No.286479

真・恋姫無双アナザーストーリー 蜀√ 桜咲く時季に 第19話

葉月さん

今回は汜水関突入 前編になります。

前回からのあらすじ
袁紹により汜水関攻略を命じられた一刀たち。
そこへ袁術の客将である孫策が同盟を持ちかけてきた。

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2011-08-27 23:05:58 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:11951   閲覧ユーザー数:6811

真・恋姫無双 ifストーリー

蜀√ 桜咲く時季に 第19話

 

 

 

 

【猪武将、華雄】

 

 

 

《愛紗視点》

 

「さて、私らの兵にも活が入ったみたいだしそろそろやりましょうか」

 

雪蓮殿は後ろで待機していた兵たちを見回して私に話しかけてきた。

 

「ああ。関雲長の武、董卓軍に見せ付けてくれるわ」

 

私は堰月刀を力強く握り締めてここからは見えないが汜水関に居るであろう武将を睨みつけた。

 

「心強いわね。でも、私の分も残しておかないといやよ?」

 

「それは約束しかねる。私とてこの戦で我らの軍に力があることを示さねばならぬのでな」

 

そう、いつまでも顎で使われているわけには行かないのだ。ここで力を示せれば少しは交渉ごとにも有利になるだろう。

 

ご主人様には無茶はするなと言われているが、ここは少しでも功績を残さねば……

 

「それならどちらが先に華雄の首級を取るか競争ね」

 

「ふっ。この関雲長、そう易々と遅れは取らぬぞ」

 

「ふふ。こっちだって孫呉独立を目指しているんですもの負けてられないわ。それじゃ始めましょうか」

 

「ああ……すぅー、聞こえているか董卓軍の将よ!」

 

私は息を吸い込み大きな声で汜水関に向かい叫んだ。

 

《張遼視点》

 

『聞こえているか董卓軍の将よ!』

 

「なんや?誰が叫んどるんや?」

 

城壁の上で兵に指示を出しておると下から叫び声が聞こえとうきた。

 

ウチは城壁から身を乗り出して下の様子を伺った。

 

「ふん、どうせ口上だろう。そんなことせずともさっさとこちらから攻めてくれるわ!」

 

ウチの横で今にも出陣しそうな勢いで華雄は息巻いていた。

 

「ちょ、華雄!ウチら篭城するってわかっとんのか?」

 

「知ったことか!あんな連中私の敵ではないわ!」

 

「あほぬかせ!賈駆っちに言われとるやろが!守りを固めろて。そうすれば、連合の兵糧が尽きてこの戦は終わる言うて」

 

「だが、武人として篭城など。私は我慢できぬ!」

 

「は~。ホンマに猪やな……月を守る思うて我慢してえな」

 

「む……そ、そうだな。董卓様の為に私たちは勝たねばならぬのだった」

 

はぁ。やっと収まったかいな。ウチ等の言う事聞かん癖に、月っちの事になるということ聞くんやからな。まあ、華雄は主命やからしかたないか。

 

「わかってくれて助かったわ……お、連中なんか言ってきよるで」

 

『華雄よ!お前は猛将と言われているようだな!だがなんだ!勝てないと見て篭城か?見損なったぞ!』

 

「なんだと!」

 

「ちょっ!落ち着き、あんな見え透いた挑発やないか!」

 

「ぐっ……そ、そうだ……すまない」

 

そういいながらも華雄の手は力強く握られて手が真っ白になっとった。

 

『こんな臆病者だったとはな!どうせ猛将と謳われていても勝てる戦しかしないで勝てぬ戦は出なかっただけなのだろ!』

 

「なんだとーーーーっ!!」

 

「言った傍から直ぐに挑発に乗るんかい!落ち着け華雄!挑発に乗ったらあかん!」

 

「うるさい!あいつらは私の武を貶したのだぞ!武人として黙っていられるかーーーっ!!」

 

「だ、誰かおるか!」

 

暴れる華雄を抑えながら兵を呼ぶ。

 

「はっ!」

 

「急いで縄を持ってきい、急ぎや!」

 

「ぎょ、御意っ!」

 

ウチは兵に急いで縄を持ってこさせるように伝えた。

 

「間に合ってくれるといいんやけど……ええい!落ち着け言うてんやろがこのボケなすが!」

 

「ええい!放せ!この私が直々に討って出てやる!」

 

華雄を羽交い絞めにしとると、また下から声が聞こえとうきた。

 

『聞こえているか華雄よ!私は孫堅の娘、孫伯符だ!』

 

「なんやて?!ま、まずいでこら!」

 

孫堅言うたら華雄がぼろ負けした相手やないか!しかもその娘ちゅうことは……

 

『貴様は孫堅に敗れながらも生き延び、未だに猛将を謳っているとわな!恥ずかしくないのか!』

 

