桔梗√ 全てを射抜く者達 第14射
視点:焔耶
桔梗様達が馬騰様の治める西涼から戻ってこられた。
馬騰様の使いで蒲公英が来て援軍の依頼をして来た時は驚いた。相手はあの五胡と一刀が黄巾党と言っている賊だったらしい。かなりの戦力差があると聞かされていたので心配してはいたが、留守を任された以上、私が西涼に行くことが出来ない。だから、この巴郡の警邏と文官のまねごとをやって、桔梗様達を待っていた。
桔梗様も一刀も兵達も……ちびっ子軍師も無事で一応安心した。
私は桔梗様と杏里を連れて執務室へ行き、溜まっている竹簡と案件について説明した。
「きゃわわ!何でこんなに竹艦が溜まっているんですか?ちゃんと、私の留守の間に誰かやったのですか?
全く、もうちょっと頭の良い将は居ないんですか?」
「すまん。杏里。
軍関係の案件は私と凪である程度は処理できたのだが、それ以外の案件は………。」
「ですが、思った以上に量は少なさそうです。今日明日、私と桔梗様が頑張れば何とかなりますね。
私達は向こうで戦った後、酒を飲んでいただけなので、今から仕事をしても大丈夫です。
焔耶は今から一刀さんと警邏をお願いします。凪達三人は今日を休日にしましたので、今日の警邏が終われば、明日は休日に設定しましたので、十分に休んで下さい。」
「あぁ。行ってくる。」
私は執務室を出て、一刀を探しに行く。城に居る者達に聞いてみると、一刀はどうやら鍛錬場に居るらしい。
帰って来たばかりだと言うのに、鍛錬するとは心構えは一流だな。奢らず、日々精進し、鍛錬を積む。武人とそうあるべきだ。さすがは、一刀だ。私が認めて男と言うだけはある。
一刀がすごいのは武人としての心構えだけでは無い。そうだ、一刀は頭も良い。警邏の隊長になって、町の治安に貢献する政策を杏里に進言し、成功している。
さらに、一刀は料理が出来る。アイツの天ぷらは特に美味い。私も大好きだ。
それに比べて、私はそれなりの武を持っているだけだ。
頭も良くないし、料理も上手くない。だから、杏里や蒲公英に『脳筋』扱いされるんだよな。
「はぁーーー。」
「どうしたんだ?焔耶?何か用事か?」
「一刀!?」
いつの間にか私は鍛錬場についていたらしく、目の前に一刀が居た。
何でか、一刀は上半身裸だ。
「ちょ!おま!服着ろよ//////」
「あぁ、ワリィワリィ。警邏の兵と衛兵の訓練をしていたんだ。
で、動いて汗をかいたから、皆で行水していたんだ。やっぱり戦友とこうやって遊ぶのも良いもんだ。
あぁ、チョー気持ちいい!!」
一刀は頭から滴ってくる水で顔を洗う。
周りを見ると地面が濡れていて、空になった桶とビショ濡れで笑っている数十人の兵士が転がっていた。
こんな光景は普通の鍛錬場では見ない。鍛錬場は鍛錬する所で遊ぶところでは無いからだ。
だが、一刀曰く、戦場で重要なもの一つは団結力で、こうやって兵士同士で遊ぶことによって交流を深めることは重要だという。そして、兵士達に一刀はすごく慕われている。
「で、どうした?」
「何がだ?」
「焔耶が武器を持たずに鍛錬場に来るのは、焔耶が俺に何か用があるのかのどちらかと思うわけですよ。」
私は一刀に今から警邏だと言うことを伝えた。
一刀は鍛錬の片づけをよく話をする女衛兵に任せ、濡れていた服を絞って、着て、準備は出来たと言った。
乾いた服を着ろと言ったが、打ち水効果と笑いながら答えたので、私も好きなようにしろと言ってやった。
そして、私達は警邏に向かった。
「で、焔耶。機嫌が悪い理由を教えてくれないか?」
「え?」
「焔耶が暗い顔をしながら、ため息ばかりついていたら、誰でも心配するわ。鍛錬場で聞こうかと思ったんだけど、兵が居たからな、あの時は聞くのを止めたんだが、今は昼休憩中で飯を食っている訳だ。
