。

 

ありがと、とお礼を言いつつ一刀はその手を握り返す。

ぐっと力を入れ一刀を引き上げる白蓮。

そんな中、一刀はふとデジャヴを感じた。

 

「はは。あの時と立場が逆だな、これ」

 

「あの時?何の話だ?」

 

「何のって……幽霊」

 

「わー!わー!わー!今の今まで忘れてたのに思い出しちゃったじゃないかー!」

 

一瞬で顔色を紅から蒼白へ、蒼白から赤へと器用に変えて騒ぎだす白蓮を見ながら、一刀は自然と自分の口元が緩んでいるのを感じていた。

戦の後とは思えないほど、心地よい時間だった。

 

 

 

 

そんな二人の様相を少し離れた岩場の陰から見守る影。

その影にもう一つ、影が近づいていく。

 

「あなたが邪魔をしに入らないなんて珍しいですね。雨でも降るんでしょうか」

 

「私とてなにも全ての物事に茶々を入れる気はないさ。なにより、まだ馬に蹴られて死にたくはないのでな」

 

珍しく穏やかな表情で応えるは、皮肉屋の良将。

そんな様子に肩を竦めるのも、同じく皮肉屋。

 

「それにしても、妙にお二人とも人を引きつける人間ですね。片や何事も普通で普通すぎるほど普通ですが、ただの良い人と呼べない何かがある太守。片や見方によっては軽薄と見えなくもないですけど変なところで真面目で潜在能力は計りしれない占いの存在。……結構似てますね、お二人」

 

「あぁ、そっくりと言っても良いかもしれんな。そういえば、桃香殿もあの二人によく似ている。奇妙な求心力というか――雰囲気……存在感とでも言うのだろうか」

 

星は、今この場に居ない一時の仲間に考えを馳せる。

 

「随分と劉備殿を高く買っていますね。関羽殿と張飛殿はともかくとして、……劉備殿。なんとなくですが、あれは危険です」

 

「危険?それはまた桃香殿に一番似合いそうにない言葉が出てくるものだ」

 

怒っているわけでもなく、ただ単純に思ったことを口にする。

脳裏で桃香の人柄を浮かべる星だったが、危険という言葉は皆無だと思われた。

 

「ま、基本的に私も思ったことを口にしたまでです。つまりは勘ですのであまり気にしないでください」

 

それだけ言って皮肉屋、燕璃は陣を引き払っている友軍の方へ戻って行った。

 

「危険…か」

 

ポツリと燕璃の言っていた言葉を反芻しながら、未だに楽しそうに騒いでいる一刀と白蓮を岩の陰から一瞥し、星も陣の方へ歩いていく。

 

こうして、一刀の初陣である【 幽州黄巾党殲滅戦 】は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

【あとがき】

 

真・恋姫†無双 真公孫伝 ~雲と蓮と御遣いと~ 1-14

【 幽州黄巾党殲滅戦・終 】

更新させていただきました。

 

 

 

とりあえず、一言。

 

すいません。ごめんなさい。反省してます。

 

 

思いっきり戦闘チックな雰囲気を出しておきながら戦闘描写無しという手抜き。

……いやまぁ今回の黄巾党戦では元から戦闘描写ってのを書くつもりが無かったのも事実なんですが、なんか自分に負けた気がします。

つまり、手抜きというわけではないです。元からこういう考えでしたという言い訳でございます。

早くも終わってしまった黄巾党話。次の作品冒頭に他の州はどうなったとか書くつもりです。多分、原作沿いにはなると思いますが。

 

あ、あと前回のコメントでオイルを挿して下さった皆様方、ありがとうございます。

おかげ様で元気に

 

 

 

 

 

 

 

 

なるわきゃないでしょーがぁぁぁぁぁ!!!!!!!

 

 

 

原油に廃油、醤油にラー油に食用油etc...!?

 

いじめ!?新手のイジメなんか?これ

なんか最早人間相手の物じゃないよね!

あ、でも醤油とかラー油は人間相手の物か。そっかそっか。

そーいう問題じゃないわぁぁぁぁぁ!!!!!!

 

いくら私がサイボーグでもアンドロイドでも未来から来たネコ型ロボットでもグリーバス将軍でも無理です!

 

錆びるわ!!

 

 

 

 

……え~と突然のカミングアウトすみません。

もし、気分を害された方がおられたならここに謝罪します。

 

ホント、すみません。

 

 

実際、上のカミングアウト半分ぐらい虚言です。

作者のしょーもないコメントにあれだけの方々が反応してくれたのは胸が厚くなりました。あ、すいません。熱くなりました。

 

と、同時に笑いました。

笑いのパワーって凄いですね。

元気を貰いました。

 

コメントを残していってくれた方々、もちろん拝読してくれた皆様方。

ありがとうございます。

 

西日本の方ではノロノロ台風により被害が出て、御不幸に遭われた方もいらっしゃると思いますが、辛い時には笑って下さい。

少なくとも、周りが明るければ元気が出ます。

 

頑張ってください!

 


 
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