「うがぁぁ!放せ!あいつらを血祭りに上げてくれる!」

 

「落ち着きぃな!ここで出て行ったら恰好の的やで!」

 

「うるさい!あそこまで私の武を貶されて黙っていられるか!」

 

ウチは華雄を落ち着かせようとするが孫策の挑発はなおも続きよった。

 

『貴様のような恥知らず、しかも対した武も持たないやつが猛将などと、片腹痛いわ!』

 

「張遼様、縄をお持ち「そこをどけぇぇぇ!」ひっ!」

 

孫策の一言が華雄の理性を完全に失わせてもうた。

 

運悪く縄を持ってきてくれた兵は華雄の怒声に腰を抜かしてもうた。

 

「あぁ、すまんな……一足遅かったわ」

 

ウチは縄を持って来た兵に謝り苦笑いを浮かべた。

 

「もう我慢ならん!そこをどけ張遼!どかぬというのなら……」

 

華雄は手に持っている金剛爆斧をウチの前に突き出してきた。

 

「わーった、わーった。こうなった華雄は止められへんからな、好きにするとええ」

 

ウチは諦めたように華雄に道を譲った。

 

「ふん、最初からそうしていればいいのだ。華雄隊、集まれ!」

 

「はっ!」

 

「これから打って出るぞ!私を侮辱したあの二人の首を切り落としてくれる!」

 

華雄はそのまま兵を連れて城壁を降りていった。

 

「はぁ……張遼隊!数人城壁に残して残りはウチについてきい。華雄だけじゃ危なくてしかたないわ」

 

「はっ!」

 

ウチもまた兵に指示を出して城壁から降りていった。

 

「はぁ、世話の焼けるこっちゃな」

 

《一刀視点》

 

挑発をし終えたのか愛紗と雪蓮はただじっと門を見ていた。

 

(ゴゴゴゴゴッ!)

 

しばらくすると、遠くからでもわかるほど大きな音を上げて門が開いていくのが見えた。

 

「ご主人様!門が開いていきますよ!」

 

朱里は望遠鏡で覗きながら報告してくれた。

 

「どうやら成功したみたいだな」

 

「はい。あ、今、愛紗さんと雪蓮さんがこちらへ駆けて来ています」

 

今度は雛里が報告をしてくれた。

 

「ねえ、ご主人様。愛紗ちゃんは華雄さんに勝てるのかな?だって、猛将なんでしょ?凄く強いんでしょ?」

 

桃香は俺の横で心配そうに話しかけてきた。

 

「きっと、冷静なら勝てないかもね」

 

「そ、そんな!」

 

「大丈夫だよ。愛紗は強い。それに今の華雄はきっと冷静さを欠いている。そんな状態で愛紗が遅れを取る事はないさ」

 

「う、うん……そうだよね」

 

「ああ、だから俺たちも愛紗が心置きなく戦えるようにお膳立てしないとな」

 

俺は微笑み不安そうな桃香を安心させる為に手を握り締めてあげた。

 

「えへへ、ご主人様の手、温かいな」

 

「そうか?」

 

「うん、こうして握ってるとすごく落ち着くよ」

 

「そっか。落ち着けたんなら良かったよ」

 

「うん!もう大丈夫!」

 

「あ、あのご主人様……」

 

すると雪華が遠慮しがちに話しかけてきた。

 

「ん?どうした雪華?」

 

視線に気づき雪華に声を掛けると無言で近づいてきて、桃香とは反対側に立つと俺を見上げて呟いてきた。

 

「そ、その……私も不安で……戦に出るのはこれが初めてで……そ、その……ご迷惑でなければ手を握ってもいいですか?」

 

そっか。雪華にとってはこれが初陣になるんだったな。それじゃ不安になるのも仕方ないか。

 

「ああ。いいよ」

 

俺は微笑みながら雪華の手を握ってあげた。

 

「ふぇ……あ、ありがとうございますご主人様」

 

「どういたしまして」

 

「むぅ……私だって!」

 

「と、桃香?」

 

桃香は握っていた手を離し行き成り腕に抱きついてきた。

 

「こうしてる方がもっと落ち着くんです!」

 

「そ、そう……なら仕方ないよね」

 

全然仕方なくないけど、動きづらいし。でもなんだか拒否できない雰囲気だしな。

 

途惑う俺を他所に桃香は更に抱きついてきた。

 

うぅ……桃香の胸が当たってくる……何とか気を逸らさないと。

 

「そ、それより!前線はどうなってるんだ、朱里!」

 

「どうせ、私の胸なんて……」

 

朱里に話を振ったがなぜか朱里は自分の胸に手を当ててブツブツと呟いていた。

 

「しゅ、朱里?」

 

「はわわ!な、なんでしゅか?!」

 