聞くなら今かなと北郷一刀は思ったわけですよ。」
「実はな。杏里が、執務室に溜まった竹簡を見て、もっと頭の良い将が入ればこんなことにならなかったのに、って愚痴をこぼしたから、私ももっと頭が良ければ、桔梗様の役に立ったんだろうなと思ってな。」
「ああ、なるほど。で、焔耶は頭が良くなりたいと。」
「そう言う事だ。なあ、一刀。私に勉強を教えてくれないか?」
「え?俺?」
「ああ、こんなこと頼めるのはお前しか居ないんだ。
桔梗様は忙しい。杏里に聞いたら、『そんなことも分からないのですか?驚きです』って言うだろうし、凪達には立場上聞きづらい。だから、お前しか頼れる奴が居ないんだ。」
「分かった。まずは、何を勉強するか、本屋に行って考えよう。
その方が、自分に何が足りていないのか。分かりやすいだろう?」
「ああ、そうだな。ありがとう。一刀。」
「そのかわり、警邏が終わってからな。」
私と一刀は駄弁りながら昼食をした。話題は馬騰様の所の話しだ。
杏里が馬騰様の所の文官に喧嘩を売った事、五胡と賊との戦いで無血勝利したとか、一刀と杏里が料理対決をしたとかだ。一番の驚きだったのが、杏里が馬騰様の所の文官に勉強を教えていた事だ。杏里が文官達に尊敬されて気分が良かったのだろうと一刀は言っていた。私が聞いたら一昨日出直して来て下さいと言われそうだ。
昼食も終わったので、私と一刀は警邏を再開する。
町の東側は兵卒たちに任せているので、昼から私達が回るのは西側だ。
西側の町を回っていると老婆から声を掛けられた。
「魏延将軍、お久しぶりです。」
「え?私か?すまないが、どこでお会いしただろう?」
「お忘れになりましたか?昔、わたしの店で馬岱様と団子で喧嘩したことありましたよね?」
「あぁ!あの時の!しかし、あの店は山の中に無かったか?」
「えぇ、少し前に、ここに引っ越してきたんです。賊が多発していると聞いたので。」
「そうだったのか。あの時はすまなかった。店の中で騒いだりして。」
「気にしないでください。今となっては良い思い出です。」
「魏延様、一つ聞いて宜しいですか?」
「何だ?」
「そちらの男前の人は魏焔将軍のお婿さんですか?」
「「へっ!?」」
「死んだおじいさんには劣るかもしれませんが、中々な男前ですね。
私もあと50若かったら……では、私はこれにて失礼します。お幸せに。」
そう言って、茶房の老婆は杖をつきながら、去って行った。
残された私達はすごい気まずい空気になった。仕方無いよな。だって一刀が私の婿だと言われたんだ。
一刀の方を見ると、一刀も私の方をチラチラ見て来る。そして、目が合うと咄嗟に空を見る。
耳まで真っ赤だ。たぶん、私も同じだろうな、一刀の顔をまともに見ることが出来ない。
だが、いきなり、一刀が両頬を叩いた。横眼でチラッと見たが、一刀の両頬には手で叩いた後が残っている。
表情はいつもの真顔に戻っているが、何とも痛々しい。
「なあ、焔耶。とりあえず、本屋に行くか。」
「そ…そうだな//////」
私は先ほどの老婆の言葉で動揺してしまい、一刀の顔を横顔ですら見ることが出来ない。
落ち着け、私!たかが一刀ではないか!私はその場で立ち止まりゆっくり深呼吸した。
気が付いたら、私と一刀は本屋の中に居た。
「焔耶?焔耶自身はどんな勉強が必要だと思うんだ?」
「えぇ?算術が少しばかり足りないかと……。」
「どうして?」
「軍の予算の計算に失敗が多かったんだ。だから……。」
「なるほど。……だったら、どの本が良いかな?」
一刀はそう言うと私から離れて、本を探し始めた。
一刀の顔って、異性の私から見ても端整だと思う。町を歩いている民と比べてもやはり格好良い。
一刀を見ていると頭がボーっとしてきた。私は一体どうしたのだろう?