「前線の状況なんだけど……どうかしたのか?」

 

「はわ!な、なんでもないでしゅよ?!ぜ、前線でしゅね!」

 

なんでもないと言いながら物凄い慌てぶりなんだけど。すごく噛んでるし。

 

「とりあえず落ち着こうか朱里」

 

「は、はひ!すーはーすーはー……も、もう大丈夫です」

 

「うん、それで俺らはこれからどうすればいいかな?」

 

気を取り直して朱里に聞きなおす。

 

「そうですね。愛紗さんと雪蓮さんには華雄さんを出来るだけ汜水関から離してもらい、十分に離れたところで星さんの軍で分断、鈴々ちゃんと残った私たちで汜水関を落とします」

 

「了解、なら俺も前線に出るかな」

 

「はわわ?!ご、ご主人様!何を考えているんですか!」

 

「そうだよご主人様!」

 

「ふえ!?危険ですご主人様!」

 

凄い勢いで三人に前線に出るのを拒否されてしまった。

 

「大丈夫だよ。それに武将がもう一人居るんだろ?だったらそっちも足止めないとダメだと思うんだけど」

 

「そ、それはそうですが……」

 

「それでも危険だよご主人様!」

 

「そうです……ぐすん」

 

「ええ?!こ、雪華?!なんで泣くんだよ」

 

「だって……危ないから。ご主人様が居なくなったら雪華は、雪華は……」

 

参ったな……まさか泣かれるとは思わなかったぞ。とにかく雪華を落ち着かせないと。

 

俺は雪華の顔が見える様に屈み、微笑みながら優しく頭を撫でてあげた。

 

「ふぇ」

 

「大丈夫だよ。それに危なくなったらちゃんと退いて来るから」

 

「本当ですか?」

 

「ああ、約束だ」

 

「……?」

 

俺が小指を差し出すと雪華は首を傾げながらその小指を握ってきた。

 

「ははは、違うよ。こうやって小指と小指を絡めて……」

 

俺は笑いながら雪華の手を小指から離し、雪華の小指を絡めて指を振った。

 

「指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲~ます。指切った」

 

「ご主人様これは?」

 

「これはね、俺らの世界での約束を守るおまじないみたいなものだよ」

 

「おまじない?」

 

「ああ」

 

「……」

 

雪華はじっと小指を見ていたかと思うとおもむろにその小指をもう片方の手で大切そうに胸の辺りで包み込んだ。

 

「あー!私もご主人様とおまじないする!」

 

「はわわっ、わ、私もしたいでしゅ!」

 

それのやり取りを見ていた桃香と朱里も指切りをすると俺に迫ってきた。

 

「わ、わかったから、お、押さないでくれ!」

 

俺は桃香と朱里にも指切りをしてあげた。まあ指きりくらい別にいくらでもしてあげるのに。

 

「えへへ~♪ご主人様との約束」

 

「はわわ……ごめんね、雛里ちゃん」

 

二人はうれしそうに小指を見つめて頬を緩ませていた。

 

「それじゃ、俺は前線に行ってくるよ」

 

「「「え?……あーーーーーっ?!」」」

 

三人は揃って大声を上げた。

 

「ま、まってよ。ご主人様!」

 

「え?どうしたんだ?」

 

「えっと、えっと……朱里ちゃん、お願い!」

 

「はわわ?!あ、あの、ですから、ご主人しゃまは前線には出ちゃダメでそれで指切りして」

 

「ちょ!しゅ、朱里!落ち着いて!」

 

「わ、私はおちちゅいてましゅよ!」

 

俺を呼び止めたものの何を言っていいのかわからず朱里に振った桃香だったが、朱里も行き成り振られて頭が混乱してか支離滅裂になっていた。

 

「だ、だめ~~~~~っ!」

 

「こ、雪華?」

 

一人、雪華だけは声を上げ俺に抱きついてきた。

 

「ご主人様が殺されちゃいます!」

 

「困ったな……」

 

俺は頭をかきながら苦笑いを浮かべ雪華の頭を優しく撫でた。

 

「大丈夫だよ。絶対戻ってくるから」

 

「……戦場で絶対はありません」

 

「うん、そうだね。でも、最低でもこの汜水関だけは俺たちが落とさないとだめなんだ」

 

「……今後の為、ですか?」

 

「ああ、よくわかったな雪華」

 

「ふぇ……わかりました」

 

俺は優しく微笑むとしばらくして雪華は俺から離れてくれた。

 

「ありがとう……それじゃ、ちょっと行ってくるよ」

 

「ご主人様、せめて一軍だけでもお連れください」

 

「そうだよ。やっぱり一人だけは危険だよ!」

 

「わかった。朱里の言うとおりにするよ」

 

俺が頷くと三人は一先ず安心してくれたようだ。

 

「よし……みんな、聞いてくれ!」

 

後ろで控えていた兵が一斉に黙る。

 

「俺は今からあの汜水関を落としに行く。しかも真正面からだ!」

 

一瞬のどよめきがあたりに広がる。

 

「こんな馬鹿げた策もない攻めに君たちを巻き込むつもりはない。君たちにも家族や愛した人たちが居るだろう、その人たちが帰りを待っていてくれているだろう」

 

「「「……」」」

 

「それでも、俺について来てくれると言うのなら俺は止めない、ついてこなくても責めもしない。命あってのものだからね」

 

俺はそこでニカっと笑った。

 

「でも、約束しよう!必ず生きて帰すと!俺が皆を守ってみせる!」

 

「「「……」」」

 

一瞬の静寂、そして

 

「「「うおおおおぉぉぉぉぉぉ!!」」」

 

大きな叫びが巻き起こった。

 

「御遣い様!俺は何処までもついていくぞ!」

 

「俺もだ!」

 

一人、また一人と志願してくるものが前に出てきたが最終的には全兵が志願してきてくれてしまった。

 

「さ、流石に全員連れて行くわけには行かないな。30人でいい。俺について来てくれ」

 

苦笑いを浮かべながら俺はその中から30人を選び出した。

 

「よしまずは三人一組になるように組んでくれ、出来れば仲のいいもの同士がいいんだけど」

 

「あのこれには何か意味が?」

 

「うん、それを今から簡単に説明するから」

 

俺は兵たちにわかるように説明をした。

 

「なるほど!流石は御遣い様だ!」

 

「よし!みんな行くぞ。絶対に生きてここに戻ってくるぞ!」

 

「「「おおおっ!」」」

 

そして、俺は一軍を連れて行動を開始した。

 

《愛紗視点》

 

「どこだ!何処に居る!」

 

一人、大声を上げて突進してくる華雄。

 

「ふん、やはり猪だったようだな」

 

「なにを!何者だ!」

 

怒りを露にしている華雄は私を見つけるなり殺気を膨れ上がらせてきた。

 

だが、ご主人様の殺気に比べれば大したことは無かった。

 

いや。実際はかなりのものなのだろう。きっと私もご主人様の殺気に当てられていなければ臆していたかもしれない。

 

「我が名は関羽、字は雲長。貴様の首を貰い受けるぞ華雄!」

 

「貴様か!私は華雄だ!さっきはよくも私の武を穢してくれたな!」

 

「本当のことではないか」

 

「ぐぐぐっ!一度ならず二度までも……許せん!そう簡単に私の首を取れると思うなよ!うおおおぉぉぉ!」

 

華雄は怒りに任せて巨大な斧を振り下ろしてきた。

 

(ドゴーーーンッ!)

 

轟音と共に地面が窪んだが、私はそれを簡単に避けて見せた。

 

「ふん、当たらんではないか」

 

「ぬぅうあああ!」

 

華雄は地面から斧を引き抜き私に向かって振り回した。

 

見える!猛将と謳われている華雄の攻撃が手に取るように分かった。これもご主人様との修行の成果なのだろう。

 

「……ふっ」

 

「貴様!何を笑っている!」

 

私が笑った事に華雄はさらに怒りを露にしてきた。

 

「なに、猛将華雄も対したことがないと思ったまでだ」

 

「き、貴様あぁぁぁぁぁっ!」

 

煽りに煽られた華雄は既に周りの状況が見えなくなっていた。

 

「逃げ回っているような腰抜けに言われたく無いわっ!」

 

「なら私に当たるような攻撃を繰り出してみるのだな」

 

「言われなくても!その生意気な口、首と一緒に切り落としてくれるわ!はぁぁぁあああっ!」

 

(ドゴーーーンッ!)

 

今のは危なかったな。怒りに動きは単調になっているがその分、速さと力が増しているな。

 

流石にこの攻撃を受ける気は無いな。

 

「どうした?また外れたぞ」

 

「ぐぐぐ……ぬぉぉぉおおおっ!」

 

「なっ!?」

 

華雄は深く刺さった斧を力任せに振り抜くとその衝撃で周りの地面を巻き込み宙へと舞い上げ視界を遮ってきた。

 

「関羽ぅぅぅぅっ!!!」

 

(ガキンッ!!)