「おーい、焔耶聞こえているか?」
「なななななんだ!一刀!?」
「大丈夫か?顔が赤いぞ。熱でもあるのか?」
「あぁ、大丈夫だ//////」
「そうか?しんどいなら、言えよ。」
視点:一刀
おばあちゃんに焔耶の旦那扱いされてしまった。
確かに焔耶は勇ましいが、可愛くもある。故に、焔耶は女の娘としてはかなり美人に分類されると俺は思う。
俺は焔耶と俺が結ばれている場景が思い浮かべようとしたが、代わりに桔梗さんの顔が思い浮かんだ。
そうだ。やはり、俺はやっぱり桔梗さんの事が好きらしい。だから、今この瞬間、頭に思い描いたのは桔梗さんだったのだろう。もう一度言わせてもらおう。俺は桔梗さんが好きだ。
あの美貌に、豪快で勇ましく優しくもあり、時々頬を染めながら俺をからかう桔梗さんが俺は好きだ。
俺は自分の気持ちに矛盾することを思い浮かべようとしたが故に、桔梗さんが思い浮かんだのだろう。
しかし、旦那か。………えへへへへ、桔梗さんの旦那になれたら嬉しいな//////。
俺と桔梗さんの結婚生活を想像(妄想とも読む)すると顔が熱くなってきた。
イカンイカン!今は焔耶の勉強を見る為に来ているんだ。気を引き締めて行かないとな!
俺は両頬を叩き、本屋に行った。
そして、今焔耶のリクエストで算数の本を探している。うーん、これもいまいちだな?
「うーん、焔耶?何か良い本見つかったか?」
返事が無い。どうしたのかと、焔耶に駆け寄る。
焔耶は本屋の入り口でボーっとしていた。目は開いているようだから、気絶はしていないのだろう。
焔耶は何処か遠くを見ているようだ。何を見ているのかと俺は焔耶の視線の先を見たが、何も無い。
模様も絵も無い、ただの本屋の壁だった。
焔耶の目の前で手を振ってみても反応は無い。
「おーい、焔耶聞こえているか?」
「なななななんだ!一刀!?」
「大丈夫か?顔が赤いぞ。熱でもあるのか?」
「あぁ、大丈夫だ//////」
「そうか?しんどいなら、言えよ。」
焔耶は大丈夫と言うが俺はやはり心配だ。なんたって、顔が赤いままだ。
俺は焔耶を本屋の椅子に座らせる。焔耶は抵抗せず、あっさりと椅子に座った。
飲み水をくれないかと俺は本屋の店主に頼む。店主はすぐに飲み水を持って来たので、俺は焔耶に渡す。
焔耶は俺から飲み水をひったくる様に受け取り、俺に礼を言うと、水を一気飲みした。
焔耶は一気飲みし終わると、深く深呼吸をした。
「もう、大丈夫だ。」
「本当か?」
焔耶はそう言うが、やはり顔が赤い。早く城に戻らせてゆっくり休ませた方が良いな。
城に着くまで俺が面倒を見ていれば、大丈夫だろう。
俺と焔耶は城へと戻った
視点:鮮花
「濡れ濡れ一刀さん、萌え――――!!ハァハァ//////」
どうも、黒山羊です。
早速ですが、恋姫の話をしましょう。
またしても、一刀さんが無自覚でフラグを建ててしまいましたね。でも、やっぱりこの外史の一刀は純情派ですねww。超桔梗様LOVEです。
そして、一刀を男として意識し出した焔耶。果たしてそんな焔耶に一刀はどう接していくのか。
これ作者からの注目ポイントです。
そして、鮮花さん、貴方の妄想はある意味鮮やかですww。
そして、『第2回同人恋姫祭り』お疲れさまでした。
私は祭り開催期間中に3作品書きました。3作品説明していきましょう。
まず、『思春の気持ち』。
真桜が作ったクルーザーで立食パーティーとなった一刀と恋姫達。一刀が他の女の娘達とイチャイチャしているのが、思春は気に食わなかった。そこで、思春が取った行動は?意外な思春の一面に注目。
2つ目、『恋姫のお茶会 ver.蜀』
華琳が蜀の屋敷に来て、お茶会をすることになった。しかし、執事喫茶というテーマである為、このままではお茶会の給仕を一刀一人でやることになってしまう。そこで、一刀が考えた秘策とは?そして、そのお茶会の結末は?
3つ目、『酒が飲めるぞ! ver.真・恋姫†無双』
酒が飲める。酒が飲める。酒が飲めるぞ。
というあの歌。真・恋姫†無双流に編曲しました。皆でスピリタスを飲みながら歌って下さいww
では、最後のいつものシメをしましょう。
それでは、御唱和下さい。
へぅ( ゚∀゚)o彡°
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ハワイのパイナップルワインは予想以上に不味くて泣きかけた黒山羊です。
皆さま、祭りにご参加いただきありがとうございました。
最後になりますが、
現在私は2本長編作品を書いています。
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