 

「くっ!」

 

遮られた視界に気を取られてしまい。華雄の攻撃を受けてしまった。

 

なんという衝撃。偃月刀で防いで居なければ危ないところだった。

 

「どうだ関羽!私の一撃は!」

 

「ふん。こんなものか?我がご主人様の方がもっと重たいぞ。やはり猛将は返上したほうが良いのではないか?」

 

「な、なんだとぉっ!許さん!もう許さんぞ!貴様を倒してもなおこの怒りは納まらん!晒し首にして、鳥どもの餌にしてくれる!」

 

「ふん。貴様にそれが出来るものか。たった一撃私に当てたくらいでいい気になるなよ華雄よ」

 

手が痺れている。だがそろそろ華雄も体力の限界だろう。

 

怒りに任せた攻撃はその分、体力の消費が早いからな。

 

「はぁ……はぁ……」

 

……そろそろか。

 

私はあたりを見回す。そして我が隊が華雄の兵たちを足止めしているかを確認した。

 

「ちょこまかと!」

 

そんな事に気づかず華雄は私に攻撃を仕掛け続けていた。

 

「雌雄は決した!」

 

「なんだとっ!」

 

「周りを見てみろ、貴様の兵は何処にも居ないぞ」

 

「なにっ!」

 

辺りを見回した華雄は自分の兵たちが居ない事にやっと気が付いた様だった。

 

「くっ!許さんぞ、関羽!はぁ、はぁ……」

 

あれだけ怒らせたかいがあったようだ。案の定、巨大な斧で振り回していた華雄は肩で息をし始めていた。

 

私は痺れた手を一度開き力強く握り締め華雄に言い放った。

 

「ふっ、疲れているようではないか、華雄よ」

 

「私はまだやれる!董卓様の為にも!」

 

「ふん、一人でここまで突っ込んできた猪が何を言うか」

 

「き、貴様ぁぁぁぁっ!また、猪と!」

 

華雄は、また猪と言われ怒り出し斧を振り回しながら私へと駆け出して来た。

 

「我が力、とくと受けてみよ!」

 

今まで華雄の攻撃を避けていたがここで私は始めて青龍堰月刀を構えた。

 

「はあああぁぁぁぁっ!」

 

「うぉぉぉぉぉっ!」

 

(ガキンッ!)

 

すれ違う間際、互いの武器がぶつかり合い甲高い音を響かせた。

 

「……」

 

「……くっ」

 

(どさっ)

 

すれ違い暫くただづんでいたが、私は顔をしかめて膝をついた。

 

「ふっ……見事だ、かん……う…………」

 

(どさっ)

 

華雄は振り向き一瞬だが微笑むとそのまま仰向けになって倒れた。

 

「はぁ……はぁ……猛将華雄!この関雲長が討ち取ったりぃぃぃぃっ!」

 

私は立ち上がり堰月刀を天に掲げ勝ち鬨を上げた。

 

「「「おおおおおおおっ!」」」

 

関羽隊が歓声を上げ、華雄隊は呆然としていた。

 

「華雄隊は武器を捨て大人しく投降しろ!命までは取るつもりはない!負傷者もこちらで手当をしよう!」

 

華雄が討たれた事により戦意を無くした華雄隊は次々に武器を捨て投降をした。

 

「よし……衛生兵!傷の手当を頼む!重症なものからだ」

 

「はっ!」

 

「猛将華雄。倒れてもなお己の得物を放さぬか。敵ながら見事な武将だ」

 

私は倒れた華雄を見ながら呟いた。

 

「愛紗~~~!」

 

「鈴々!」

 

指示を出し居ていると衛生兵と入れ替わりに鈴々が走ってきた。

 

「なぜお前がここに居る!朱里の話ではお前は城を攻めていたはずだぞ!」

 

「伝令なのだ!」

 

「なっ!なんでお前が伝令で来ているのだ!自分の部隊はどうした!」

 

「雛里に任せたから心配ないのだ」

 

「はぁ……で、伝令とは何だ?」

 

私は呆れながらも伝令の内容を聞く。

 

「なっ!ご主人様が?!」

 

「待つのだ愛紗!」

 

「なんだっ!」

 

走り出そうとする私を鈴々が止めてきた。

 

「朱里が言うにはお兄ちゃんは約束を守るから。鈴々達のやるべき事をやって欲しいんだって」

 

「しかし!……そうだな、信じて待つのも私たちの仕事だな」

 

「そうなのだ!鈴々はいつでもお兄ちゃんを信じてるのだ!だから愛紗もお兄ちゃんを信じるのだ!」

 

「よし、私は一時本陣に戻る。すでに華雄は討ったからな。指示を仰ぎに行く」

 

「判ったのだ。鈴々は星と一緒に両側から砦を攻めるのだ」

 

鈴々は元気よく自分の軍に戻って行った。

 

「まったく……」

 

私は呆れながらも微笑み、鈴々を見送った。

 

「よし、我らは一時本陣に戻るぞ!投降した兵も一緒に連れて行くぞ!」

 

私は兵に指示を出し戦場を見回し呟いた。

 

「ご主人様……どうかご無事でお戻りください」

 

《張遼視点》

 

「くっ!華雄は討たれたやて!?だから挑発に乗るなゆうたんや!」

 

ウチは苦虫を噛み締めたかのように顔をしかめた。

 

「しゃぁない……全員、虎狼関に撤退するで!汜水関はもうあかん!」

 

ウチ隊に命令を飛ばし引き返そうとした。

 

「そうはいかないんだよね」

 

「誰や!」

 

ウチは振り返るとそこには数十人の兵と白い服を着た一人の男が立っとった。

 

その男は隙があるように見えとるが全然隙があらへんかった。

 

「誰や、あんた」

 

「俺は北郷一刀。君は張遼だよね」

 

「よう知っとるやないか。ウチが神速の張遼や」

 

「俺は北郷一刀。よろしく」

 

一瞬その男の笑顔に呆気に取られたが、直ぐに顔を引き締めた。

 

北郷一刀?たしか賈駆っちが言っとった天の御遣いちゅうやつか。

 

「で、ウチに何か用か?これでも忙しいんやけどな」

 

「それじゃ手短にするよ……投降して欲しい」

 

「なっ!」

 

御遣いの提案にウチは絶句した。

 

「悪いようにはしないから」

 

「そないな話信じられるかい!」

 

ウチは大声で叫び、北郷を睨みつけた。

 

「困ったな、どうしたら投降してくれるのかな?」

 

「なら力ずくで倒したらどうや?あんた強いんやろ?賈駆っちから聞いとるで。一人であっという間に黄巾党を倒したちゅうてな」

 

「大袈裟だよ。俺は少し減らしただけだよ」

 

「少し、なぁ~。黄巾党約一万人を少し減らした。これの何処が少しか聞いてみたいところやな」

 

これを賈駆っちから聞いたと時は正直驚いたで。まさか恋みたいな化け物がこの大陸に居た事にや。

 

「随分と正確な情報だね。俺が知ってるのだと二万人が全滅だったんだけど」

 

「賈駆っちの情報網を馬鹿にしたらあかんで。ウチは賈駆っちを敵に回しとう無いわ」

 

「なるほどね。それで、投降してくれる気になったかな?」

 

「アホ抜かせ。ますますやる気になっとうきたわ。天の御遣い北郷一刀の力、見てみとうなったわ」

 

「困ったな。話し合いに来ただけなんだけどな」

 

「話し合いやて?ウチの話し合いはな……これやっ!」

 

ウチはそう言うて飛龍堰月刀で攻撃を仕掛けた。

 

「うぉぉ?!」

 

「こら避けんなや!武人なら武人らしく!得物で話し合おうやないか!」

 

「そんな事言ったって!女の子に攻撃出来ない、よ!」

 

「誰が女やっちゅうねん!戦場に居る以上、子供も女も関係あらへん!」

 

そや、ここは戦場や。戦場に立っている以上そんな甘えは許されへんのや。

 

「堂々と勝負しいや!その得物は飾りかいな!」

 

「おわっ!な、さっきも言ったけど女の子に手を上げるのは、俺の、趣味じゃ、ない!」

 

ウチの攻撃を避けながらも、それでもなお軟弱な事をいってきはる。

 

「ウチもさっき言うたやろが!戦場じゃ、そんなの関係あらへんて!」

 

「それでも!俺は嫌なんだよ!」

 

「……そか」

 

ウチは攻撃を止めて北郷と距離を置いた。

 

「や、やっとわかってくれたかな?」

 

「ああ、お前さんの考えはようわかった……」

 

「なら話を……」

 

「せやから。お前さんが本気になるようにお前さんの兵を一人ずつ殺したるわ!」

 

「なっ!」

 

ウチは北郷から目線を逸らし近くに居た敵の兵に切りかかった。

 

「一人目や!」

 

「ひっ!」

 

(ガキンッ!)

 

「くっ!」

 

「はっ!やるやないか。あの距離をウチよりも早く回り込むなんてな」

 

案の定、北郷は兵を庇うようにしてウチの得物を防いでいた。

 

「そりゃどう、もっ!」

 

北郷はウチを押しのけ距離をとった。

 

「少しはやる気になったんちゃう?」

 

「ああ。兵たちに約束してるからね。必ず生きて家に帰すってね」

 

「あまちゃんやな」

 

「そうかもね。でも、それは誰もが皆望んでる事だよ。こんな戦、本当は誰も参加したくないのかもしれない」

 

「っ!ほなら何でお前らは参加しとんのや!お前らかて権力が欲しいからちゃうんかい!」

 

(ガキンッ!)

 

北郷の言葉にウチは頭に血が上り怒鳴りつけながら堰月刀で切りかかった。

 

その攻撃を北郷は避ける事もせず受け止めた。そしてぼそっと何かを喋ってきよった。

 

「俺達が参加した理由は権力が欲しい訳じゃない」

 

「ならなにが欲しいちゅうねん!」

 

「しっ!あまり大きな声を出さないで聞いて」

 

北郷は静かにしてくれとウチに言ってきよった。

 

「俺の話を聞いて欲しい。董卓を救う為に」

 

「なんやて?」

 

北郷の言葉にウチは驚いた。月を助ける?

 

ホンマにそんなこと考えとんのか?

 

「そないなことしてあんたらに何の得があるねん。へたしてばれてもうたら逆に連合軍組まれるで」

 

「わかってる。でも、何の罪も無い董卓が倒されるのは間違ってると思うんだ」

 

こいつ……

 

「わかったわ。あんさんの言う事信じたる」

 

「本当か?それじゃ投降を……」

 

「それはダメや」

 

「ダメ?」

 

「ああ。あんたの言う事はようわかった。でもな、ウチは武人やねん。戦いもせえへんで投降なんか出来ると思うか?」

 

「いやそれとこれとは……」

 

「同じ事や。それじゃ、勝負の最中に負けてくれ言われておたくは納得するん?」

 

「……」

 

「そういうこっちゃ。ほな、いくでっ!でりぃぃぃゃぁぁあああっ!!」

 

「くっ!……仕方ないか」

 

「おっ!やる気になってくれたんか?うれしいなぁ。ほな、死合おうか!」

 

ウチは北郷に向って堰月刀を振り下ろした。

 

(ガキンッ!)

 

北郷はウチの攻撃を難なく受け止めよった。

 

「はははっ!ええなぁ、ええなぁ!強い相手と戦うんは!」

 

「そりゃどう……もっ!」

 

「よっと♪そんな攻撃当たらへんで。もう少し本気だしぃな。おたくらの大将にウチとあんたが繋がってるって思われてまうで」

 

軽く北郷の攻撃を避ける。まだ、本気を出してないみたいやから少し挑発してみた。

 

「その手には乗らないよ。っと言いたいところだけどそう思われるのもこの後の行動がし辛くなりそうだから。その挑発に乗ってあげるよ」

 

「そうこんとな!ええで。掛かってきぃ!」

 

「それじゃお言葉に甘えて……っ!」

 

「なっ!にぃ!?」

 

北郷は構えたかと思うといつの間にか目の前に来とった。

 

「くっ!なんちゅう瞬発力や。ウチ以上やないかい!」

 

北郷の一撃を当たるスレスレの所を何とか避ける。いや。ちゃうな、北郷が避けられるギリギリの所を狙ってくれただけや。

 

「まさかこれを避けるとはね」

 

「よう言うわ!次はウチの番やで!てりゃっ!」

 

「うぉ!ちょ!ほ、本気で斬りかかってきただろ!」

 

「当たり前や!手加減したら相手に失礼やろ!」

 

「いや。俺としては手加減してもらっても一向に」

 

「はっ!ウチより強いくせに手加減なんてするかいな!」

 

何度も攻撃をしとるが一向に当たる気配が無い。

 

こんな攻撃が当たらんのは久々や。本気を出した恋以来やで。

 

だけども、恋の時と違うんは北郷はまったく本気を出してないちゅうこっちゃ。

 

それが北郷の戦い方なんかは知らんが当たらんとなんや焦ってくるわ。

 

せやけどもこんなにワクワクする戦いも久々や。

 

なんやろな、攻撃が当たってへんのにワクワクするなんて。

 

「なんだか楽しそうだね」

 

「当たり前や!ウチ以上に強い相手と戦ってるんやで?楽しまなぁ損ってもんやろ!てか、少しはウチの攻撃に当たらんかい!」

 

「当たったら痛そうだから遠慮しておくよ」

 

「かーっ!その余裕ムカつくわ~っ!絶対泣かしたる!」

 

北郷は見せかけの戦いかもしれへんけど、ウチにとっては本気の勝負や。せやから少しは本気出してほしんやけどなぁ。

 

「こうなったらウチのとっておき見せたるわ!両の目かっぽじってようみとけ!」

 

「なっ!さ、流石にそれは避けられないだろ!」

 

北郷はウチのとっておきに避けられんと思ったんか構えを変えてきよった。

 

「やっと構えてくれたなぁ。ほな、いくでぃ!世に歌われた張遼が神速、とくと味わいや!」

 

ホンマ、これ避けられたらめっちゃ凹むで……

 

「蒼竜神速撃!」

 

体内に流れる氣を一点に集中させウチは北郷に向かい偃月刀を放った。

 

《To be continued...》

葉月「汜水関編突入です!まずは前編です」

 

愛紗「珍しく私に活躍の場があったな」

 

葉月「珍しくとは失礼ですね。私はいつも」

 

愛紗「いつも、なんだ?いつも私を困らせて楽しんでいるだけだと思うのだが?」

 

葉月「や、やだな~。そんなこと無いですよ~」

 

愛紗「いいや。お前はいつも私をからかって遊んでいる!前回の話もそうだ!なぜ私が犬なのだ!」

 

葉月「ああ。桃太郎の事ですか?」

 

愛紗「そうだ!それになぜあの変態仮面がでてくるのだ!あいつはいつか私の手で決着をつけねばならぬ相手だぞ!」

 

葉月「えっと……まだ正体わからないんですか?萌将伝にもなってるのに?」

 

愛紗「なんのことだ?」

 

葉月「い、いいえ。わからないんならそれでいいです。きっとその方が幸せですし」

 

愛紗「何をブツブツ言っているのだ!それよりなぜ私が犬かと言う話だ!」

 

葉月「話を逸らしたのは愛紗じゃないですか。まあいいですけど。なぜ愛紗が犬かってことですよね」

 

愛紗「うむ。納得のいく答えが得られない時は覚えておけよ葉月」

 

葉月「一応ちゃんとした理由があるんですけどね。まず、桃太郎が犬・猿・雉をお供にした事には選ばれた理由があるんですよ」

 

愛紗「それはなんだ?」

 

葉月「まずそれぞれの動物には一つずつ優れた物を持っていたんです。まず『猿』、猿には三匹の動物の中では一番の知恵を持っていたんです」

 

愛紗「なるほど、知恵となれば軍師。だから朱里が選ばれたわけだな」

 

葉月「はい。そして『雉』、雉は一番勇気を持っていたんです。だから敵に臆さず挑む、と言うことで華蝶仮面にしたわけです」

 

愛紗「むぅ。納得できるような出来ないような……では、犬はなんだというのだ」

 

葉月「犬は忠義。どんな時も主の傍らを離れずお守りする。それが犬なんです」

 

愛紗「な、なるほど……確かに役としては私にぴったりだな……そうか、忠義か……」

 

葉月「まさに愛紗の為にある言葉ですね!」

 

愛紗「それ以上言うな。照れるではないか……そ、そんなことより今回の話だ!確か本編では華雄と対峙したのは鈴々ではなかったか?」

 

葉月「確かそうでしたね。でも、ここで愛紗に出てもらわないと話が続かないんですよ」

 

愛紗「それはどういうことだ?」

 

葉月「おっと!それはまだ秘密ですよ。次回以降を楽しみに待っていてください」

 

愛紗「仕方ない。それで張遼を相手にしているのはご主人様か。やはりご主人様は強いな。あの神速の張遼を赤子のように扱っているとは」

 

葉月「ぶっちゃけ規格外ですよね。自分で設定したんですけど。まあ、その分、女たらしも通常一刀の2割増しにしているので。ポンポンみんな落ちてますけどね」

 

愛紗「そこだ。この反董卓連合軍編に入ってからどれだけ落としているのだ!」

 

葉月「えっとですね。まず菫こと馬騰さん。翠に、ああ。本人はまだ認めて無いですけどね。あとは雪蓮に優未。あと冥琳と祭はまだ一刀に興味がわいた程度ですけどね。それも時間の問題かもしれないですよね」

 

愛紗「六人も……いや、まずは四人だな。なんて事を……なんてことをしてくれたのだ葉月よ!」

 

葉月「お、落ち着いてください!ほら、よく考えて!実際この中で仲間になるのって翠だけじゃないですか!それならいままで通りでしょ!」

 

愛紗「た、確かにそうだが……」

 

葉月「それに今まで一刀の事を好きになっちゃった人たちだって殆どが仲間になる人たちじゃないですか!まあ、雪華は違いますけど」

 

愛紗「言われて見れば」

 

葉月「でしょ!?だから大丈夫ですって!愛紗はデーンと構えていればいいんですよ!」

 

愛紗「そ、そう、だな。確かにそうだ。お前の言う通りだ葉月。少し荷が軽くなったぞ」

 

葉月「それは良かったです。まあ、そう上手くいかないのが世の理なんですけどね」

 

愛紗「何か言ったか?」

 

葉月「いえ。なにも~。あ、そろそろお開きですね。それでは皆さん。また次回お会いしましょう!」

 

愛紗「次回は後編だ楽しみに待っているがいい!」

 

葉月「あんまり期待しないでくださいね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雛里「あ、あの星さん」

 

星「なんだ。雛里よ」

 

雛里「今回、全然活躍できませんでしたね」

 

星「活躍どころか我らは一度も喋っていないぞ雛里よ」

 

雛里「あわわ。そうでした……ぐすん」

 

星「まあ、雛里よ。次回に期待しようではないか」

 

雛里「そうですね……葉月さん。ちゃんと書いてくれないと……呪っちゃいますぅ」

 

星「あわわ……もげろ」

 

雛里「あわわっ!わ、私の真似しないでくださぃーっ!!」


 
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